
相続した実家のマンションを10年以上管理してきたNさんですが、だんだん負担になってきました。物件の地元にある不動産会社の対応に不満があり、全国規模の大手不動産会社にしぼって査定を依頼。すぐに訪問してくれた不動産仲介会社の担当者を信頼し、すべてお任せして販売活動を行いました。築年数が50年以上なので売れないだろうと思いこんでいたNさんですが、すぐに反響があり、1080万円で売却。査定価格も聞かず売り出し価格の設定も一任しましたが、後悔はなく、2週間で売却できて満足しています。
| 不動産区分 | マンション |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県川崎市多摩区 |
| 築年数 | 約50年 |
| 間取り・面積 | 2DK(48m2) |
| ローン残高 | なし |
| 査定価格 | 不明 |
| 売り出し価格 | 不明 |
| 成約価格 | 1080万円 |
相続した実家を管理して10年以上、住む予定はなく売却を決める
千葉県内で夫と暮らすNさんは、親が亡くなって10年以上、相続した神奈川県川崎市の実家のマンションを管理していました。マンションには、Nさん夫妻や子どもが数年住んだこともあります。売却前は、賃貸をしていましたが、入居者が決まらない期間も増えていました。
マンションは、近くに保育園や小学校がある閑静な住宅街にあり、最寄駅から徒歩4分。48m2の広さで、もともと3DKでしたが、Nさんが一時期住んだころに2DKにリフォームしてありました。
「夫は転勤が多く、仕事に便利な場所を転々としていましたが、定年退職し、2019年1月ごろ、息子の家の近くに一戸建てを購入しました。実家のマンションに再び住む見込みが完全になくなり、売却を決めました。管理組合の総会に参加したり、賃貸契約の入退去時に立ち会ったり、年に数回、通う必要があり、面倒に感じていたのもありますね。毎月2万6000円の管理費と火災保険料がかかり、維持費が負担になっていたので迷いはありませんでした」
電話での問い合わせ後、即訪問してくれた不動産仲介会社と契約
すぐに不動産会社を探し始めたNさん。当初、川崎市の地元の不動産仲介会社に問い合わせましたが、対応が悪く、全国規模の大手にしたいと考えました。2社に電話をしたところ、そのうちの1社がすぐに自宅に来てくれました。担当者の熱意を感じたNさんは、その不動産仲介会社と専属専任媒介契約を結び、すべて任せることを決めました。
「子どもが一時期暮らしたとき、2回リフォームしており、壁紙の張り替えやサッシの取り換えを行い、水まわりもきれいになっていました。全部で700万円近くリフォーム代がかかっていたので、1000万円くらいで売れたらいいなと考えていました。でも、どちらかと言えば、金額より、とにかく早く手放したいという気持ちでした」
不動産仲介会社の担当者を信頼して、販売活動はすべてお任せ
不動産仲介会社には、「仲介手数料を引いたあと1000万円手元に残るようにしてほしい」と希望を伝え、あとはすべてお任せしました。電話やメールで報告がありましたが、「逐一報告しなくてもいいから、決まったら連絡してほしい」とお願いしました。

不動産仲介会社がチラシのポスティングを行い、インターネットの不動産情報サイトへ掲載すると、すぐに内見希望者が現れました。Nさんは内見対応に立ち会わず、鍵を現地に置いて、担当者にすべてお任せ。何人くらいの内見者がいたのかはっきりわかりませんが、最終的に同じマンションに居住していて、もう一部屋ほしい人が購入を決め、2019年2月、1080万円で売買契約を結びました。
「担当者を完全に信用していたので、売り出し価格も知らないんです。担当者は必ず売れると言っていましたが、築50年以上たつマンションが売れるのか半信半疑でした。本当に買う人がいて驚きです。リフォームしてきれいだったせいか、同じマンションの売却相場より高く売れました。同じマンションなので、物件の良さを理解してくれて嬉しかったです。内見後、即決してもらい、値引き交渉もなく気持ちのいいやりとりでした」
■仲介手数料の相場
仲介手数料の金額については、宅地建物取引業法で次のように上限が定められています。売買価格が200万円以下の部分は、取引額の5%以内、200万円超400万円以下の部分は、取引額の4%以内、400万円超の部分は、取引額の3%以内です。例えば、売買価格帯で決められている仲介手数料の上限額を400万円超の売買価格に当てはめた式にすると、200万円×5%+200万円×4%+(売買価格―400万円) ×3%+消費税になります。売買価格400万円超の場合、速算式(売買価格×3%+6万円+消費税)を使ってもっと簡単に仲介手数料を求める方法があります。
2週間で終えた売却活動。すべてお任せで快適な取引だった
売却を決めてから引き渡すまで、わずか2週間の売却活動でした。
「あっという間でしたね。査定価格も売り出し価格も知らないままだったので、言いなりになってしまったかも……。すぐに購入希望者が現れたので、粘ればもっと高く売れたのではという思いもありますが、たとえ、損をしていてもいいんです。はじめての売却で不安がありましたが、不動産仲介会社の担当者も購入者も気持ちのいい人で、ストレスなく売却できて満足しています」
築50年を迎えたマンションは、大規模修繕するか建て替えるかで住民同士の議論が絶えず、年に数回でも通うのが憂鬱だったそうです。現在は息子さんの家の近くにそばに建てたついのすみかで老後の暮らしを楽しんでいます。
| 2019年1月 | ・売却を意識し始める ・不動産会社と専属専任媒介契約を結ぶ ・販売活動の開始 |
|---|---|
| 2019年2月 | ・購入者が現れる ・1080万円で売買契約を結ぶ ・物件の引き渡し |
まとめ
- 電話や訪問査定時の担当者の対応を見れば、信頼できるか判断しやすい
- 築年数が古くても、リフォーム済であれば、同じマンション内の売却相場より高く売れる場合もある
- 不動産仲介会社にすべてお任せするのは煩わしくない一方で、売り出し価格や売却価格について後で疑問が生じることもある
イラスト/村林タカノブ


