不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

愛知県名古屋市Wさん(40代)/夫が急逝。眺めの良い自宅マンションを売却し、生まれ育った東京へ戻る

愛知県名古屋市Wさん(40代)/夫が急逝。眺めの良い自宅マンションを売却し、生まれ育った東京へ戻る

愛知県名古屋市の好立地のマンションで3人暮らしをしていたWさん。夫が亡くなり、地元である東京に戻って新生活を始めるべく、マンションの売却に踏み切りました。

不動産区分 マンション
所在地 愛知県名古屋市
築年数 約10年
間取り・面積 2LDK(66m2
ローン残高 なし
査定価格 3200〜3500万円
売り出し価格 3990万円
成約価格 3900万円

夫が亡くなったのをきっかけに、築10年のマンション売却を決意

10年前に新築で購入した66m2、2LDKのマンションに、夫と子どもと暮らしていたWさん(40代)。地下鉄の駅から徒歩数分、ターミナル駅からも徒歩圏という好立地で、中層階からの眺めも抜群。ファミリー向けというより単身や2人暮らしが多いマンションだったそうです。

2020年夏、夫が急死。ローンを完済した矢先のことだったといいます。「とにかく急なことで、気持ちの整理もつかなかったのですが、まずは自営業だった夫が借りていた店舗を引き払うことから始めました。従業員にも解散してもらわなくてはなりませんでしたし、設備や備品を処分するのもとても大変でした」

1カ月ほどかけて廃業の手続きを済ませたあと、これから子どもとの生活をどうするか考えたというWさん。Wさんはもともと東京出身。10年住み慣れたマンションでしたが、思い切って売却し、東京に戻って新生活を送る決意をしました。翌春、子どもが受験を控えていたこともあり、早く落ち着いて生活することを望んだのです。

査定価格より500万円高く売り出しスタート

2020年9月、Wさんはマンションの売却に向けて動き出します。まずは参考までにいくらで売れるものか知りたいと、近所の不動産仲介会社や、ポストに入っていた「マンションを売りませんか?」というチラシにあった不動産仲介会社に電話。簡易査定を受けたところ、価格は3200万〜3500万円でした。金額よりも、早く売却して落ち着きたいと考えていたWさんでしたが、これからのことを考えると「あまり安くても…」と不安に感じたそうです。

そんなとき、声をかけてくれた会社がありました。「夫がお世話になっていた税理士事務所に相続の手続きをお願いしていたのですが、そこの不動産部門の方から『手数料を通常の半額にするので当社でどうですか』とお話をいただいたのです」。相続の件も含めて一社にお願いできるならスムーズだし、手数料半額の申し出もありがたいと考えたWさん。契約書に書かれていた専任媒介で、媒介契約を結ぶことにしました。

「立地的にも間取り的にも売りやすい物件」と言われたこともあり、Wさんの希望は4000万円。ただ、3000万円台の方が、多くの人に購入検討されやすいとのアドバイスから、売り出し価格は3990万円に決めました。「最初から頑張らなくても、まずはこの価格で載せてみて、ダメなら値下げを考えればいいと思いました。自分でいうのもなんですが、キレイに住んでおり、担当者からも『10年住んでいるとは思えない』と言われまして。やや強気の価格でのスタートになりました」
その後、内見の準備のために部屋の片付けなどを進め、物件ポータルサイトに広告を載せたのは10月半ばのことでした。

売り出したその週末に、1組目でスピード成約

反響はすぐにありました。初めて広告を載せた水曜日、その日のうちに3件ほど問い合わせがあり、うち1組はすぐに見たいとのこと。「その週の土曜日に内見に来られて、なんと翌日の日曜日には決まってしまいました。年配のご夫婦だったのですが、奥様がキッチンからの眺望をとても気に入ってくださったようです」

内見に来た夫婦がマンション購入を即決

価格は3700万円に下げてもらえないかと打診されたものの、まだ1組目だったことから、3900万円までならOKと返事。その価格で売却できたといいます。

「東京での住まいはおいおい考えようと思っていたのですが、思いのほか売却が早く決まってしまって。夫が出張のときなどのために東京に借りていたマンションを解約せずにいたので、とりあえずそこに子どもと住むことにしました。先方も賃貸住まいですぐには出られないとのことで、お互い準備期間を設け、12月中旬に引き渡しとなりました」

■仲介会社の選び方

不動産仲介会社の選び方は、ネットからの査定申し込み、チラシ、銀行からの紹介、系列不動産会社からの紹介などがあります。ネットの一括査定は、複数の仲介会社に一度に査定をしてもらえるのがメリット。客観的な相場がわかります。マンションは、分譲会社に仲介部門がある場合もあります。また紹介の場合は、手数料の割引サービスなどがあることも。いずれにせよ、仲介会社を選ぶ際には1. 査定価格の根拠 2. 担当者との相性 3. サービス内容 を比較検討して決めるのがおすすめです。

売り出してわずか数日で、ほぼ売り出し価格での売却に成功したWさん。「こんなに早く決まるなら、もっと高く売り出してもよかったかなと思うくらい。それでも、わが家をとても気に入ってくれた方に買っていただけたのはうれしいですし、受験のタイミング的にも年内に引き渡せたのもよかった。とにかくスムーズに運べたので、10点満点の売却経験でした」。Wさんは現在もその賃貸マンションに住みながら、ゆっくり次の住まい探しをしているそうです。

2020年7月 ・夫が亡くなり、マンション売却を考えはじめる
2020年9月 ・マンションの売却価格査定
・地元の不動産会社と専属媒介契約を結ぶ
2020年 10月 ・3990万円で売り出し
・購入希望者が現れる
・売却価格を3900万円に変更
2020年12月 ・売買契約を結ぶ
・物件の引き渡し

まとめ

  • 物件を見ない簡易査定は低めでも、現地査定では高評価のことも。眺望の良さも大きなポイントに
  • 相続の場合は、銀行や税理士などが不動産仲介会社を紹介してくれることもある
  • まずは希望価格で売り出してみて、反響次第で価格を見直してもいい

取材・文/塚田真理子 イラスト/沼田光太郎

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