
神奈川県川崎市に新築マンション(3LDK)を購入したMさん一家は、地方への転勤が続いたことからやむを得ず手放すことを決意。市場の上昇傾向に乗りつつ不動産仲介会社と的確にやり取りし、遠方にいながら速やかな売却に成功しました。
| 不動産区分 | マンション |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県川崎市 |
| 築年数 | 4年 |
| 間取り・面積 | 3LDK(約80m2) |
| ローン残高 | 約5900万円 |
| 査定価格 | 7000万円 |
| 売り出し価格 | 7000万円 |
| 成約価格 | 6850万円 |
地方への転勤が続き、購入した川崎市のマンションを売却することに
Mさん(40代)は会社員の夫と小学生の子どもとの3人暮らし。夫は転勤族であるものの、辞令のほとんどが都内のため、東京都に通える範囲なら問題ないと2013年に約6700万円で神奈川県川崎市に新築マンションを購入します。
最寄駅へは徒歩約15分。隣駅は複数の路線が乗り入れるターミナル駅で利便性は上々でした。建物は中庭を囲むロの字型で、お子さんを遊ばせておけるキッズルームがあり、子育てにも安心。シンプルな約80m2・3LDKで、角住戸のため窓が多いのも特長です。
しかし住んで約1年が経つころ、思いがけず関西への転勤が決まり、家族で社宅に引っ越すことになります。
「留守にする間、賃貸に出すのも考えたのですが、夫の同僚のご家族から『いざ帰ろうとしたときに入居者と交渉することになって大変だよ』と聞いて。家賃収入は魅力ですが、タイミングよく戻れないのは困ります。関西にいるのは3年の予定だったので、夫が関東出張のときに泊まる場所にしたり、たまに近くの親戚に見てもらったりして、空室にしておくことにしました」
ところが、いよいよ帰れるかと思った3年後、今度は東海方面に転勤することに。
「安価に社宅を利用するには自宅があることが条件。ローン返済しながら社宅に住むのと、マンションを売却して賃貸に住むのでは、前者の方が少し割高。その上でさらに数年、家を空けるのは負担だと思いました」
加えてもう一つ、理由がありました。購入当初はリビングの正面は駐車場だったのですが、Mさんが関西にいる間に一戸建てが建ち、窓から向かいの室内が見えるように。このことでMさんは「売却をしよう」と決断します。
■転勤と住宅の問題とは
転勤等によってマイホームを家族全員で離れるときは、「賃貸」「空き家」「売却」の3つの選択肢があります。 「賃貸」の場合、家賃収入が見込めることが魅力ですが、管理業務の委託費用や借主との交渉など手間やコストがかかります。空き家にすれば当座のコストはかかりませんが、不在期間が長いと家が傷むのでときどきメンテナンスが必要になります。また、「賃貸」「空き家」だと、住宅ローンの名義人もその家族も家に住んでいない間は住宅ローン控除を受けられなくなるため注意しましょう。 「売却」する場合は、今のローン残高以上の価格で住宅が売れるのかを査定で確認しましょう。ローン残高が売却代金を上回った場合は、その差額を手持ちの資金で補う必要があります。 それぞれメリット・デメリットがあるため、複数の専門家に相談するなどして進めましょう。
物件をよく知り、対応も丁寧なグループ企業の仲介会社と媒介契約
いざ売却を決めたものの、遠く関西にいながらどうやって川崎市の物件を売ればいいかMさんは思案します。所有していたマンションは大手の不動産デベロッパーが手がけた物件。グループ企業の不動産仲介会社であるA社から「売却時はお声かけを」とチラシを受け取っていたのを思い出します。
「川崎に住んでいたころ、同じマンションで売却している方がちらほらいて、すべてA社が仲介しているようでした。この物件のことを理解しているでしょうし、安心感もありました」
A社の担当者は、必要なことだけを聞いてくれて、質問の返しもスムーズ。「今だと購入時と同じか、もっと強気で売れます」ということを、裏付けとなる資料を基に丁寧に教えてくれたといいます。
「担当者の話によると、隣駅に竣工したタワーマンションが人気で、売り切れが続出。そこを買えなかった人が私たちのマンションに目を向けているため、需要が高まっているとのこと。 実際、近隣で売り出されているマンションの価格を見ると思ったより高値がついていて、すぐに売れていました。わが家も流れに乗れば価格を下げることなく売却できると思いました」
早速、査定をしてもらったところ、実際に暮らしていたのが1年未満で状態が良いこともあり、査定額は予想していたより高い7000万円に。心配していたリビングからの景観はマイナスポイントになりませんでした。 今後の資金計画のために、「なるべく短期間で損を出さずに売却したい」と願っていたMさん。A社が一番、信頼が置けると考え、2017年7月、専属専任媒介契約を結びます。
内覧会の実施後、数人から反響が。値引き交渉に快く応じ速やかに売却
A社ではまず、自社で運営する不動産サイトに物件情報をアップ。続いて内覧会を開くことにし、玄関ドアの前に日時を記した立看板を備えます。
「サイトには空室の写真を掲載したのですが、『もし反響がなければ家具を入れて見映えよく撮影し直しましょう』と言われていました。もちろん対応はありがたいのですが、私たちとしてはなるべく手間をかけず、すぐに決まってほしい一心。時間がかかるのが一番心配だったので『もし反響がなかったら』とハラハラしていました。 週に一度、メールで報告をもらっていたのですが、内覧の告知をしたところで数名の方から問い合わせがあったと聞いたときは、心底ほっとしました」
物件を売り出している間に一家は次なる転勤先の東海エリアに引っ越し。その最中、2017年8月に買主の候補が現れます。
「同じマンションの方が、『広めの角部屋に住み替えたい』と興味をもってくれたようでした。私たちの思う売却の最低ラインは、購入価格よりやや低い6500万円。その条件さえ守れれば良かったので、150万円の値引き交渉に二つ返事。すぐに売買契約を交わしました」
遠方でも万全の体制で売却に成功。経験を活かしてマンションを購入
A社と媒介契約を交わしてからは担当者に鍵を渡し、販売活動をすべて委ねていたというMさん。売却するまでに現地を訪れたのは、「訪問査定」と「売買契約」のときの2回だけといいます。
「本当に必要なことを各回に集約することで、遠方に住みながら売却することができました。 マンションを購入した不動産会社のグループ企業で、担当者が書類や手続きの仕方についてよく把握していたことも大きいと思います」
それから約2年後、再び東京都への異動が決まり、2020年1月に神奈川県横浜市に新たにマンションを購入。
「前回の部屋は少し広すぎたため、今度は71m2に。反省を活かし、向かいに家の建つ心配のない物件を選びました(笑)。 はじめての売却を通して感じたのは、『人気エリアのマンションでないと、簡単には売れない』ということ。すぐ買い手がついたのは本当にラッキーでした」
いつでも臨機応変に歩むMさん一家であれば、今後もはつらつと暮らしてゆくことでしょう。
| 2017年5月 | ・マンションの売却を考えはじめる ・簡易査定をする |
|---|---|
| 2017年7月 | ・訪問査定をする ・不動産仲介会社と専属専任媒介契約を結ぶ ・7000万円で売り出し |
| 2017年8月 | ・購入検討者が現れる |
| 2017年9月 | ・買主と売買契約を結ぶ ・売却したマンションを買主に引き渡す |
まとめ
- 同じマンションの売却を多く扱っている不動産仲介会社は、マンションの魅力を理解しており売却活動がスムーズになることも
- 売却物件の近くに人気の新築物件がある場合、近隣の売却相場が変動する可能性がある
- 訪問が必要な用件をできるだけ集約し、担当者と連絡を密に取れば、遠方の売却も可能
取材・文/星野 真希子 イラスト/めんたまんた


