不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

東京都葛飾区Yさん(50代)/築21年マンションを引き渡し時期にこだわり売却、金利の高いローンを完済

東京都葛飾区Yさん(50代)/築21年のマンションを引き渡し時期にこだわり売却、金利の高いローンを完済

住み替えのため、東京都葛飾区の築21年・3LDKのマンションを売却することにしたYさん。購入検討者はすぐに現れましたが、早めの引き渡しを希望。引き渡し時期を巡って交渉が続いたといいます。

不動産区分 マンション
所在地 東京都葛飾区
築年数 21年
間取り・面積 3LDK(約70m2
ローン残高 約880万円
査定価格 2900万円~3200万円
売り出し価格 3680万円
成約価格 3280万円

住み替え先が決まり、21年住んだマンションを売却へ

葛飾区に住むYさんは、夫と小学6年生の子どもの3人家族。2021年に新居の購入を決め、それまで住んでいた自宅マンションを売却することにしました。実は数年前から住み替えたいと考えていたそうです。

「売ることにした物件は、新築時に私と父の共有名義で買ったマンションです。築21年と古くなってきて、設備面など住み心地の悪さを感じていました。また、私名義で組んだ住宅ローンの金利が4%と高かったことも、売却を考えるようになった一因です。残債がまだ約880万円残っていました。金利の低いローンに借り換えることも考えましたが、今の私は専業主婦で収入がないため借り換えは難しく……。それならマンションを売却してローンを完済し、夫名義で新しい住宅ローンを組んだほうがいいと考えるようになったんです。共有名義者である父も売却に同意してくれました」

Yさんの物件は、最寄駅から徒歩10分に立地する総戸数40戸ほどのマンション。専有面積約70m2の3LDKです。周囲は下町の雰囲気があるエリアで、スーパーやコンビニエンスストアが近くにそろい生活しやすい環境だといいます。住み替えが具体的に動き出したのは、2021年5月のことでした。

「近隣にいくつか新築マンションが建ち始めたので、ゴールデンウィークにモデルルーム見学に行ってみたんです。3物件ほど見て、5月末には気に入った物件が決まり購入を申し込みました。新居のマンションは翌年4月に完成予定なので、それまでに売却する必要があります。時間は十分にあるけれどタイミングが難しそうだなと思いました」

■住宅ローンの借り換え

新たなローンを借りて、返済中のローンを一括返済するのが住宅ローンの「借り換え」。現在の金利より低い金利に借り換えることができれば総返済額を減らすことができます。金利差が大きいほど、元金が多いほど、また残りの返済期間が長いほど減らせる利息の金額は大きくなります。ただし、借り換えができないケースもあります。例えば、健康状態が悪くなり、団体信用生命保険の審査に通らない場合は新たなローンが借りられません。以前は共働きで収入合算して借り入れたが、現在は共働きをやめたなど、年収のダウンによって借り換えが難しいケースもあります。

新居のマンション販売会社に売却の仲介業務を依頼

Yさんは、新居となる新築分譲マンションの販売を担当する不動産会社に売却を依頼したそうです。

「新居の購入を検討する際に売却を含めて資金計画の相談にのってもらい、仲介部門の担当者を紹介してもらいました。すぐに会って話をしたところ、対応がとても丁寧だったので、この人を信頼して任せてみようと即決。大手の不動産仲介会社であることも安心材料になりました」

2021年6月、Yさんは不動産仲介会社と専任媒介契約を結びました。

「現地査定で提示された査定価格は3000万円~3200万円。実は売却を意識しはじめたころにネットの一括査定サービスを利用して相場を調べていたので、予想していたとおりの金額でした。売り出し価格は3500万円程度から始めてはどうかという提案でしたが、加えて『後から価格を上げることはできませんから。悔いのないようにしてください』というアドバイスも。確かに後悔はしたくないので、最初は私の純粋な希望価格で売り出すことにしました」

Yさんは売り出し価格を、3680万円に設定したそうです。

「高く売りたいのはもちろんですが、こだわったのは引き渡しの時期です。私たちが新居に引っ越せるのは翌年の春なので、それより早く引き渡すと仮住まいが必要になってしまいます。小学6年生の子どもはもうすぐ卒業ですから、途中で引っ越して通学が大変になるのは避けたかったし、引っ越しが2度になると手間もお金もかかります。売り出しにあたっては、来年4月の引き渡しを条件にしました」

引き渡し時期は譲れないから、価格を下げて交渉

2021年6月、Yさんの物件は3680万円で売り出されました。しかし、売り出して半月ほどは反響がほとんどなかったといいます。

「やはり相場より高かったようです。このままでは売れそうにないとわかったので、すぐに不動産仲介会社のアドバイスを入れて値下げを決断しました。担当者によるとネットで情報検索をする際に、3500万円以下を条件にする人が多いということで、そこをターゲットにすることにしました」

売り出しから半月後、Yさんは価格を3480万円に変更。すると、すぐに反響があったそうです。

「値下げしたとたんに内見希望が入りました。住んでいる状態で内見者を迎えるのは不安でしたが、そこも不動産仲介会社がしっかりサポートしてくれました。物件ポータルサイトに載せる写真を撮影する際に、専門のスタッフを派遣して部屋の掃除やアレンジをしてくれたんです。生活感のあるものは片付けて、ちょっとした小物を飾ったり。目につくところをきれいにしてくれたので、それを維持していれば内見の準備で焦ることはありません。内見前には邪魔なものをしまう段ボール箱を渡されて、当日は明るい印象になるよう照明をつけておくようになど細かいアドバイスも。担当者の立ち合いも頼もしかったですね」

内見は4組あったそうです。そして2021年7月、そのうちの1組から購入の意思表示がありました。

「購入希望者は若いご夫婦です。ただ、リフォームを入れて10月頃から住みたいので引き渡しを早くしてほしいという希望でした。おまけに3200万円でどうかと値下げの打診も。感じのいいご夫婦だったのでこの人たちに住んでほしいと思ったのですが、引き渡しのタイミングだけは譲れません。そこで、価格はぎりぎりまで下げるから引き渡しは4月まで待ってほしいと交渉。何度かやり取りをした結果、価格は3280万円、引き渡しは4月で合意しました」

2021年9月、Yさんは購入希望者と売買契約を結びました。

不動産仲介会社のサポートのおかげで不安はなかった

売却活動を振り返って、「順調に進み、満足しています」とYさん。

「価格もかかった時間も予想どおり。内見の数が負担になるほど多くなかったのも良よかったです。値引きをすることになりましたが、交渉がうまくいったので不満はありません。不動産仲介会社の担当者は対応が丁寧で、若いけれどとても頼りになりました。また、部屋の掃除やルームアレンジのサービスも仲介手数料に含まれていたので、払ったかいがあったねと夫と話しているんですよ」

今は引っ越し準備を進めているYさん。新しい家は各部屋にウォークインクローゼットがある収納充実の間取りだとか。今度の住宅ローンはがん団信付き変動金利0.6%と格段に安くなり、無駄がなくなるのがうれしいと話してくれました。

子どもの卒業式の後に物件引き渡し

2021年5月 ・マンションの売却価格査定
2021年6月 ・住み替え先のマンションの販売会社と専属専任媒介契約を結ぶ
・3680万円で売り出し
2021年7月 ・売却価格を3480万円に変更
・購入検討者が現れる
2021年9月 ・3280万円で売買契約を結ぶ
2022年4月 ・物件引き渡し

まとめ

  • 売り出し後の反響が少なければ、早めのタイミングで価格を見直すことが大切。
  • 最近は売却サポートのサービスが多彩。仲介手数料にどんなサービスが含まれているか比較検討しよう。
  • 条件が合わなくても交渉の余地はある。譲れない条件は何か、明確にしておくことが大事。
売却査定する

取材・文/小宮山悦子 イラスト/松尾達

ページトップへ戻る