不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

東京都渋谷区・杉並区Kさん(40代)/オーナーチェンジで投資用マンション2戸を売却

東京都渋谷区・杉並区Kさん(40代)/オーナーチェンジで投資用マンション2戸を売却

渋谷区に投資用のマンションを所有するKさんのもとに、ある日、購入希望者がいるという知らせが届きました。投資の状況を踏まえて、売却を前向きに検討。交渉の結果、赤字が出ていた別の投資用マンションも同時に売却することに成功しました。

■マンション1

不動産区分 マンション
所在地 東京都渋谷区
築年数 約7年
間取り・面積 1K(約25m2
ローン残高 約1500万円
査定価格 2360万円
売り出し価格
成約価格 2420万円

■マンション2

不動産区分 マンション
所在地 東京都杉並区
築年数 築15年
間取り・面積 1DK(約30m2
ローン残高 約2000万円
成約価格 約2000万円

賃貸管理会社からマンション売却の打診を受ける

東京都渋谷区在住のKさんは、副業として不動産投資を行っているマンションオーナーです。2013年に渋谷区に新築マンションを約2500万円で購入し、賃貸収入を得ていました。

「大きな公園が近い人気のエリアで、駅から徒歩5分という便利な立地が購入の決め手になりました。私自身はもっぱら賃貸派で、自分用にマンションを買うつもりはありませんが、そのマンションは自分で住んでもいいなと思った物件です。ここなら賃貸入居者が途切れないだろうと思った通り、マンションを所有していた7年間に1カ月以上、空き室になったことはありません。ですから、売却はまったく考えていませんでした」

そんなKさんに、賃貸管理業務を委託している不動産会社から連絡があったのは、2019年11月のことです。

「マンションを売りませんかと聞いてきたんです。賃貸の入居者がいる状態での売買、いわゆるオーナーチェンジを希望している法人がいるとのこと。提示された価格は2420万円。購入時の価格とほとんど変わりませんでした」

オーナーチェンジとは、物件のオーナーが、賃貸借契約に基づく賃借権を維持したまま不動産の所有権を移転させること。入居者はそのまま、所有者(オーナー)のみが変わるという取引形態です。

査定で相場を確認し、相手の希望価格で売却を決意

賃貸管理会社からの突然の打診に驚いたKさんですが、前向きに売却を検討することにしたそうです。

「実はその1年ほど前に、マンションの修繕積立金が値上げされ、月額7000円から1万1500円にアップしていました。当初より運用の利回りが下がって困ったなと思っていたところなので、考えてみる価値のあるオファーでした」

まずKさんは、提示された価格が妥当かどうか、相場を知るために簡易査定を依頼することにしました。

「投資用物件ですから、一般的な査定はあまり参考になりません。そこで思いついたのが、マンションを販売した不動産会社。投資用のマンションを多数手掛けているほか、仲介や買取も行っている会社です。さっそくメールで査定を依頼したところ、提示された査定価格は2360万円でした」

オーナーチェンジの場合、貸借契約期間中の入居者がいるため内覧はできず、外観や書類のみでの査定となります。また、自己使用に制限があるため、一般的に価格は空き室物件より安い傾向にあります。

「査定価格より高く買ってくれるなら文句はありませんから、賃貸管理会社のオファーを受けることにしました。でも、それだけではないんです。もう一つ、私が所有する別のマンションも買わないかと交渉しました」

赤字が出ていた別物件も一緒に売却したいと交渉

Kさんが所有するもう一つのマンションとは、杉並区にある築15年、広さ約30m2の1DK。 2015年に中古で購入し、渋谷区の1DKと同じ賃貸管理会社とサブリース契約を結んでいたそうです。

サブリースとは、入居者がいなくても物件所有者は保証賃料を受け取れる仕組みです。通常の投資用マンションでは、入居者は物件の所有者と賃貸借契約を結びますが、サブリースの場合は、入居者が賃貸借契約を結ぶのは不動産会社。入居者募集や契約の管理などの手間が省けるのもメリットですが、保証される家賃は、サブリースなしで賃貸した場合の80~90%と安くなります。

「空き室でも保証賃料が入ってくるので安心感はありましたが、運用は月1000円ほど赤字でした。このまま所有していてももうけは出ないだろうと判断。相場を調べたうえで、ローンの残債2000万円を完済できる価格で売却したいと賃貸管理会社に伝えました」

杉並区のマンションの購入についても相手は前向きで、交渉の結果、約2000万円で売却が成立しました。

「オファーをもらってすぐに検討、交渉したので決まるのは早かったですね。2週間後に2物件の売買契約を結び、2020年2月に物件を引き渡しました」

2物件同時売却で赤字が解消、税金も相殺された

2週間という短期間に2物件の売却を決めたKさん。今回の売却活動を振り返って、「おおむね満足しています」と答えてくれました。

「渋谷区のマンションだけを売った場合は、売却益が出て税金を払わなければなりませんでしたが、同時に杉並区の物件を売却したことで税金が相殺されました。赤字も解消してホッとしました。 やり方次第ではもっと高く売れたかもしれませんが、売却の一連の流れを信頼して任せられたので、後悔はありません」

現在は、次に購入するマンションを検討中。今回の経験を、今後の不動産投資に活かしたいと話してくれました。

■売却益・売却損が出た場合の税金

不動産を売って売却益が出た場合は、その譲渡所得に所得税や住民税がかかります。これが「譲渡所得税」と呼ばれるものです。売却したのが自宅であれば、「3000万円特別控除」など各種の控除や特例が受けられますが、投資用不動産に軽減措置はありません。一方、売却損が出た場合は、その年の給与所得など他の所得と相殺して所得税や住民税を減らすことが可能。譲渡損失が大きく相殺しきれないときは、翌年以降の所得からも繰り越して差し引くことができます。この「譲渡損失の損益通算および繰り越し控除の特例」は、自宅か投資用かにかかわらず利用できます。

2019年11月 ・不動産管理会社から渋谷区の物件の購入希望を伝えられる
・Kさんから杉並区の物件の売却を打診
・渋谷区の物件2420万円、杉並区の物件約2000万円で合意
・売買契約を結ぶ
2020年2月 ・引き渡し

まとめ

  • 投資用不動産を売るときは、オーナーチェンジ物件の売却に慣れている不動産会社に相談しよう
  • 価格や条件の交渉は納得いくまでするべき
  • 不動産の売却時は売却益に応じて税金がかかることにも注意
売却査定する

取材・文/小宮山悦子 イラスト/めんたまんた

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