不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

不動産の名義変更を完全ガイド|手続き・必要書類・費用・売却前の注意点

不動産の名義変更(所有権移転登記)は、売買・相続・贈与・離婚などで所有者が変わるときに必要な手続きです。名義変更を怠ると、売却や相続の手続きが進められなくなったり、複雑化するおそれがあります。また、2024年4月の法改正により相続登記は不動産の取得を知った日から3年以内の申請が義務化されました。

この記事では、千代田法務会計事務所の司法書士・清水歩さん監修のもと、名義変更の流れや必要書類、費用、注意点について、わかりやすく解説します。

不動産の名義変更を完全ガイド|手続き・必要書類・費用・売却前の注意点

記事の目次

不動産の名義変更とは?必要な理由

不動産の所有者が変わった際に、登記簿上の名義を正しく更新することが名義変更です。名義を正しく変更しないと、権利関係の証明ができず、トラブルの原因にもなるため、早めの手続きが大切です。

不動産の名義変更は所有権移転登記

不動産の名義変更とは、正式には所有権移転登記と呼ばれる手続きです。土地や建物の所有者が変わったときに、登記簿上の名義を新しい所有者へ変更することで、法律上の権利を第三者に主張できるようになります。

「権利を第三者に主張できる法律上の効力のことを対抗力と言います。不動産登記は不動産の権利が移ったとき、その権利が誰のものなのか第三者にも分かるようにする、つまり、対抗力を公的に証明する仕組みです。
例えば、売買の場合、売買契約を交わした当事者間では契約上、所有者は買主に移っています。しかし、これだけでは買主は自分が所有者であることを第三者に主張することはできません。登記をすることではじめて、第三者に権利を主張できる法的効力を得ることができます」(清水さん、以下同)

なお、この所有権移転登記は売買であれば買主への移転、相続であれば相続人への移転、贈与であれば受贈者への移転、離婚では財産分与として一方の離婚当事者への移転など、その背景(登記原因)はさまざまです。

名義変更は法的にも重要。相続では罰則も

不動産の名義変更は、所有権を正しく第三者に主張するために必要な法的手続きです。
例えば、売買契約を終えて代金を支払っていても、名義変更を怠っていた場合、売却や担保設定に支障が生じます。つまり、名義変更は、不動産の権利を守るための基本的で重要な手続きだと言えます。
なお、特に注意したいのが、相続による名義変更です。2024年4月の法改正により、相続登記は不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請することが義務化されました。正当な理由なく、名義変更をしないまま放置すると、10万円以下の過料を科される可能性があります。

相続のイメージ

(画像/PIXTA)

共有持分の名義変更は持分移転登記

1つの不動産を複数人で所有している場合、それぞれの持ち分が「共有持分」として登記簿に記載されます。共有持分とは、不動産全体の内、誰がどの程度の割合を所有しているかを示すものです。
そして、例えば夫妻で1つの不動産を2分の1ずつ所有している場合、どちらか一方の持分を相手に譲るときには、持分移転登記が必要になります。
共有持分の名義変更は、不動産全体の名義変更と手続き自体はほぼ同じですが、登記するのは「持分割合」に限られます。持分の売買や贈与、相続があった場合も同様に、変更が生じた部分を正確に登記しておくことが大切です。これを放置すると、持分を持たないはずの旧所有者が権利を主張したり、第三者に売却してしまうなど、後々の取引や相続で深刻なトラブルになることがあります。

不動産の名義変更が必要となる主なケース

不動産の名義変更は所有者が変わるあらゆるケースに必要です。代表的なのは、売買によって買主へ名義を移す場合、相続で不動産を受け継ぐ場合、親子間などで贈与を行う場合、そして離婚時の財産分与によって持分を移す場合です。ここからは、それぞれのケースについて解説していきます。

売買による名義変更

不動産を売買したときは、売主から買主へ所有権を移すための登記手続きを行います。契約書を交わしただけでは第三者にその所有権を主張することはできず、所有権移転登記をしてはじめて、買主は自分の権利を第三者に主張することができます。
名義変更をしないまま放置すると、買主はその後売却や担保設定に支障が生じます。取引を確実に完了させるためにも、売買成立後は速やかに登記を済ませましょう。
なお、通常は、売買代金の支払いと物件の引き渡しを同時に行う決済を経て、即日司法書士が登記申請をします。

不動産売買のイメージ

(画像/PIXTA)

相続による名義変更

相続登記は、所有者が亡くなった後に相続人へ権利を引き継ぐための手続きです。
生前の意思(遺言書)に基づいて行う場合もあれば、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で分け方を決める場合もあります。
相続登記は不動産の取得を知った日から3年以内に申請することが義務付けられていますが、相続登記を放置すると、10万円以下の過料を科される可能性があるだけでなく、年月の経過とともに相続人が増え、“相続人の相続”が連鎖して権利関係が複雑化します。例えば祖父名義の土地を放置したまま父が亡くなった場合、孫世代まで相続人が増え、共有者が10人以上になることもあります。
こうなると登記や売却が困難になるため、相続が発生した段階での早めの登記が肝心です。

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相続の関係者のイメージ

(画像/PIXTA)

贈与による名義変更

贈与による名義変更は、無償で不動産の所有権を移す手続きです。親が子に土地や家を譲る生前贈与や、夫妻間で自宅の名義を変更するケースなど、家族間の資産承継で利用されることが多いです。
この手続きの特徴は、売買のように代金の授受がない一方で、贈与の事実を明確に証明する書類が不可欠な点です。具体的には、贈与契約書を作成し、誰が・どの不動産を・いつ譲ったのかを明記します。なお、登記は口頭の約束だけではできず、贈与の事実を証する登記原因証明情報などの書面が必要です。登記をすることにより、後の相続や親族間トラブルを防ぐことができます。

また、不動産の贈与では税金にも注意が必要です。
「不動産をタダであげる・もらうという行為は、金額に換算すると数百万円〜数千万円の財産の移転になります。贈与自体は簡単にできますが、税金が高額になるケースもあるので、事前に確認しておくことをおすすめします」

生前贈与についての話し合いのイメージ

(画像/PIXTA)

離婚(財産分与)による名義変更

離婚に伴う名義変更は、感情面や法的手続きが絡むため、ほかの登記より慎重さが求められます。財産分与は、婚姻中に夫妻が協力して築いた財産を公平に分ける制度で、不動産の名義変更が必要になることも少なくありません。
多くの場合、共有名義の不動産では、一方の持分を相手に移す持分移転登記を行います。
また、夫妻のどちらか一方の単独名義になっている不動産を相手に譲る場合は、所有権全体を移す所有権移転登記を行います。
いずれのケースでも、登記の原因は「財産分与」であり、離婚による名義変更手続きとして扱われます。
この際、持分やローンの引き継ぎが問題となることが多く、金融機関の承認が得られないと登記を進められないケースもあります。
また、登記申請には財産分与の内容を示す離婚協議書や調停調書などや、その合意内容の不動産に関する部分のみを抜粋した登記原因証明情報等の書類の提出が必要です。
離婚後に名義変更を放置すると、旧配偶者の名義が残ってしまい、売却や処分の際に支障をきたす恐れがあります。財産分与が成立した段階で、登記まで確実に完了させることが大切です。
なお、財産分与の場合、分与を受ける側は、分与する財産が過大とみなされると贈与税がかかったり、渡す側は、保有していた期間、対象の物件の価格、住宅ローンの引継ぎなどの事情により譲渡所得税が発生することもあるため、税金面もしっかりと確認するようにしましょう。

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離婚による財産分与のイメージ

(画像/PIXTA)

不動産の名義変更の手続きの流れ

不動産の名義変更が必要になる理由は、売買や相続、贈与、離婚などさまざまですが、手続きの流れは共通しています。一連の流れを順に詳しく見ていきましょう。

手続きの全体ステップ

不動産の名義変更は、次のような流れで進めるのが一般的です。

名義変更の手続きの流れ

(図版/SUUMO編集部)

どの理由で名義を変えるのかによって必要な書類や税金が異なります。そのため、売買・相続・贈与・離婚など、まずは登記原因の確認を行い、次に登記申請に必要な書類などを準備します。
準備が整ったら、管轄の法務局に登記を申請します。司法書士が代理で行うのが一般的ですが、本人による申請も可能です。
登記が完了すると、通常は司法書士が登記事項証明書を取得し、実際に登記簿上の名義が変更されているかを確認します。登記完了証・登記識別情報通知を依頼者へ引き渡し、登記は完了です。

不動産の名義変更に必要な書類一覧と取得のポイント

不動産の名義変更の登記を行うには、登記原因を証明する書類をはじめ、本人確認や不動産の評価に関する資料など、いくつかの書類をそろえる必要があります。書類の種類は登記の理由によって異なりますが、共通して求められるものも多くあります。ここでは、名義変更に必要な主な書類と、取得時の注意点を整理して見ていきましょう。

共通で必要な書類

名義変更では、所有権を手放す側(義務者)と、受け取る側(権利者)で必要な書類が異なります。
所有権を手放す側である義務者は、自分がその不動産の現在の所有者であることと、名義を移す意思を証明する立場として、登記識別情報や印鑑証明書(発行後3カ月以内)、実印、固定資産税証明書などを準備します。登記識別情報は、不動産の所有者であることを証明する12桁の符号で、登記時に法務局から交付されたものです。また、登記簿上の住所と現在の住所が異なる場合は住民票も必要です。
一方、権利者(新たに所有者になる側)は、登記簿に記載するための住民票認印を用意すれば足ります。

■所有権移転登記で必要となる基本的な書類
義務者
(所有権を手放す側)
  • 登記識別情報
  • 印鑑証明書
  • 個人の印鑑(実印)
  • 固定資産税評価証明書
    など
権利者
(所有権を受け取る側)
  • 住民票
  • 個人の印鑑(認印可)

登記原因ごとに異なる書類

不動産の名義変更では、登記の原因によって準備する書類が異なり、登記原因に応じて、どのような事情で所有者が変わるのかを証明する書類が必要になります。
例えば、登記原因の根拠を示すものとしては、

  • 売買の場合:所有権を移転したことを示すための売買契約書
  • 相続の場合:相続の場合は、被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)や、相続人全員の戸籍全部事項証明書(旧・戸籍謄本)、遺言書または遺産分割協議書など
  • 贈与の場合:無償で不動産を譲ったことを示す贈与契約書
  • 離婚による財産分与の場合:離婚協議書、調停調書、または裁判所の審判書

などが挙げられますが、必ずしも契約書や協議書の全文を提出する必要はなく、不動産の移転に関係する部分だけを抜き出して作成する登記原因証明情報や、相続の場合は遺産分割協議証明書などを添付するのが一般的です。

■登記原因証明情報の例(売買の場合)

名義変更の手続きの流れ

※画像は所有権移転登記申請書(売買)の見本PDFを抜粋して作成(出典:法務省ウェブサイト

書類をそろえる際のポイント

名義変更の書類で注意が必要なのは、基本的に義務者(所有権を手放す側)です。
「権利を失う側(義務者)のほうが、不利益になる立場ですから、きちんと本人であることを示す必要があり、準備すべき書類が多く、確認事項も多くなります」
義務者が必ず用意するのが、登記識別情報(権利証)と印鑑証明書です。まず、印鑑証明書は発行から3カ月以内のものを使用します。古いものを提出すると、再取得を求められます。
さらに、登記簿上の住所と現在の住所が一致しているかの確認も重要で、住所が変わっている場合は、住民票などを添付して住所変更登記が必要となります。
一方、権利者(新しく所有者になる側)が登記申請のために準備する書類は多くありません。融資がない場合は、住民票と印鑑だけで足りるケースが一般的で、本人確認書類は登記識別情報(新しい権利証)を受け取る際に必要になる程度です。

不動産の名義変更は自分でできる?専門家に依頼すべきケースとは

不動産の名義変更は、書式や必要書類を正確にそろえれば自分でも手続きは可能です。
例えば、単純な相続で相続人が1人の場合や、親子間で行う贈与、現金での売買など、登記原因が明確で関係者が少ないケースでは、本人申請で問題なく進められることもあります。
しかし、相続人が複数いる場合や、権利証を紛失している場合などは、書類の整合や確認が複雑で、内容に誤りがあると法務局から補正を求められたり、一旦申請を取り下げるよう依頼されることがあり、自分での登記の難易度は高くなります。
また、売買登記では代金の決済や抵当権の抹消などを同日に進める必要があり、司法書士が立ち会うケースがほとんどです。
自分で行うか、専門家に任せるかの判断は、登記の難易度や手間とコストのどちらを優先するかによります。費用を抑えたいなら本人申請も選択肢になりますが、確実さやスピードを重視するなら、司法書士に依頼するのが現実的です。

専門家に任せるイメージ

(画像/PIXTA)

不動産の名義変更にかかる税金と費用

不動産の名義変更を行う際には、登録免許税を納める必要があります。登録免許税は不動産の固定資産評価額をもとに計算され、登記原因(売買・相続・贈与など)によって税率が異なります。
また、登記を司法書士に依頼する場合は、代行報酬や書類作成費用などが加わります。

登録免許税が名義変更の主なコスト

不動産の名義変更で主な負担となるのが「登録免許税」です。
これは登記を申請する際に課される税金で、税額は「不動産の固定資産税評価額 × 税率」で計算します。
税率は登記の原因や不動産の種類によって異なり、土地と建物では適用される内容も一部異なります。
まず、基本の税率は、売買や贈与、財産分与による所有権移転登記は2.0%、相続は0.4%で、これらの税率は土地・建物ともに共通です。
なお、一戸建てのように土地と建物がそれぞれ独立した不動産として登記されている場合、登録免許税は土地と建物の固定資産評価額を合算し、その合計額に税率を掛けて計算します。

例えば、固定資産評価額が2000万円の不動産を相続によって名義変更する場合、登録免許税は約8万円(2000万円×0.4%)ですが、同じ不動産を贈与で名義変更する場合は約40万円(2000万円×2.0%)です。このように、登記原因によって負担額が大きく異なります。

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登録免許税のイメージ

(画像/PIXTA)

軽減税率

これらの基本税率に対して、一定の条件を満たす場合に軽減の特例が設けられています。
まず、土地の所有権移転登記では、売買による登記について2026年(令和8年)3月31日までは税率が2.0%から1.5%に軽減されます。
また、建物の所有権移転登記では、自己の居住用の住宅を売買または競落で取得した場合、2027年(令和9年)3月31日までの登記は0.3%に軽減されます。
さらに、自己の居住用の住宅で、新築または未使用の認定長期優良住宅はマンションの場合は0.1%、一戸建ての場合は0.2%、認定低炭素住宅や特定の増改築がされた住宅用家屋などについては0.1%の軽減税率が適用されます。

免税措置

そして、相続による土地の登記には免税措置もあります。
具体的には、登記名義人となるべき相続人が登記前に死亡した場合の相続登記と、課税標準が100万円以下の土地の相続登記などについてです。この免税措置は、2027年(令和9年)3月31日までの登記に限り、登録免許税が免除されます。
これらの特例や軽減措置は時限的な制度であり、期限や要件は国税庁のホームページなどで確認しておくことが大切です。

■所有権移転登記の登録免許税の主な税率と特例(2025年)
<土地>
登記原因 基本税率 軽減・免税措置(時限適用)
売買 2.0% 1.5%(2026年3月31日まで)
相続 0.4% 課税標準100万円以下、または登記前死亡による相続登記などは免税(2027年3月31日まで)
贈与 2.0%
財産分与 2.0%
<建物>
登記原因 基本税率 軽減措置(時限適用)※
売買 2.0%
  • 一般住宅用家屋:0.3%(2027年3月31日まで)
  • 認定長期優良住宅:マンション0.1%、一戸建て0.2%(2027年3月31日まで)
  • 認定低炭素住宅、特定の増改築がされた住宅用家屋:0.1%(2027年3月31日まで)
相続 0.4%
贈与 2.0%
財産分与 2.0%
※軽減税率の適用は、床面積が50m2以上、新築または取得後1年以内の登記であること等一定の条件を満たす場合のみ
参考:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」

司法書士報酬とその他の実費

不動産の名義変更を司法書士に依頼する場合、登録免許税とは別に司法書士報酬が発生します。これは登記手続きの代理申請や書類作成、法務局への提出、登記完了後の確認など、一連の業務に対する対価で、登記の種類や内容によって金額は変わりますが、一般的な目安は5万円〜20万円程度です。
また、司法書士報酬以外にも、手続きの過程で必要となる実費があります。代表的なものとしては、登記事項証明書、住民票、固定資産評価証明書などを取得する際の手数料や郵送費・交通費などが挙げられます。
各種証明書を取得する費用は1通当たり数百円程度ですが、現地や法務局へ出向いたり、関係者の書類回収が必要になる場合などは交通費などがかさむこともあります。

不動産の名義変更にかかる期間

名義変更の期間は、登記原因そのものよりも “申請までの準備” に左右されます。「法務局に申請してから登記が完了するまでの期間は、売買・相続・贈与・財産分与のいずれも大きく変わらず、通常は1週間〜1カ月程度です」
一方で、申請までの準備期間はケースによって差があります。必要書類が多い場合は時間がかかり、例えば、相続で相続人が多いケースなどは、申請前の準備だけで3〜4カ月かかることも珍しくありません。
スムーズに進めるには、事前に必要書類を確認し、登記内容に不備がないよう準備しておくことが大切です。
司法書士に依頼すれば、書類収集や申請を代行してもらえるため、自分で行うよりも円滑に進めることができます。

時間や期間のイメージ

(画像/PIXTA)

不動産の名義変更で売却前に注意すること

不動産を売却する際は、必要な名義変更が済んでいるか、事前に確認しておくことが重要です。
不動産会社の仲介による売却の場合などは、名義に不備があれば、不動産会社が指摘してくれますが、その段階ではじめて不備が判明すると、決済や売却日程が後ろ倒しになることもあります。また、自身で名義変更を行う場合は申請漏れなどのミスも起こりやすく、法務局から補正や取り下げを求められて売却に影響する可能性もあります。

さらに、贈与や財産分与の名義変更後に売却する場合は、税金面も考えておきましょう。
例えば、贈与で名義を移したあとすぐに売却すると、贈与税と譲渡所得税の両方がかかり、思わぬ負担になることがあります。税金面で不安がある場合は、税理士などにも確認しておくと安心です。

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不動産の名義変更でよくある疑問Q&A

ここからは、不動産の名義変更について、多くの人が疑問に思う点を中心に、名義変更の基本的な考え方や注意点をQ&A形式でわかりやすく解説します。

Q&Aのイメージ

(画像/PIXTA)

Q:名義変更と相続登記は違うの?

A: 相続登記は不動産の名義変更の一種で、登記原因が「相続」であることを示す手続きです。
所有者が亡くなった場合に、その権利を相続人へ引き継ぐための名義変更を指します。
相続登記の場合、その他の登記原因のケースとは異なり、申請期限(相続による不動産の取得を知った日から3年以内)や、登記を怠ると過料の対象となる場合があるといった特別なルールが設けられていますが、性質としては名義変更の一種にあたります。

Q:名義変更に期限はあるの?

A:登記原因によって異なりますが、相続登記以外には原則期限はありません。
売買や贈与などによる名義変更には法的な期限は設けられていませんが、早めの登記が原則です。
名義を変えないまま放置すると、売却や担保設定ができなかったり、所有者が亡くなった場合に手続きが複雑化したりするおそれがあります。

Q:共有名義のまま売却できる?

A:共有名義でも売却は可能ですが、すべての共有者の同意が必要です。
不動産が共有名義になっている場合、共有者全員の署名・押印がそろわなければ売却契約は成立しません。
つまり、1人だけが勝手に売却手続きを進めることはできず、登記申請も受理されません。
なお、自分の持分のみを第三者に売却することは法律上可能ですが、共有状態のままでは買主にとって利用価値が低く、実際には取引は難しくなります。
スムーズに売却するには、事前に共有者間で話し合ってから売却するのが望ましいでしょう。

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Q:名義変更の費用は誰が負担する?

A:原則として、名義を取得する側が負担します。
不動産の名義変更にかかる費用(登録免許税や司法書士報酬など)は、新たに名義を取得する人が負担するのが基本です。
そのため、売買であれば買主、贈与であれば受贈者、相続であれば相続人がそれぞれ負担します。ただし、売主に住所変更、担保の抹消などがある場合はこの部分の登記は売主が負担します。
なお、家族間の贈与や財産分与などでは、双方の合意で費用を分担することもあります。
費用の負担は法律で一律に決まっていないため、事前に話し合って明確に決めておくことがトラブル防止のポイントです。

【まとめ】名義変更を早めに行うことが売却成功の第一歩

不動産の名義変更は、権利関係を明確にし、安心して売却や相続を進めるための基本的な手続きです。名義が古いままだと、売却時に契約や登記が進まず、手続きが止まってしまうこともあります。
また、相続登記は義務化されており、放置すると過料の対象になる可能性があります。
不動産の売却を検討している場合は、まず登記簿上の名義を確認し、不備があれば早めに司法書士へ相談しましょう。名義変更を正しく行っておくことが、スムーズな売却とトラブル防止の第一歩になります。

監修/千代田法務会計事務所 司法書士・清水歩さん
構成・取材・文/島田美那子

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