
東京都府中市にある築27年の一戸建て(5LDK)を相続、4300万円で売却したKさん。200m2以上の広すぎる敷地、最寄駅からの遠さ、独特の間取りと、難しい条件が重なり、売り出しから3週間は購入希望者からの反応がゼロだったそうです。
| 不動産区分 | 一戸建て |
|---|---|
| 所在地 | 東京都府中市 |
| 築年数 | 約27年 |
| 間取り・面積 | 5LDK(延床面積…約140m2、敷地面積…約210m2) |
| ローン残高 | なし |
| 査定価格 | 4480万円 |
| 売り出し価格 | 4480万円 |
| 成約価格 | 4300万円 |
200m2超の一戸建てを相続後、すぐに売却手続きを開始
2019年にKさんが相続したのは最寄駅から徒歩で15〜16分、バスで7分という閑静な住宅街に建つ2階建て5L D Kの広々とした物件。築27年ながら建材にこだわって建てられた、つくりに凝った住宅でした。数年前には壁を塗り替え、屋根は葺き替えたばかり。まだまだ十分に住める状態ではあったものの、200m2を超える敷地は広すぎる上に、2人暮らし用につくり込まれた間取りのため、そのままの状態では住みづらく、一般的に売りにくいとされる物件だったそうです。
「広すぎるし最寄駅からのアクセスが良くないので、賃貸住宅として貸し出してもニーズがなさそうですし、そのまま置いておくにしても遠方なので管理が大変です。相続以前から、相続したら売るしかないと考えていました」
相続手続きを担当した金融機関からの紹介で仲介会社を決定
物件を相続したKさんは、相続手続きなどを担当してくれた金融機関から紹介してもらった不動産会社に専属専任媒介で売却を依頼しました。
「売却時期を急いでいたわけでもなく、売却額に関しても特に希望はありませんでした。最寄駅の近くには商業施設があって便利な街ですが、駅から徒歩で約15分、バスで約7分と少し距離がある場所にありますし、200m2超と広い敷地なので、買い手がつくかどうかが心配で。とにかく売れてくれればいいなと考えていました」
金融機関から紹介されたのは大手の不動産会社でした。 査定価格は4480万円。特に希望価格もなかったので、そのままの価格で売り出したそうです。 売却する物件は東京都府中市にあり、埼玉県に暮らすKさんは現地の価格相場や周辺状況などの知識が少なかったため、情報量もノウハウも豊富な担当者にすべてお任せしたそうです。週1回、集客状況などの報告を受けるだけで、何も負担に感じることや問題はなかったと言います。
■レインズとは
国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステム「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」のことで、頭文字をとってレインズ(REINS)と名付けられ、組織の通称となっています。全国の地域ごとに分けられており、東日本レインズ、中部レインズ、近畿レインズ、西日本レインズの四つがあります。不動産業者のみが登録・利用でき、登録すると全国の不動産売買物件の情報が閲覧可能となり、販売中物件の検索や成約価格実績などを調べることができます。
売り出しから3カ月で、建売住宅販売会社が購入。測量登記分を上乗せした価格で交渉し成約
難しい条件が重なった一戸建ての売却で、買い手が現れるのかが心配だったKさん。予想通り3週間ほどは反応がゼロという報告が続き、ちゃんと売れるのかと少し不安になったそうです。
「興味をもってくださる方からお問い合わせが入っても、広さと価格がネックでなかなか成約まで至らないという状態のまま3カ月ほどたったころ、建売住宅の建築会社さんが買いたいと申し出てくださいました。そのままの広さではやはり売れないので、分割して2軒の建売住宅を建てて販売するとのことでした。壊すにはもったいない立派な建物でしたので、成約後に解体されるということを聞き、少し寂しい気分になりましたね。価格は4200万円で購入したいとのことでしたが、こちらで測量登記をする必要があり、その費用として100万円上乗せしていただき、4300万円で成約となりました。価格交渉なども仲介会社さんにお任せして、すべてやっていただけたので助かりました。査定価格より180万円ダウンとなりましたが、とにかく売れることが最優先事項でしたので、無事に売れたことにホッとしました」
情報量の豊富な信頼できる会社にすべてを任せて正解
遠方からの売却だったKさんですが、不動産仲介会社の対応によって安心して売却活動を進められたと言います。 「不動産仲介会社の方が、査定の実績データを記した分厚い資料を最初に持ってきて、丁寧に説明をしてくださったので、安心して一任することができました。仲介会社の方は売買のプロですし、さまざまな情報に長けていらっしゃいます。一般の購入者だけでなく、さまざまな企業とのつながりをおもちなので、どうにか買い手を見つけてくださるだろうと思っていました。きちんと週1回、売却活動の状況を報告していただき、どこに営業しているかなどもメールでお知らせいただいていたので、私たちはただ待つだけで事が進んでいきました。思い出も少なからずあった建物でしたが、残しておいても住まい手がいなくては管理が大変なだけで持て余していたと思います」
広い家なので売り出し前の室内の片付けがとても大変だったそうですが、スムーズに売却が完了して「満足度は90%!」と教えてくださったKさんでした。
| 2019年6月 | ・物件を相続し、室内の家具などを処分 |
|---|---|
| 2020年1月 | ・金融機関から紹介された不動産仲介会社と専属専任媒介契約を結ぶ |
| 2020年2月 | ・4480万円で売り出し |
| 2020年5月 | ・建売住宅販売会社から購入の申し出がある ・4300万円で売買契約を結ぶ |
| 2020年6月 | ・物件を引き渡し |
まとめ
- 広すぎる物件はニーズが限られ、価格面のネックもあり売りづらいことも
- 遠方からの売却は、売却活動を任せられる信頼のおける不動産会社を見つけることが大事
- 売り出し価格より低い購入希望額を提示されても、即座にOKせず、諸費用や仲介手数料などを鑑みて冷静に再交渉を
取材・文/馬場敦子 イラスト/キットデザイン


