不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

築40年~50年の築古マンションは売れない?築古マンションの成約率や売るためのポイントを解説

築40年~50年の築古マンションは売れない?築古マンションの成約率や売るためのポイントを解説

築40年、50年といった古いマンションを売却したいと思っても、築年数の古さから難しいのでは、と感じる人もいるかもしれません。

しかし、築31年超えのマンションの成約率は32.5%を占め、一定のニーズがあります。築年数が古くても、マンションの状態次第では、売れる可能性も十分あるのです。

今回は、不動産コンサルタントの岡本郁雄さんに築古のマンションの売却のコツや注意点を伺いました。

記事の目次

築31年超えのマンションの成約率

東日本不動産流通機構が公開する2025年の「中古マンションの築年帯別状況[首都圏]」によると、2024年に首都圏で成約した中古マンション37,222件中、築31年以上の中古マンションは12,097件で全体の32.5%を占め、成約物件に占める割合は他の築年帯が10%代であるのに対し築31年以上が非常に高いことがわかります。

一般的には、鉄筋のマンションの耐用年数は47年だといわれていますが、それはあくまでも税法上の話であり、一定のニーズは存在するのです。

築40年~50年以上のマンションが売りにくい理由

まずは築古マンションが売りにくいとされる理由を把握し、注意しておくべきポイントを確認しておきましょう。

【売りにくい理由1】旧耐震基準である

1981年6月以降の耐震基準を新耐震基準といいます。築40年あたりの場合、ちょうど旧耐震基準と新耐震基準との境目になります。

旧耐震基準で建てられたマンションは、大規模な地震を想定した設計がされておらず、震度5程度の地震に耐えうるものとなっています。

一方で、新耐震基準で建てられた住宅・マンションなどは、壁量規定が見直されたことで、震度6強~震度7でも倒壊しない設計が求められています。
旧耐震基準と新耐震基準のおもな特徴をまとめると、以下のようになります。

耐震基準 終了・開始時期 震度5程度の地震 震度6強~震度7程度の地震
旧耐震基準 1981年(昭和56年)5月31日まで 倒壊・崩壊しない 規定なし
新耐震基準 1981年(昭和56年)6月1日から 軽微なひび割れ程度 倒壊・崩壊しない

「実は、旧耐震と新耐震で、がらりと中古相場が変わっているわけではありません。旧耐震の時代に建てられたマンションでも、新耐震基準に匹敵する堅牢(けんろう)なマンションや、状態の良いマンションはあります。」(岡本さん、以下同)

繰り返しますが、築古のマンションを売る際には、新耐震か旧耐震かを把握し、旧耐震であれば耐震診断が出ているか確認しておくことが大切です。

特に個人に売却する場合、旧耐震のマンションでは住宅ローンの審査が通りにくく、敬遠されることがあります。その点を考慮し、購入検討者にとって手が出しやすい値付けをすることが大切です。

なお、マンションの敷地売却制度を使ってデベロッパーに売却するような場合には、住宅ローン審査は関係しないため、売りやすさや値付けに耐震基準の状態は関係ありません。

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【売りにくい理由2】管理費・修繕積立金が高い

古いマンションは、火災保険料が上がったり、日常的に修繕が必要だったりと、維持管理にお金がかかります。

例えば、マンションの場合、年数の経過によって生じる建物の劣化を防ぐ目的で、大規模修繕工事が定期的に行われるのが一般的です。

国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、大規模修繕工事の1回目は「築15年以下」、2回目は「築26~30年」、3回目は「築41年以上」で実施される割合が最も高いとのデータがあります。

また、平均修繕周期は1回目、2回目、3回目がそれぞれ「15.6年」、「14.0年」、「12.9年」で、回数を経るごとにその周期が短くなっている傾向です。

なお、工事回数が多くなると、建築系工事、設備系工事の割合が高くなり、仮設工事の割合が低くなっています。

そのため、築年数を経るごとに修繕積立金の見直しがなされ、築古のマンションになると、新築時の管理費や修繕積立金よりも高くなっていることが一般的です。

参考:
令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査(国土交通省)

【売りにくい理由3】マンションによって管理状況が違う

マンションの状態は、それまでの管理状況によって大きく差が出ます。

住人の意識が高く、管理組合がしっかり機能しているマンションは、築古であっても建物が適切にメンテナンスされているため、資産価値を維持しやすい傾向にあります。

一方で、ずさんな管理体制や住人の新陳代謝がうまく進まなかったことで、維持に限界を迎えているマンションも存在します。どちらが選ばれるマンションかは、言わずもがなです。

「特にマンションの修繕が日常的に必要になる築古のマンションの場合は、修繕積立金がどれくらいプールできているか、長期修繕計画が適切に運用されているかがカギとなります。」

マンションの長期修繕計画のガイドラインができたのは、意外と最近の2008(平成20)年です。そのため、古いマンションの場合は長期修繕計画がない場合があるので確認しておきましょう。

長期修繕計画があれば、将来の修繕計画の方針や必要な費用が見込めるので、買主にとっては安心材料になります。同時に、それを実施するだけの修繕費がプールされているかどうかが重要です。

修繕費が貯まっていないと、計画を実施することが難しくなり、大規模修繕の際に一時金の拠出を求められたり、突然修繕積立金の値上げが実施されたりする可能性があります。

これらは、資産を持つオーナーとして、毎年の総会などで配布される資料でしっかり確認しておくことが大切です。

マンション大規模修繕イメージ

15年に一度程度行うことが推奨される大規模修繕には、マンション全体で数千万円~1億円を超える工事費が必要になるケースがあります。(画像/PIXTA)

【売りにくい理由4】住宅ローン控除が使えない

築古のマンションの場合、旧耐震では住宅ローンの審査が通りにくいことで、そもそも住宅ローンが使いにくい状況にあります。

また、住宅ローン控除の申請には、1982年以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)という条件があるため、築40年、50年といった古いマンションは、基本的に対象外です。

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【売りにくい理由5】外観や間取りの古さ

築40年、50年といった古いマンションは、当時の価値観や基準でつくられています。

「外観の古さ」といった印象に関わるもの、「古い基準の壁の厚み」「オートロックがない」「エレベーターがない(またはすべての階には止まらない)」など、当時はそれが一般的な水準だったものなどです。

これらは、個人のレベルで対応できるものではありません。

今どきのマンションのスペックを知っているだけに、このあたりは売りにくさの原因になります。その分は価格に反映することで対応することになります。

エレベーターのない古いマンションイメージ

古いマンションには、エレベーターはないが、ニコイチで階段がありプライバシー性が高いつくりのものも。エレベーターがない分、管理費は抑えられる(画像/PIXTA)

「なお、専有部への雨漏りなど生活に支障がある不具合については、契約不適合責任の対象となります。
こういった不具合を修繕するという目的でのリフォームは、売り出す前に一度は検討してみましょう。売却後に不具合が発覚した場合には、売主が責任を負うことになり、もめる原因になります。」

専有部の古さについては、リフォームで対策することも可能です。

築40年~50年のマンションの資産価値は?

マンションの資産価値は、新築時をピークに築年数に比例して下がっていくのが一般的です。

そのため、築古のマンションにはすでに価値がないのでは、と考える人もいるかもしれませんが、マンションの建物部分の価値が底を打ったとしても、土地の持ち分の価値は残ります。

公益財団法人東日本不動産流通機構 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年)

※公益財団法人東日本不動産流通機構 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年)を元にSUUMO編集部にて作成

「中古マンションは、『マンション敷地売却制度』が施行されてから、都心など好立地マンションの土地の持ち分の評価が上がりました。中古マンション市場の価格がアップしている要因の一つです」

「マンション敷地売却制度」とは、耐震性が不足しているマンションの対策のために「マンションの建替え等の円滑化に関する法律(建替え円滑化法)」で設けられた制度です。

一般にマンションおよびその敷地を売却するには区分者全員の同意が必要となりますが、全員の同意をとることは非常に困難です。

同意がとれないために、老朽化したマンションがそのままに立ち続けることは居住者や周辺住民にとって危険です。

そこで設けられたのが、この「マンション敷地売却制度」です。

これによって、区分所有者の5分の4以上の同意があれば、マンションの敷地を一括して買受人に売却できるようになりました。

現在の耐震基準は、1981年6月からとなりますから、それ以前の旧耐震基準で建てられたマンションにとっては、売却のチャンスが広がったといえるでしょう。

「デベロッパーにとって、将来建て替えて事業化が見込める都心部の古いマンションは資産価値が維持しやすくなり、単純に“古いマンションだから安い”とはいえないケースが増えました。

また、土地の評価が高くなったことで、専有面積が広いほうが評価は高くなります。
地価が上がる前に建てられたマンションは、現在の新築マンションよりも敷地に余裕があるため潜在的な価値があるのです」

このように、都心など、ニーズの高いエリアでは、築年数が古くても資産価値は大きくは下がらない(再開発などで土地の価値評価が上がった場合は、資産価値が上昇するケースもある)のです。

中古マンションの購入を検討する人が見るポイント

中古マンションの購入を検討する人が見るポイントとして、以下のような部分が挙げられます。

価格

一般的に、築年数が古いマンションほど価格は下がっていきます。
近隣の築浅のマンションと比較して、価格が抑えられる、広さや間取りが良い、駅から近いなどの有利な条件があれば、築古マンションでもアピールポイントにつながるでしょう。

設備の劣化

水回りの設備の劣化については、多くの人が気にするポイントでしょう。
水漏れの有無は当然のこと、過去の修繕履歴なども確認される場合があります。また、見た目のきれいさが保たれているかも重要なので、日頃の管理が大切です。

耐震性能

現行の耐震性については、1981年に定められた「新耐震基準」が適用されています。

それ以前の旧耐震基準では、震度5程度の揺れで家屋の倒壊や崩壊がしないという基準が設けられていましたが、新耐震基準では震度6強~震度7程度の大地震であっても、倒壊・崩壊しないことが求められています。

2024年現在、現行の耐震基準が適用されているのは築40年以内が目安です。

ただし、40年以上であってもマンションが丈夫な構造でつくられていたり、地盤がしっかりしている立地であったりすれば購入を検討される余地はあるでしょう。
また、耐震診断を受けるのもおすすめです。

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築40年~50年のマンションを売却するときのコツは?ポイント別に解説

少しでも良い条件で売るためには、どのようなコツがあるのでしょうか。
ここからは、以下のポイントを詳しく解説していきます。

  1. 中古マンションはリフォームしたほうが売れる?
  2. 売却先や売却の仲介会社は、どう選ぶ?
  3. 築40年~50年の不動産は売却と買取、どちらを選ぶべき?
  4. マンションの値付けで気を付けたいこと
  5. ハウスクリーニングの実施を検討しよう
  6. ホームインスペクションを実施する
  7. 複数の不動産仲介会社の査定を受ける

1. 中古マンションはリフォームしたほうが売れる?

築古のマンションを売却する際、売り出し前にリフォームしたほうが良いか迷う、という話はよく聞きます。

「リフォームが良い結果につながるかは、ケースバイケースです。築古のマンションでも、都心部など中古価格でも数千万円で取引されるような物件と、郊外で数百万円~1500万円くらいの価格で取引されるような物件では、買主のニーズが大きく異なります。」

具体的に、リフォームが不要であるケースと、リフォームをした方がいいケースについて紹介をします。

リフォームが不要のケース

都心部などで新築と並行して中古マンションを探している買主は、中古マンション購入時にはリノベーションすることを前提にしている傾向があります。

そのため、売り出し前にリフォームをしても、買主の好みやイメージに合うとは限らず、必ずしも売りやすさにつながりません。

また、リフォームした分を価格に転嫁できるとも限りませんので、売り出し前のリフォームは不要でしょう。

「リフォームにお金をかけるより、価格交渉があったときにその分値引きに対応したほうが、喜ばれることが多いです。」

リフォームしたほうがいいケース

住宅取得価格を抑えて購入したい買主は、買主自身がリフォームする前提ではないこともあります。そうした場合は、あらかじめリフォームを行い、すぐに住める状態になっていると喜ばれることも多いと岡本さんは言います。

「壁紙をきれいにしたり、水回り設備を入れ替えたり、目立つキズなどちょっとした不具合を解消しておくなど、パッと見て好感を持てる程度に整えておくことが売りやすさにつながることもあります。」

ただし、実際にリフォームをするかどうかは不動産仲介会社に相談をしてから実施を検討するようにしましょう。
場合によっては、リフォーム実施の後に実はしない方が良かった、とわかるケースもあります。

リフォームの費用相場は?

売りやすくするためにリフォームする場合、なるべく費用を抑えて効果を上げたいものです。そのため、「見栄えを良くする」「嫌悪感を払拭(ふっしょく)する」ことに注力するのがよいでしょう。

古いマンションの場合は、壁紙の汚れやカビが気になることも多いもの。
たばこの汚れなども意外と目立ちますし、そういった場合、壁紙を一新すると、部屋の中が明るい印象に変わります。

トイレや浴室など水回りも、長年使っていると汚れが蓄積し、劣化が目立つ場所です。
また、他人が使ったものに嫌悪感を持つ人も多いでしょう。

そのため、リフォームする場合は上記のような場所を優先するのがおすすめです。

ファミリータイプのマンションで、壁紙を張り替え、浴室のユニットバスの交換、トイレの便器交換など、水回りのリフォームを検討すると、大体300万円~400万円くらいになるでしょう。

マンションリフォームイメージ

(画像/PIXTA)

2. 売却先や売却の仲介会社は、どう選ぶ?

築古の中古物件を売却する際、売り方は2つあります。
一つは、不動産仲介会社に依頼して売却を進める方法。もう一つは、不動産会社や投資会社による買取です。

それぞれの違いについてみていきましょう。

仲介で築古マンションを売却する場合

個人への売却を目指すなら、不動産仲介会社に仲介業務を依頼するのがおすすめです。

古い物件を中心に扱う仲介会社というのもありますが、そのエリアでの売買に慣れている不動産仲介会社に依頼するとよいでしょう。

「同じマンションや団地の売却チラシが入った際は、発行元の不動産仲介会社をチェックしておきましょう。取り扱いが多い会社は、そのエリアやその物件を買いたい顧客の情報を持っていることがあります。」

また、都心でリノベーション需要が見込める物件の場合は、不動産仲介も扱うリノベ会社をパートナーに選ぶのも手です。

理由としては、リノベ込みで築古物件も含め物件探しをしている顧客の情報を持っている可能性があるからです。
不動産仲介も扱うリノベ会社は、物件価格とリノベ費用のバランスも含め買主に紹介してくれる頼もしい存在です。

買取で築古マンションを売却する場合

買取とは、不動産会社などの法人に直接不動産を売却することです。
築古の物件を買い取ってリフォームなどを施し、リフォーム物件として売り出す「買取再販会社」がおもな買取先となるでしょう。

買取には、メリットとデメリットがありますので、まずはそれを説明しましょう。

●メリット

  • 仲介手数料((売買価格の3%+6万円)+消費税)がかからない。売買契約なので、手続きに必要な費用は印紙代程度。
  • 住宅ローンの審査が不要なので、契約まで短期間で決着する。
  • 原則的に現況引き渡し。契約不適合責任を負わないという内容になっているか、念のため売買契約書の確認が必要。

●デメリット

  • 不動産仲介で売却する相場よりも、5~6割程度の額になることが多い。(ただし、買取再販会社は競合が多いため、人気の立地の場合などは買取価格が上がる可能性もあり)

3. 築40年~50年の不動産は売却と買取、どちらを選ぶべき?

古いマンションを売る際に、仲介での売却と買取のどちらを選ぶかは、売主の目的によって変わってきます。

少しでも高く売りたいなら「仲介」、早く売りたいなら「買取」がおすすめ

まず、多少の時間がかかっても、少しでも高く売りたいのであれば、仲介での売却がおすすめです。

ただ、築40年~50年の古いマンションの場合、物件数が非常にたくさんあるため、あまり時間をかけずにすぐに売りたい場合は、買取再販会社に相談をすることが近道となります。

しかし、買取の場合、前述のように仲介での売却と比べて価格が安くなるケースが多い点には注意が必要です。

一方で、マンションが現在空き家の場合、住宅ローンを完済していたとしても、毎月数万円の管理費や修繕積立金がかかったり、住居費が新居と二重で必要となったりすることで、家計の負担になることもあります。
また、固定資産税もかかります。

古いマンションを所有し続けることで生じるこれらのコストを考えると、早期に買取してもらえば維持費が抑えられるとともに、短期でまとまったお金に変えられるため、買取のメリットは大きいといえます。

いくつかの会社に査定依頼をして、より高く買い取ってくれる会社を選ぶとよいでしょう。

マンションの買取はすべてのマンションが対象になるわけではない

なお、マンションの買取サービスは、すべてのマンションの買取を行っているのではなく、管理状況やエリアなどによっては買取サービスの対象外になる可能性もあるので注意が必要です。

「その物件の経済性がいつまであるのか、出口戦略を考え、仲介と買取のどちらが早く決着がつく方法かで選ぶのが現実的です。」

なお、最初は仲介で相談をしつつ、一定期間が過ぎたら買取に変更する「買取保証」をしている仲介会社もありますので、並行して検討する手もあります。

4. マンションの値付けで気を付けたいこと

ここまでの説明で、築古マンションには、さまざまなニーズがあることを伝えてきました。
築古マンションを売る際には、そのエリアの物件に相場観を持つ不動産仲介会社と相談し、売り出し価格を決めていきます。

エリアの相場・過去の売り出し事例を参考にしよう

売り出し価格は、同じマンションや近隣マンションの売却実績、中古価格の市況などから判断します。

個人でも不動産相場を調べられる物件データベースとして、「不動産取引価格情報」「レインズ・マーケットインフォメーション」「不動産ポータルサイト(SUUMO)」を紹介します。

【不動産情報ライブラリー】

国土交通省が提供しているサービスです。

不動産購入者を対象とするアンケート結果に基づく情報であり、最寄り駅からの距離・築年数・広さなどの条件から自分のマンションと似た物件の取引価格情報を調べられます。

【レインズ・マーケットインフォメーション(RMI)】

レインズ(REINS)が公開する、一般向けの不動産取引情報提供サイトです。
レインズとは、不動産流通機構が運営をしている、不動産売買に関するデータベースのことを指します。
本来は不動産会社のみが利用できますが、それを一般の人でも利用できるようにしたのが、レインズ・マーケットインフォメーションです。

このサイトで自分のマンションと似た条件で物件検索すると、レインズに登録された物件のなかで、実際に売買された不動産の成約価格などの取引情報を調べられます。

【不動産ポータルサイト】

SUUMOなどの不動産ポータルサイトでも、都道府県と市区郡を選ぶだけで、各地域のマンション売却相場を簡単に調べることが可能です。

SUUMOでは60秒での入力で簡単に無料査定も行えます。築40年~50年のマンション価格を簡単な方法で調べたい方は、ぜひSUUMOのサイトを利用してみてください。

全国のマンション売却価格相場はこちらから確認できます

上記のサイト・サービスなどを使っても、最終的には、不動産仲介会社と相談して売り出し価格を決めることになります。

現在は、都心の中古相場が高止まりしています。
築年数が古くても、1960年代~1970年代に建てられたマンションは立地条件が良いものが多く、今なら、都心部の売却価格は期待が持てます。マーケットアウトしない範囲で高値を目指すのもよいでしょう。

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自分の築古マンションの強み・弱みを把握して値付けをしよう

買主から選ばれにくい条件が多い物件の場合は、価格の安さを最大のメリットとして売り出すこととなります。湯器を交換したばかりなどのリフォーム履歴、大規模修繕が終わったばかりなどは、売りやすさにプラスに働きます。

「マンション自体のポテンシャルに、リフォーム履歴など物件ごとの個別性を加味して判断します。」

自分の物件の強みと弱みをしっかり分析し、整理しておくとよいでしょう。

「例えば、エレベーターがない物件の場合で考えてみましょう。プラスの素材としては、管理費が抑えられることです。マイナス面は、上下の移動が大変なことです。
まずは、こういった物件を買ってくれそうな人は誰かを考えます。」

まだ収入が低く資金力はイマイチだけど体力のある若い人、これから教育費が重くなることを考えて住居費を抑えたい若いファミリーなどが対象になりそうです。

一般的に、マンションは階が上がるほど価格が上がるものですが、エレベーターがない物件は、2階部分が一番高くなる場合が多く、上に行くほど安くなります。

こういったことを総合的に判断し、慎重に価格を決めていきます。

築古マンションの値下げのタイミングは?

「そもそも、築古物件は価格をグッと抑えて売ることが多いので、売り出してから契約までは意外と短いものが多いと感じます。反響の様子見は1ヵ月程度でしょうか。」

反響があるうちは、売り出し価格を値下げするのではなく、買いたい人との個別の価格交渉への対応でよいでしょう。

反響がない場合は、ターゲットとなる人にとって魅力のない値付けということになりますので、売り出し価格を再考するか、買取先を探す方向に切り替えることになります。

5. ハウスクリーニングの実施を検討しよう

築年数があまり経っていない場合、ハウスクリーニングは不要なケースも多いでしょう。

一方で、築40年~50年ほど経った古いマンションの場合、少しでもきれいに見せるためにハウスクリーニングの実施を検討することが大切です。

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しかし、築年数が古いすべてのマンションにハウスクリーニングが必要というわけではありません。
マンションの状況によってはリフォームの実施や、買取のほうが適している場合もあるからです。

そのため、まずは不動産仲介会社による査定を受けたほうがよいでしょう。

6. 複数の不動産仲介会社の査定を受ける

不動産仲介会社にはそれぞれに得意とするエリアや顧客層があるため、査定額にも差が出ることがあります。

築古マンションの売却をする場合は、複数の不動産仲介会社に査定依頼を行い、担当者とのやり取りを通じて比較検討することが大切です。

なお、不動産仲介会社との契約には、以下3つの種類があります。

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

一般媒介契約は、売主が複数の不動産会社に仲介の依頼ができるものです。
これに対して専任媒介契約と専属専任媒介契約は、特定の不動産仲介会社1社だけと契約するものとなります。

専任媒介契約と専属専任媒介契約では、専属専任媒介契約のほうが不動産流通機構(レインズ)のデータベースに早く登録してもらえることや、頻回な業務報告、売主は自分で買主を見つけることはできず、必ず不動産会社に仲介してもらわなければならない、などの違いがあります。

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築40年~50年のマンションを売却する際の注意点

瑕疵は隠さずに伝える

築40年も超えれば、マンションの設備などに欠陥・キズ・不具合などの「瑕疵」が出てくることが当たり前です。

こうした瑕疵を買主に伝えずに売却してしまった場合、以下の契約不適合責任に問われる可能性があります。

  • 損害賠償
  • 契約(催告・無催告)解除
  • 売買代金の減額
  • 追完の請求

中古マンション売却時には、契約不適合責任による各種請求を生じさせないために、物件の欠陥や不具合を確認し、それらを売買契約書に記載したり特記事項を記載する必要があります。

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リフォームをする前に不動産仲介会社に相談をする

築40年を超えるマンションは、築年数が浅い物件と比べて安く買えることから、購入後のリフォームやリノベーションを前提とする購入希望者も多くいます。

売主が良かれと思って実施したリフォームも、購入希望者のニーズや好みに合わなければ、物件の付加価値にならず意味をなさなくなってしまいます。

価値を高めるためにリフォームを検討している場合は、施工前に必ず不動産仲介会社に相談をしたほうがよいでしょう。

「リフォームが良い結果につながるかは、ケースバイケースです。築古のマンションでも、都心部など中古価格でも数千万円で取引されるような物件と、郊外で数百万円~1500万円くらいの価格で取引されるような物件では、買主のニーズが大きく異なります。」

まとめ

  • 一般に築古マンションは売りやすい物件ではないが、売れないとあきらめる必要はない
  • 築古マンションの持つ特徴はそれぞれ。個別性に合わせた値付けをする
  • 仲介での売却と法人による買取、両方の手段を検討し、短期集中で決着をつけられる方法を選ぼう

構成・取材・文/竹入はるな
文/サクラサクマーケティング株式会社

●取材協力・監修/不動産コンサルタント 岡本郁雄(おかもと いくお)さん
ファイナンシャルプランナーCFP®、経済産業省登録中小企業診断士、宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター。神戸大学卒業後、30年以上不動産関連の仕事に携わる。不動産領域のコンサルタントとして、マーケティング業務、コンサルティング業務、講演、執筆、メディアへの出演など幅広く活躍中。首都圏中心に延べ3000件以上のマンションのモデルルームや現場を見ておりマーケットにも精通している。
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