売却したいマンションや土地、戸建など不動産の情報を広告宣伝し、購入検討者が見つかったら物件の見学だ。上手に見学してもらうコツや、なかなか買い手が見つからない場合の価格の見直し方法を覚えておこう。
見学者に好印象を持ってもらう方法は
掃除と片付けで見学者の印象アップ
購入検討者に物件を見学してもう「内見」(「内覧」と呼ぶ場合もある)は、検討者の印象を左右する重要なイベントだ。好印象を抱いてもらうためにも、掃除や片付けは怠らないようにしたい。特に玄関や水まわりは購入検討者のチェックポイントになる部分なので、ホコリや汚れ、臭いなどもできる限り落としておこう。
室内にモノがたくさん置いてあると狭く見えてしまう。不要なものは早めに処分してスッキリさせておこう。どうしても片付けきれない場合は、トランクルームを借りて一時的に撤去しておく手もある。
また、室内が暗いとイメージもダウンする。カーテンなどは開けてなるべく自然光をとり入れると同時に、室内の照明もつけておくといいだろう。明るくすると汚れなどが目立つと心配するかもしれないが、暗いよりも印象はよくなる。
ハウスクリーニングやホームステージングの活用も
自分で掃除をしても汚れがなかなか落ちない場合は、ハウスクリーニングを利用する方法もある。不動産会社に頼めば業者を紹介してくれるはずだ。数万円の実費で家の中をプロが磨き上げてくれて、高く売れればおトクといえるだろう。
印象を高めるため、壁紙やトイレ設備などをリフォームで取り替える方法もある。たしかに広告などで「リフォーム済み」などと書かれていると、買主にとっては購入後のリフォーム費用を節約できるメリットが感じられるだろう。ただ、リフォームは数十万円以上の費用がかかるので、費用対効果として優れているかどうかは不透明といえる。
最近は室内のインテリアをモデルルームのように飾り付ける「ホームステージング」を利用するケースが増えている。専門業者も増えており、不動産会社によっては無料で利用できるサービスを実施している場合もある(詳しくは「売却時に有利なホームステージングとは」を参照)。
内見に立ち会うときに売主はどう対応すべきか
アピールしすぎや「値引きします」は逆効果
見学の際に売主が家にいるべきか不動産会社に任せるべきかについては担当者の考え方にもよる。だが、見学者としては売主に話を聞きたいと考えるのが自然なので、できれば立ち会うほうがいいだろう。
ただし、売りたいと思うばかりに物件のいいところをアピールしすぎるのは逆効果になる場合があるので要注意だ。見学者に聞かれたことに対して、率直な見解を手短かに答えるほうが印象はいいだろう。
「早く売りたいからと『安くします』『◯◯万円までなら値引きします』などと言ってしまうと、『売り急いでいるのかな』など変に勘繰られたりすることも。また、物件のいいところだけでなく、あえて不便なところなども話すと、信頼度が高まって好印象を得られる場合もあるでしょう」とアドバイスしてくれたのは、売買の実情に詳しいフリーダムリンクの永田博宣さんだ。
売れない場合に価格をどう見直せばいいか
1カ月ほどで客足が止まったら見直しの時期
売り出し当初は何件か内見が入ったのに、しばらくたつと途絶えてしまうケースがある。「物件情報は2〜3週間ほどで行き渡ります。1カ月くらいで客足が止まったら価格が高い可能性も考えられるので、売り出し価格を見直す時期といえるでしょう」(永田さん)
つまり、値下げを検討すべきということだ。ではどの程度下げるべきなのかについては、それまでの購入検討者の反響や、内見の結果などを踏まえて、担当者と相談しながら決めることになる。
100万円刻みぐらいで値下げする方法もある
よくないパターンは、内見希望者が現れないのに価格をいつまでも下げないケースだという。「売主が希望する価格にこだわるあまり、不動産会社の担当者が値下げを言い出せず『この価格でがんばります』と価格を見直さずにいると、いたずらに時間だけ費やすことになりかねません」(永田さん)
もし早く売りたいのであれば、不動産会社の査定額近くまで値下げするのが効果的かもしれない。だが急いでいないのであれば、100万円刻みぐらいで少しずつ値下げする方法もある。
「頻繁な値下げは足元を見られるといいますが、購入検討者のなかには価格の動きをチェックしている人もいるので、価格が下がり始めたことに気づくと、『ほかにとられる前に』と考えて買い付けの申し込みをしてくる人もいるのです」(永田さん)
購入希望者が現れたら、次は価格交渉の段階に移ることになる(詳しくは「購入希望者との賢い交渉の仕方とは」を参照)。
不動産売却マニュアル
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住宅系シンクタンク・オイコス代表。住宅ジャーナリスト。SUUMOなど多くの住宅系メディアで取材・執筆などを行う