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仏壇を処分する5つの方法! 無料・自分で処分することはできる?

家の売却や転居に伴って、仏壇の処分や買い替えが必要になることもあります。しかし、「仏壇をそのまま粗大ゴミや燃えるゴミとして出すのは問題ないの?」と考える方も多いのではないでしょうか。ご先祖様を祭ってきた大切なものだけに、心残りなく処分したいものです。

そこで本記事では、仏壇の処分方法について「お仏壇のくよう」の代表で本願寺別院の僧侶でもある小幡一文さんの解説を交えながらご紹介します。

仏壇を処分する5つの方法! 無料・自分で処分することはできる?

記事の目次

仏壇を処分するタイミング

仏壇を処分するタイミングは、人それぞれの事情や生活環境によって異なります。親や祖父母の代から受け継いだ仏壇も、住まいやライフスタイルの変化により、維持や管理が難しくなるケースがあります。

親が亡くなったとき

親が亡くなり、実家が空き家になった際に仏壇を処分する方も少なくありません。子や孫、親族が仏壇を引き取ることができない場合は、そのままにしておくこともできないため処分を検討する必要があります。

「空き家になったご実家や遺品の整理を終え、お仏壇だけ残り、処分にお困りの方からのご相談が非常に多いです。現在、仏教離れが進んでいることに加え住宅が狭小化し、仏間のあるお住まいも減っているため、仏壇の引き継ぎ手がいないというケースが増えています。大きい仏壇を処分し、コンパクトなものに買い替えるというニーズもあります」(小幡さん、以下同)

仏壇の維持・管理が難しくなったとき

高齢者施設への入居などを理由に、仏壇を維持・管理していくことが難しくなることもあります。とくに大きな仏壇は掃除やお手入れが負担になることから、自分の代で仏壇を処分するという選択をするケースもあります。引き取り手がいれば処分する必要はありませんが、やはり子や孫が引き取ることが難しい場合は仏壇の処分を検討しましょう。

家を売却するとき

家を売却する際は原則として空き家にして引き渡す必要があるため、仏壇の処分を余儀なくされることがあります。特に大型の仏壇は新居に置くスペースがなく、マンションや賃貸に転居する場合は持ち込めないことも少なくありません。家の売却を機に仏壇を処分する場合は、売却や転居のスケジュールに合わせて、仏壇の処分や供養を早めに手配するのが望ましいでしょう。

仏壇を処分する前に考慮しておくべきこと

先祖をお祭りしている仏壇は単なる家具ではなく、処分に際していくつか考えておきたい重要なポイントがあります。事前にしっかり準備しておくことで、心残りやトラブルを避けて仏壇を処分できるはずです。

閉眼供養(へいげんくよう)

仏壇の多くには「魂」が入っていると考える方もいます。よって、処分する際には、仏壇から魂を抜くとされる「閉眼供養」を希望するケースもあるようですが、小幡さんによれば基本的に仏壇には魂は入っておらず、処分前の閉眼供養は必須というわけではないようです。

「お仏壇には魂が入っていると考えている方がほとんどですが、基本的に仏壇は位牌(いはい)を置く箱。仏壇に魂を入れることはありません。『閉眼供養=魂抜き』とされることも多いですが、本来、閉眼供養とは仏壇を供養することを指します。魂が入っているとされるのは、戒名(かいみょう)とお位牌です。したがって、閉眼供養をしなければ仏壇を処分してはいけないということはありません。

とはいえ、仏壇を取得した際に仏具店や菩提寺(ぼだいじ)※の方針で魂入れの儀式をすることもあります。長年手を合わせてきた仏壇を処分するには気が引けるということもあって、閉眼供養をご希望される方は多くいらっしゃいます」
※先祖代々のお墓があり、葬儀や法要を依頼するお寺

処分前に自宅で読経を執り行っている様子

処分前に自宅で読経を執り行っている様子(画像提供/お仏壇のくよう)

菩提寺への連絡

適切とされる仏壇の処分方法は、宗派や菩提寺の考えにもよるところです。しかし、実際に仏壇を処分するのは所有者自身です。「仏壇を処分する際は菩提寺に連絡するべき」「菩提寺に適切な処分方法を聞くべき」とされることもありますが、実際には自分たちの思う形で処分すればいいと小幡さんは言います。

「例えば、浄土真宗では霊魂が存在せず、仏壇にも魂が入っていないといわれることもありますが、実際には浄土真宗であっても仏壇を取得した際にご本尊を自宅に迎え入れる法要を行うこともあります。お寺さんによっては『こう処分すべき』といった方針を持っているところも存在しますが、菩提寺の考えに沿って処分するかどうかを決めるのは所有者です。閉眼供養などに多額のお布施を求められるケースもあるため、必ずしも菩提寺に処分する旨を伝える必要はありません。大切なのは所有者やご家族の意向や思いです」

先祖の供養

仏壇を処分する際は、その後の先祖の供養についても考えておく必要があります。仏壇を処分しても、位牌やご先祖様の戒名などを記載する過去帳を残すことは可能です。一方で、近年はお墓を持たない「お墓離れ」も進んでおり、永代供養や納骨堂、菩提寺に位牌などを納める選択をする方も少なからず見受けられるといいます。

「『永代供養』とは、子孫や遺族に代わって寺院や霊園がお骨や位牌を供養することを指します。ご遺族が希望する期間、供養し続けてもらえるので維持・管理の負担はなくなりますが、管理料がかかります。また、お骨と一緒に納骨堂に納めたり、お寺さんに引き取ってもらったりするケースも見受けられます。近年は、仏壇を処分するタイミングで墓じまいをするケースも増えています」

仏壇を処分する5つの方法

仏壇の処分方法にはいくつかの選択肢があります。それぞれ費用や手間、供養の有無が異なるため、ご自身やご家族の希望に合った方法を選びましょう。

1.粗大ゴミ・燃えるゴミとして処分する

仏壇は、自治体の分別方法に従って処分することができます。一定の大きさのものは粗大ゴミ、小さいものや解体した後であれば燃えるゴミとして処分できます。粗大ゴミとして出す場合は数百円から数千円、燃えるゴミとして出す場合は基本的に無料です。

仏壇の多くは木製ですが、仏具については陶器製やアルミ製、真鍮(しんちゅう)製など使用されている素材はさまざまです。適切に分別し、処分するようにしましょう。

「自治体に回収してもらえるとはいえ、やはり『家財として処分するには忍びない』という声をたくさんいただきます。地方ではとくに、周りの目が気になるという方も多いです。

一昔前まで、お寺が不用になった仏壇を引き取り、お焚(た)き上げをすることも少なからず見受けられました。しかし、現在、野焼きは法律で禁止されています。引き取ってくれる寺院は限定的で『粗大ゴミとして処分してください』という対応が一般的です」

2.不用品回収業者を利用する

大きな仏壇や解体が難しい仏壇は、不用品回収業者を利用して処分するのも選択肢のひとつです。不用品回収を利用すれば、自宅まで取りに来てくれるので手間もかかりません。

中には、遺品整理やお焚き上げをしてくれる不用品回収業者も見受けられます。ただし、費用は粗大ゴミより高額になるのが一般的です。

また、不用品回収や遺品整理は、見積もりと実際に請求される費用が異なるなどのトラブルが多く報告されています。利用する場合は、自治体から許可を得て営業している一般廃棄物収集運搬業者を選びましょう。

3.仏壇処分専門業者を利用する

仏壇の処分を専門としている業者であれば、閉眼供養まで依頼できる可能性があります。ゴミとして捨てたり不用品として処分したりするのが心苦しい場合は、有効な選択肢となるでしょう。

「お仏壇のくよう」で仏壇を処分する場合の料金は、供養込みで2万2000円〜(高さ
100㎝未満・仏壇本体、仏具一式の処分、仏壇の梱包、搬出、運搬、焼却代金含む)です。業者によっては、供養に別途数千円〜2万円程度、仏具の引き取りに別途数千円〜
1万円程度がかかり、仏壇の大きさや仏具の数など次第で総額が10万円程度になることもあります。

お念仏堂ご本尊前にて仏壇や位牌を供養している様子

お念仏堂ご本尊前にて仏壇や位牌を供養している様子(画像提供/お仏壇のくよう)

4.仏壇店で処分してもらう

仏壇店の多くは、仏壇の引き取り・処分も請け負っています。買い替えの場合は、処分費用が安くなるケースもあるようです。供養やお焚き上げまでしてくれる仏壇店も見受けられます。

「仏壇店は近年、仏壇の処分に力を入れています。やはり仏教離れ、仏壇離れが進んでいるので、仏壇を処分することで買い替えを促進したいという考えなのでしょう。買い替えであれば、1〜2万円程度で仏壇を処分してくれる仏壇店が多い印象です」

5.リサイクルショップやフリマサイトを利用する

リサイクルショップに持ち込んだり、フリマサイトへ出品したりすることで売却できることもあります。ただし、中古の仏壇に抵抗感を持つ人も少なくないと推測されるため、買い手がつかず、売却まで至らない可能性もあります。

「仏壇の再利用についてはいろいろなお考えがあるでしょうが、個人的には使えるものを必要な方に引き継いでいくことは決して悪いことではないと思います」

仏壇を処分する流れ

仏壇を処分する際は、事前準備から搬出までおおまかに次のような流れで進めます。

1.処分方法を決める

まずは、処分方法を決めましょう。費用がかからないのはリサイクルショップやフリマサイトを利用する方法ですが、店舗に持ち込んだり、商品として登録したりする手間がかかります。手間がかからないという面では、自治体に回収してもらう方法が手軽でしょう。

一方、買い替えの場合は、仏壇店に引き取りをお願いするのがスムーズかもしれません。閉眼供養などもお願いしたい場合は、仏壇処分専門業者や寺院への依頼が適しています。

2.自治体・寺院・業者など連絡する

続いて、処分方法に応じて必要な機関に連絡します。まずは菩提寺に連絡し、処分の意思を伝えるとともに、処分方法について助言してもらってもよいでしょう。

「菩提寺にご連絡するかどうかは、多くの方が悩むポイントです。お盆やお彼岸のたびに寺院を訪れたり自宅に呼んだりするなど、お付き合いが深い場合は、処分の相談をされるケースが多いように思います。一方、親や祖父母の代でお付き合いが終わっていて、長らく連絡も取っていないような場合は、弊社のような専門業者や仏壇店などに供養も任せる方が多いです」

3.閉眼供養

処分の前に閉眼供養をするかどうかは所有者次第とのことですが、実態としては実施するケースが多いようです。とはいえ、ここまでのとおり菩提寺にお願いしなければならないということはなく、仏壇専門処分業者や一部の仏壇店、あるいは菩提寺ではない寺院でも対応してもらえます。

4.仏壇を搬出する

処分方法が決まり、必要に応じて閉眼供養などをしたら、仏壇を搬出します。不用品回収業者や仏壇処分専門業者に依頼すれば、自宅まで取りに来てもらえます。自分で搬出する場合は、建具などを傷つけないよう養生してから搬出するようにしましょう。

仏壇を自宅から搬出している様子

仏壇を自宅から搬出している様子(画像提供/お仏壇のくよう)

仏壇を処分するときの注意点

仏壇を処分する際は、次のような点に注意が必要です。

家族・親族とよく話し合っておく

仏壇は自分だけでなく、家族や親族にとっても大切なものです。独断で処分を決めてしまうと、思わぬトラブルにつながるおそれがあります。

「ごきょうだいの中でも、仏壇やご先祖様に対する思いには温度差が存在することもあります。ご依頼後に家族でもめて、結果ご依頼がキャンセルになったケースも少なからずあります。また、数年前にご依頼があって処分した仏壇の所在を問い合わせてきた方もいらっしゃいました。一緒に暮らす家族はもちろん、離れて暮らすきょうだいや子ども、親族とよく話し合ったうえで処分するかどうかを決めていただくとよいと思います」

仏壇の中を確認する

仏壇には小物や仏具をしまうための引き出しなどがついていることが多く、預金通帳や実印などの貴重品が入っていることもあります。見えにくい場所に収納がついていることもあるため、処分する前は必ず収納の有無や内部まで確認するようにしましょう。

仏壇の買い替え・位牌だけにする際の注意点

仏壇を処分して買い替えたり、位牌だけを残したりする場合には、供養の手順や設置場所など、いくつか注意しておきたいポイントがあります。

仏壇の小型化・位牌だけ残すケースが増えている

ライフスタイルや住宅事情の変化によって、小型の仏壇への買い替えや位牌のみを残すケースが増えています。かつては、和室の仏間に大きな仏壇を置くのが一般的でしたが、近年はマンションや一戸建てでも仏間がない住宅が多く、スペースの確保が難しい場合があります。そのため、飾り棚の上に置けるようなコンパクトな仏壇やモダンなデザインの仏壇を選ぶ家庭が増えており、結果として古い仏壇を処分するケースも少なくありません。

また、位牌や過去帳だけを残しておき、仏壇を持たない選択をするケースもあります。いずれも場所を取らず、手入れも簡単なため、現代のライフスタイルに合った方法といえるでしょう。

仏具や位牌を置けるコンパクトでモダンな仏壇の画像

仏具や位牌を置けるコンパクトでモダンな仏壇(画像提供/お仏壇のくよう)

買い替える場合の「開眼供養(かいげんくよう)」は必要か

仏壇を処分する前の供養を「閉眼供養」と呼ぶのに対し、新たに仏壇を購入した際の供養を「開眼供養」と呼びます。ただ開眼供養についても、閉眼供養と同様、必ずやらなければならないものではないといいます。

「先述のとおり、魂が入っているのは位牌や戒名であり、仏壇は位牌を置くための箱にすぎません。寺院や仏壇店の意向や慣習から『開眼供養=魂入れ』を提案されることも多いようですが、基本的には位牌を新たな仏壇に移すだけで問題ありません。もちろん、開眼供養を行うことも所有者の意向次第ですので、気持ちの整理や安心感のために依頼するのもよいでしょう」

仏壇や位牌を置くのに適している場所

かつて日本の家屋の多くに仏間がありましたが、仏間がある住まいもどんどん少なくなっています。仏壇や位牌は、どういった場所に置くのが適切なのでしょうか。

「高位な人が南を向くという『南面北座説(なんめんほくざせつ)』など、宗派によって適切とされる仏壇の向きはあります。ただ個人的には、誰もいないようなところに置くよりは、リビングのように家族が集まるところに置いていただいたほうがご先祖様も喜ばれると思います。

古いお住まいにはまだ仏間がありますが、仏間は多くの場合、人が常に居る場所ではなく、風通しも良くないので、カビてしまっている仏壇も多いです。日当たりが良く、換気も自然に行われるリビングは、環境的にも仏壇や位牌を置く場所として適しています」

まとめ

仏壇の処分は、家族や親族の思いを尊重しながら、供養の有無などを含めて慎重に進めることが大切です。近年はライフスタイルの変化に合わせて、小型の仏壇への買い替えや位牌だけを残す選択をされる方も増えています。事前に処分方法の選択肢や手順を把握しておくことで、安心して処分を進められるはずです。

●取材協力
お仏壇のくよう代表/本願寺別院 僧侶
小幡一文さん

文/亀梨奈美(realwave)

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