
築50年の実家をきょうだいで相続したYさん。敷地が広過ぎて売れるかどうか心配だったそうですが、1カ月という早さで売却に成功。どのように売り出したのか、お話を伺いました。
| 不動産区分 | 古家付き土地 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都清瀬市 |
| 築年数 | 築50年 |
| 間取り・面積 | 土地面積…約300m2 |
| ローン残高 | なし |
| 査定価格 | 3100万円 |
| 売り出し価格 | 3100万円 |
| 成約価格 | 1780万円 |
勤務先の系列不動産会社の紹介で媒介契約先を決定
Yさんが実家を相続したのは2017年のこと。約300m2の敷地に、築50年になる7LDKの古家。空き家のまま数年経っていた古家のことが気になり、きょうだいで相談して売却を決めたのは相続から半年が過ぎた2018年の春ごろでした。
「みんな離れて暮らしていますので、私が代表して売却活動を行うことになりました。一応、相場を知るためにネットの一括査定も利用しつつ、以前からつながりのあった不動産会社にも直接相談。実家のあるエリアに精通した大手2社を紹介してくれるとのことで、そちらで詳しく話を伺い、査定を依頼することにしました」
2社とも更地にして売り出した方が良いという見解で、査定額は3000万円前後。どちらの担当者もとても親切で丁寧な対応だったそうですが、Yさんはより高い査定価格を提示してくれたほうに依頼を決めました。
古家は解体。更地にしてから売却することに
「担当者からのアドバイスに従い、古家は取り壊して、更地にした状態で3100万円で売り出すことになりました。中途半端に広い敷地ですし、最寄駅からは徒歩10分以上かかるため、本当に売れるかどうか不安でしたね」
しかし、Yさんの心配とは裏腹に売り出し開始後すぐに担当者から連絡が入ります。
「どうやら見込み客がすでにいたようでした。駐車場として利用したいという地元不動産会社から購入の打診があったそうです。売り出し価格そのままの値段で購入してもらえるとのことで、すぐに契約の話へと進みました」
売り出しから1カ月後には売買契約が成立。あっという間に相続した物件の売却が終了しました。
担当者のサポートを受け、空き家特例を活用し譲渡所得控除を申請
「媒介依頼先の担当者からは税金面のアドバイスもしっかりとしていただき、控除申請の手続きなどのフォローもしていただけました」
Yさんは、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例を利用すれば、譲渡所得の金額から最高3000万円まで控除することができるという制度を利用したそうです。
「当時、2019年12月31日までの特例だったので、適用期間内で売れればいいですねと当初から担当者に言われていたので、利用できて良かったです。結果的にはその後の税制改正で適用期間が延長されたんですけどね」
きょうだいで相続した物件だったので、自分でもある程度はネットなどで相続に関する情報を調べていたというYさんでしたが、遺産分割協議書の作成などのサポートもしてもらえてとても助かったと振り返ります。
「税理士を紹介していただき、法務局での手続き、対応なども安心してお任せすることができました。準備する書類などがたくさんありましたし、手厚くフォローしていただけたのはありがたかったですね」
■不動産の相続手続き
家や土地などの不動産を相続する際、法務局への相続登記は3年以内に行うことが義務となっています。まずは遺言書の確認をし、遺言書がない場合は遺産分割協議を行います。そして相続した財産の名義を変更する相続登記を行うという流れになります。手続きには、相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書・住民票の写し、被相続人(亡くなった人)の戸籍謄本・住民票の除票、相続人の住民票、不動産の登記事項証明書、固定資産税評価証明書、遺産分割協議書、相続手続きを代表で進める申出人の氏名・住所を確認する書類、委任状など多くの書類が必要となります。書類の発行費用は5000〜2万円程度で、遠方にある役所から書類を取り寄せる場合には500円前後の郵送料がかかります。不動産の相続手続きは準備する書類も多く、想像以上に複雑なため、一般的に税理士や司法書士などの専門家に依頼するケースがほとんどです。その場合の費用は5〜8万円程度となります。
売却後の手続きも手厚くフォローしてくれた担当者に感謝
「欲を言えば3500万円〜3600万円くらいで売れたらいいなと思っていたのですが、相続したものですからね。問題なくスムーズに事が運んだこと、査定額通り無事に売れたこと、きょうだいも納得してくれていることに満足しています。初めての売却体験でしたが、非常に勉強になりました」
| 2017年9月 | ・実家をきょうだい3人で相続 |
|---|---|
| 2018年春ごろ | ・売却を検討 ・ネットで一括査定し相場を確認 ・古家の解体 |
| 2018年8月 | ・勤務先の系列不動産会社経由で紹介された大手仲介会社と専属専任媒介契約 ・3100万円で売り出し ・購入検討者が現れる |
| 2018年9月 | ・売買契約成立 |
まとめ
- 空き家だった期間が長い古家は、売り出し前に解体するかを一度検討しよう
- 見込み客がいる会社に仲介を依頼すれば、迅速な成約につながりやすい
- 使える税制などの情報は、不動産仲介会社の担当者にも相談しよう
取材・文/馬場敦子 イラスト/カワモトトモカ


