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物件を売買するときに必要になる仲介手数料は、物件価格によって計算方法が変わるということをご存じでしょうか。そこで今回は、仲介手数料の計算方法や、値引きの交渉は可能かなどを、SIRE代表取締役の木津さんに教えていただきました。
不動産物件の売却や購入を考えたとき、多くの人が不動産会社に相談に行くでしょう。相談を受けた不動産会社の担当者は、依頼内容をふまえたうえで売却・購入のための活動を行います。
「不動産会社が、お客様の依頼に基づいて行った購入や売却活動の対価が仲介手数料です。契約が成立した場合、購入・売買の契約時や引渡し時に不動産会社に支払うことになります」(SIRE代表取締役の木津雄二さん。以下同)
ちなみに、仲介手数料には消費税がかかります。

仲介手数料の金額は、宅地建物取引業法で上限額が定められています。上限額の計算方法は、物件の売買価格により異なります(下表参照)
| 売買価格※ | 仲介手数料の上限額 |
|---|---|
| 200万円以下の部分 | 売買価格の5%以内+消費税 |
| 200万円超400万円以下の部分 | 売買価格の4%以内+消費税 |
| 400万円超の部分 | 売買価格の3%以内+消費税 |
例えば、3000万円の物件を購入する場合、計算式は以下のようになります。
■仲介手数料の上限額=200万円×5%+200万円×4%+2600万円×3%+消費税=105万6000円
このように、金額を区切って3回計算するのは手間がかかるため、速算式という方法で計算することも可能です。もちろん、どちらの式で計算しても金額は同じになります。
| 売買価格※ | 仲介手数料の上限額 |
|---|---|
| 200万円超400万円以下の場合 | 売買価格×4%+2万円+消費税 |
| 400万円超の場合 | 売買価格×3%+6万円+消費税 |
では、実際に仲介手数料はいくらになるのでしょうか。売買価格別に金額の目安を計算してみましょう。
| 売買価格※ | 仲介手数料の上限(A) | 消費税額(B) | 不動産会社に払う仲介手数料の上限目安(A+B) |
|---|---|---|---|
| 1000万円 | 36万円 | 3万6000円 | 39万6000円 |
| 2000万円 | 66万円 | 6万6000円 | 72万6000円 |
| 3000万円 | 96万円 | 9万6000円 | 105万6000円 |
| 4000万円 | 126万円 | 12万6000円 | 138万6000円 |
| 5000万円 | 156万円 | 15万6000円 | 171万6000円 |
| 6000万円 | 186万円 | 18万6000円 | 204万6000円 |
| 7000万円 | 216万円 | 21万6000円 | 237万6000円 |
| 8000万円 | 246万円 | 24万6000円 | 270万6000円 |
| 9000万円 | 276万円 | 27万6000円 | 303万6000円 |
| 1億円 | 306万円 | 30万6000円 | 336万6000円 |
物件の売買時に発生する仲介手数料は、売主と買主とを仲介してくれた不動産会社に支払う成功報酬です。しかし、“手に入れる方法”によって仲介手数料は不要になります。次からは、ケース別に必要・不要について説明しましょう。
| 不要 | 必要 |
|---|---|
| マンションを建設した不動産会社が販売する | マンションを建設した不動産会社ではなく、別の不動産会社が販売する |
| 不要 | 必要 |
|---|---|
| ・売主が不動産会社で、買主との間に他の不動産会社が入らない ・個人から直接購入し、間に不動産会社が入らない(※1) |
個人や売主の不動産会社ではなく、別の不動産会社が仲介する |
| 不要 | 必要 |
|---|---|
| 戸建てを建設した不動産会社が販売する | 戸建を建設した不動産会社ではなく、別の不動産会社が仲介する |
| 不要 | 必要 |
|---|---|
| ・売主が不動産会社で、買主との間に他の不動産会社が入らない ・個人から直接購入し、間に不動産会社が入らない(※1) |
個人や売主の不動産会社ではなく、別の不動産会社が仲介する |
| 不要 | 必要 |
|---|---|
| 建築会社との工事請負契約により家を建てるため、間に不動産会社が入らない | - |
| 不要 | 必要 |
|---|---|
| ・売主が不動産会社で、買主との間に他の不動産会社が入らない ・個人から直接購入し、間に不動産会社が入らない(※1) |
個人や売主の不動産会社ではなく、別の不動産会社が仲介する |
| 不要 | 必要 |
|---|---|
| 不動産会社が中古物件買ってリノベーションをした物件を販売する | 売主や工事会社などがリノベーションした物件を、不動産会社が仲介する |
※1.間に不動産会社が入らない分、トラブルが起きた際にはすべて当事者間で解決をしないといけません。このようなリスクがあることを覚えておきましょう
※2.リノベーション物件とは、中古物件を不動産会社が買い取り、リノベーションをした後に販売している物件のこと

物件を売りたいと考える「売主」は、不動産会社に売却活動を依頼するときに、販売活動に関する契約(媒介契約)を結びます。その契約の内容には、仲介手数料の取り決めも含まれています。
「不動産会社は売却物件があれば、売主と媒介契約を結びたいと考えています。理由は、媒介契約を結んでいれば、売却が決まったときに売主から仲介手数料をもらえるからです。また、買主を自分たちで見つけた場合には、買主からも仲介手数料がもらえます。
買主を他の不動産会社が見つけたとしても、売主からの仲介手数料を確実にもらうには、媒介契約を結んでおく必要があります。このような仕組みを理解したうえで、契約時に仲介手数料の交渉してみるとよいかもしれません」
一方、物件を購入する「買主」にも、仲介手数料を値引いてもらう方法はあるのでしょうか。
「お客様のご要望をかなえるために、仲介手数料を値引くケースは時々あります。
例えば、6050万円の物件に対し、予算の都合で50万円値引いて欲しいというお客様がいるとします。まずは売主に相談をしますが、値下げできない事情がある場合、代わりに仲介手数料を値引くことで取引を成立させるケースがまれにあります。
お客様にとっては、購入に関する費用が50万円下がるなら何から値引きをしても一緒ですし、不動産会社としても、引き合いの少ない物件の販売活動を長期化させるよりも、確実に成約させる方法を選択する場合があるからです。
ただし、不動産会社それぞれの考え方がありますので、まずは相談してみてください」

売買における仲介手数料は、どのタイミングで不動産会社に支払うのでしょうか。
「仲介手数料を支払うタイミングや回数は、不動産会社によって異なります。
支払うタイミングは、売買契約時や引渡し時が多いようです。
支払う回数は、引渡し時に1回で全額払うケースもあれば、契約時と引渡し時の2回に分けて半金ずつというケースもあります」
仲介手数料は、基本的に現金で不動産会社に支払います。最近は振込みに対応してくれる不動産会社もありますが、その場合、手数料が自己負担になるケースが多いようです。
「物件の購入契約を結ぶときには、手付金を持参します。このタイミングで仲介手数料を支払う場合、かなりの大金を持参することになります。多額の現金を持ち歩くことが不安な方は、不動産会社に振込みができないかの確認をした方がよいかもしれません」
支払いの準備段階で注意したいのが、ATMでの引き出しです。最近は引出し上限額が設定されている場合が多く、契約当日に全額引き出せない!と慌てる人もいるようです。銀行窓口なら基本的に引出し上限額はありませんので、当日または前日までに用意できるようなスケジュールを立てておきましょう。

ここまで紹介したように、売買における仲介手数料は、売買価格によって計算式が異なるうえ、交渉次第では値下げが可能なこともあります。また新築マンションやリノベーション物件などに多い「売主物件」を購入する場合や、請負契約など仲介を挟まない場合には、仲介手数料は無料になります。気になる物件を見つけたら、仲介手数料が必要・不要かを確認しておきましょう。
金額の目安や、支払うタイミングを早めに把握しておくことが、スムーズに売却・購入を進めるポイントになると言えるでしょう。
不動産会社が行う物件の売却や購入活動への対価が仲介手数料。成功報酬なので、売却や購入が決まったら支払う。
仲介手数料の金額は物件の売買価格により異なり、400万円超の場合は売買価格×3%+6万円+消費税(10%)。
仲介手数料を支払うタイミングは、売買契約時や引渡し時が多い。
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