家の買い替えに際し、買い替えるタイミングや必要になる費用について、不安に思う人は少なくありません。
この記事では、家の買い替えに必要な知識を、注意点も合わせて、不動産の売却がはじめての人にもわかりやすく解説します。

記事の目次
よくある家の買い替えの動機
家の買い替えを考えるきっかけは人それぞれですが、ライフステージ・ライフスタイルの変化や住まいの老朽化などがよくある動機として挙げられます。
ライフステージやライフスタイルの変化
年月と共に、家族構成や生活様式、暮らしの求めるものなどは変化していくものです。住まいが今の暮らしに合っていないと感じたときは、買い替えを検討するタイミングになり得ます。
家族の増減・子どもの成長
子どもの誕生や成長に伴って家が手狭になったり、個室が必要になったりすることがあります。一方で、子どもが独立したことで、部屋が余り、持て余してしまうケースも。
家族構成の変化によって、現在の間取りでは暮らしにくさを感じるようになることがあります。
親との同居
親との同居をきっかけに、親用の個室やバリアフリー仕様が必要になるケースがあります。
転勤・転職
勤務地の変更により、通勤時間や距離が問題となり、引っ越しを余儀なくされることがあります。
働き方の変化
リモートワークになるなどして、ワークスペースとしての個室が必要になったり、都心から郊外への移住を検討したりする人もいます。
趣味やライフスタイルの変化
車を複数台所有するようになった、ガーデニングに凝るようになった、ペットを飼い始めたなど、趣味などの変化に合わせて、より適した住環境を求めるようになることもあります。
住まいの老朽化
建物は時間の経過と共に老朽化します。大規模なリフォームが必要になったり、耐震性への不安を感じたりする場合に、買い替えを検討する人もいます。
建物の劣化
建物の経年劣化が進むと、修繕費用がかさむだけでなく、安全性や快適性が損なわれることがあります。
耐震性への不安
1981年5月31日以前に建築確認を受けて建てられた旧耐震基準の家の場合など、地震に対する不安から、より耐震性の高い家に買い替えることを検討する人もいます。
設備・仕様の問題
最新の設備や家の仕様と比較して、不便さだけでなく、省エネ性能の不足や断熱性能の低さなど、光熱費の増加にもつながる問題が表面化することもあります。
間取りの不便さ
築年数が経過した家は、現代の生活様式に合わない間取りになっていることも多く、生活動線や収納スペースに不便さを感じるようになる人もいます。

家の買い替えに適したタイミング
家の買い替えを成功させるためには、売却と購入のより良いタイミングを見極めることが重要です。市場の状況や季節的な要因も考慮に入れることで、有利な条件で取引を進めることができます。
売りやすいのは築25年以内
一般的に、家を売りやすいのは築25年以内と言われています。レインズのデータによると、2024年の首都圏におけるマンションの平均成約価格の場合、「築年数21年〜25年」までは7000万円台〜5000万円台、一戸建ての場合は5000万円台〜4000万円台ですが、「築26年〜30年」になると、どちらも3000万円台になっています。つまり、築年数が進むほど、高値売却は難しくなり、特に築25年あたりを境に、大きく下がる傾向があることがわかります。
ニーズのある築浅物件の方が高く売れやすいという傾向がある一方で、築25年を超えた物件の価格は一旦落ち着き、下落は緩やかになるという傾向も見られます。

引越しシーズンは狙い目
引越しシーズンは、家の買い替えを検討している人にとって狙い目のタイミングです。 新生活のスタートを控えた2月~3月は、進学や就職、転勤などで多くの人が住まいを探すため、不動産市場が活発になります。また、夏季休暇が明け、転勤の辞令などもある9月頃も需要が高まる傾向があると言われています。
物件を探している人が増えれば、売却がスムーズに進みやすく、希望に近い価格で売却できる可能性が高まります。また、市場に出る物件が増える時期は選択肢が増え、新居も選びやすくなります。

家を売却して住み替えたい!査定からはじめる買い替えの流れを解説
家を買い替える方法
家の買い替えには、「売り先行」と「買い先行」の2つの主な方法があります。
売り先行とは
売り先行とは、現在住んでいる家を先に売却してから、新しい家を購入する方法です。旧居を売却後、新居の購入までの間の仮住まいが必要になることもありますが、売却後、手元に残る金額を把握した上で次の家を購入できるので、新しい家の購入資金計画を立てやすくなり、資金面での不安が少ない方法になります。
買い先行とは
買い先行とは、新しい家を先に購入し、その後で現在住んでいる家を売却する方法です。
仮住まいの手間を省ける反面、売却価格が確定しないことによる資金計画の不透明さがあるため、ある程度の自己資金に余裕があったり、気に入った物件を確実に押さえたい場合に選ばれる傾向がある方法です。
売り先行と買い先行、どちらを選ぶべきか?
売り先行と買い先行、それぞれのメリット・デメリットと、向いている人の特徴を見ていきましょう。

売り先行のメリット
売り先行の大きなメリットは資金計画が立てやすいという点です。
新居を購入する前に現在の家の売却価格が確定するため、新しい家の購入資金を具体的に把握でき、資金計画が立てやすくなります。予算内で物件を探せるため、無理のない買い替えが可能になり、売却で得た資金を頭金として次の家の購入に充てられるため、新居の住宅ローン借入額を減らすことが可能です。
さらに、新しい家を購入する前に現在の家のローンを完済できるため、一時的に2つの住宅ローンを抱える「二重ローン(ダブルローン)」のリスクを完全に回避できるというのも魅力です。
売り先行のデメリット
売り先行は、家に住んでいる状態で売却活動を行うため、購入希望者の内覧対応などがストレスになったり、生活に制約が出たりする可能性があります。
また、旧居の売却から新居の引き渡しまでの間に期間が空く場合、一時的に賃貸物件などに仮住まいする必要があるというのもデメリットの1つです。仮住まいが必要になるケースでは、仮住まいの家賃や初期費用、2回分の引越し費用などが発生しますが、売り先行でも、売却と購入のタイミングを見計らいながら、旧居と新居の同日決済がかなえば仮住まいは不要になります。
さらに、売り先行の場合は良い物件が見つかっても、現在の家が売却できていないために購入のタイミングを逃してしまう可能性があります。特に、人気エリアや希少な物件の場合は、このリスクが高まります。
| 売り先行の特徴 | |
|---|---|
| メリット |
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| デメリット |
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売り先行が向いている人
売り先行は、二重ローンのリスクを避けたかったり、資金計画を確実に立てて新居を購入したい人に向いている売却方法です。資金的に余裕がない場合は売り先行を選択するのが安心です。
なお、売り先行は仮住まいが必要になる可能性がありますが、売り先行でも仮住まいを避けたいという人は、売却と購入を同時に進めていける計画性や段取り力、調整力などが必要です。
買い先行のメリット
買い先行のメリットは仮住まいが不要で、購入のチャンスを逃さずに済むといった点が挙げられます。
まず、仮住まいについては、新しい家に引っ越してから現在の家を売却するため、一時的な仮住まいの手間や費用がかかりません。引越しの回数も1回で済み、負担が軽減されます。
また、新居の購入は、良い物件が見つかった際に、すぐに購入手続きを進めることができるため、購入のチャンスを逃さずに済みます。人気の物件や希少価値の高い物件でも、確実に手に入れられる可能性が高まります。
買い先行のデメリット
買い先行の場合は、二重ローンになる可能性があるというデメリットがあります。
また、買い先行の場合は現在の家の売却代金が確定していないため、新しい家の購入資金が不確定になり、資金計画が立てにくくなります。売却価格が想定よりも低かった場合、追加で自己資金を用意する必要が生じることもあります。
さらに、新しい家のローン返済がはじまるため、現在の家の早期売却を目指すことになり、価格交渉で不利になる可能性もあります。
| 買い先行の特徴 | |
|---|---|
| メリット |
|
| デメリット |
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買い先行が向いている人
資金に余裕があり、売却価格よりも、購入の確実性を重視する人は、買い先行を選択するのもいいでしょう。一時的に二重ローンを支払えるだけの経済的なゆとりが必要です。
住み替えとは?売り先行・買い先行の流れやメリット・デメリット、住み替えの注意点を解説
買い替え時の資金計画と住宅ローンのポイント
家の買い替えでは、資金計画が非常に重要になります。押さえておくべきポイントを見ていきましょう。
ローンの残債は売却代金で一括返済するのが一般的
売却する家の住宅ローンの残債は、売却代金で一括返済するのが一般的です。売主のローン完済と同時に、抵当権を抹消する手続きが必要になります。
ローン残債が売却価格を下回る「アンダーローン」の場合は、売却した代金でローンを完済し、売却益を新しい家の購入資金に充当できますが、ローン残債が売却価格を上回る「オーバーローン」の場合は、売却した代金だけではローンを完済できないため、不足分を自己資金で補う必要があります。自己資金で賄えない場合は、追加の融資などを検討することになるため、売却価格で残債を返済できるかどうかは、売却準備の段階でしっかりと確認が必要です。

二重ローン(ダブルローン)のリスク
前述した通り、買い先行の場合は二重ローンのリスクがあります。
新しい家の購入が完了し、ローン返済がスタートした後も、現在の家が売却できていない期間に発生するのが二重ローンです。
二重ローンになると、2つの住宅ローンを同時に返済することになるため、月々の返済額が大幅に増加し、家計を圧迫する可能性があります。また、売れない状態が長引くと、精神的なプレッシャーも大きくなるため、二重ローンになる期間が発生する買い先行の場合は、無理のない返済計画を立てることが大切です。
ダブルローンとは?住み替え時の住宅ローン借り入れで注意すべきポイント
買い替え(住み替え)ローンの注意点
現在の家を売却しても、住宅ローンが完済できないオーバーローンの場合に利用できるのが買い替えローンです。
買い替えローンは、現在の住宅ローンの残債と新しい家の購入費用をまとめて借り入れることができます。
通常の住宅ローンと比べ、金融機関の審査が厳しく、金利は一般の住宅ローンよりも高めに設定される傾向がありますが、売却代金だけではローンを完済できないけれど、住み替えが必要という人にとっては頼れる手段となります。
ただし、誰でも簡単に使えるものではなく、返済計画をきちんと立てておくなど、リスク管理が必要です。
住み替えローンとは?住み替えローンの手続き方法と売却活動の注意点をシミュレーションを交えて解説
つなぎ融資の注意点
つなぎ融資とは、売却代金を受け取る前に必要な資金を一時的に借りるローンです。
売り先行で進めるけれど、引き渡しまでに新居の支払いが発生する人や、新居を先に契約しなければならないが、旧居の売却がまだ終わっていない買い先行の人など、新居購入と旧居売却のタイミングがズレ、「お金が手元にないけど支払いが必要」という場合に、不足を一時的に補うのがつなぎ融資になります。
つなぎ融資は短期間の利用を前提としていて、金利は通常の住宅ローンよりも高めに設定されていることが一般的なため、計画的に利用することが重要です。

マンションを売却して住み替える手順・タイミングと費用、税金。失敗しない住宅ローンの組み方も解説!
買い替え時に知っておきたい税金と諸費用
家の買い替えには、売却時と購入時の両方でさまざまな税金や諸費用がかかります。スムーズな買い替えを実現するためには、これらを事前に把握し、資金計画に含めておくことが大切です。
不動産売却にかかる諸費用とは。仲介手数料、印紙税、登記費用など解説/不動産売却マニュアル#27
家の売却でかかる税金と諸費用
家を売却する際には、仲介手数料、契約書の印紙税、登記費用、住宅ローンの繰上げ返済手数料など、さまざまな費用が発生します。諸費用の大部分を占めるのは仲介手数料になりますが、仲介手数料の上限は売買価格によって異なり、400万円以上の場合は「売却価格の3%+6万円(税別)」となります。
<売却にかかるお金の例>
仲介手数料
不動産会社に売却を依頼した場合に支払う成功報酬。売却価格に応じて上限が定められていて、一般的には上限に設定されているケースが多いものの、交渉は可能。
印紙税
不動産の売買契約書に貼付して納める税金。契約金額に応じて税額が異なり、1000万円超5000万円以下の不動産の場合は1万円(軽減税率適用の場合)。
登記費用
住宅ローンを完済し、不動産に設定されていた抵当権を抹消する登記をする際に必要となる登録免許税(不動産1個につき1000円)のほか、抵当権抹消登記などを司法書士に依頼した場合は司法書士への報酬も必要になります。
繰り上げ返済手数料
住宅ローンを一括返済する際の手数料。
譲渡所得税
家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合に課税される所得税と住民税の総称。不動産の所有期間によって税率が異なります。
売却で利益が出たとき
家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税(所得税・住民税)が課税されます。
譲渡所得税の税率は、家の所有期間が5年を超えるかどうかで大きく異なり、5年以下の短期譲渡所得の場合は税率39%(所得税30%+ 住民税9%)、5年超の長期譲渡所得の場合は、税率20%(所得税15% + 住民税5%)となり、2037年までは所得税に対して2.1%の復興特別所得税が加わります。
しかし、この譲渡所得税については、特定の要件を満たすことで利用できる特例があり、これらを活用することで税金負担を大幅に軽減できます。
居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例
マイホーム(居住用財産)を売却した場合、譲渡所得から最高3000万円まで控除できる特例です。譲渡所得が3000万円以下の場合はこの特例を適用することで、譲渡所得税はゼロになります。
【自宅売却の税金対策】3000万円特別控除とは?要件や必要書類を解説
マイホームを売ったときの軽減税率の特例
売却したマイホームの所有期間が10年を超える場合、譲渡所得税の税率が軽減される特例があります。
通常の長期譲渡所得(所有期間5年超の場合)の税率は税率20%(所得税15% + 住民税5%)※ですが、一定の要件を満たした所有期間10年超のマイホームの売却の場合は、譲渡所得が6000万円以下の場合は、税率14%(所得税10%+住民税4%)※に軽減されるため、税負担を抑えることができます。
この特例は3000万円の特別控除と併用が可能です。
※2037年までは所得税に対して2.1%の復興特別所得税が加わります。
特定のマイホームを買い換えたときの特例
特定の要件を満たすことで、マイホームの買い替え時に譲渡所得税の課税を繰り延べできる特例です。これは、売却益に対する課税を、新しい家を売却するときまで延期できる制度で、支出が多くなる買い替えというタイミングでの一時的な資金負担を軽減できます。
ただし、この特例は課税が繰り延べされるだけで、非課税になるわけではありません。
また、3000万円特別控除や軽減税率の特例とは併用ができないため、注意しておきましょう。
売却で損をしたとき
家を売却して損失(譲渡損失)が出た場合でも、一定の要件を満たすことで利用できる特例があります。
譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
マイホームを売却して譲渡損失が出た場合、その損失をほかの所得(給与所得など)と相殺(損益通算)したり、相殺しきれなかった損失を翌年以降3年間繰り越して所得から控除したりできる特例です。これにより、所得税や住民税の負担を軽減できます。
なお、譲渡損失の損益通算や繰越控除を使うには、確定申告が必要です。売却で赤字が出た場合は特に確定申告の必要はありませんが、給与所得などほかの黒字と相殺して税金を減らしたい場合、または翌年以降に損失を繰り越したい場合は、忘れずに手続きをしましょう。
家の購入にかかる税金と諸費用
家の売却時と同様、新しい家の購入時にも、不動産取得税や登録免許税、印紙税といった各種税金のほか、仲介手数料、住宅ローンの事務手数料・保証料、火災保険料、さらに引越し費用や新居用の家具・家電購入費など、さまざまな初期費用が発生します。物件価格だけでなく、こうした税金や初期費用を合わせて予算を立てることが、買い替え計画を成功させるための重要なポイントです。
<購入にかかるお金の例>
仲介手数料
不動産会社を通じて購入した場合にかかる成功報酬で、不動産会社(売主)から直接購入するような場合はかかりません。仲介手数料の上限は売却時と同様、400万円超の物件では「購入価格の3%+6万円(税別)」です。
不動産取得税
不動産を取得した際に課される地方税。税率は4%ですが、現在は軽減税率として、土地と住宅には3%が適用されています。また、一定の要件を満たせば軽減措置が受けられ、新耐震基準に対応したマイホームの取得であれば、軽減措置が適用されることが多いです。
登記費用
購入時は、所有権移転登記または所有権保存登記のほか、住宅ローンを使う場合は、抵当権設定登記が必要になり、登録免許税がかかります。登録免許税の税率は登記の種類によって異なり、司法書士に依頼する場合は別途報酬も必要です。
印紙税
不動産の売買契約書に貼付する税金。売却側と同じく、契約金額に応じて課税され、例えば1000万円超5000万円以下の不動産なら1万円(軽減税率適用の場合)です。
住宅ローン関連費用
ローン契約時に必要な事務手数料、保証料、団体信用生命保険料など。金融機関やローンの種類によって金額は変わります。
火災保険・地震保険料
住宅ローンを利用する場合、火災保険への加入は金融機関から義務づけられているのが一般的です。地震保険は任意加入ですが、火災保険とセットで加入する人もいます。
引越し費用・家具家電購入費
買い替えでは引越し代、新居用の家具・家電購入費、カーテンや照明の買い替え費用なども必要になります。
住宅ローン控除の注意点
買い替えで新居を購入する際、節税効果の高い住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の利用を視野に入れている人もいるでしょう。
住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合に、一定の要件を満たせば、年末時点の住宅ローン残高の0.7%が、最大13年間所得税から控除され、控除しきれない分は翌年度の住民税から一部控除される制度です。上限額や控除期間は新築か中古か、また家の性能などによって異なります。
住宅取得時に使える節税効果の高い制度ですが、買い替えの場合にはいくつか注意点があります。
まず、 現在利用している住宅ローン控除は、原則として自宅を売却すると終了します。
また、新しい家で住宅ローン控除を受けるためには、所得や床面積、築年数、借入期間などの要件を満たす必要があります。
さらに、前出の譲渡所得税の3000万円控除や、マイホームの買い替え時に譲渡所得税の課税を繰り延べできる買い替え特例とは併用できないので、注意が必要です。

引越し費用や仮住まい費用、家具家電購入費用
買い替えでは税金や仲介手数料などのほかにも、引越し費用や家電や家具の買い替え費用、また、売り先行の場合は仮住まい費用なども必要になります。
引越し費用は荷物の量や移動距離、時期によって大きく変動し、仮住まいが必要になる場合は、仮住まいへの引越し費用と新居への引越し費用というように、2回分の引越し費用がかかります。
また、意外と見落としがちですが、新しい家の間取りや広さに合わせて、家電や家具、カーテンなどを買い替える必要が生じることもあります。
思いの外大きな金額になることもあるので、資金計画には忘れずに組み込んでおきましょう。
買い替えを成功させるポイント
家の買い替えを成功させるためには、「計画的な準備」「売却と購入のタイミング調整」「信頼できる不動産会社選び」が非常に重要です。それぞれのポイントを解説していきます。
計画的な準備
準備段階でしておくと良いのはライフプランの明確化と資金計画の策定、相場などの情報収集です。
まず、ライフプランについては、現在のライフステージや今後のライフプランを踏まえ、買い替えの目的や新しい家に求める条件を具体的に整理しましょう。目的や新居に求める条件によっては、売却戦略などが変わってきます。
また、資金計画も重要なポイントです。今の家の売却価格の目安、新しい家の購入予算、住宅ローン残債、自己資金、各種税金や諸費用、引越し費用、仮住まい費用など、かかる費用をすべて洗い出し、資金計画を立てておきましょう。無理のない返済計画を立てることが重要です。
さらに、資金計画や売却戦略などを立てるために不可欠なのが情報収集です。物件相場や住宅ローンの金利情報、利用可能な税制優遇制度など、積極的に情報収集を行っておきましょう。
売却と購入のタイミング調整
売却と購入のタイミングは、売却価格や購入価格、住宅ローンの金利、ダブルローンの期間、仮住まいや引越し費用など、さまざまな点を左右します。
まず、売り先行か、買い先行かという点については、資金状況やリスクの許容度などを考慮して選択するようにしましょう。
また、不動産市場の状況や金利の動向などもチェックしておくのが賢明です。
さらに、売却と購入をほぼ同じタイミングでかなえるようなスケジュールで進行するには、不動産会社などとの密な連携が不可欠です。売却と購入のスケジュールなどは、不動産会社と希望を共有して、調整するようにしましょう。
信頼できる不動産会社選び
家の買い替えは専門知識が必要となるため、信頼できる不動産会社を選ぶことが非常に重要です。
不動産会社を選ぶ際は、複数の不動産会社に査定を依頼し、売却価格の根拠や販売戦略、担当者の対応などを比較検討しましょう。買い替えの実績が豊富で、希望エリアや物件種別に詳しい不動産会社を選ぶと安心です。
また、担当者との相性も重要です。コミュニケーションがスムーズで、親身になって相談に乗ってくれる、信頼できる担当者を選ぶことが成功へのカギとなります。不明点や不安な点を遠慮なく質問できる関係性を築きましょう。
【自宅売却】失敗しない不動産会社選びと査定・媒介契約のポイント

買い替えでよくある疑問Q&A
買い替えのタイミングや費用、注意点などに焦点を当て解説してきましたが、最後に、買い替えにまつわるよくある質問にお答えしていきます。

買い替えにかかる期間は?
買い替えにかかる期間は、売り先行か買い先行かといった進め方の違いに加えて、不動産市場の状況、物件の条件、住宅ローンの審査日数、新居への転居希望時期など、さまざまな要因によって異なります。
一般的には、今の住まいに住みながらじっくり新居を探せる買い先行の方が、検討に時間をかけられる一方で、売り先行の場合は引渡し期限があるため、仮住まいを避けたい場合は新居の購入判断を急がなければならないケースもあります。
スムーズに進めば、いずれのケースも買い替えは3カ月〜6カ月程度で完了することがありますが、売却や購入に時間がかかる場合は、1年程度かかることもあります。余裕を持ったスケジュールを立てておくことが安心につながります。
買い替え時に自己資金はどのくらい必要?
買い替え時に必要となる自己資金は、現在の住宅ローンの残債と売却額の差額、新しい家の頭金、各種税金や諸費用、引越し費用、仮住まい費用などによって異なります。
まず、売却価格でローンを完済できない場合、その不足分は自己資金で補う必要があります。購入時には、物件価格の1〜2割程度を頭金として用意しておくのが安心ですが、最近では1割未満でもローンを組めるケースも少なくありません。頭金を多めに用意すれば、借入額を減らすことができ、月々の返済負担も軽くなります。
また、売却と購入の双方で発生する仲介手数料や登記費用、住宅ローンの事務手数料などの諸費用、さらには引越し費用、必要な場合は仮住まい費用なども自己資金として見積もっておく必要があります。
自己資金が不足する場合には、買い替えローンやつなぎ融資などの制度を活用できることもありますが、これらは金利負担が高く、審査も厳しい傾向があるため、慎重な検討が必要です。
売却と購入、不動産会社は同じ会社に依頼すべき?
家の買い替えに際して、売却と購入を同じ不動産会社に依頼すべきかどうかは、それぞれの事情や不動産会社の対応力によって判断する必要があります。
一般的には、売却と購入を同じ担当者に依頼すれば、スケジュール調整や資金計画の把握がスムーズになりやすく、買い替え全体の流れを一元的に管理できるというメリットがあります。特に、売却資金をもとに新居を購入する「売り先行」や、仮住まいを避けたい「スケジュール調整が重要な買い替え」では、同じ会社・同じ担当者に任せることで手間が減るケースも多くなります。
一方で、例えば現在の住まいの売却と、新たに購入したいエリアが離れている場合などでは、売却に強い地元の不動産会社と、購入希望エリアに詳しい別の会社を使い分けるといった選択も考えられます。
また、査定額や販売方針に納得できない場合は、無理に同一会社にこだわる必要はありません。同じ会社に任せるかどうかは、比較検討のうえで柔軟に判断しましょう。
【まとめ】 知識を備え、計画的に進めていくことが買い替え成功のポイント
家の買い替えは、人生の大きな転機となるイベントです。この記事では、買い替えの動機から、具体的な方法、資金計画、税金、そして成功させるためのポイントまで、幅広く解説しましたが、家の買い替えを成功させるためには、事前の情報収集と計画的な準備、そして信頼できる不動産会社のサポートが不可欠です。
自身のライフプランや資金状況を明確にし、専門家と連携を取りながら、1つ1つのステップを着実に進めていきましょう。
最適なプランを立て、後悔のない買い替えを実現してください。
構成・取材・文/島田美那子


