不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

千葉県松戸市Mさん(60代)/築47年の築古マンションを売却して一戸建てに住み替え

千葉県松戸市Mさん(60代)/築47年の築古マンションを売却して一戸建てに住み替え

長年千葉県松戸市で暮らしてきたMさんは、築47年のマンション(3LDK)を売却して新築の一戸建てへ住み替えました。地元に強い不動産仲介会社を味方につけ、購入時を上回る価格での取引に成功しました。

不動産区分 マンション
所在地 千葉県松戸市
築年数 47年
間取り・面積 3LDK(52m2
ローン残高 なし
査定価格 500万円
売り出し価格 480万円
成約価格 450万円

より自由な暮らしを味わうべくマンション売却&一戸建ての購入を決意

数年前に定年退職したMさん(60代男性)は、千葉県松戸市の一戸建てに妻と2人暮らし。ここにくるまで同じ市内で2回、住み替えした経緯があります。

「もともと通勤の便利さから松戸市にやってきました。分譲マンションを購入し、長年、暮らしていたのですが、以前から息子夫婦が高い賃料で部屋を借りているのを気の毒に感じていて。古くて間取りや設備が使いにくかったのもあり、大規模なリフォームをして息子たちに安く貸すことにしました。自分たちは別のマンションを購入して住み替えたんです。 しかしリフォーム工事が済んだころ、孫が『今の家を離れたくない』と言い出して、息子夫婦が引っ越す計画は中止になりました。 元のマンションに戻るか、今のところに居続けるかを妻と話し合いますが、そのころ、住み替え先のマンションには問題が生じていました」

2019年に購入した住み替え先のマンションは、築45年(購入当時)で駅まで徒歩約10分・52m2・3LDKの物件。リビングが真南向きでエレベーター付きの7階建て。近隣には商店街がありました。 生活環境は良かったものの、入居後2年が経ったころ、修繕積立金が赤字になったことから5000円以上も値上がりします。

「未納者がいるのが理由だったようで管理会社を変えて状況の改善を試みたのですが、管理組合の空気に緊張感が出るようになってしまって。マンションだとこうした問題を抱えることがあるのだと痛感しました。

あと数年待てば定年で、ゆったりした時間をもてるようになる。幸い貯蓄もありますし、これを機に自分たちで好きにできる一戸建てにしようかと妻と話すようになりました」

Mさんはリフォームした1つ目の物件を賃貸に、2つ目のマンションを売却し、一戸建てに住み替えることにします。

不動産仲介会社のアドバイスで物件の魅力を確信し、強気の価格設定に

マンションを売却することにしたMさんは、まず不動産サイトでこの辺りの相場を調べ、そのうえで一括査定サイトを利用します。

「ここのマンションを手がけた建築会社が似たような条件で建てた物件が、近場に複数あったんです。私は250万円で買ったのですが、相場は350万円ほどで思ったより高額。少なくても300万円以上で売れると思いました」

一括査定サイトで返信をもらったのは4社。価格の幅は200万円~500万円と開きがあり、どの会社からも「訪問査定をしてみないとわからない」と言われたそう。 千葉県柏市と松戸市にある2社に絞って訪問査定を依頼しますが、そこにはMさんならではの視点がありました。

「物件を買ったときの不動産会社は『買値』を知っているので、それ以上の値段はつけてくれないと思い避けました。また大手だと事務的な対応を取られそうなイメージがありました。結局、地元に根差した会社にお願いしました」

早速、2つの会社に自宅を見てもらいますが、A社が350万円~400万円、B社が350万円~500万円と幅をmpたせた数字が返ってきます。

「要は最高値からスタートし、買主の希望価格にどこまで応じられるかということのようでした。 最終的にB社を選んだのですが、決め手は担当者の判断力。『この年代のマンションだと500万円が一つの区切りになる』など、いくつかのポイントを教えてくれるのですが、地元で経験を積んできたからこその自信を感じました。確かにうちのマンションは窓からの見通しが良く、小学校はすぐそこ。築古ですが見た目は傷んでおらず、ファミリーと単身者どちらにも検討してもらえます。話を聞くうちに『300万円より強気でいけそう』と確信するようになり、お願いすることにしました」

2019年8月、MさんはB社と専任媒介契約を結びます。

多く人に検索される“400万円台作戦”が功を奏し、売却に成功

当初、500万円から売り出そうとしたMさん。しかし担当者からアドバイスを受け400万円台に変更します。

「不動産サイトで物件を検索するとき、500万円単位で価格設定を変えるのが一般的。『低価格帯で探す人が多いので、500万円未満にした方がアクセス数を見込めますよ』と言われたんです」

売り出しは480万円とし、いよいよ販売活動がはじまります。

「まず不動産サイトに掲載してもらい、定期的に手紙で『問い合わせ数』『アクセス数』などを知らせてもらったのですが、2週間で2、3件の問い合わせがありました。ただ以降は反響がなくなってヒヤヒヤ。何しろ毎月、高額なマンションの管理費を払っていましたから」

もし媒介契約の契約期間の3カ月で買主が見つからなければ価格を下げるか、仲介会社を変えようと思っていたMさん。しかし3カ月目に入るころ、B社の担当者から連絡が入ります。

「『買主の候補者が現れたので、値段を相談したい』とのこと。相手は東京の東エリアに住む単身者で、都市計画の影響で立ち退きの必要が出て手ごろな物件のある松戸市に目を向けたようでした」

2019年11月、30万円引きの450万円で売買契約を交わします。

「特に不便はないマンションですが、築古なので入居してから欠陥が生じないとは限りません。『瑕疵担保責任』の期間を3カ月とする特約をつけさせてもらう代わりに、30万円の値引き交渉に応じました」

■「瑕疵担保責任」と「契約不適合責任」の違いについて

2020年4月の民法改正以前では、不動産売却において「瑕疵担保責任」が定められており、売買契約締結時点において買主が通常の注意を払っても気が付かなかった瑕疵(=キズ)が、売却後に発見されたときには、売主が責任を負うと規定していました。 これに代わって2020年4月に制定された「契約不適合責任」では、売買した不動産が売主と買主が合意した契約内容に適合しているかが問題に。契約書に物件の不具合・欠陥の記載がなければ、売主に責任追及できるため、買主に有利になったといえます。

不動産売買の経験を活かして購入した新築一戸建てで満たされる日々

「値引きのさじ加減や譲渡所得税のことなど、今回の経験で不動産売買のことをよく理解できました」

そう達成感いっぱいに語るMさん。 売却活動と同時に進めた一戸建ての購入は、ここでの学びが活かされているそう。

「2830万円を値引き交渉して2500万円で入手。一部、設備の取り付けを不要とするなどした分、仲介手数料も見直してもらいました」

2人暮らしに程よい38坪の敷地に建つ新築の一戸建ては、日当たりが良く庭もあり、とても気に入っているそう。「今後は家庭菜園をしたいし、ペットも迎えたい」と希望に胸を膨らませています。

2019年6月 ・マンションの売却を考えはじめる
2019年7月 ・一括(簡易)査定をする
2019年8月 ・訪問査定をする
・不動産会社と専任媒介契約を結ぶ
・480万円で売り出し
2019年10月 ・購入検討者が現れる
2019年11月 ・買主と売買契約を結ぶ
・売却したマンションを買主に引き渡す

まとめ

  • 一括査定サイトを使う前に不動産サイトで相場をチェック。判断基準をつかむようにしよう
  • 不動産会社と相談して、購入希望者の不動産サイトでの検索条件を想定した価格設定を考える
  • 築古のマンションは引き渡し後に不具合がわかることも。契約書に特約を盛り込むことなどを不動産会社と相談しよう。
売却査定する

取材・文/星野 真希子 イラスト/めんたまんた

ページトップへ戻る