不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

子どもの成長で手狭になった築35年・2LDKのマンションをオープンルームで売却/東京都葛飾区Mさん(40代)

東京都葛飾区Mさん(40代)/子どもの成長で手狭になった築35年・2LDKのマンションをオープンルームで売却


東京都葛飾区に10年前に中古で買ったマンション(築35年・2LDK)が手狭になり、より広い家に住み替えることにしたMさん。住み替え先を購入・引越してからの売却活動で、1300万円で売り出し、1200万円で成約しました。エリアの事情に詳しい担当者を信頼し、査定額がもっとも低かった不動産会社をパートナーに選んだといいます。

不動産区分 マンション
所在地 東京都葛飾区
築年数 約35年
間取り・面積 2LDK(58m2
ローン残高 なし
査定価格 1200万円~1500万円
売り出し価格 1300万円
成約価格 1200万円

購入から10年目で住み替えを決意、買い先行での売却活動スタート

東京都葛飾区在住のMさんは、妻と子どもの3人暮らし。約10年住んだマンションを手放し、新しい家に住み替えようと決めたのは、2017年10月ごろのことです。

「子どもが成長して手狭になってきたことがきっかけですが、ほかにも理由があります。中古で買ったフルリノベーション物件なので、家の中はきれいでしたが、浴室に追いだき機能がないのが不便で。エントランスがオートロックでないことや、宅配ボックスがないことも不満に感じるようになっていました」

当時Mさんが暮らしていたのは、東京都葛飾区にある築35年のマンションで、間取りは58m2・2LDK。設備面では古さがあるものの、住戸内は10年前にフルリノベーションされた今どきの間取りと仕様。大手不動産会社による分譲物件でもあり、売り出せば興味をもってくれる人はきっといるだろうと考えていました。

「30年返済で組んだ住宅ローンは、毎年繰り上げ返済をして完済していました。新居の頭金も用意できていたので、売却を急ぐ必要はありません。それに住んでいる状態での内見は、見せる方も見る方も、何となく心地悪いものです。そこで住み替え先を先に決めて、見学してもらいやすい空き家の状態にしてから売り出すことにしました」

住み替えの際、住み替え先の物件を先に購入することを「買い先行」といいます。売却予定の物件に住宅ローンが残っている場合は、売却活動が長引くと、購入物件と売却予定物件のローンを並行して支払う期間(ダブルローン)が生じる場合がありますが、Mさんのケースではローンを完済していたのでその不安はありませんでした。

クリーニングを入れて査定より100万円高い価格で売り出す

売却を思い立ってから半年後、住み替え先のマンションが決まりました。2018年秋に引越しを済ませたMさんは、12月に入ってからいよいよ売却に取り掛かりました。

「査定の前に、インターネットの不動産情報サイトでノウハウ記事などを読んで売却について勉強しました。第一にエリアに強い会社であること。査定価格が低くても、確実に売ってくれる不動産会社を選びたいと考えました。インターネットで一括査定を申し込み、葛飾区に強い4社に簡易査定をしてもらったところ、査定価格は1200万円~1500万円でした。まずは、一番低い価格をつけた不動産会社に訪問査定を依頼しました」

訪問査定でついた査定価格は1200万円。Mさんは、訪問査定時のやりとりで営業担当者が地元の事情や取引事例に精通していることを実感し、堅実な査定価格の根拠にも納得したといいます。営業担当者の「任せてください。売る自信があります!」という言葉を信頼して、その1社と専属専任媒介の契約を結びました。担当者からは、売り出す前にハウスクリーニングを入れたほうがいいとアドバイスがあったそうです。

「やんちゃ盛りの子どもがいたので、空き家にしたらかなり汚れていて、自分でもそのまま売るのは厳しいなと思っていたんです。クリーニングをしたら見違えるようにきれいになったので、不動産仲介会社と相談して査定価格に100万円上乗せし、1300万円で売り出すことにしました」

オープンルームを実施。2カ月目に購入希望者が現れる

2019年1月に販売活動を開始。不動産仲介会社は自社のWEBサイトに情報を載せ、周辺にチラシを配布し、オープンルームも行いました。

「最初の1カ月は反応が芳しくなく、この調子で売れるだろうかとドキドキしましたが、2カ月目に入っても内見者がいたので安心しました。不動産仲介会社の担当者からは週1回の報告のほか、今、こんな人が検討しているなど逐一、電話で連絡があったのも安心材料でした」

■オープンルームとは

オープンルームとは、不動産仲介会社等の中古住宅の販売・集客方法の1つで、中古マンションや一戸建て物件を特定の日に開放し、一般客に自由に中を見てもらうことです。売主の許可を得たうえで、周辺にチラシなどを配布して日時を告示し、当日は入口に立て看板などが出されます。買い手にとっては、気軽に家の中をチェックでき、売主にとっては集客を見込めるメリットがあります。居住中で不特定多数に家を開放することに不安を感じる場合は、不動産仲介会社に別の集客方法を依頼するといいでしょう。

オープンルームを1月と2月に実施し、合計4組が内見に訪れました。反応が気になったMさんはひょっこり顔を出して、来場者の質問に答えたそうです。

「地元の方や、葛飾区に住みたい方が見に来てくれました。内見者に聞かれたのは、周辺環境はどうか、騒音はないか、マンションの住人同士でトラブルはないか、管理費の滞納者はいないか、など。物件を見ただけではわからないこともありますから、検討者の方も売主から直接話を聞いて安心したのではないでしょうか」

そして2回目のオープンルームの後、4組目の内見者から購入の意思表示があったという連絡が入りました。

「ついに購入希望者が現れたかとホッとしました。ただし指し値が入って、相手の希望価格は売り出し価格より100万円低い1200万円。ある程度の値下げは覚悟していて、仲介手数料などを差し引いて最低でも1000万円は手元に残したいと考えていました。少し粘って交渉しましたが、最終的には相手の希望価格で売却することに決めました」

購入者ができるだけ早く入居したいということで、その後の段取りはスムーズに進み、2019年3月に売買契約、4月に引き渡しとなりました。

堅実な売り出し価格とオープンルームが奏功、2カ月でスピード売却

売却開始からほぼ2カ月で購入者が決まり、売却価格も査定通り。「満足しています」とMさん。

「地元に強く、堅実な査定額をつけた不動産会社を選んだのが成功の要因でしょう。売り出し前のクリーニングやオープンルームの開催など、売り出し方法もスタンダードですが的確だったと思います。 また、ローンが終わっていたので、マンションの売却代金を当てにせず、新居の資金計画が組めました。今回の売却代金はまるごと子どもの教育資金に充てるつもりです」

新居は千葉県まで範囲を広げて探し、最終的に選んだのは前居から500m圏内の築浅マンション。物件探しをする中で、住み慣れたエリアの魅力を再確認したそうです。ペット可のマンションなので、引越しを機に猫を2匹飼い始めたというMさん。「猫のおかげで家が明るくなりました」と満足そうに語ってくれました。

2018年 秋 ・新居に引越し
2018年12月 ・一括査定・現地査定を受ける
・不動産会社と専属専任媒介契約を結ぶ
2019年1月 ・1300万円で売り出し
2019年2月 ・購入希望者が現れ、交渉する
・1200万円で合意
2019年3月 ・売買契約を結ぶ
2019年4月 ・物件引き渡し

まとめ

  • 査定価格は高ければいいわけではない。複数社から査定を取り、査定額の根拠を確認しよう
  • ハウスクリーニングを入れるだけで物件の印象は変わる
  • オープンルームは集客に効果的。売主の対応が検討者の安心につながる
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取材・文/小宮山悦子 イラスト/キットデザイン

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