不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

築60年の賃貸併用住宅を相続。価格の妥協でチャンスを逃さずに売却/東京都文京区Kさん(60代)

東京都文京区Kさん(60代)/築60年の賃貸併用住宅を相続。価格の妥協でチャンスを逃さずに売却

東京都文京区にある、築約60年の賃貸併用住宅が建つ土地を相続したKさんは、管理・維持の大変さから手放すことを決意。地元に強い不動産仲介会社と媒介契約をすると同時に買主が現れ、スムーズな売却を実現しました。

不動産区分 古家付き土地
所在地 東京都文京区
築年数 約60年
間取り・面積 土地面積…約120m2
ローン残高 なし
査定価格 8000万円
売り出し価格 7000万円
成約価格 6500万円

相続した賃貸併用住宅が建つ土地を売却

東京都と千葉県に一戸建てを持ち、双方を行き来しながら暮らしていたKさんのご両親は、Kさんが大人になると千葉県の住居を譲り、自分たちは東京都で生活するように。その後ご両親は他界。Kさんが東京都文京区にある住まいと土地を相続することになります。

物件があるのは、東京メトロ丸ノ内線の最寄駅から徒歩約10分の住宅地。敷地に面する道路の幅が狭く、車の出し入れに若干の難があるものの、約120m2と家を建てるには十分な広さ。しかしすぐに買い手が見つかるとしても、なかなか売却する気にはなれなかったと言います。

「およそ100年前、関東大震災のころに祖父が入手したのち、両親が受け継いで住んできた土地。60年ほど前に賃貸併用住宅に建て替え、3部屋のうちの2部屋に入居者がいました。 そのため両親に代わってアパート経営をできれば良かったのですが、築約60年と老朽化しており、大がかりな修繕が不可欠でした。再び建て直し、家賃収入を得てローン返済しながら管理・維持したとしても、膨大な資金と労力がかかります。かといって所有しているだけでは毎年の固定資産税が負担になります。 残したい気持ちは山々でしたが、生前、父親は『万一のことがあったら売却していい』と言ってくれていたこともあり、手放すことにしました」

長年の入居者からの紹介で、信頼の置ける仲介会社を見つける

売却活動に入ることにしたKさんは、「両親が賃貸併用住宅を建てるときにお世話になった不動産会社に頼みたい」と考えましたが、60年以上も前のことで見当がつきません。どうしたものかと思いつつ、並行して入居者に立ち退きのお願いをしていたところ、思いがけず縁に恵まれます。

「入居者に不動産会社を営んでいる親戚がいらっしゃって、その方が『まだ決まっていないようならA社を紹介しましょうか?』と声をかけてくれたんです。 早速、担当者に会ってみるといわゆる地場の不動産仲介会社で、『この辺りの土地の相場』『築古の家がある場合の査定価格の違い』『譲渡所得にかかる税金』などを親身にアドバイスしてくれて。ここなら大丈夫かなと思いました」

「最初は古家を解体し、更地にしてから売却することも考えたのですが、時間と経費がかかるうえに、それで高値がつくとも限りません。そのため古家は買主に取り壊してもらうことにし、その分、値引きした価格をつけることに。そのうえでA社は、8000万円という十分に納得できる価格をつけてくれました。いくら立地が良いとはいえ、ほかの会社でも同等の金額になるかはわかりません。こうしたことも大きかったです」

Kさんは全面的に信頼できると判断し、2016年12月、A社と専属専任媒介契約を結びます。

■古家付き土地の売却とは

木造住宅の法定耐用年数は22年とされていますが、耐用年数を過ぎた住宅でも「土地(古家付き土地)」として売り出すか、「中古一戸建て」にするかの明確な基準はありません。古家を残したまま土地を売り出す場合は、売主は古家に対する責任(契約不適合責任など)は負わず、購入後、どうするかは買主の自由です。ただし、古家付き土地は解体の手間がかかるため、更地より安値で売り出すことが一般的です。いっぽう更地にすると、「住宅用地の軽減措置特例」が受けられなくなるため、固定資産税が高くなります。双方にメリット・デメリットがあるため、不動産仲介会社に相談しながら売却の方針を決めるとよいでしょう。

すぐに買主が現れるも、相続手続きに時間を要し500万円のダウン

媒介契約を交わして早々に買主が現れます。

「文京区で土地を探している不動産会社(B社)がいるので紹介しますとのこと。業界の横のつながりですぐ見つかったようです。ただ先方の要望は7000万円で、これ以上の金額では難しいと言われて。正直、1000万円の差は大きいのですが、自分としてはまだ許容範囲。ほかに声があがらないのであれば、こちらでお願いしたいと伝えました」

相続の手続きが済んだら売買契約に移るつもりでいたKさんですが、ここで予想外のことが起こります。

「相続人の確認作業に思いのほか手間取ってしまい、売買契約できるまで数カ月かかることが見えてきたんです。ただちに買い取りたいという相手の意向があるなかでお待たせすることになりました」

2017年2月、ようやく相続の手続きを終えますが、そこで買主から値下げ交渉があります。

「『あと500万円引いてもらえないか』ということでした。あまりに値切られるなら白紙に戻してもいいと覚悟していたのですが、もともと最低ラインは6500万円くらいかなと思っていたので、それを守れるならまあよいかなと。こちらも時期が遅れてしまったわけですし、ほかに買い手が出る様子もありません。手を打つことにしました」

2017年2月、Kさんは買主のB社と売買契約を結びます。

住み継いだ土地を惜しむ気持ちはあるが、早々に売却できたことは幸運

「売却した文京区の土地は、交通の便は良いものの、いわゆる旗竿地。それだけに買主の候補が1社しか現れなかったのかもしれません。実際、今もたまに近くを訪れた際、土地を見にいくことがあるのですが、まだ新たな家屋などが建つ様子はなく更地のまま。 買主が決まらずに時間だけが過ぎると気を揉むので、その点がスムーズにいったのはラッキーでした。でも祖父から住み継いできた土地を手放したのは今でも少し心残り。その分を差し引いて全体の満足度は80%といったところでしょうか」

不動産を売却して出た譲渡所得税と住民税が合わせて1200万円だったことに驚いたものの、蓄えができたのはメリットだと話すKさん。 ご自身とご家族の将来のための資金にし、これからも実りある暮らしを送ってゆくことでしょう。

2016年10月 ・古家付き土地の売却を考えはじめる
2016年12月 ・訪問(現地)査定をする
・専属専任媒介契約を結ぶ
・古家付き土地の購入者が現れる
2017年2月 ・買主と売買契約を結ぶ
2017年3月 ・売却した古家付き土地を買主に引き渡す

まとめ

  • 地元密着型の不動産会社は、周辺の取引数が多く相場に詳しいため、実情に合ったアドバイスも期待できる
  • 相手から何度も値下げ交渉をされることもある。大幅に損をしないよう予め最低ラインを決めておこう
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取材・文/星野 真希子 イラスト/めんたまんた

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