土地の売却をスムーズに進めるための注意点には何があるのでしょうか。この記事では、らくだ不動産マネージャーの村田洋一さんへの取材のもと、売却前や土地のタイプ別の注意点、売却の流れ、かかる費用や税金などを解説します。
土地を売る完全ガイド!売却の流れ・税金・高く売るコツを徹底解説

記事の目次
土地を売る前の準備は?注意点を知っておこう
土地をスムーズに売却するためには、どのような準備や確認が必要なのか、注意点は何かを理解しておきましょう。
土地として売るか、一戸建てとして売るかを検討
土地を売却するときに、まず考えたいのが『土地として売るのか、建物+土地として売るのか』ということ。売却を検討している土地が更地の状態であれば『土地』として売り出すことになりますが、一戸建てが立っている土地の場合、古家付きの『土地』として売るのか、『一戸建て』として土地を一緒に売るのかによって、不動産会社による査定額などが異なります。
「一般的には、建物がまだまだ利用できそうなら土地付きの一戸建てとして売却。建物の築年数が古くて利用が難しい場合は土地としての売却を行います。注意したいのは、査定は不動産会社の担当者によって異なるということ。築25年以上経過している一戸建ては査定価格がゼロ円とされることもあれば、建物を検査して使えるようであれば築35年でも一戸建てとしての売却を勧める担当者もいます」(村田さん、以下同)
複数の不動産会社に査定を依頼し、その結果をもとにどのような売却の仕方を相談しながら進めることが必要です。
土地の売却に必要な書類を準備しておく
売却がスタートしてからあわてることのないよう、以下の書類を用意しておきましょう。
| 書類 | どんな書類? |
|---|---|
| 登記済証(登記識別情報通知) | 土地の所有者を確認するために必要な書類。権利証(書)とも呼ばれる。紛失している場合、登記済証の再発行はされないが、紛失によって不動産の権利が失われるわけではなく、所定の手続きによって不動産取引を行うことができる |
| 土地取得時の書類 | 購入時の売買契約書や重要事項説明書、覚書など |
| 固定資産税・都市計画税の納税通知書 | 土地の面積や評価額がわかる資料となる |
| 測量図 | 購入時に取得したものや、場合によっては売り出し時に新たに測量が必要 |
| 抵当権抹消書類 | 土地を担保に借り入れをしていて、売却代金ではなく、手持ち資金で事前に完済した場合(金融機関から送られてくる) |
| 住宅ローン償還表 | 土地・建物を担保に住宅ローンを返済中の場合、残高を確認するために必要 |
【土地の売買】手続きの流れ・必要書類・税金・費用・契約・確定申告などを徹底解説
土地の境界標の有無をチェック
隣地や道路との境界点を示すのが境界標。境界標は自分の土地の範囲を明確にするためのものです。
「土地の売買において境界標は必ず必要というわけではありません。買主が『境界標も、測量もしなくていいです』という場合は、境界標がなくても、確定測量を行わなくても売買は成立します。とはいえ、将来的にトラブルにならないよう簡単な仮測量(現況測量)をして、土地の面積、越境物の有無などを明確にするのがいいでしょう。買主が希望する場合は土地家屋調査士に依頼して確定測量を行います」

前面道路の種類や幅員を確認
売却する土地が接している道路(前面道路)の種類や幅員は査定価格にも影響するため、事前の確認が必要。一般的には不動産会社が調査します。
道路には公道と私道があります。
「私道に接している土地を売却する場合、私道の所有者から『通行・掘削承諾』を取り付ける必要があります。これがなければ、私道の使用に制約がかかったり、上下水道やガス管の引き込み工事のための道路の掘削が制限されることもあるため、引き渡しまでに私道の所有者から承諾を得ることが売却の条件となることがあります」
また、建築基準法の接道義務を満たすためには、幅員4m以上の道路に2m以上接することが必要。幅員4m未満の場合は、建物の建築位置の後退(セットバック)が必要になります。
「役所の図面では幅員4mだったのに、実際に測ると4m未満というケースもあります。仮測量を行う場合は、前面道路の幅員も一緒に測っておくのが一般的です」
地中埋設物や土壌汚染に注意
後述しますが、地中に埋設物がある場合や、土壌汚染がある場合、契約不適合責任を問われることがあります。
「古い井戸や、コンクリートのガラ(建築や解体のときに出るコンクリートのガレキ)などが地中に埋まっていることがあります。一戸建てが立っていてそこに住んでいるとわからないし、調査するのも難しいのですが、契約内容によって、売主の費用負担で撤去する必要が発生します」
住宅ローン返済中、完済後の土地を売るときの注意点
ローンの残りを完済できそうかを確認
住宅ローン返済中で抵当権(担保権)が設定されている土地・建物は、売却する際に残債を完済して抵当権を抹消することが必要です。
抵当権がついたままの土地・建物でも売買することはできます。しかし、前の所有者がローンを返済している土地は、返済が延滞した場合に競売にかけられるリスクがあります。そんなリスクのある土地を購入したい人はいないでしょう。抵当権を設定した金融機関も売却を認めませんし、買主がローンを借りて購入する予定の場合、抵当権が付いていれば融資を受けられないのが一般的です。
売却で得られる利益で完済できそうか、または完済するための自己資金はあるかを確認しておきましょう。

ローンを完済していても要注意。抵当権は抹消してあるか
住宅ローンを完済していても、抵当権抹消登記をしていないケースがあります。ローンを完済すると金融機関から抹消のため以下の書類が送られてきます。
抵当権解除証書(または弁済証書、放棄証書):抵当権が消滅したことを証明する書類
登記識別情報または登記済証:抵当権を設定したときの登記を証明する書類
金融機関の委任状:金融機関が所有者に代理手続きを依頼するための書類
「ローン完済後、そのままにして抵当権抹消手続きを忘れ、書類を紛失してしまうことがあります。また、長期間放置している間に金融機関の代表者が代わり、新たな委任状が必要になることもあります。金融機関によっては、手続きに3カ月程度などの時間がかかることもあります。土地の買い手が見つかって、来月には引き渡しというスケジュールで進めていたのに抵当権抹消登記をしていなかった、ということがないよう、ローンを完済したら速やかに抵当権抹消手続きを行いましょう」
なお、不動産の登記情報はインターネットの登記情報提供サービス(有料)で取得することができます。抵当権抹消登記がされているか確認する場合は利用するといいでしょう。
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相続した土地を売るときの注意点
相続の手続きには期限がある
相続が発生した後に必要になる手続きには期限が定められているものがあります。例えば、相続をするのか、放棄するのかは相続の発生(被相続人の死亡)を知った日から3カ月以内に決めます。相続する場合は名義変更を行い、相続を知った日から10カ月以内に相続税の申告と納付を行います。

※2限定承認とはプラスの財産を限度としてマイナスの財産も引き継ぐこと
※3単純承認とはプラスの財産だけでなく負債などのマイナスの財産も全て引き継ぐこと(図作成/SUUMO編集部)
不動産を相続した場合の相続登記が義務化
相続した家や土地を売却する場合にはどのような注意点があるのでしょうか。
「相続が発生したら遺言書がない場合は、相続人の誰が何を相続するか、共有するなら持分割合をどうするかを協議して決め、不動産を相続する場合は、所有権を相続する人の名義に変更する『相続登記』を行います。相続登記は以前は任意でしたが、2024年4月1日から義務化されました。所有権の取得を知った日から3年以内に申請する必要がありますから注意しましょう」
なお、売却しない場合も相続登記は必要です。
相続した土地の売却益で相続税を納めるなら納税期限に注意
土地など不動産を相続する人が決まったら名義変更を行い、売却活動をスタートします。売却の流れは下の図が一般的です。売却活動をスタートし、買主が決まり、引き渡しになるまでの期間はケースバイケースです。しかし、相続税が発生し、納税を土地などの不動産を売却した利益で行う予定なら、相続発生を知った日から10カ月以内の相続税の申告・納付の期限に間に合うように売却を進めることが必要です。

相続に関わる手続きや登記は専門家に任せるとスムーズ
遺産の相続手続きや相続登記は自分で行うことができます。しかし、相続は相続税の特例や控除、相続財産の評価など、知識が必要になります。土地など不動産の売却をスムーズに進めるためには、専門家に依頼する選択肢もあります。なお、手続きの内容によって、依頼できる専門家が異なりますので注意しましょう。
| 手続き内容 | 税理士 | 司法書士 | 行政書士 |
|---|---|---|---|
| 法定相続人の調査と確定 | ○ | ○ | ○ |
| 相続財産の調査 | ○ | ○ | ○ |
| 遺産分割協議書の作成 | ○ | ○ | ○ |
| 不動産の名義変更 | × | ○ | × |
| 相続税の申告 | ○ | × | × |
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共有名義の土地を売却するときの注意点
自分の持分だけを売却できる?
親子や夫婦で購入した土地や、親の土地を相続して兄弟姉妹で相続した土地などの場合、複数の人で「持分」という権利の割合を所有する「共有名義」になっていることがあります。共有名義になっている土地を売却することはできるのでしょうか。
「共有名義の不動産は、名義人全員の合意がなければ売れませんが、自分の『共有持分』は他の名義人の合意がなくても売ることはできます」
つまり、土地そのものを売却することはできませんが、土地の所有権という『権利』は売却することができるということ。所有権割合が2分の1ずつの場合、土地の面積の2分の1を売却するのではなく、その土地に対する権利の2分の1を売るということです。
共有名義の土地は査定価格に注意
「共有名義の土地を売却する際、名義人がそれぞれに不動産会社に査定を依頼すると、異なる査定価格が提示されることがあります。その場合、『査定額が高い自分の不動産会社の方がいい』『兄さんの依頼した不動産会社は信用できない』など名義人同士で揉めてしまうケースもあります」
売りたい人と売りたくない人の共有名義の土地はどうすればいい?
「共有名義の土地をスムーズに売るために必要なのは名義人の意思統一。売りたい人と売りたくない人で意見が分かれてしまった場合は、複数の土地に分けて登記する『分筆』を行う。つまり、物理的に土地を分けることで、売却したい人と所有を続けたい人の両方の希望を尊重するという方法もあります」

共有名義の不動産を売却する際のポイントは?売却の流れやトラブル例も解説
借地や底地を売却するときの注意点
借地や底地はどんな土地?
売却をしたいと思っている土地が借地、または底地のケースでは、どのような注意点があるのでしょうか。まず、借地と底地について簡単に説明しておきましょう。
借地というのは土地を所有している地主から借りている土地のことをいいます。借地に家(借地権付き建物)を建てて住んでいる借地人は、土地の所有権をもっていないので土地そのものを売ることができませんが、「土地の借地権+建物」を売却することは可能です。
底地というのは、借地権が設定されている土地のことをいいます。底地は購入しても自由に利用することができないため、一般的な土地の売却に比べて買い手を探すのが難しいといえます。
借地や底地を売るときの注意点は?
借地人が、借地権付きの建物を売却する場合には、地主の許可が必要になるケースが一般的です。勝手に売却することはできないので注意しましょう。
底地は借地人に購入してもらえれば売却がスムーズです。借地人に購入の意思がない場合は専門の買取業者に売却する方法もありますが、売却価格は低くなります。
「借地も底地も、売却をするときは借地契約書の制約を受けることになります。契約内容は地主によってさまざまですから、売却を検討するなら、まずは借地契約書を確認しましょう」
遠方の土地を売るときの注意点
インターネットでの集客が可能な地域の場合
遠方のエリアへの住み替えでそれまで住んでいた土地を売却する場合や、遠方にある実家の土地を相続したけれど使わないため売却する場合、不動産会社選びはどうすればいいのでしょうか。やはり、土地の所在地の近くで営業している会社がいいのでしょうか。
「今は、不動産の売り出し情報はインターネットで得ることができる時代です。インターネットでの集客が可能な地域で土地を売るなら、地元の不動産会社にこだわる必要はないかと思います。土地のある地元かどうかよりも、土地売却の経験が豊富かが重要です」
インターネットでの集客が見込めない地域では?
地域によってはインターネットでの集客が難しいケースも多くあります。その場合、地元の不動産会社やその地域に詳しい不動産エージェント(不動産取引を行う代理人)に依頼する方法があります。
「土地の流通があまりないエリアでは、売りたい土地のお隣の方や近隣の方が購入するケースもあります。測量をしていると、お隣の方から『土地、売るんですか?おいくらくらいですか?』などと声をかけられて売却につながることがあります」
このケースでの注意点は、知り合いへの売却であっても売買契約書や重要事項説明書を用意し、適正な価格で売却すること。不動産取引には専門的な知識が必要ですから、個人間売買ではなく不動産取引の専門家(不動産会社や不動産エージェント)に仲介してもらうことでトラブルが起きるリスクを回避しましょう。

契約不適合責任にも注意
契約不適合責任とは?
土地売買での契約不適合責任とは、引き渡した土地が契約内容と異なると判断された場合に、買主を保護するもの。不適合とされる内容によっては、売主に対して損害賠償請求や代金減額請求がされることがあります。
土地の売却ではどんなことが契約不適合責任を問われる?
土地の売買では、地中に埋設物があり撤去が必要な場合、土壌汚染があった場合などのケースで、契約不適合責任に問われる可能性があります。
売買契約書に記載しておくべき重要事項は?
土地を引き渡した後も、長期にわたって契約不適合責任を負わなければならない場合、多額の損害賠償の可能性を恐れて、土地の売却ができなくなる人もいるでしょう。
そこで、重要なのは売主が負う責任の範囲と期間を売買契約書に明記すること。例えば土地の土壌汚染などの懸案事項は契約書に記載し、買主と合意のうえで売主の契約不適合責任の免責を明記。また、買主が売主に契約不適合責任を通知できる期間を、引き渡しから3カ月以内など具体的に設定し、特約として売買契約書に記載しておくことなどが大切です。
引き渡し後のトラブルを防ぐためには、契約不適合責任についての知識や経験がある不動産会社に相談できるかがポイントです。

契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いや免責特約、注意点などについて解説
土地を売るときの流れと注意ポイント
売却を決めてから引き渡し・確定申告までの流れを把握
売主として必要な行動や準備を知っておくと、土地の売却完了まで落ち着いて、スムーズに進められます。

必要書類の準備・情報収集
土地を取得した際の書類や固定資産税の納税通知書、土地の測量図など、手元にどんな書類があるかを確認しておきましょう。また、不動産会社に査定を依頼する前に、周辺で土地の取り引きがあるか、いくらで売り出されているかなどの情報収集もしておきましょう。
不動産会社を探す
土地や土地付き一戸建ての仲介を手がけている不動産会社を探します。不動産会社のオフィスを訪ねてみてもいいですし、インターネットで不動産会社のホームページを検索する方法もあります。
複数の不動産会社に査定を依頼
土地の売買のノウハウが豊富そうな不動産会社が複数見つかったら、土地の査定を依頼します。その際、更地で売るのか、一戸建てを残したまま売るのかといった条件を揃えて依頼することが大切です。
SUUMO不動産売却一括査定からも複数の不動産会社に査定依頼ができます。
不動産会社と媒介契約を結ぶ
1社または複数の不動産会社を選び、媒介契約を結びます。媒介契約には『専属専任媒介契約』『専任媒介契約』『一般媒介契約』があり、1社と契約する場合は専属専任媒介契約、専任媒介契約、複数社と契約する場合は一般媒介契約となります。
| 専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
|---|---|---|---|
| 同時に契約できる社数 | 1社 | 1社 | 複数社 |
| 売主と買主との直接取引 | 不動産会社の仲介が必要 | 不動産会社の仲介は無しで売却可能 | 不動産会社の仲介は無しで売却可能 |
| 契約期間 | 最長3カ月 | 最長3カ月 | 規定はないが、行政の指導により最長3カ月が一般的 |
| レインズへの登録 | 契約から5営業日以内の登録義務 | 契約から7営業日以内の登録義務 | 登録義務なし |
| 販売状況の報告 | 7日に1回以上の報告義務 | 14日に1回以上の報告義務 | 報告義務なし |
売却活動スタート
不動産会社の担当者が広告などを使って売却活動を行います。土地付きの一戸建ての売却の場合、内覧は不動産会社の担当者が立ち会いますが、売主も立ち会うことで買主の人となりがわかったり、売却にかかわる諸条件の調整がその場でできるなどのメリットがあります。
買付申し込みを受け取る
不動産会社を通して購入希望者からの買付申し込みを受け取ります。購入希望価格や引き渡し条件などを確認し、回答・調整します。
売買契約を結ぶ
売主と買主の条件が合えば売買契約の締結です。
引き渡し・決済
契約が済んだら、買主から手付金を引いた代金を受け取ります。所有権移転登記を司法書士に依頼し、引き渡しとなります。
確定申告
土地を売却することで利益が発生した場合は納税のために確定申告をします。税額の控除や特例を受ける場合も確定申告が必要です。
土地を売るときにかかる諸費用は?
不動産会社に支払う仲介手数料
土地を売却するときには、さまざまな諸費用がかかります。不動産会社に仲介をしてもらい、売買が成立した際には不動産会社に手数料を支払います。仲介手数料の上限は下の表のように土地の売却価格によって決まりますから、高く売却するほど仲介手数料も高くなります。
| 売却価格(税抜) | 仲介手数料の上限 |
|---|---|
| 200万円以下 | 売却価格(税抜)×5%(+消費税) |
| 200万円超から400万円以下 | 売却価格(税抜)×4%+2万円(+消費税) |
| 400万円超 | 売却価格(税抜)×3%+6万円(+消費税) |
なお、2024年7月からは「低廉な空き家等の媒介特例」が適用され、不動産売買価格が800万円以下の中古物件は、原則の仲介手数料を上回る「30万円+消費税」を上限として、不動産会社が請求できるようになりました。
土地の測量費用がかかることがある
土地の売却をするとき、登記簿に記載されている面積でも売買契約はできます。しかし、長年所有している土地の場合、実際の面積と登記簿の面積にずれがあることもあります。買主や隣地所有者とのトラブル防止や、買主から測量を求められた場合には、実際の面積や境界を明確にしておくのがいいでしょう。
測量は土地家屋調査士が行いますが、費用は土地の面積や形状、隣接地の数などによって異なります。一般的には数十万円程度ですが、土地の状況によっては数百万円がかかることもあります。事前の見積もりが大切です。
不動産売却に境界確定測量は義務? 測量が必要な理由、かかる費用、流れを解説
更地にする場合は解体費用がかかる
築年数の古い一戸建てがある土地を更地にして売却する場合は、建物の解体費用がかかります。解体費用はここ数年で高騰しており、その背景には2021年の大気汚染防止法の改正があります。解体ゴミの分別や再資源化などに費用がかかり、アスベスト(石綿)の飛散を防止するための規制も厳しくなっています。以前は首都圏の30坪程度の木造一戸建てで100万円程度の解体費用だったのが、最近は300万円程度が必要なケースもあります。
古家が残っている土地よりも、更地のほうが早く売れることがありますから、不動産会社と相談して解体費用をかけて更地にするか、古家付きのまま売るかを検討しましょう。
一戸建て(家屋)の解体費用相場は?解体手続き・流れなどの基礎知識も紹介
土地を売るとかかる税金は?確定申告は必要?
譲渡所得(利益)が発生すると譲渡所得税がかかる
所有している土地や建物、株式、ゴルフ会員権、貴金属などを売却して得た利益を「譲渡所得」といいます。譲渡所得には所得税、住民税、復興特別所得税が課税され、これらをまとめて『譲渡所得税』と呼びます。
土地や建物などの不動産を売却したときは、成約価格=譲渡所得ではありません。『成約価格(譲渡収入金額)』から、『その不動産を取得するためにかかった費用(取得費)と売却にかかった費用(譲渡費用)』を差し引いて、譲渡所得がプラスになると譲渡所得税がかかることになります。

譲渡所得税の税率は土地の所有期間によって異なる
土地や建物など不動産の場合、譲渡所得にかかる税率は所有期間によって異なります。境目は所有期間5年。5年以下は短期譲渡所得として所得税は30%、住民税は9%。所有期間が5年を超えると税率が下がり所得税15%、住民税5%となります。

マイホームの土地で所有期間10年超は譲渡所得税がさらに軽減
マイホーム(居住用財産)の土地を売却して売却益が出た場合、所有期間が10年超なら譲渡所得税が軽減される軽減税率の特例が適用されます。適用されるのは課税譲渡所得6000万円以下の部分で、所得税は10%、住民税は4%に軽減。課税譲渡所得6000万円超の部分は、長期譲渡所得と同じ税率です。
3000万円の特別控除の特例で課税譲渡所得から最大3000万円を控除
マイホーム(居住用財産)を売却した場合、課税譲渡所得から最大3000万円を控除できるのが「居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例」。適用になれば、譲渡所得3000万円以下の場合、譲渡所得税がゼロになります。
土地のみを売却した場合でも、マイホームが立っていた土地であれば控除を受けることが可能です。ただし、更地になった理由によって適用要件が以下のように異なります。
家屋を取り壊した場合の適用要件
家屋を取り壊した日から1年以内に売買契約を締結
住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却
家屋を取り壊してから売買契約を締結した日まで、貸し駐車場などその他の用に供していないこと
災害で滅失した場合の適用要件
住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却
【自宅売却の税金対策】3000万円特別控除とは?要件や必要書類を解説
土地売却にかかる税金の種類や計算方法は?節税になる控除・特例も解説
土地の売却で確定申告が必要なケースに注意
土地を売って確定申告が必要になるのは、譲渡所得が発生したときです。そのほか、税金が安くなる特例を受けるときにも確定申告が必要です。特例によって税額がゼロになったり、売却で損失が出たりした場合も、特例を利用するなら確定申告を忘れないよう注意しましょう。
なお、土地を売却して発生した利益と、そのほかの所得(給与や退職金以外の配当所得や雑所得など)の合計が20万円以下の場合、ひとつの会社に勤務している給与所得者で勤務先で年末調整を受けていれば確定申告は不要です。ただし、住民税の申告は必要です(住民税の申告は所得税の確定申告を行った場合は原則不要)。

土地売却で確定申告は不要?申告する場合の必要書類、節税になる特例を解説
売買契約書の作成に印紙税がかかる
土地を売却した場合、譲渡所得税以外にもかかる税金があります。
売買契約書など特定の文書を作成したときには印紙税がかかります。印紙税は売買契約が成立したとき、売買契約書に収入印紙を貼り、印鑑などで消印することで納税します。
税額は売買契約書にかかる不動産の売買契約金額によって決まりますが、2027年3月31日までの契約は軽減税率が適用になります。
| 売買契約金額 | 本則税額 | 2027年3月31日までの軽減税率 |
|---|---|---|
| 10万円超50万円以下 | 400円 | 200円 |
| 50万円超100万円以下 | 1000円 | 500円 |
| 100万円超500万円以下 | 2000円 | 1000円 |
| 500万円超1000万円以下 | 1万円 | 5000円 |
| 1000万円超5000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
| 5000万円超1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
| 1億円超5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
※軽減税率の対象期間は2027年(令和9年)3月31日の契約まで。契約金額10万円以下は、軽減措置の対象とならず税額は200円(表作成/SUUMO編集部)
不動産売買契約書に収入印紙は必要?印紙税(印紙代)がいくらかかるかの一覧表で解説
売却で住宅ローンを完済すると登録免許税がかかる
金融機関が抵当権(担保権)を設定していた土地を売却して住宅ローンを完済した場合は、抵当権を抹消する『抵当権抹消登記』を行います。このときにかかるのが登録免許税。税額は不動産1個に対して1000円。1個の土地と建物それぞれに抵当権が設定されていれば、登録免許税は2000円になります。登記の申請を司法書士に依頼した場合は、司法書士報酬が別途かかります。
抵当権抹消登記の費用は?司法書士に依頼する場合と自分で行う場合を比較
不動産会社に払う仲介手数料に消費税がかかる
不動産会社の仲介で土地の売却が成立した場合、不動産会社に仲介手数料を支払います。その仲介手数料には税率10%の消費税がかかります。仲介手数料は土地の売却価格によって決まりますから、高く売却するほど消費税も高くなります。
個人間で土地を売買するときの注意点
不動産会社を通さずに売却はできる?
不動産会社を通さずに、個人で売却することは可能です。しかし、注意点もあります。
「売却をする土地のお隣の方が購入するケースなどで不動産会社を通さないことがあります。仲介手数料がかからないといったメリットはありますが、土地の取引には確認すべき項目が多く、個人での取引はトラブルのもと。正直、おすすめはしません。コストはかかりますが不動産会社に仲介してもらうのがいいでしょう」

不動産(土地・家)は個人売買できる?リスクやメリットやデメリット、取引の流れから注意点を徹底解説
土地の売却を依頼する不動産会社探しの注意点
土地売却は経験豊富な不動産会社担当者に依頼
土地は立地や広さ、形状などによって、買主を見つけやすくなる売却方法が異なります。更地にするほうが売りやすいのか、建物は残しておいたほうがいいのか。立地や広さによってはアパートを建てるなど土地活用を視野に入れた買い手を探すのが効率的なこともあります。
「売り方を見極めて査定額を出し、売り先を探すには、不動産売買の経験値が高い人がよいかと思います。土地だけでなく、戸建てやマンション、1棟建てのアパートなど、さまざまな取り引きの経験があることが、頼れる不動産会社担当者選びのポイントの一つです」
頼れる不動産会社はどうやって探す?
土地を売るときに頼りになる不動産会社や担当者は、どうやって探すのがいいのでしょうか。
「不動産の取引内容はさまざまですから、不動産会社や担当者によって得意な分野もあれば、経験のない分野もあります。例えば、大都市の中心部を営業エリアにしている不動産会社では、一戸建てや土地の売買を経験したことのない営業担当者もいます。不動産会社の規模や担当者の経験年数で依頼先を選ぶのではなく、これまでにどのような売買に携わってきたのかを尋ねてみることが大切です。
また、不動産会社のホームページには、現在売り出し中の物件が掲載されていることも多いですから、土地を多く取り扱っているか、成約になっているかなどを見ておくのもいいでしょう」
土地の売却は、更地で売るケースもあれば、土地付きの一戸建てとして売るケースもあります。また、相続した土地や遠方の土地、共有名義の土地など、土地のタイプによっても注意点が異なります。複数の不動産会社に査定を依頼し、頼りになる不動産会社と出合うことで、スムーズな土地売却につなげましょう。
らくだ不動産 マネージャー/トップエージェント。宅地建物取引士。
行政書士として不動産トラブルの相談を多数受けていた中で、日本の不動産仲介業界の不透明さを強く実感。消費者にとって一番良い不動産取引を目指すべく、欧米型エージェント制度を導入した不動産会社、AI×リアル(不動産)を促進する大手不動産会社の各創業に参画。以後、全国にエージェント制を広めるために、らくだ不動産に入社。不動産売却のプロとして、今まで3500件を超える相談を受ける。モットーは「正しく、フェアに、透明性を持った仕事を」


