
不動産売買は、買主がいてこそ成立するものです。売り出せばすぐに買い手がつくわけではなく、半年、1年……と売れない可能性もゼロではありません。家が売れないのには、理由があります。しかし、理由は1つではありません。家を売るために大切なのは、家が売れない理由を分析し、適切な対策を取ることです。そこで本記事では、家が売れない4つの理由とその対策を解説します。
記事の目次
家が売れない4大理由とは
家が売れない理由は、次の4つに大別されます。
- 売り出し価格に問題がある
- 広告方法や販売戦略に問題がある
- 家自体に問題がある
- 内覧対応に問題がある
このうち「1」と「2」に関しては、内覧前の対策が必要な問題であり、「3」と「4」は内覧結果によって対策すべき問題です。家が売れない要因がどこにあるのかを探り、要因に応じた適切な対応策を取らなければなりません。
売れない要因を探るうえでは、不動産会社の協力が不可欠です。例えば「1週間の反響数が5件です」と言われたところで、その数が多いのか少ないのか、一般の売主が判断するのは難しいでしょう。また、内覧後に内覧者の反応を見て、感想を聞くのも不動産会社です。従って、家を売るための大前提として、信頼できる不動産会社を味方につけることが何より大切だといえます。
【家が売れない理由1】売り出し価格に問題がある
家が売れない理由の1つとしてまず考えられるのが、売り出し価格に問題があるケースです。相場より高い金額で売り出していれば、注目度が下がり、売れるまでに時間がかかってしまいます。
- 反響が少ない
- 内覧予約がほとんど入らない
このような状況にあれば、売り出し価格に問題があることが疑われます。ただし、売り出し直後は、どんな物件であっても一定の反響は得られます。従って、反響数を見るのであれば、売り出し直後ではなく、2〜3週間たったときに、売り出し直後と比較して大きく減少しているのかどうかで判断しましょう。
【解決策1】まずは相場を知る
適切な価格で売り出すには、まず売主自身がある程度の相場観をつけておくことが大切です。SUUMOなどの不動産ポータルサイトで、売却する不動産と類似した条件の物件がいくらで売り出されているかを確認するだけでも、大まかな相場を知ることができます。
また、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営する「レインズ・マーケット・インフォメーション」や国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」では、実際に売買された物件の成約価格などの取引情報が検索できますので、こちらも相場感をつけるためにチェックしてみましょう。
SUUMOなどで売り出し中の物件の価格を見るうえで認識しておきたいポイントは、売り出し価格と実際に成約に至る価格は必ずしもイコールではないということです。例えば、3000万円で売り出されている物件が3000万円で売れるとは限りません。それは、成約に至るまでに値下げされる可能性があるためです。なかなか売れないからといって値下げすることもあれば、購入申し込みをしてきた人からの交渉で値下げするケースもあります。
レインズ・マーケット・インフォメーションや不動産情報ライブラリについては、成約価格ベースで検索できますが、物件を特定することはできません。検索条件として絞り込めるのは、物件種別や大まかなエリア、大まかな築年帯などに限られます。物件情報と成約価格が正確に把握できるのは、不動産会社しか閲覧することができないレインズのみです。
【解決策2】複数社に査定依頼する
不動産会社は、類似した条件の物件が実際に成約に至った事例を根拠に、査定額を算出します。しかし、不動産会社によって参考にするデータは異なります。どのデータを参考にするかで査定額は変わってくるため、適正価格で売り出すにはデータ抽出の精度も求められるのです。
中には、自社にとって有利なデータを抽出して売主に提示する不動産会社も見られます。従って、不動産会社が提示する査定額を鵜呑みにするのではなく、査定に際して抽出されたデータが参考に値するのかどうか見極めることが大切です。この判断は決して容易ではありませんが、複数の不動産会社に査定依頼することでデータが偏ってしまうことが避けられます。一括査定を活用すれば、手間や時間をかけず、複数の不動産会社に査定依頼が可能です。
【家が売れない理由2】広告方法や販売戦略に問題がある
適正価格で売り出していたとしても、広告活動や販売戦略が要因となって売れないこともあります。適正価格で売り出しているにもかかわらず反響数や内覧数が少ない場合は、ここに問題がある可能性が疑われます。
【解決策1】広告活動を見直す
- インターネット上の物件広告の閲覧数が少ない
- チラシの配布数・配布エリアが効果的でない
- レインズ(不動産会社専用の物件情報共有システム)からの販売図面のダウンロード数が少ない
このような場合は、不動産の見せ方に問題がある可能性が高いと考えられます。例えば、「週に1件も問い合わせが来ない」「1カ月たっても内見予約が1件も入らない」といった場合は、価格か広告活動に問題があると考えられます。掲載する写真の数を増やしたり、販売図面のクオリティを上げたりすることも、反響数を上げるための対応策の1つです。
【解決策2】自分の物件と競合物件を比較する
競合物件の有無や条件は、売れるスピードや売れる金額に大きく関わってくる要素です。競合物件とは、エリアや広さ、築年帯が近い物件や同じマンションで売り出されている別の部屋を指します。不動産ポータルサイトを閲覧すれば、価格などの条件を確認できます。
例えば、同じマンションの同等の広さの部屋が自分の物件より500万円安く売り出されていたら、やはりその物件より先に売ることは難しいといえるでしょう。500万円下げれば早く売れるかもしれませんが、このような場合は「競合物件が売れるまで待つ」というのも販売戦略の1つです。競合物件と競うべきなのか、回避するべきなのかは、売主が売りたいと考える金額や期間によって異なります。
また、価格だけが競合物件と差別化できる要素ではありません。後述する「ハウスクリーニング」や「インスペクション」「瑕疵(かし)保険」などによって競合物件と差別化することも併せて検討してみましょう。
【解決策3】「囲い込み」を受けていないかチェック
不動産会社が「囲い込み」をしている場合は、広告活動を工夫したとしても、その効果は限定的になってしまいます。囲い込みとは、他の不動産会社に物件情報を開示しなかったり、問い合わせが来ても取り合わなかったりすることで自社内の顧客同士で成約を目指す悪質な行為です。不動産会社が囲い込みをする理由は、売主だけでなく、買主からも仲介手数料を受領するためです。
もちろん、すべての不動産会社ではありませんが、残念ながら売主の利益以上に自社の利益を優先するために囲い込みを行う不動産会社も存在します。囲い込みを受けていないか確認することは容易ではありませんが、物件情報がしっかり公開されているかチェックすることなどで確認できます。
【解決策4】別の不動産会社に切り替える・意見を求める
反響が得られない場合は、不動産会社を切り替えたり、他の不動産会社の意見を求めたりすることも視野に入れてみましょう。不動産会社との媒介契約が「一般媒介契約」であれば、複数の不動産会社に売却を依頼することも可能です。
「専任媒介契約」および「専属専任媒介契約」は他社と重複して媒介契約を締結することはできないため、期間満了を待つか、契約の解除を申し出る必要があります。ただし、売主都合の解除は、解除までにかかった営業活動の実費を請求される可能性があるため注意しましょう。他社への相談は、どの媒介契約であっても可能です。
| 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
|---|---|---|---|
| 複数会社への依頼 | 可能 | 不可 | 不可 |
| 自己発見取引 | 可能 | 可能 | 不可 |
| 契約期間 | 任意 (3カ月以内が推奨されている) |
3カ月以内 | 3カ月以内 |
| レインズ登録 | 任意 | 契約から7日以内(媒介契約締結日の翌日から) | 契約から5日以内(媒介契約締結日の翌日から) |
| 販売活動の報告 | 義務なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
【家が売れない理由3】家自体に問題がある
- 売り出し後から反響数は落ちていない
- 内覧希望も一定数ある
このような状況で疑われるのが、家自体の問題です。反響があり、内覧希望もあるということは、価格と物件情報にはおおむね満足してくれる人が多いということです。それでもなかなか売れないということは、内覧で与える家の印象が良くないものと推測できます。
【解決策1】値段を下げる
内覧した結果、購入を見送られてしまう要因は「狭く感じた」「汚かった」などさまざま考えられますが、いずれにしても価格に対して実物がそぐわなかったということが要因です。従って、値段を一定程度下げれば、成約にいたる可能性は高まります。
値下げ幅はケースバイケースですが、多くの場合、数十万円程度の値下げではあまり効果がありません。意識すべきなのは桁を変えることです。SUUMOの物件検索では「3000万円未満」「3500万円未満」など500万円単位で価格帯を絞り込むことができます。
例えば「3100万円」で売り出していた物件を「3000万円」にしても「3000万円未満」の検索条件から溢れてしまいますが、「2980万円」にすれば「3000万円未満」の検索条件にヒットするようになります。金額にすれば20万円の差ですが、桁が変わることで心理的にも「安くなった」と印象付けやすくなります。
【解決策2】ハウスクリーニングを実施する
価格ではなく、物件の印象や魅力を高めるということも効果的な対応策になり得ます。ハウスクリーニングは、物件の魅力を高める方法の1つです。一部屋丸ごとハウスクリーニングするとなると数万~十数万円かかりますが、数百万円、数千万円の不動産を数万~十数万円値下げしたところで市場に与えるインパクトは大きく変わらないため、費用対効果が高い施策であると考えられます。また、水まわりなど、内覧者が気にするポイントを局所的にクリーニングするのもおすすめです。
【解決策3】インスペクションを実施する
インスペクションとは、住宅の専門知識を持つプロが、第三者的な立場で住宅の劣化や状況、欠陥の有無を調査することを指します。中古住宅を購入される方の多くが「現状」に対して一定の不安を感じているものです。
- 購入後になんらかの欠陥が発覚したらどうしよう
- 見えない欠陥が隠されているのではないだろうか
インスペクションは、このような購入検討者の不安を解消させる役割を果たします。これらの懸念が一切なくなるというわけではありませんが「安心」は、不動産の大きな付加価値となります。

【解決策4】既存住宅売買瑕疵(かし)保険を付ける
インスペクションは、家屋の状況を把握するためのものにすぎず、購入後に欠陥などが見つかった場合の保証は含まれていません。購入検討者により大きな安心感を感じてもらうには、既存住宅売買瑕疵(かし)保険への加入が効果的です。
既存住宅売買瑕疵保険とは、国土交通大臣指定の保険法人が住宅の検査をしたうえで、引き渡し後に見つかった構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分の欠陥などを保証する保険です。売主には、原則的に契約内容に適合していない欠陥などに対して「契約不適合責任」を負う必要がありますが、瑕疵保険に加入することにより修繕などの費用を確保することもできます。

【家が売れない理由4】内覧対応に問題がある
内覧が多いのにもかかわらずなかなか成約に至らない場合は、内覧後に購入に至らなかった方の声を聞いて対策を講じるようにしましょう。
【解決策1】不動産の一番良い状態を見せる
例えば「思ったより日当たりが良くなかった」という声が多かったとすれば、内覧の時間帯を調整するのが効果的です。東向きの家であれば、午後ではなく午前中の内覧を誘導するなど、お金をかけなくても効果的な対応策は取れます。
同様に、眺望が魅力のタワーマンションであれば、できる限り晴れている日に内覧を誘導するのも良いでしょう。あいにく雨の日に内覧が入ってしまった場合は、晴れている日の眺望の写真を用意しておくだけでもだいぶ印象は変わってくるものです。
居住中であることが内覧の印象を悪くしていると考える方もいるかもしれませんが、そのようなことはありません。むしろ、居住中の物件を内覧しに来る方は本気度が高いといえます。また居住中の物件は、自分たちが居住するイメージがつきやすいため、購入に至る可能性は高い傾向にあります。
居住中の物件の内覧対応のポイントは、部屋を広く見せる工夫をすることです。引越しを機に処分する予定の家具や家電は早めに処分し、ものをできる限り少なくしましょう。また、既存の家具・家電を置く向きや配置を変えることで、部屋が広く、使い勝手が良く見えるようにすることもできます。
【解決策2】生活感をなくす
居住中の物件はどうしても生活感が出てしまうものですが、汚れや臭いはできるだけ取り除いて内覧に臨むことが大切です。特にトイレや浴室、洗面室などの水まわりが汚れていると、不潔という印象を与えてしまいます。日常的な掃除では取り除けない水垢やカビにまで気を配り、徹底的に掃除しましょう。
嫌な臭いは記憶に残りやすいものです。玄関やキッチン、トイレなどは清潔に保ち、それでも取り除けない臭いは消臭剤で対応します。香りには好みがあるため、消臭剤を置く場合は無香タイプがおすすめです。内覧前には窓を開けて空気を入れ換え、換気後は内覧時の温度・湿度にも配慮しましょう。
【解決策3】ホームステージングを利用する
内覧時の印象を上げるためには「ホームステージング」も効果的です。ホームステージングとは、モデルハウスやモデルルームのように空間を演出することを指します。
リビングや1つの居室だけおしゃれな家具や小物で素敵な暮らしを演出するだけでも、内覧者の想像力をかき立て「ここで暮らしたい」という気持ちを高めることができます。すべての部屋をステージングする必要はないため、居住中の住まいでも取り入れられる手段です。近年では、ホームステージングをするための家具や小物を貸し出してくれる不動産会社や専門業者も増えつつあります。
【解決策4】空室の場合は見てほしいポイントのポップを作るのも効果的
空室の場合は、売主や売主側の不動産会社は立ち会わず、購入検討者と購入検討者側の不動産会社だけで内覧してもらうことも少なくありません。つまり、物件をアピールする人が不在の状態で内覧されてしまうのです。これは、見方によっては非常に大きな機会損失となります。
しかし、現地で物件の良さを伝えることだけがアピール方法ではありません。アピールポイントなどを記したポップなどを作成し、現地に置いておくというのも効果的なアピール方法の1つです。例えば、収納を開けたところに収納量や使い方がわかるポップを置いておく。雨の日でも眺望の良さを体感してもらえるよう、晴れた日の眺望の写真を窓に貼っておく。このようなイメージです。
価格を下げたり、お金をかけた施策を講じたりする前に、しっかりこの家の良いところがアピールできているのかということを改めて考えてみましょう。
売れない家を放置すべきではない理由
売れないからといって、放置されてしまう家も少なくありません。しかし、次のような理由から売れない家を放置すべきではありません。
維持・管理にお金や手間がかかる
人が住まなくなった家は、急速に劣化が進みます。その状態を放置してしまうと、劣化したことに気づかないうちに漏水してしまったり、周辺の住人に危害を及ぼす状態になってしまったりしかねません。
劣化を防ぐには適切な維持・管理を続けなければなりませんが、それには相応の手間や費用がかかります。固定資産税や都市計画税、マンションであれば管理費や修繕積立金の負担も決して小さいものではありません。
適正に管理されていない空き家は“ペナルティ”の対象となる
管理が行き届いていない空き家は、「空家対策特別措置法(空家法)」に則り、自治体から「特定空家」に指定され、行政指導などの措置の対象となる可能性があります。特定空家とは、具体的に次のような状態の空き家を指します。
- 倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある状態
- アスベストの飛散やごみによる悪臭の発生など、著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理がされていないことで著しく景観を損なっている状態
- その他、立木の枝の越境やすみついた動物のふん尿などの影響によって、周辺の生活環境を乱している状態
特定空家には、助言や指導・勧告・命令・代執行の順で措置が取られます。勧告の段階では、空き家の立つ土地の「住宅用地の特例」が適用除外となることで固定資産税や都市計画税が大幅に増額します。
| 面積 | 固定資産税課税標準 | 都市計画税課税標準 |
|---|---|---|
| 200m2以下の部分 (小規模住宅用地) |
1/6に減額 | 1/3に減額 |
| 200m2超の部分 (一般住宅用地) |
1/3に減額 | 2/3に減額 |
命令の段階では、最大50万円の過料に処される場合があります。そして最終的には、代執行により空き家は強制的に解体され、解体にかかった費用は後日、所有者に請求されます。

固定資産税増額のリスクは「管理不全空家」にまで拡大
2023年の空き家法改正で、固定資産税増額のペナルティが課される勧告の対象が「管理不全空家」にまで拡大しました。管理不全空家とは、特定空家になる以前の管理が行き届いていない空き家を指します。改正空家法の施行により、売れない家を放置するリスクは大幅に高まるといえるでしょう。

事故があった場合に賠償責任を負う可能性がある
昨今、台風や地震、ゲリラ豪雨などの自然災害が多発しています。放置された家は劣化が早いため、大規模な自然災害が発生した際には、割れた窓ガラスや剥落した建材が飛散し、人や車などを傷つけてしまう可能性もゼロではありません。被害を受けた人から損害賠償請求をされるおそれもあります。また、空き家は人目がつきにくいため犯罪者の潜伏先や放火の矛先などになりやすく、犯罪の温床にもなり得ます。
それでも家が売れないときはどうする?
ここまで、家が売れない4つの理由をお伝えしてきましたが、どんな対応策を講じても売れない家というのは一定数あります。ただ、だからといって売れない状態のまま放置してしまうと前述したようなリスクがあるため、次のような方法を検討しましょう。
不動産買取を利用する
一般の人に売れない不動産も、不動産買取業者なら買い取ってくれる可能性があります。不動産買取業者とは、買い取った不動産をリノベーションもしくは解体し、再販することで利益を出している事業者です。不動産会社の「仲介」によって売却する場合と比較し、売値は2〜3割程度落ちますが、売れない不動産を放置するよりは手放したいと考えている方にとっては有効な選択肢となり得ます。ただし、不動産買取業者であっても買い取れない物件もあります。

相続土地国庫帰属制度を利用する

相続した土地に限られますが、2023年4月にスタートした「相続土地国庫帰属制度」を利用することで、売らずに国庫に帰属させることができます。ただし、国庫帰属が認められるには一定の要件があり、申請者は審査手数料1万4000円と10年分の土地管理費相当額の負担金を納付する必要があるなど、無条件で手放せるわけではないためご注意ください。
【国が引き取ることのできない土地の要件の概要】
(1) 申請をすることができないケース(却下事由)(法第2条第3項)
A 建物がある土地
B 担保権や使用収益権が設定されている土地
C 他人の利用が予定されている土地
D 土壌汚染されている土地
E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
(2) 承認を受けることができないケース(不承認事由)(法第5条第1項)
A 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
B 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
C 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
D 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
E その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
リフォーム・リノベーションして賃貸として貸し出す
家を売らずに放置することは避けるべきですが、賃貸住宅などとして活用するのは選択肢の1つになってくるでしょう。誰も住まず、誰も活用しないからこそ劣化が進むのであり、空家対策特別措置法の対象になる可能性があるのです。活用すれば、劣化の進行を遅らせるとともに、収入を得ることもできます。
とはいえ、売れにくい条件の家は、貸すこともなかなか難しいはずです。売れない、貸せないのであれば、リフォームやリノベーションして活用することを検討してみましょう。
解体して更地にして売る
そのままでは売れない家屋も、解体して更地にすることで売却できる可能性があります。ただし、家を解体すると土地の固定資産税・都市計画税が上がります。これは、特定空家や管理不全空家の固定資産税・都市計画税が上がるケースと同様で「住宅用地の特例」の適用除外となるためです。家を解体した後も売れない期間が続くとなると税負担が重くなるため、契約後に解体して引き渡す「更地渡し」という売り方も検討しましょう。
信頼できて売却力のある不動産会社の選び方
信頼でき、なおかつ売却力のある不動産会社の存在は、不動産をより好条件で売るため、そして家が売れない要因を探って適切な対応策を講じるために不可欠です。では、どのように不動産会社の信頼性や売却力を見極めればいいのでしょうか。3つの観点から説明します。
複数社に査定依頼することが大切
不動産会社の信頼性や売却力を見定めるには、複数社に査定依頼することが大切です。1社のみに査定依頼をすると、査定額が適正なのか判断しにくくなります。ただし、10社、20社に査定依頼すればいいというものでもありません。査定依頼は基本的に無料とはいえ、依頼する不動産会社が多すぎると、各社とのやり取りが大きな負担となることや、査定額にバラつきが出て、適正価格が余計にわかりづらくなってしまうからです。
よって取引する不動産会社のベストな数は、3〜5社程度でしょう。ただ、この数であればどんな不動産会社でも良いというわけではありません。ポイントは、タイプの異なる複数の不動産会社に査定依頼することです。例えば、1社は大手不動産会社、もう1社は地域密着の中小規模の不動産会社、そしてもう1社は「マンション専門」や「一戸建て専門」を強みにしている不動産会社……このように会社の規模や、得手・不得手の異なる複数社に査定依頼することで、それぞれの観点から見た査定額や売却戦略を知り、比較することができます。
「高預かり」に注意
複数社に査定依頼をする理由は、少しでも高い査定額を出してくれる不動産会社を見つけるためではありません。むしろ、査定額だけで比較してしまうのは危険でしょう。それは「高預かり」しようとする不動産会社もあるからです。
高預かりとは、高額な査定額を提示し、自社を選んでもらおうとする行為です。そもそも査定額とは、その金額で売れることが保証されているわけではなく、各社による売却見込額、推測値にすぎません。査定額が高いと、ついその不動産会社を選びたくなってしまうものですが、他社と比べて著しく高い査定額である場合は、なぜその査定額になったのか、本当にその査定額で売れると思うのかといった根拠を担当者にたずねてみましょう。複数社に査定依頼する目的は「高すぎる」あるいは「安すぎる」査定額に対し、疑問を持てるようにするためでもあります。
比較対象は査定額だけではない
不動産の仲介では、基本的に1人の担当者が、相談から査定、調査、広告活動、契約サポートなどに当たるものです。従って、担当者が替われば、査定額もその後の取引の安心感も大きく変わります。
不動産会社を選ぶうえで比較すべきは、査定額だけではありません。担当者の専門性や人間性、相性なども比較対象とし、コミュニケーションが取りやすくて信頼できる担当者を見つけると良いでしょう。
まとめ
- 家を売るには、大前提として信頼でき、売却力のある不動産会社(担当者)を味方につけることが大切
- 家が売れないときは反響や内覧数、内覧した人が購入を見送った理由などから売れない要因を分析する
- お金をかけた対策を講じたり、値下げをしたりする前にしっかりアピールできているか考える
家が売れない理由は、価格、広告方法や販売戦略、家自体、内覧対応のいずれかに問題があるケースがほとんどです。売れない要因を分析し、正しい対策を講じて早期売却を目指しましょう。
デザイン:ささきめい・Amy
●監修者
らくだ不動産株式会社 副社長執行役員 山本 直彌さん
不動産仲介会社や大手マンション管理会社での経験を経て、「五方良し」の不動産取引を広めることを目標に、不動産エージェントとして活動中。売買や管理の経験を通じて培った知識と経験を活かし、既存の手法にとらわれない提案を行うことをモットーとし、透明性の高い公正な不動産取引を実現するために、常に倫理観の高いエージェントであり続けることを目指しています。保有資格:宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/マンション管理士/管理業務主任者/マンション維持修繕技術者


