マンションや土地、戸建などの不動産を売るときには不動産会社に売却を依頼する必要がある。不動産会社とはどんな仕組みになっているのか、どのように依頼すればよいのかをまず知っておこう。
売買物件の仲介をしている会社に頼もう
駅前の小さな店舗でも大手でもどちらも可能
不動産会社と聞くと、駅前で物件の情報をたくさん張り出している小さな店舗を思い浮かべる人が多いかもしれない。あるいはテレビなどで宣伝している大手の不動産会社をイメージする人もいるだろう。どちらも業種としては同じ不動産会社なので、どちらに売却を依頼してもかまわない。
分譲専業や賃貸専業は基本的に対象外
ただし、不動産会社のなかには分譲マンションなどの開発をもっぱら手がける、デベロッパーと呼ばれる業者が存在し、そちらは個人の家の売却などは扱っていない。また賃貸住宅の仲介や管理などを専業としている業者も、基本的には対象外だ。売却を依頼できるのは、「売買物件の仲介をしている不動産会社」ということになる。
物件の査定を依頼して不動産会社を絞り込む
複数の不動産会社に査定を依頼する
売却を依頼する場合、まずは不動産会社に物件の査定を依頼する。この段階ではまだ正式な売却依頼ではなく、「いくらぐらいで売れそうです」という提案をしてもらうだけだ。家を建てる場合に例えると見積もりを取る段階に当たるので、相見積もりならぬ「相査定」を複数の不動産会社に出してもらうのが一般的だ(「相査定」という言い方は一般的ではないので念のため)。(詳しくは「不動産の査定の仕方を知っておこう」を参照)
簡易な査定と訪問による査定がある
不動産会社による査定には、インターネットなどで売主が申告した情報に基づいて査定する簡易なもの(簡易査定ともいう)と、実際に不動産会社が現地を訪れて査定するもの(訪問査定ともいう)がある。まずインターネットで数社に簡易な査定を依頼し、その結果を見てから、訪問してもらう不動産会社を3社程度に絞り込んでもいいだろう。(「不動産売却を依頼・相談する会社を選ぼう」を参照)
媒介契約を交わし、成功報酬として仲介手数料を支払う
担当者の交渉力が売却価格に影響することも
査定の結果、売却を依頼する不動産会社を選んだら、売主として媒介契約を交わす。依頼先を1社だけにする場合は専任媒介契約または専属専任媒介契約、複数の不動産会社に依頼する場合は一般媒介契約となる。(「媒介契約の3つの種類と各ポイント」を参照)
ちなみに不動産会社の仲介によって不動産を買う買主も、不動産会社と媒介契約を結ぶ。売主と買主が同じ不動産会社と媒介契約を結ぶケースもあるが(これを「両手取引」という)、別々の不動産会社である場合も少なくない(こちらは「片手取引」と呼ばれる)。
「片手取引の場合、売主側と買主側の不動産会社同士が価格などの交渉をします。したがって、担当者に交渉力があるかないかによって、売却価格に影響することもあるのです」(フリーダムリンク・永田博宣さん)
仲介手数料の支払いは売買契約時と引き渡し時
なお、媒介契約を結んだ段階では、まだ不動産会社への手数料は発生しない。不動産会社に支払う仲介手数料はいわば「成功報酬」なので、支払うのは契約が成立したときだ。具体的には、買主と売買契約を交わしたときに仲介手数料の半額を支払い、物件を引き渡したときに残りの半額を支払うのが一般的となっている。(「売却時の仲介手数料とは?いくらかかる?」参照)
不動産売却マニュアル
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住宅系シンクタンク・オイコス代表。住宅ジャーナリスト。SUUMOなど多くの住宅系メディアで取材・執筆などを行う