不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

古家付き土地を売却したい! 中古一戸建てや更地とはどこが違う?

古家付き土地を売却したい! 中古戸建とはどこが違う?

家屋が立った状態の土地を所有していて売却したい場合、「現況のまま『古家付き土地』として売り出す」「家屋を解体して更地にして売り出す」「現況のまま、または手を入れて『中古一戸建て』として売り出す」という3つの選択肢が考えられます。
そして、どの売り出し方を選ぶかについては特に規制や条件はないので、売主が判断することになります。
この記事では、3つの選択肢の判断の目安やメリット・デメリット、注意点などを紹介していきます。

記事の目次

「古家付き土地」と「中古一戸建て」の違い

まずは、3つの選択肢のうち、「古家付き土地」と「中古一戸建て」の違いについて説明します。
土地と、その上の家屋をセットで売るという意味では「古家付き土地」と「中古一戸建て」は同じです。売り出す際に、土地と家屋どちらの価値を購入検討者にアピールするかによって選択が変わってきます。このときの判断材料になるのが、家屋のコンディションと市場ニーズです。
「家屋の傷みや老朽化が激しく、住まいとして市場価値を認められない状態なら、土地として売り出すことになります。逆に、メンテナンスが行き届いていて住まいとして十分に機能するようなら、中古戸建てとする手もあります。その場合は、エリア内で土地と中古戸建てのどちらの市場ニーズが高いのかを確認してから決めることになります」(あゆみリアルティ―サービス・田中歩さん、以下同じ)
上記を踏まえると、まずは「土地」として売り出すのか「中古一戸建て」として売り出すのかを検討し、土地として売り出すことにした場合は、家屋を残す「古家付き土地」にするのか、家屋を解体して更地にするのかを検討するという順番にするのが妥当でしょう。

土地・家屋の売り出し方を決める順番

(画像作成/SUUMO編集部)

古家を解体するかどうかの判断基準

土地として売り出すことを選択した場合は、家屋を残したまま「古家付き土地」として売り出すのか、家屋を解体して更地で売り出すのかを検討することになります。解体には、当然コストがかかりますから、検討時には費用対効果も視野に入れる必要があります。以下で、解体するかどうかの判断材料について解説していきます。

老朽化の程度

先の田中さんのコメントにもあったとおり、メンテナンスが行き届いていて、住まいとして十分に機能する場合は無理に解体する必要はないでしょう。
「住まいとして機能するなら、修繕して使いたいというニーズもあります。築30年や50年という古い建物でも、状態が良ければ価値を見出す人もいますから」
また、老朽化や経年劣化が激しい場合でも、即解体すべきとはなりません。
「明らかに売主が解体すべきなのは、倒壊や発火など、買い手が見つかるまでの間に近隣に迷惑をかける恐れがある場合です。住まいとしての市場価値はないものの、近隣に迷惑をかける恐れがない場合は、競合となりうる物件を見定めてから判断すべきでしょう。更地にすることで解体費用以上に価格設定を上げられ、競合物件との差別化につなげられるような場合などは、解体に踏み切ったほうがベターとなります」

古家のイメージ

(写真/PIXTA)

居住中なのか空き家状態なのか

家屋に居住中で、買い手が見つかってから転居しようと思っている場合は、当然、解体の必要はありません。「売主が住んでいる=住まいとして機能している」という前提で考えれば、先の老朽化の話題に照らしても問題ないでしょう。
一方、相続などで空き家状態になっている場合は、買い手が見つかるまで売主に管理責任があります。雑草が生い茂って冬場には火災が懸念される、敷地が不法投棄のターゲットにされて悪臭が発生しているなどという事態には、売主が対処しなければいけません。このようなリスクがあるうえ「自身の居住地から遠く離れている」「仕事が忙しくて管理に手間を割けない」などという場合は、解体したほうが無難かもしれません。

想定される購入者像

マイホームとして購入物件を探している一般の人がメインターゲットになる場合、買い手にとって解体費用は大きな出費です。つまり、解体して更地にしておいたほうが売れる可能性が高くなるわけです。一方、ターゲットによっては解体しても特に魅力アップにはならないこともありえます。
「マンションや戸建ての開発事業者が購入ターゲットとして想定できる場合が一例です。開発事業の予算規模から見れば、一戸建ての解体費用は微々たるものとされるケースが少なくありません。このような場合、事業者にとって古家付き土地か更地かは重要な関心事ではないので、売主がお金をかけて解体する意味はほとんどありません。
このように、想定される購入者像によって取るべき手段は変わってきますので、売却をサポートしてもらう不動産仲介会社とよく相談してみてください」

既存家屋と同条件で家を新築できるかどうか

都市計画法にのっとり、都道府県が一体の都市として総合的に整備・開発・保全の必要があると判断した区域を「都市計画区域」といいます。そして、現行の建築基準法では、都市計画区域内で建物を新築する場合、敷地が幅4m以上の道路と2m以上接していることが条件になります。これを「接道義務」といいますが、地域によっては数値がより厳しく設定されている場合もあります。
売ろうとしている土地上の家屋が建った後に都市計画区域に指定されたなどで、接道義務を満たしていないと、建物を新築できないことがあります。こうした物件を「再建築不可物件」といいます。主に、以下に示した2例が再建築不可物件です。

再建築不可物件

(画像作成/SUUMO編集部)

現行の接道義務を満たしていないケースには、土地と接している道路が4m未満というパターンもあります。このような場合、再建築不可にはなりませんが、建物を新築する際には下図例3のように敷地を後退させる必要があります。なお、敷地を後退させることを「セットバック」といいます。
土地には、そこに建てられる家屋の広さや大きさを制限する「容積率」「建ぺい率」が、地域ごとに定められています。セットバックすれば敷地が狭くなりますから、新築時には既存家屋と同条件の規模にできない可能性が高くなるわけです。
また、接道義務の面では問題なくても、既存家屋が建った後に地域の容積率や建ぺい率が従前より小さく変更されていれば、やはり既存家屋と同規模の家を新築できない可能性があります。以上のように、法律などが変わったことで既存家屋と同条件の家を新築できない物件のことを「既存不適格」といいます。

セットバック

(画像作成/SUUMO編集部)

「再建築不可」や「既存不適格」でも、建て替えではなくリフォームなら住み続けられる可能性があります。このような物件の場合は、古家を残しておいたほうが売りやすくなることも考えられるのです。
「再建築不可や既存不適格でなくても、土地が三角形などの不整形地だった場合は、『こういう家を建てられるのか』とイメージできるため、古家を残した方が買い手に好印象を与えられるケースもあります。建築基準法に適合しているかどうかも含め、やはり不動産仲介会社に相談してみるといいでしょう」

解体費用の程度

地域相場などを調べ、更地にすることで古家付きよりもどれくらい価格設定を上げられるのかを確認したうえで解体費用の見積もりをとれば、解体すべきかどうかの判断材料になります。
「古家付き土地として売り出す場合でも、価格設定するうえでは解体費用を踏まえる必要があるので、きちんと把握しておくべきです。解体事業者から見積もりをとってみてください。解体事業者はネットでも探せますし、不動産仲介会社から紹介してもらってもいいでしょう。引っ越し同様、見積もり自体は無料なので、できれば複数社に依頼して、作業内容や金額の妥当性を検討するのが望ましいですね」
なお、古家に残した家具や家電も処分してもらえますが、ものによっては別途、廃棄処分費用がかかります。複数の見積もりをとって比較する際には、金額だけでなく、どのような内容が加味されているかも確認しましょう。

自治体の助成の有無

木造建築物密集地の解消などを推進するため、解体費用の助成制度を設けている自治体も少なくありません。例えば川崎市の場合、最大で100万円の補助を受けられます(下画像参照)。制度の有無や期限、対象となる地域などを確認してみましょう。特に、更地のほうが需要を喚起しやすいエリアの場合は、助成制度を活用できれば、解体してから売りに出すほうがプラスに働く可能性があります。

木造家屋密集市街地の改善チラシ

(出典/川崎市

古家付き土地として売り出す場合のメリット・デメリット

以下では、家屋を現況のまま残して古家付き土地として売り出す場合に考えうるメリットやデメリットについて解説します。

【メリット1】解体費用をかけずに、すぐ売り出せる

古家の規模や敷地の立地条件によってまちまちですが、解体には100万円以上かかるケースが大半です。もちろん、更地にした場合でも、解体費用は売却金で補えますが、売りに出してすぐに買い手が表れるとは限りません。この点を考えると、費用を負担せずに済むのは古家付き土地のメリットと言えるでしょう。
また、購入希望者が現況を確認できる状態で、すぐに物件情報を公開できる点も、古家付き土地として売り出す手軽さです。

【メリット2】更地に比べて固定資産税や都市計画税が安くなる

土地や家屋などの不動産を所有していると、所有者には固定資産税や都市計画税という税金が課せられます。毎年、1月1日時点の所有者に対して、不動産が立地する市町村(東京23区の場合は東京都)から、納税額が記載された「納税通知書」が届けられます。
そして、課税対象の不動産のうち、住宅用地になっている土地については、税額が軽減されます。ここでいう「住宅用地」とは、居住用の建物が立っている敷地のことを指すので、入居者の有無を問わず、古家付き土地も対象になります。 住宅用地の特例を適用することで税額をどれくらい抑えられるのかについては、後で詳しく触れます。

納税通知書イメージ

(写真/PIXTA)

【デメリット】更地より安い価格設定になりがちで、買い手によっては敬遠する人も

古家付き土地は、買い手から見れば解体費用がかかるという理由で、「更地より価格設定を安くする必要がある」「買い手から値引き交渉を持ちかけられやすい」「購入候補から外されやすい」などのデメリットを指摘されることが多いようです。しかし、これらは局所的な見方で、すべての古家付き土地にあてはまる話ではありません。
「先にも触れましたが、たとえ売主自身が解体しなくても、どれくらいの費用を要するのかは把握するべきです。ここをしっかり押さえてあれば、必要以上に価格設定を下げずに済みますし、過度な値引き交渉を持ちかけられた場合は『値引き対応は難しいが、適正額で解体してくれる会社を紹介する』などの応じ方ができますから」
また、購入検討者のすべてが古家付きであることを敬遠するわけでもありません。
「リフォームや耐震補強で済ませ、新築するより負担を抑えたいというニーズもありますし、先述のとおり、古家の有無を気にしない開発事業者が現れる可能性もあります。まずは古家付き土地で売り出してみて、反響が思わしくなければ解体して更地にするという段階を踏むこともできます。最初から『古家付き土地は敬遠されやすい』と考えるのではなく、地域にどのような需要があるのかを把握してから適した売り出し方を決めるのが、あるべき順番です」

更地にして売り出す場合のメリット・デメリット

前節と重なる話題もありますが、更地にして売り出す場合に考えうるメリット・デメリットについても簡単にご紹介しておきます。

【メリット1】設定価格や流動性が高くなる

更地にしてあれば、購入者が解体する必要がないので、そのぶん売却価格を高めに設定しやすくなります。
また「当面はコインパーキングとして運用し、資金の目途が立ってから賃貸アパートを建てる」など、買い手にとっては購入後の土地活用の選択肢が広がる点でも注目されやすくなる場合があります。

コインパーキングイメージ

(写真/PIXTA)

【メリット2】管理の手間やコストを軽減できる

特に老朽化が激しい家屋が立っている古家付き土地だと、倒壊や不法侵入、火災などのおそれがあります。このような場合、売却が完了するまでは、管理に一定以上の労力やコストを要する可能性があります。 更地にしてあれば、こうした心配の多くを解消できるため、管理のための手間や出費を抑えられます。

【デメリット1】解体費用がかかる

家屋が立っている土地を更地にして売り出すには、解体が必要になるため、当然、解体費用がかかります。なお、建物の規模が同じだったとしても、敷地の条件によって費用に差が出ます。
「例えば、接している道路の幅が狭くて大型の重機を使用できないような立地だと、そのぶん余計に労力や時間がかかるため、割高になります。また、接している道路や隣接地と自身の土地との間に高低差がある場合、解体時・解体後に土砂が崩れないよう、土留め工事が必要になるため、やはり費用がアップします。
なお、更地にすることで、古家付き土地として売るより、解体費用以上に価格設定を高められることもあります。このため、一概には解体費用がかかること=デメリットとはいえません。先にも述べたとおり、事前に見積もりをとってどれくらいの費用が必要になるのかをしっかり把握し、お金をかける意味があると判断できてから解体しましょう」

解体イメージ

(写真/PIXTA)

【デメリット2】固定資産税や都市計画税が割高になる

古家付き土地として売り出す場合のメリットとして紹介した話の裏返しです。土地上に建っている家屋を解体すると、「住宅用地」ではなくなるため軽減措置が適用されず、固定資産税や都市計画税が割高になります。
なお、「売却するのだから、税金は買主に課税されるのでは」と思うかもしれませんが、先にも触れたとおり、固定資産税や都市計画税は1月1日時点の所有者に課税されます。そして、売買取引の多くでは、1年分の税額を日割り計算し、売主・買主の所有期間に応じて按分します。この点を踏まえれば、売却する不動産に住宅用地の特例が適用されるかどうかは、負担面での影響が少なくないのです。

中古一戸建てとして売り出す場合の注意点

ここまでは土地として売り出す場合を中心に解説してきました。以下では、家屋のコンディションが良好で、住まいとして市場価値がある場合を想定し、中古一戸建てとして売り出す際の注意点についてご紹介します。

契約不適合責任の設定

民法により、不動産の売買取引では、売主が「契約不適合責任」を負うことになっています。中古一戸建てとして売却するケースに当てはめると、家屋に、契約書に明記されていない不具合があった場合、買主は売主に対して修繕や契約解除などを要求できることになります。簡単にいえば、実際の家屋の状態が契約書の内容と異なる場合に売主が責任を負うわけです。
「ただし、売主は契約不適合責任の免責範囲を自由に設定できます。そのうえで、免責の対象箇所を契約書に明記すればいいわけです。実際、老朽化した家屋が立っている土地を古家付き土地として売却する際は、家屋全体を契約不適合責任の対象外とするケースが大半です」
中古一戸建てとして売り出す場合でも、公開する物件情報や契約書上で契約不適合責任の免責範囲を明記しておけば、引き渡し後に責任追及されるリスクを減らせます。半面、むやみに免責範囲を広げてしまうと、購入検討者は不信感や不安を抱きますから、敬遠されてしまうおそれがある点にも注意が必要です。
「中古一戸建ての場合、契約不適合責任を負う期間は、法律では規定されていません。このため、引き渡し後3カ月間くらいに設定するケースが中心です。なお、一戸建てで問題が発生しやすい箇所は、主に以下の4つです。
・屋根の雨漏り
・給排水管の傷み
・基礎部分の腐食
・シロアリ被害(木造の場合)
免責範囲は、これらを踏まえた上で適度に設定してください」
なお、契約不適合責任の詳しい内容については「不動産売却時の契約不適合責任について」を参照してください。

売買契約書イメージ

(写真/PIXTA)

耐震診断やホームインスペクション

建築基準法では、建物に一定以上の耐震強度をもたせることが義務付けられています。この基準を「耐震基準」といいますが、1981年に、より厳しい内容に改正されました。同年5月までを「旧耐震基準」、6月以降を「新耐震基準」といいます。また、木造住宅については2000年6月にさらなる改正があり、地盤に応じた基礎構造の規定や、構造を支える柱・梁(はり)・筋交いなどの接合部への金具補強、偏りのない耐力壁の配置などが新たに義務付けられています。
中一古戸建てとして売り出す家屋の建築確認申請がいつ実施されたかで、どの基準に沿っているかを判断できますが、より確実な対策として、耐震診断を実施する手もあります。耐震診断は、建築士に依頼して実施してもらいます。現況を診断してもらえるだけでなく、どのような処置を施せば現行の耐震基準を満たせるのかも明らかにしてもらえます。
一方、設備を含めた家屋の劣化度合いについては、ホームインスペクションで確認することができます。
「費用の目安は、一般的な規模の一戸建て住宅で、耐震診断なら5万円~10万円、ホームインスペクションなら10万円強です。いずれも家屋の価値向上を見込めますが、その程度は、市場ニーズや想定される競合物件によって変わってきます。実施するべきかどうかや、実施した上で耐震補強や設備交換まで実施すべきかどうかは、不動産仲介会社と協議してみてください」

ハウスクリーニングやリフォーム

ハウスクリーニングやリフォームで家屋の価値を高められる場合があります。これも、耐震診断やホームインスペクション同様、費用対効果をよく考えたうえで、実施するかどうかを決めることになります。
「単に『やるかやらないか』の二択ではなく、部分的に実施するという手もあります。例えば、外壁だけ高圧洗浄して第一印象を高めるといった具合です。過去には、リビングだけ天井と壁のクロスを張り替えておき、『他の部屋にも同様に手を入れれば、これほど見違える』というアピール材料にしたことがあります。出費を抑えつつ最大限に効果を見込める方法はなにかを柔軟に考えてください」

家屋の高圧洗浄イメージ

(写真/PIXTA)

土地や中古一戸建ての売却にかかる費用

古家付き土地・更地・中古一戸建てを問わず、売却にともなって必要となる費用の種類を紹介します。

仲介手数料

買主を探してもらい、売買契約時には買主との仲立ちをしてもらう報酬として、不動産仲介会社に支払う手数料です。手数料の金額は仲介会社や売却額によって異なりますが、法律で上限が定められています。以下の数式で、上限額の大まかな目安を算出できます。

(売却額の3%+6万円)プラス消費税

なお、仲介手数料を支払うタイミングも、仲介会社によって異なります。売買契約時と引き渡し時に半額ずつ支払うパターンや、引き渡し完了時に全額一括で支払うパターンなどがあります。売却をサポートしてもらう不動産仲介会社が決まったら、確認しておきましょう。

登記費用

土地や建物は、所有権を公的に裏付けてもらうため、法務局で登記します。不動産売却にともなう登記にはいくつか種類がありますが、いずれも司法書士などの専門家に委託することができます。その場合の報酬は、1種につき諸費用込みで5万円くらいが目安です。

[建物滅失登記(家屋を解体し、更地として売却する場合)]

先述のとおり、建物も登記の対象ですから、当初は家屋の所有者として自身が登記されているはずです。家屋を解体して更地として売却する場合、解体してから1カ月以内に、建物がなくなったことを申請する「建物滅失登記」が義務付けられています。

[抵当権抹消登記(住宅ローンを完済した後の手続き)]

住宅ローンなどを金融機関から借り入れて入手した土地・家屋を売却する場合に必要な登記です。ローン返済が終わっていない不動産については、金融機関が不動産に抵当権設定登記を実施しています。万一、返済が滞った場合には、金融機関が対象の不動産を差し押さえられるという権利を裏付ける登記です。ローンの返済途中で不動産を売却した場合、売却で得たお金で残債を清算することになります。そして、清算によって不動産に設定されていた抵当権を抹消する手続きが抵当権抹消登記です。

[所有権移転登記]

無事に不動産の売買が完了すれば、その所有権は売主から買主へと移ります。このための手続きが所有権移転登記です。売買にともなう所有権移転登記は、買主側が実施することになっているケースが中心ですが、売買契約の内容によっては、費用を売主と買主で折半することもあり得ます。

境界確定測量

家屋の有無を問わず、隣接地や接している公道などと敷地との境界がはっきりしているかどうかは、購入検討者にとって大きな関心事です。特に隣接地との境界が曖昧な土地を購入してしまうと、不毛なトラブルを抱えかねないからです。
全関係者立ち会いのもと、現地に「境界標」という杭を打ち込み、測量図や関係者が署名・捺印した境界確認書を整える作業のことを「境界確定測量」といいます。
既に実施済みなら、境界確認書や境界確定測量図が手許にあるはずですし、測量図と現地を照らし合わせて、所定の位置に境界標があることを確認すれば済みます。
一方、境界確定測量が実施されていなければ、土地家屋調査士に依頼する必要があります。隣接地の所有者の数や土地の形状などによってまちまちですが、費用は数十万単位でかかりますし、完了まで数カ月要することもあります。

土地境界確認書

(画像提供/吉川登記測量事務所)

家屋・土地にかかる税金の特例や、売却後にかかる税金の特例

土地や家屋の所有者には固定資産税という税金が課せられますし、売却によって利益が出た場合には譲渡所得税という税金が課せられます。それぞれに税額が軽減される特例があるので、以下で紹介します。

固定資産税・都市計画税(住宅用地の特例)

不動産を所有していると、固定資産税という税金が課せられます。また、自治体が市街化区域に指定しているエリア内だと、都市計画税という税金も課せられます。固定資産税の税額は、各市町村(東京23区の場合は東京都)が定める「固定資産税評価額」の1.4%です。都市計画税の税率は自治体によって異なりますが、おおむね固定資産税評価額の0.3%です。
すでに、古家付き土地として、または更地にして売り出す場合のメリット・デメリットの部分で触れましたが、住宅用地になっている土地の場合、固定資産税・都市計画税とも税額が軽減されます。住宅用地のうち、200m2までは「小規模住宅用地」扱いで、固定資産税は6分の1に、都市計画税は3分の1に軽減されます。また、200m2を超える部分も、固定資産税は3分の1に、都市計画税は3分の2になります。
以下で、試算してみましょう。

試算条件:面積300m2・固定資産税評価額6000万円の土地

●住宅用地の場合
[固定資産税]
  • 1m2あたりの評価額(6000万円÷300)×200m2×1/6×税率(1.4%)≒小規模住宅用地部分の税額(9万3000円)
  • 1m2あたりの評価額(6000万円÷300)×100m2×1/3×税率(1.4%)≒小規模住宅用地以外の税額(9万3000円)
  • 小規模住宅用地の税額(9万3000円)+小規模住宅用地以外の税額(9万3000円)=固定資産税総額(18万6000円)
[都市計画税]
  • 1m2あたりの評価額(6000万円÷300)×200m2×1/3×税率(0.3%)≒小規模住宅用地部分の税額(4万円)
  • 1m2あたりの評価額(6000万円÷300)×100m2×2/3×税率(0.3%)≒小規模住宅用地以外の税額(4万円)
  • 小規模住宅用地の税額(4万円)+小規模住宅用地以外の税額(4万円)=都市計画税総額(8万円)
●住宅用地ではない場合
[固定資産税]
  • 固定資産税評価額(6000万円)×税率(1.4%)=固定資産税額(84万円)
[都市計画税]
  • 固定資産税評価額(6000万円)×税率(0.3%)=都市計画税額(18万円)

上記のケースだと、住宅用地の特例によって、固定資産税は4分の1以下、都市計画税は半分以下になるわけです。古家付き土地だと、土地だけでなく建物にも固定資産税・都市計画税がかかりますが、建物の固定資産税評価額は土地よりずっと低いので、更地にする場合に比べれば、土地・建物の総額でも税額を抑えられます。
この特例は、毎年1月1日時点の土地の状況に応じて各自治体が判定し、自動的に適用してくれるので、所有者が申請する手間は生じません。詳細については、「住宅用地に対する課税標準の特例」「住宅用地の特例」などのキーワードで、所有不動産が所在する各自治体のサイトで調べてみてください。

譲渡所得税(3000万円特別控除・取得費加算の特例)

不動産を売却して得た利益(=譲渡所得)には、「譲渡所得税」という税金が課せられます。ただし、対象不動産にマイホームとして居住していた場合、課税される譲渡所得額から3000万円まで控除できる特例があります。譲渡所得の算出法は以下です。

譲渡所得の算出法の図解

(画像作成/SUUMO編集部)

この特例は、もとはマイホームであったことが前提です。ただし、売却に先立って転居した場合や、解体した場合でも、一定の要件を満たせば適用できます。主な要件は以下に記載しますが、詳しくは国税庁「マイホームを売ったときの特例」を参照してください。
なお、3000万円特別控除と住宅ローン控除は、いずれか一方しか適用できません。不動産の売却後、住宅ローンを組んで新たなマイホームを購入するという場合などは、どちらが有利か検討してから選択しましょう。

●転居した場合
  • 家屋が空き家になった日から3年後の年末までに売却すること
●転居後に解体して更地にした場合(上記条件に追加)
  • 解体してから1年以内に売買契約を締結すること
  • 解体後、売買契約を締結するまで、貸駐車場などに運用していないこと

また、土地・家屋を相続し、すでに所得税を納めていた場合は、マイホームとして居住していなくても、納付済み相続税の一部を売却金額から差し引く費用に充当できます(詳しくは国税庁「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を参照)。

市場ニーズに通じた不動産仲介会社を見つけることが重要

本記事内では、古家付き土地・更地・中古一戸建てのどれで売り出すべきかや、ホームインスペクションやリフォームなどを実施すべきかどうかなどは、市場ニーズや競合物件に照らして判断するべきだと触れてきました。
「周辺地域でどのような需要があるのか、競合になる物件とどれだけ差別化できるかによって、想定される売却価格は変わってきます。投入コスト以上に売却額を高められる方策を見極めるには、地域のマーケットに精通していて、多様なノウハウ・ネットワークを有した不動産仲介会社を見つけられるかがカギになると覚えておきましょう」

まとめ

  • 土地・家屋を売却する場合、「古家付き土地」「更地」「中古戸建」という3種の売り出し方がある
  • 3種には、それぞれにメリット・デメリットや注意点があるので、違いをよく理解したうえで選択すること
  • 売却前に、どれだけコストをかけるかは、地域の市場ニーズや想定される競合物件によって変わるので、マーケットに通じ、多彩な販売戦略を提案できる不動産仲介会社を見つけることが重要

●取材協力・監修
あゆみリアルティーサービス
代表 田中 歩さん
1991年、三菱UFJ信託銀行(旧三菱信託銀行)入社。企業不動産のコンサルティングや不動産相続コンサルティング、不動産売買仲介などの業務に17年間従事する。2009年あゆみリアルティーサービス設立。不動産相続・不動産投資コンサルティング、空き家再生投資、売買仲介などを手掛ける。宅地建物取引士、FP1級、MBA。

●税金部分監修
税理士 高橋洋一さん

構成・取材・文/竹内太郎

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