
マンションを売却すると決めたら、できるだけ早く、希望通りに成功させたいものです。
しかし、購入時は人気のあったマンションでも、いざ売ろうとしたときにスムーズに売れるとは限りません。マンションがなかなか売れずに、困っている方もいるでしょう。
そこで今回はマンションが「売れない」10の理由を紹介します。
それぞれの理由から対策を見つけ、ぜひスムーズな売却活動に役立ててください。
記事の目次
- 1. マンションが3カ月間で売れない場合は売却戦略の見直しを
- 2. 【マンションが売れない理由1】売り出し価格が高すぎる
- 3. 【マンションが売れない理由2】同じマンション内や近所に売り出し中の住戸がある
- 4. 【マンションが売れない理由3】管理費や修繕積立金が高い
- 5. 【マンションが売れない理由4】築年数が古い
- 6. 【マンションが売れない理由5】需要が低い立地・エリア
- 7. 【マンションが売れない理由6】内覧の対応をしっかりしていない
- 8. 【マンションが売れない理由7】不動産会社の対応力が低い
- 9. 【マンションが売れない理由8】周囲のニーズに合っていない
- 10. 【マンションが売れない理由9】売り出しのタイミングが悪い
- 11. 【マンションが売れない理由10】囲い込みを受けている
- 12. できること、できないことがある。不動産会社との媒介契約種類もチェック
- 13. 安易な値下げやリフォームはNG。信頼できる不動産会社を見つけよう
マンションが3カ月間で売れない場合は売却戦略の見直しを
中古マンションの売却期間の平均は4カ月
まずは売却活動の期間から、売却戦略の見直しが必要かどうかを考えてみましょう。
2023年の東京カンテイのデータでは、首都圏におけるマンションの売り出しから成約にいたるまでの売却期間は、平均3.95カ月です。
もちろんなかには1~2カ月で成約にいたるケースや、逆に半年以上かかるケースもあります。しかし全体の8割以上が6カ月までに成約しています。
近畿圏や中部圏は、首都圏に比べて市場規模が限られるため、平均売却期間の変動が大きく、売却まで5カ月近くかかる場合もあります。
マンションの売却期間は、不動産会社と結ぶ一般的な媒介契約期間である3カ月が目安です。売り出しから3カ月がすぎても買い手が見つからないのであれば、改善すべき点があると判断しましょう。

【マンションが売れない理由1】売り出し価格が高すぎる
周辺相場を確認して不動産会社と相談を
ここからは、マンションが売れない理由を一つずつ考えてみましょう。
最初に挙げられる理由が「価格設定」です。
基本的には、相場に比べて価格が安いマンションほど買い手が見つかりやすいといえます。どのような品物でも同じですが、高くなればなるほど購入できる人が限定されるためです。
売却する立場からいえば、少しでも高く売却したいと考えるのは当然です。しかし、不動産購入の検討時は、価格はもっともシビアに比較検討される要素となります。特に実際の価値やニーズがそれほど高くない物件やエリアの場合、相場以上の高い価格では、購入検討者が集まらない可能性があります。
周辺相場は不動産会社がある程度把握していますが、さまざまな条件によって変動します。また会社によって査定額も一定ではありません。詳細は後述しますが、高い査定額を出した会社に任せたからといって、必ずしも売れるわけではない点も注意が必要です。
売り出し価格が高すぎるときにやるべきこと
マンションの売却では、自らの希望売却価格やいつまでに売りたいかといった事情を考慮しながら、適正な価格設定をすることが重要です。
売り出し価格について検討する際、まずはレインズ・マーケット・インフォメーション(※)などを使って周辺の不動産の相場を調べるとよいでしょう。希望する価格が相場よりも高い場合は、値段を下げることも検討が必要です。
売り出し価格は、相場のほかにローン残債なども考慮します。詳しくは「売り出し価格の決め方。査定額、相場、ローン残債などのポイントを解説/不動産売却マニュアル#5」をお読みください。
※レインズ・マーケット・インフォーメーションとは
国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営・提供しているネットワークシステムです。
不動産会社しか閲覧できないレインズインフォメーションとは異なり、一般消費者でも過去の不動産の成約事例等を確認できるサイトとなっています。レインズ・マーケット・インフォーメーションについては「不動産売却情報で知っておきたい「レインズ(不動産流通標準情報システム)」とは?」でも詳しく解説しています。

【マンションが売れない理由2】同じマンション内や近所に売り出し中の住戸がある
角部屋、階数、価格などスペック勝負になっていないか?
大規模マンションなどでは、同じマンションから複数の住戸が売りに出されている場合があります。
同じマンションで競合物件があると、競争率は高くなります。立地が同じである以上、人気が集まるのは、売り出し価格が安い、築年数が浅い、高層階や角部屋であるなど一般的に『ニーズが高い』『注目度が高い』住戸です。
同じマンションに競合住戸がある場合は、自宅のスペックを踏まえたうえで、以下の対策を検討しましょう。
同じマンション内や近所に売り出し中の住戸があるときにやるべきこと
築年数が同じで間取りや設備や日当たりなどがほとんど同じなら、基本的には、価格の安い住戸のほうに購入検討者が集まります。そのため、すぐに売りたいなら「売り出し価格を下げる」ことが一番の対応策です。
しかし、買い替えなどを前提としている場合、売却価格を安く設定すると、その後の家計やライフプランにも支障が出てしまいます。どのくらいの価格設定が適正か、不動産会社と相談して決めましょう。
もう一つの対策として、「売り出しのタイミングをずらす」方法があります。
売却までの期限にこだわらないのであれば、設定価格とのバランスを鑑みながら、競合がいない時期を狙って売り出すことも検討しましょう。
タイミングをずらすことで無用な値引きを防ぎ、希望に近い売却が実現できる可能性があります。

【マンションが売れない理由3】管理費や修繕積立金が高い
周辺のマンションと管理費や修繕積立金などを比較
マンションは管理費や修繕積立金などいわゆるランニングコストが発生します。 購入する側は、たとえ物件が安くても生活にかかる費用が高くなれば結果的にコストが上がるため、購入を敬遠しがちです。
管理費や修繕費はマンションごとに金額が違います。そこで、まずは周辺のマンションと比較して、ランニングコストが高いのか低いのかを把握しておきましょう。
物件や立地にもよりますが、修繕積立金と管理費を合わせた平均額は新築マンションなら2万~3万円程度です。中古マンションの場合は、おおむねこの金額より高くなります。ランニングコストを加味したうえで、売り出し価格を設定することが重要です。
管理費や修繕費が高いときにやるべきこと
住戸が少ないマンションや築年数が古いマンションは、年を経るごとに管理費や修繕積立金が上がる傾向にあります。
マンションが古くなるほど、大規模修繕にかかる費用は増えます。また、マンションによっては新築時の修繕積立金を抑えることにより購入のハードルを下げ、その後値上げしていくこともあります。戸数が少ないマンションでは、一住戸当たりの設定はさらに割高になります。
ただし管理費・修繕積立金が高いマンションでは、その分、建物の管理や修繕計画がきちんとなされている傾向にあります。売却に際しては、上記のような理由や管理状況を購入希望者に丁寧に伝えることが大切です。管理費や修繕積立金は個人の意向では変更ができないからこそ、コストに見合う価値があることを理解してもらえるよう努めましょう。
また、将来的に売却を考えている場合は、修繕積立金が値上げされる前に早めに売却活動をスタートすることも重要です。

【マンションが売れない理由4】築年数が古い
長期修繕計画を説明するほか、不動産会社に相談してリフォームを検討する
築年数が経過したマンションは、間取りや設備などが古くて住みにくいと敬遠されがちです。築年数が古いほど管理費や修繕積立金が値上がりするケースが多いことも、売れにくい理由になります。
マンションを若返らせることは不可能なので、購入希望者の不安をできるだけ払しょくする努力が大切です。
築年数が古いときにやるべきこと
実際の住み心地の良さからアピールできる点があれば、内覧時に不動産会社の担当者から購入希望者に伝えてもらいましょう。例えば、築年数は古いが管理が行き届いているため住みやすい、長期修繕計画がしっかりしているので安心、などです。
また、不動産会社と相談して、部分的なリフォームや修繕も検討しましょう。ポイントは、本当に必要な箇所だけリフォームすることです。
フルリフォームや大がかりな修繕工事をしたとしても、その分を売却価格に上乗せできるとは限りません。そこで、購入希望者のニーズを把握したうえで、必要最低限のリフォームを行います。もちろん実際に住んでいて直したほうがいい設備があれば、修繕を行うとよいでしょう。
こうしたリフォームや修繕でよく挙げられるのが、水まわりです。 キッチンや浴室、洗面、トイレの見た目や使い勝手を見直すことで、コストをあまりかけずに築年数の古さをカバーできる可能性があります。
こうした修繕やリフォーム、ハウスクリーニングについては、不動産会社の広告に目立つように記載してもらうと、売却活動に役立ちます。
築年数が古いマンションを上手に売却した事例としては、「千葉県松戸市Mさん(60代)/築47年の築古マンションを売却して一戸建てに住み替え」や、「東京都世田谷区Fさん(60代)/築63年のコンパクトマンションを売却し、広さ約2倍の新築タワーマンションに住み替え」などがあります。こちらも、ぜひ参考にしてみてください。

【マンションが売れない理由5】需要が低い立地・エリア
駅からの距離、日当たり、治安などをチェック
幅広い人から好まれる立地やエリアにあるマンションは、売却しやすくなります。逆にいえば、需要が低い立地やエリアのマンションは、売れにくくなりがちです。
人気が低くなってしまうエリアの特徴には、以下があります。
- 最寄駅まで徒歩15分以上かかる駅遠立地のマンション
- 近所にスーパーや病院など生活利便施設が少ないエリア
- 線路や幹線道路の近くなど騒音が気になるエリア
ほかにも、子育て世帯や単身女性がマンションを選ぶ場合、治安の良し悪しは重要なポイントです。また一概にはいえませんが、嫌悪施設などが至近にあるエリアも敬遠される傾向にあります。
立地では、日当たりや風通しが悪い位置、高層建物の影になる時間が多い場所、傾斜地などが、人気が低くなりがちです。
需要が低い立地・エリアであるときにやるべきこと
立地やエリアに難点のあるマンションの売却では、あらかじめ売却期間を長めに見通しておくなど、事前の覚悟が必要です。
そのうえで、実際の住み心地の良さをわかりやすく伝えるなど、アピールに力を入れましょう。例えば駅から多少遠くても、歩道がきちんと確保され、街路樹も整備されているなどの特徴があれば、印象も変わります。日頃から、普段使う場所や周辺環境の魅力をまとめておくとよいでしょう。
また、多少ネガティブな立地要素を持つマンションでも、賃貸の需要が見込める場合は、売却がスムーズにいくことがあります。例えば、人口が増加傾向にある自治体や、大学が近くにあるエリアなどです。こういった立地要素のあるマンションは、賃貸としてのニーズが見込めるため、投資用物件として売れる可能性があります。
賃貸のニーズについては、不動産会社に聞いてみることが一番です。また、最寄駅の乗降客数、自治体がまとめている転入人口の増減などもチェックするとよいでしょう。
再開発など街の価値を高めるような開発も、エリアの魅力につながります。開発動向を把握するのは難しいですが、一部は自治体などで調べることができるので、気になる方は確認してみてください。
【マンションが売れない理由6】内覧の対応をしっかりしていない
物件のメリットを住人目線で話すことで購入の後押しに
売却活動で大切なステップの一つに、購入希望者の内覧対応があります。
マンション自体はモノですが、契約は人間同士が行います。そのため、内覧対応が原因で交渉決裂になる可能性もゼロではありません。
内覧の対応で重要になる以下のポイントについて、詳しく見ていきましょう。
- 内覧者への接客対応
- マンションの管理状況
- 物件の状況
内覧者への接客対応
内覧時の印象はとても重要です。例えば、内覧者を迎え入れる姿勢に愛想がなかったり、質問に対して納得できる答えが返せなかったりすると、良い印象は持たれにくくなります。
また、売却する理由や住み心地に直結するような問題を隠した場合も、不信感を持たれてしまうでしょう。
まだ建っていない、もしくは入居前の新築マンションとは異なり、実際の住み心地がわかるのが中古マンションの魅力の一つです。それゆえに購入希望者は、実際に住んでいる人からの情報を欲しています。
立地やエリアが希望通りでも、住み心地によっては購入に二の足を踏むこともあるでしょう。逆に、立地やエリアに難点があっても、住み心地の良さをしっかりとアピールできれば、売却が成功する可能性が高まります。
ポイントは、現状だけでなく、購入希望者の将来を見越した情報も丁寧に伝えることです。例えば子育て世帯であれば、保育園や学校の情報、公園の有無、治安など周辺環境のほか、マンション内に同じ世代が多いのか少ないのかなども気になる情報でしょう。ほかにも、通風採光の状態や夜中の騒音、エリア内の生活利便施設の有無などを丁寧に伝えることで、居住後の生活が想像しやすくなります。

マンションの管理状況
マンションの管理状況も、多くの物件購入者が気にするポイントです。住み心地に加えて、最近はマンション内のコミュニティを重視する人も増えています。例えば以下の点はアピールポイントになるため、しっかり伝えるとよいでしょう。
- エントランスや郵便ポスト、ゴミ捨て場、駐輪場など共用スペースの管理がきちんとされている
- キッズスペースやパーティールームなど共用施設があり、使いやすい
- 定期総会や理事会の状況、イベントなど住民同士の交流の有無
これらは内覧時に購入希望者から質問される可能性もあるため、事前に情報をまとめておくとよいでしょう。
物件の状況
内覧の機会はあるのに購入までいたらない場合、住戸内の印象が悪い可能性があります。
特に築年数が古いマンションでは、最初から「劣化が目立つのではないか」といったネガティブな印象を持たれがちです。
そして実際に住戸内に問題があれば、「大切に扱われていなかったのかもしれない。目に見えないところの劣化や破損もあるのでは」と余計な疑念を抱かれてしまいます。
このようなことが起こらないよう、室内はもちろん、玄関やベランダまでしっかり片付け、掃除をしておくことをおすすめします。購入希望者は、水まわり設備や収納スペースなども気にするため、掃除や整理整頓をしておくと好印象につながります。
マンションを売却する内覧のコツは「不動産売却時の内見のコツとは? 家を高く売る方法、家が売れる分かれ目を売却のプロが解説」でも詳しく紹介しています。

【マンションが売れない理由7】不動産会社の対応力が低い
複数の不動産会社に査定を依頼し、エリアに精通した担当者を見つける
スムーズに売却を成功させるためには、不動産会社の対応力も問われます。
不動産会社によって得意不得意があるため、売却に強い不動産会社を見つけることが重要です。
不動産会社選びが大事である
売却を依頼する不動産会社を見つける手順としては、複数の不動産会社にインターネットなどで簡易査定を依頼し、さらにその中から数社を選んで訪問査定をしてもらう方法が一般的です。
不動産会社から提示されるマンションの査定額は会社によって高低の幅があります。
売却する立場としては少しでも高く売りたいため、高い査定額を提示してくれた不動産会社を選びがちです。
しかし、必ずしもその選択がベストとは限りません。前述のとおり、スムーズな売却のためには、相場に合わせた価格設定が重要です。そのため高い査定額を提示する会社は、仲介を依頼してもらうためだけに、あえて査定額を高くしている可能性があります。結局は、大幅な値引きをしなければ売却できないリスクもあるため、気を付けてください。
不動産会社選びの具体的ポイント
上記のようなミスを防ぐためにも、複数の不動産会社の査定額を比較し、それぞれの会社から価格の根拠を説明してもらいましょう。
査定額が高い理由について、例えば同じマンションの別の住戸の最近の取引価格や、周辺相場のデータなどを根拠に説明してもらえるなら、信頼できる不動産会社といえます。
一方で、査定額について説明を求めても、「実績がありますから」「大船に乗ったつもりで」と言うだけで具体的な回答がない不動産会社は、避けたほうがよいでしょう。
さらに、売却物件のあるエリアに精通しているかどうかも重要なポイントです。
該当するエリアでの売却実績が多ければ、自分たちも知らなかったエリアの魅力をプロ目線で説明してくれます。また、購入希望者へエリアの魅力を踏まえた売却活動を行ってくれることもあり、よりスムーズな売却につながります。
不動産会社の選び方については、「不動産仲介業者のおすすめの選び方とは。 売却査定依頼のポイントや売却活動を失敗しないポイントを解説」も併せてお読みください。
【マンションが売れない理由8】周囲のニーズに合っていない
不動産の購入時と周囲の環境が変わっている可能性がある
不動産を購入したときと現在で周囲の環境が変わっている場合、マンションが周囲のニーズに合っていない可能性が考えられます。
例えば、売却したい物件は単身用マンションだが、エリア自体は家族で生活する人が増えているといった場合です。周囲の生活環境は街の開発状況にもよるため、マンションの購入時とはニーズが変わっていることも多く見られます。
周囲のニーズと合っていないときにやるべきこと
このような場合、不動産会社の選択はより慎重に行うべきです。
例えば、幅広い顧客層を抱えている大手不動産会社に依頼すれば、買い手の母数も増えるため、売却できる可能性が高まります。あるいはそのエリアを得意とする不動産会社であれば、物件のメリットを上手に宣伝してくれるはずです。
ニーズに関する懸念事項を不動産会社に伝え、丁寧に向き合ってくれる会社を選びましょう。
【マンションが売れない理由9】売り出しのタイミングが悪い
2月~3月はマンションの需要が高まる
一般的に不動産市場が活発になるのは、引越しシーズンである2月~3月といわれています。中古マンションの売買については賃貸物件ほど季節によるトレンドはありませんが、それでも年度末や新学期を一つの区切りとして住み替え先を探している人は多いです。冒頭で述べたとおり、売却にかかる期間は平均して3カ月程度であるため、引き渡しの期間も含めて11月~12月頃から売却の準備を始めると、引越しシーズンの引き渡しに合致するでしょう。
マンションの売却のタイミングが悪いときにやるべきこと
上記の時期以外でマンションを売りに出すこともあるでしょう。買い手がつかない場合、売却を急ぐ理由がないのであれば、2月~3月の需要が高まる時期に合わせて再度売りに出す方法もあります。 その他マンションの売り時については、「マンションの売り時はいつ!? 売却の相場とタイミング・時期を解説」でも紹介しています。
また、買取保証や買取サービスの利用も選択肢の一つです。買取保証とは、「一定期間に仲介市場での売却ができなかった場合に、約束した金額で物件の買い取りを保障する」ものです。詳しくは「不動産の買取・買取保証とは? 仲介との違いや住み替え時の注意点、メリットデメリットも解説」をお読みください。

【マンションが売れない理由10】囲い込みを受けている
レインズの登録状況を確認しよう
極めて一部の不動産会社によることではありますが、「囲い込み」が行われる場合もあります。囲い込みとは、売主が売ろうとしている不動産について、他社から買いたい人がいると相談があっても断ることをいいます。 これは自社の利益(売主と買主の双方から仲介手数料をもらう)を目的としており、売主の信頼を裏切る行為です。
基本的に、不動産売却の専任媒介契約を受けた不動産会社は、レインズに物件登録をする義務があります。レインズは不動産業者が共有しているデータベースであり、「取引状況管理機能」を見ることで、自身の不動産の営業活動が適切に行われているかがわかります。
囲い込みを受けているときにやるべきこと
囲い込みをされているかどうかを自分で知ることは、基本的には難しいといえます。
しかし、もし囲い込みに気付いた場合は、不動産会社にその旨を指摘しましょう。そのうえで改善が見られないのであれば、不動産会社の変更も検討が必要です。
できること、できないことがある。不動産会社との媒介契約種類もチェック

不動産会社と売却契約を結ぶ際、契約内容を精査して決めることも、その後の売却活動において重要です。
不動産会社との結ぶ契約は「媒介契約」と呼び、3つの形があります。
一般媒介契約と専任媒介契約、さらに専属専任媒介契約です。
それぞれの媒介契約を違いをまとめると以下のようになります。
| 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
|---|---|---|---|
| レインズへの登録義務 | なし | 契約から7営業日以内 | 契約から5営業日以内 |
| 依頼主への報告義務 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| 他社への依頼 | 自由 | 禁止 | 禁止 |
| 契約の有効期限 | なし | 3カ月以内 | 3カ月以内 |
| 自分で買い手を見つけることができるかどうか | 可 | 可 | 不可 |
一般媒介契約とは
一般媒介契約は、複数の不動産会社と契約できる契約です。メリットは、「買い手の幅を広げてくれる」「会社間の競争意識が働いて売却活動が積極的になりやすい」などです。
ただし、一般媒介契約は複数業者と契約できる分、不動産会社によっては売却活動の優先順位が低くなり、積極的に宣伝や広告をしない場合もあります。
さらに一般媒介契約は、レインズへの登録義務や依頼主への定時報告義務がないため、物件情報が広がりにくい、不動産会社の活動がわかりにくい点もデメリットです。
専任媒介契約・専属専媒介任契約とは
一方で、複数社と契約ができないのが、専任媒介契約、専属専任媒介契約です。
どちらもレインズへの登録や売却活動の進捗報告が義務化されているため、有料の媒体に物件を掲載するなど、不動産会社が積極的に売却活動を進めてくれる契約形式です。
デメリットは、1社のみに任せるため、不動産会社の対応力次第で、売却金額や時期が左右されやすい点です。さらには、他社との競争がないので営業に力が入らない恐れもあります。
また、専属専任媒介契約は、専任媒介契約に比べて、レインズへの登録までの期間、報告回数でメリットがありますが、自分で買い手を見つけて取引を行うことができません。
このように、不動産会社との契約には、それぞれメリットやデメリットがあります。媒介契約の内容次第で不動産会社の対応やサービスも変わるため、ご自身の求める売却方法に基づき、契約を結ぶようにしましょう。
マンションを好条件で売却するためには、不動産会社の協力が必要不可欠です。自分に合った不動産会社や相性の良い担当者を探すなど、不動産会社の選定から慎重に取り組むことをおすすめします。
どうしても売れない場合は買取も視野に
中々マンションが売れない場合や、早急にまとまったお金が必要な場合、不動産の買取サービスを利用するのも手段の一つです。
買取は、仲介と比べて約8割程度の価格で買い取られる傾向にありますが、買主を見つける必要がないため、買取条件に満たす不動産であれば、早い段階で現金化できます。
ただし、資産価値の低い不動産は買取条件を満たさない可能性もあるため、注意が必要です。
安易な値下げやリフォームはNG。信頼できる不動産会社を見つけよう
ここまで述べてきたように、売却がしにくいマンションには、さまざまな理由があります。しかし、売れないからといって安易な値下げや、買い手のことを考えず大金を投じてリフォームすることは避けましょう。場合によっては必要以上にお金がかかり、なんのために売却をするのか本末転倒になります。
スムーズな売却の実現には、協力してくれる不動産会社の存在が大切です。実績が豊富で、明確な根拠に基づき査定価格を提示してくれる会社を選ぶとよいでしょう。
不動産会社の比較検討なら、同時に複数の会社を比較できる一括査定がおすすめです。複数の不動産会社とコンタクトを取り、それぞれの得意分野や得意エリア、売却活動の進め方などを比べてみましょう。
まとめ
- マンション売り出し後、3カ月経っても売れない場合は売却戦略を見直そう
- マンションの売り出し価格は周辺相場と合わせることが大切
- 売却するマンションのメリット・デメリットを的確に説明できる準備を
- 売却前にリフォームするかは不動産会社と相談を
- 内覧対応は住人目線で丁寧に行うことが重要
- 売却に強い信頼できる不動産会社を見つけることが大切
- 一括査定でマンション売却が得意な会社を見つけよう
イラスト/のりメッコ
構成・取材・文/山口俊介
取材協力/住宅アドバイザー 高江啓幸さん
取材・文/サクラサクマーケティング株式会社


