不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

起業・移住をきっかけに築19年の都心マンションを売却/東京都品川区Mさん(60代)

東京都品川区Mさん(60代)/起業・移住をきっかけに築19年の都心マンションを売却

鎌倉市で飲食店をオープンするのをきっかけに移住を決めたMさんは、19年住んだ品川区のマンションを売却することに。もともとの資産性の高さに加え、手堅く仲介会社も選び、購入時より600万円高く売却しました。

不動産区分 マンション
所在地 東京都品川区
築年数 19年
間取り・面積 2LDK(65m2
ローン残高 1200万円
査定価格 4700万円
売り出し価格 4750万円
成約価格 4600万円

鎌倉での起業を機に、住み慣れた品川区のマンションの売却を決意

かねてから起業して飲食店を営むことを考えていたMさんは、鎌倉市に店舗物件を見つけたタイミングで東京都品川区の自宅マンションを売却し、妻と愛犬とともに移住することに。 独身時代に4000万円で購入し、新築から19年住んだマンションは、65m2・2LDK。徒歩約2~7分圏内に駅が四つあり、目と鼻の先にスーパーもあるなど利便性が抜群でした。

「マンションは資産性が一番と思っていたからこそ選んだ物件。約7年前には3LDKから2LDKにリフォームもして愛着があったため、賃貸も考えたのですが、2003年に東海道新幹線品川駅が開業、2020年には高輪ゲートウェイ駅が新設されるなど、品川が何かと盛り上がりを見せていて。東京五輪前がベストだろうと感じ、手放すことにしました」

■マンションの資産性とは

暮らしの変化に合わせて住み替えを考える人や、マンション購入を資産形成と捉える人が増えている昨今、注目されているのがマンションの資産性。立地や駅からの距離・築年数・広さ・ハザードマップが関係しますが、最も影響するのは立地といえるでしょう。たとえ建物の価値が築年数に応じて下がっても、人気エリアであれば地価が下がりにくいのがその理由。新駅の創設や再開発が予定されると、さらに一帯の価格が上がることも。逆に不人気のエリアは下がる可能性もあるため、確かな情報をもとにした総合的な判断が求められます。

不動産仲介会社はじっくり質を確かめて選ぶ

マンションの売却を考え始める少し前に、一括査定サイトを使って車を売る経験をしていたMさん。このとき思いのほか高値がついたため、マンションも同じようにできればと、2016年10月、まず一括査定サイトで8社に簡易査定を依頼します。

「物件価格を予想するいくつかのサイトで事前に調べたところ、私のマンションは4300万円くらいが相場でした。それに対して一括査定は4100万円~4800万円。売主の気を引くため少し高めの価格をつけてくると聞いたことがあったので、うのみにしないようにと思いました。いくら高額の査定をされても、買主が決まらないようでは本末転倒ですから」

より細かい見積もりを出してもらうべく、次は訪問査定をお願いすることに。 ここでは一括査定してもらった8社のうち5社に依頼をしますが、仲介会社を選ぶ目にはMさんならではのポイントがありました。

「1社1社とじっくり向き合い、『質』を見極めて決めたいと思いました。それを確かめる一つのポイントが『地域性』。訪問査定では、とりわけ地元に強い会社にお願いしました」

地元に強い仲介会社を選べたことで高値での売却に成功

「不動産の売却は時間がかかる」と聞いていたため、少なくとも1年くらいは時間がかかると覚悟していたMさん。しかしまだ最後の訪問査定が終わらないうちのある日、先に査定を済ませていたA社から「見積もりした価格で買ってくれそうなお客さんが見つかった」と連絡が入ります。

「A社はほかと比べると規模は小さいものの、品川・目黒地区に根差した会社で、『この辺りにマンションが欲しいという顧客がたまたまいる』という話でした。訪問査定での各社の価格は4200万円~4700万円と少し開きがあったのですが、最も高値の4700万円をつけてくれたところ。迷う理由はありません。すぐにお願いすることにしました」

A社にお願いしたのは価格だけでなく、とても親身に対応してくれたのも決め手だったと言います。

「約束した時間を守る、言ったことは実行する、礼節をきちんとするといったことは自分も仕事上、大切にしている姿勢。とくに人対人の商売で、不動産のような高額のお金が動く場合は重要でしょう。A社の営業はそれらができている点に好感をもてて、安心して任せられると思いました。仲介会社が大手かどうかは、私には関係ありません」

A社からの当初の見積もりは4700万円でしたが、買主から値引き交渉されるのを見越して、販売価格は4750万円に設定。150万円の値下げ依頼に応じ2017年1月、4600万円で売買契約を結びます。 マンションの売却活動と並行して鎌倉市に賃貸マンションを見つけ、すでに引っ越しを済ませていたMさん。同月中に物件を引き渡しました。

「家とのお別れを惜しむ間もないほど、とんとん拍子。売却活動を開始する前だったので物件広告を載せたりすることもしていません。おかげでお店のオープンの準備に専念できました」

資産性を見抜く力を養い、不動産と賢く付き合っていくことに意欲満々

「マンションが購入時より600万円も高く売れたのは、品川新駅の開業や東京五輪開催といった偶発的なことが重なったのもありますが、価値が下がりにくく、複数の駅に近くて便利な場所にあったのも理由としてあると思います。マンションは資産性で買うのが大事なのだと再認識しました」

2017年3月、鎌倉市に飲食店をオープン。経営が安定してきたことから2018年5月に逗子市にマンションを購入します。

「担保として手元に現金を残しておくため、銀行から融資を受けることにしました。

今度のマンションは、リゾート地でそれほど利便性が求められる場所ではないため、物件自体にブランド性があるかを重視。ホテルやレストランといった施設が複合的に集まる海沿いのエリアにあるマンションを購入しました。 もちろん自分たちの暮らしやすさもありますが、何かあったときに強みになるのはやはり不動産。今回もゆくゆくの売りやすさ、貸しやすさを考えて選んでいます」

ちなみに品川のマンションの買主は、小さなお子さんがいる若いご夫妻。長く住んだ家がどんな人に受け継がれていくのかが気になっていましたが、契約時に会って話したことがきっかけで今でもご家族と交流が続いているそう。

豊かなコミュニケーション力と物件への洞察力をしっかりともつMさんであれば、これからも手堅く不動産と付き合ってゆくことでしょう。

2016年10月 ・マンションの売却を考え始める
・一括(簡易)査定を受ける
2016年11月 ・訪問査定をする
2016年12月 ・マンション購入者が決まる
2017年1月 ・買主と売買契約を結ぶ<br> ・売却したマンションを買主に引き渡す

まとめ

  • 不動産会社の査定では、高めの査定額を出されることも。事前に自分で相場を調べておこう
  • 不動産会社は1社1社としっかり向き合い、質を見極めて
  • 規模が小さくても地場に強い会社の良さもある。まずは、担当者の対応が誠実かどうかで判断すること
売却査定する

取材・文/星野 真希子 イラスト/キットデザイン

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