不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

愛知県名古屋市中村区Kさん(40代)/築16年の駅近・都心の便利なマンションを売却し、静かで落ち着いた住宅街の新築マンションへ住み替え

愛知県名古屋市中村区Kさん(40代)/築16年の駅近・都心の便利なマンションを売却し、静かで落ち着いた住宅街の新築マンションへ住み替え

名古屋市の都心マンション(築16年・3LDK)から、心機一転新たな環境を求めて住宅街への住み替えを行うことにしたKさん。利便性の高い都心の駅近マンションでありながら、予想以上に苦戦したという売却活動についてお話を伺いました。

不動産区分 マンション
所在地 愛知県名古屋市中村区
築年数 約16年
間取り・面積 3LDK(76m2
ローン残高 なし
査定価格 3600万円〜3900万円
売り出し価格 4100万円
成約価格 3400万円

長い都心での生活から、住宅街への住み替えを希望

Kさんが15年前に購入したのは、当時築1年の駅近・都心の小規模マンション。未入居住戸が3880万円から3500万円まで値下げされているのを知って購入を決めたそう。

「駅徒歩3分。都心のオフィス街に立つマンションで、通勤時間は15分。小規模マンションなのに、築1年たっても10戸くらい未入居住戸があったんです。実物を見に行くと、とても便利な立地にあるし管理状態も良くて、すぐに気に入り購入しました。76m2の3LDKでちょうど良い広さも気に入りました。380万円も値下げされていたし、お買い得だと思ったんです。ミッドランドスクエアにも近く、ここなら将来的に賃貸需要も見込めるだろうという目算もありました」

購入時は新婚で夫婦2人暮らしだったKさんでしたが、15年がたって家族構成にも変化がありました。

「通勤も買い物も便利で住み心地が良く、とても気に入っていました。でも、子どもが10歳になりましたし、なんとなくもう少し郊外の静かな住宅地での暮らしにも憧れはじめて。ちょっと環境を変えてみたくなったんですよね。エリアは都心まで通いやすく、住環境の良さそうな千種区か東区で探していました。新築でも中古でも、マンションがいいなと思っていました。母が一戸建てに住んでいるのですが、一戸建ては庭の手入れやメンテナンスが大変そうでね。マンションは何かと便利だし、もしまた住み替えたいとなっても売ったり、貸したりしやすいかなと思って。自走式駐車場があって、今より広い100m2くらいの物件を探していました」

明確な希望条件があったKさんは、インターネットの物件検索サイトを活用して、2020年1月から新居探しをはじめました。

「中古マンション2件、新築マンション2件の候補が見つかり、それぞれすぐに問い合わせをしました。実際の物件やモデルルームを見学した上で、千種区の新築マンションに決めました。気に入った理由は、間取りです。それまで住んでいたマンションは普通の間取りだったのですが、そこは半地下になった1階住戸で、広いテラスが付いていました。どこかしらほかとは違う間取りがいいなと思っていたので、希望条件にぴったりの物件でした」

マンションの購入は2回目とあって、エリアチェックなど条件の確認は慎重に行ったといいます。

「都心まで電車1本で出られる立地、文教地区で転勤族も多いんです。駅徒歩8分で、通勤は今までの倍かかりますが、静かすぎるくらい静かな住宅街。コンビニは駅前にあるだけという以前とはまったく違った環境も気に入りました。希望通り、以前より広い93m2、3LDKの部屋を6580万円で購入しました。以前と違って自走式駐車場なので、大きい車に買い替えられるのも楽しみでした」

15年間ずっと同じ担当者から届いていた売却物件募集チラシ

住み替え先が無事に決まり、4カ月先に控える引っ越しに向け、売却活動もスタートさせることになりました。

「売却するマンションには15年間住んでいましたが、入居直後からずっと大手不動産会社のチラシがよく入っていたんですよ。この辺のエリアを担当している方の名前やプロフィールも書いてある手づくり感があるチラシなんです。担当した物件のことやエリアの強みなどが丁寧に書いてあって、お会いしたことはなくても勝手に親近感が湧いていたんですよね。なんとなく誠実そうで、16年も変わらずにずっと担当されている方なので、信頼できそうだなと思って連絡を取りました」

担当者は当該物件の取引実績もあり、査定額を聞いたところ3600万〜3900万円とのことでした。

「歳も近く、話が合ったことからほかと比較検討することなく、すぐに依頼を決めました。ところが、媒介契約後すぐに、担当の方が転勤になってしまったんです。15年もずっと同じエリアを担当されていたのに、よりによってこのタイミングで……と残念でしたね。若手の担当者が引き継いでくれたのですが、やっぱり話の内容が少し浅い感じがしましたね」

査定額より高めの4100万円で売り出しスタート

2020年3月の契約直後に担当者が変わってしまいましたが、すぐに売り出しを開始しました。

「査定額は3600万〜3900万円とのことでしたが、ちょうど名古屋市内の物件相場が全体的に上がっていたこともあり、少し強気の4100万円で売り出すことにしました。名古屋の人は郊外需要、一戸建て需要が高いのですが、都心の需要もそれなりに増えているし、条件の良い物件なのでこれくらいの価格でも売れるんじゃないかと思ったんですよ。近隣企業が社宅用として購入してくれるんじゃないかと思って、まずはネット掲載やチラシなどでの販売活動を行わず、その不動産会社の顧客などに案内をしてもらうことになったんです」

しかし、Kさんの思惑通りに事は進まず3カ月が経過。専属専任媒介契約を更新して、7月からはネットへの掲載も開始。一般向けにも広く情報を公開することにしました。すると、すぐに購入検討者からの問い合わせが入りました。

「一般公開を始めて10日ほどで『3950万円ならすぐに買います』という方がいらっしゃったんです。その値段ならいいかと、すぐに売買契約の段取りを進めてもらったのですが、契約の2日前になって突然キャンセルしたいと連絡が入りました。詳細はわからないのですが、売れた!と喜んだ分、かなりがっかりしましたね。それ以降ぱったりと問い合わせも減ってしまい、住み替え先の引っ越しが迫る中、ちょっと焦りました」

一旦は賃貸物件として貸し出すことも検討したものの、コロナ禍でテレワークが推奨され都心の需要が下がっている時期でした。

「都心のファミリー物件の賃貸経営は、少しリスクが高いなと思いました。ローンは完済していたので、5年くらいはこのまま売れなくても大丈夫かなと思いましたが、固定資産税もかかりますしね。家は住まないと痛みますし、持っているだけでどんどん価値が下がっていくのは嫌だなと思ったんです。だから、できるだけ早く良いタイミングで手放したいと思っていました」

マンションが売れない理由を考えるイメージ

契約2日前でのキャンセルを経験するも、8カ月後に無事売却

「その後、数件の問い合わせが入りましたがなかなか成約にまで至らず……。物件見学に立ち会って感じたのは一般の購入検討者の方はなんだか少し決定軸がぶれている人が多いのかなということでした。なので、10月の契約更新のタイミングでまた法人にターゲットを絞って売却活動を進めてもらおうかと考えていた矢先、『3400万円なら買う』という方が現れたんです。700万円の値下げは大きいですが、そもそも査定額は3600万円〜3900万円でしたし、コロナ禍でしばらく都心需要は高まりそうにないですし、その金額で了承しました。何より、買い手の方がとても良い方だったんです。自分もとても気に入っていた物件だったので、この人なら売りたいと思えて、ご縁を感じたんですよね」

成約価格は大幅に下げることになったものの、良い方と巡り合えて満足だと語るKさん。

「売却は初めての経験でしたが、自分でも勉強が必要だなと感じましたね。ある程度、自分でも知識をもった上で、プロとしての見解を聞く感じで、売却価格を決めたり、販売方法を相談したりするのが良かったんだろうなと思います。なりゆきで1社だけにしか相談に行かなかったのは、ちょっと失敗だったかもしれないですね。一括査定も利用して、査定額や担当者の情報量なども十分に比較検討した上で、依頼先は慎重に選ぶべきだと思いました」

■一括査定とは

一括査定とは、売却予定の不動産情報を入力するだけで、複数の不動産会社にまとめて売却価格の査定依頼ができるサービスのことです。このような不動産一括査定サイトはWEB上に複数あり、無料で利用できます。査定結果が届いたら、各社の査定額や売却プランなどを比較して、条件の合致した不動産会社へ仲介を依頼することができます。各不動産会社が提示する査定価格には差が出る場合もあります。これは査定方法や実績、経験などによる違いがあるためです。不動産価格には定価がないため、自分自身でも事前に周辺相場を調べておくことをオススメします。ある程度の相場がわかっていれば、価格ギャップが生じた際も比較検討しやすくなるでしょう。一括査定での査定額=売れる価格ではありません。一番高い査定額を提示した不動産会社に依頼したからと言って、その価格で取引が成立するわけではないため、高額査定だったからと安易に依頼先を決めるのではなく、査定額の根拠を確認してから判断しましょう。
一括査定を利用する最大のメリットは手間がかからないことですが、手軽だからといって、安易に複数サイトの一括査定サービスを同時に利用すると、たくさんの不動産会社から連絡が入ることになり、対応が大変になってしまいます。電話で対応できる時間帯の指定やメールでの連絡を希望するなど、要望欄に記入してうまく対応できるようにしましょう。

2020年1月 ・住み替え先を探し始める
2020年3月

・住み替え先となる新築マンションの売買契約を結ぶ
・売却物件の専属専任媒介契約を結ぶ

・一般非公開で仲介会社の顧客などへの売却活動をスタート

2020年7月

・一般向けにも売却活動を広げる
・購入検討者が現れるが契約2日前にキャンセルの連絡が入る
・住み替え先に引っ越し

2020年10月 ・購入検討者が現れる
2020年11月 ・売却物件の売買契約を結ぶ
2021年1月 ・売却物件の引き渡しが完了

まとめ

  • 実績をベースに出された査定額は売りやすい妥当な金額であることが多く、査定額から大幅に外れた高値で売り出しを開始すると成約まで長引くケースが多い
  • ローンの残高がない場合は、旧居の売却よりも新居の購入を先に行うことで、新居選びに集中しやすい上、引っ越しの際に仮住まいを用意する必要もなく効率的
  • 一括査定なども利用して複数社の査定額や売り出し方の比較検討をして、依頼先を絞るべき
売却査定する

取材・文/馬場敦子 イラスト/村林タカノブ

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