不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

買い替えのための不動産売却の傾向は?不動産売却の検討者・実施者の調査アンケートから分析

株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村吉弘、以下リクルート)が運営する『SUUMO』では、不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査を実施しましたのでご報告させていただきます。
また、こちらの調査の詳細に関しては、こちらのリリース内でも掲載しています。

買い替えのための不動産売却の傾向は?不動産売却の検討者・実施者アンケートから分析

記事の目次

不動産売却をした人のうち若年数ほど買い替えの割合が高い

過去1年間に、不動産売却を検討した首都圏(東京都/千葉県/埼玉県/神奈川県) 在住の20-69歳男女を対象に、「不動産の売却について具体的に行ったこと」を聞いたところ、下のグラフのような結果となりました。これらのデータを、この記事では「買い替え」に伴う売却を検討した人のケースに注目していきます。

(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

「買い替え」に伴う売却不動産は、築10年未満が44.2%

「買い替え」に伴って売却した物件は、「相続・贈与」された物件と比べて、「築年数」が浅いのが特徴。「相続・贈与」物件では「築25年以上」が48.3%と約半数を占めるのに対し、「買い替え」では築10年未満が44.2%と約半数を占めています。

(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

また、「取得してからの年数」を見ると、ボリュームゾーンは4年〜15年未満で50.0%と半数を占めています。

買い替えは、例えば子どもの成長に合わせてもう少し広いところに住みたいとか、子どもが独立するのでもう少し便利でコンパクトなところに住みたいなど、ライフステージの変化に伴って発生することが多いようです。新築で購入して15年くらいの単位で買い替える、というケースが多いことから、このようなデータにつながったと考えられます。

家族のイメージ

(画像/PIXTA)

【SUUMO副編集長からのアドバイス】ライフステージによる住み替えのコツ

子どもの成長や独立など、ライフステージの変化に伴って住み替えをする場合、それぞれの状況に応じて考えるべきポイントがあります。効率よく売却してスムーズに次の生活に移行するためのコツをSUUMO副編集長の笠松 美香がアドバイスします。

子どもの成長による住み替え

今の生活環境やお友達との関係を変えずに住み替えたい場合、次の物件のエリアはおのずと決まります。ただし、あちこちにある私立の学校を受験させる場合、通う学校が決まってから入学までの間に売却・住み替えを行うというのは現実的に難しいでしょう。先を見越して、子供の進学の前、または進学後落ち着いてからの住み替えを検討するのがオススメです。

退職や子どもの独立による住み替え

退職や子どもの独立を機に、住み替えを考える場合もあります。老後に向けての住み替えはタイミングが大事。60代まではまだまだ元気な人も多いですが、70代以降になると、日常生活を送る分には元気でも、住み替えとなると腰が引ける人も増えるようです。住み替えは心身共にものすごくパワーが必要なもの。特に年齢を重ねると新しい生活に慣れることも難しくなるので、「いつかはコンパクトで便利な場所に」と考えるなら、できるだけ早いうちに動き始めるのが良いでしょう。

退職のイメージ

(画像/PIXTA)

住み替え先は「新築、一戸建て、駅近にこだわらない」傾向に

新築派は徐々に減少し、1年前より10%ダウン

住み替え先は「新築」「中古」どちらを希望したかでは、「ぜったい新築」「どちらかといえば新築」と回答した人が減少傾向にあることがわかりました。過去の調査と比べると、1年で10ポイントダウン。一方、「どちらでもよい」は1年で約10ポイント以上アップし、中古物件も検討する人が増えていることがわかります。

(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

「一戸建て」派は58.7%。20代では「どちらでもよい」が41.6%

住み替え先の住まいについて「一戸建て」「集合住宅」どちらを希望したかでは、全体では58.7%と6割近くが「一戸建て」と回答しています。これを年代別に見ると、20代では「どちらでもよい」と回答した人が41.6%と突出して多いのが特徴。反対に「ぜったい一戸建て」という回答は11.9%と、これも他の年代より突出して低いことがわかります。

(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

全体では「ぜったい一戸建て」が27.1%、「どちらかといえば一戸建て」が31.6%と、一戸建て希望者が大半だが、20代では「どちらでもない」がボリュームゾーンに。(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

カップルのイメージ

(画像/PIXTA)

住み替え先の住まいは「広さ重視」の傾向に

住み替え先を選ぶとき「広さ」「駅からの距離」どちらを重視したかでは、「広さ」を重視した「ぜったい広さ」+「どちらかといえば広さ」は49.0%、「駅からの距離」を重視した「ぜったい駅からの距離」+「どちらかといえば駅からの距離」は30.8%と、「広さ」を重視した人のほうが多かったことがわかりました。年代別に見ると、若い世代のほうが「広さ」を重視した人が多く、年代が上がるにつれ、「駅からの距離」を重視した人が多く見られました。

(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

「ぜったい広さ」「どちらかといえば広さ」にこだわった人が合わせて49.0%と約半数に。(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)
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不動産売却の方法は、「仲介」「買取」が人気

不動産売却検討者&実施者の調査では、不動産売却で検討した売却方法と、実際売却した方法についてそれぞれ聴取しました。
まず、検討した売却方法は「仲介会社に依頼し売却する」「不動産会社に買い取ってもらう」が上位に。全体で見ても、「買い替え」だけで見てもいずれも「仲介」が6割超、「買い取り」が4割超という結果で、この二つがスタンダードな方法といえます。

(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

また、実際に売却した方法を見ても、「買い替え」では「仲介会社に依頼し売却する」が45.4%と半数近くでトップ、次いで「不動産会社に買い取ってもらう」は21.8%でした。

(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

ただし「仲介での売却を目指していて、結果的に買取になった人も多いと思います」(SUUMO副編集長・笠松美香)。仲介・買取の違いとそれぞれのメリットなどについて、次の章で解説します。

【SUUMO副編集長からのアドバイス】「仲介」「買取」それぞれのメリットを知ろう

売却の主な方法は以下の二つで、それぞれにメリットがあります。
・「仲介」は不動産仲介会社に探してもらった買主(主に個人)に売る方法
・「買取」は不動産会社に買い取ってもらう方法

「仲介」のメリット

不動産仲介会社に依頼し売却する場合、その物件を買いたい人を探して、その人と交渉しながら売却を完了させるという流れになります。相手から値下げ交渉などが入ることもありますが、納得できない金額なら応じない、反対に希望価格で出してみて反応が悪ければ価格を下げるなど、様子を見ながら売ることができます。

買いたい人が見つかるまでにも、交渉から売買成立に至るまでにも時間がかかるため、ある程度、時間に余裕がある場合にオススメ。比較的、希望に近い価格で売ることができます。

「買取」のメリット

不動産会社に買い取ってもらう場合は、買いたい人を探したり、価格などについて交渉をしたりする時間や手間を省くことができます。例えば、住み替え先の物件の資金に充てるためキャッシュ化しなければならない期限がある、金額に確約が欲しい場合にオススメです。

また、売却活動をしていることを近所の人などにあまり知られたくない場合も「買取」がおすすめ。「仲介」のように広く買主を募集する必要がないので、買いたい人に物件を見てもらったり、物件探しサイトなどに載せたりせずに、目立たず売ることができます。内覧のために部屋を片付けるなどの手間をかけたくない人、時間がない人にとってもラクな方法となります。

ただし、買い取った不動産会社はリノベーションをするなど、付加価値をつけて再販売することを前提としているので、売却価格は市場価格よりも安くなるのが一般的です。

契約のイメージ

(画像/PIXTA)
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【SUUMO副編集長からのアドバイス】買い替えを成功させるポイントは「売り」と「買い」のタイミング

買い替えの場合、今の住まいの「売り」と次の住まいの「買い」のタイミングが重要となります。

「売り先行」「買い先行」という言葉がありますが、
・「売り先行」は今の物件の売却活動をしながら、売却の予定が立ったら住み替え先の物件を決める
・「買い先行」は先に住み替え先の物件を買い、今の物件の売却活動は追って行う
という流れになります。

「売り」と「買い」の間に賃貸暮らしを挟むという方法もありますが、初期費用がかかります。マンスリーアパートを借りるにしても、手間がかかります。いずれにしてもタイミングの調整が重要です。

そんなときには、「買取保証付き仲介」という選択肢もあります。まずは仲介物件として扱ってもらい、一定期間内に買主が見つからない場合は不動産仲介会社に買い取ってもらうという方法で、うまくいけば仲介で希望に近い価格で売ることができ、うまくいかなくても期限までには売却を終えられる保証もある、という仕組みです。ただし、不動産仲介会社によっては買取保証のプランがないケースもあるので、媒介契約を結ぶ前に確認しましょう。

購入希望者との間では、価格だけではなく、引き渡し時期などについての交渉も必要となるケースがあります。交渉によってうまく売却できる場合もあれば、折り合いがつかない場合もあるでしょう。

そういった意味でも、特に買い替えを伴う売却においては不動産仲介会社との協力・連携が欠かせないものとなってきます。売却成功のカギを握るパートナーとなる会社選びは、さまざまなタイプの会社を複数じっくりと検討し、親身になってくれる会社を選びましょう。

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不動産会社と夫婦のイメージ

(画像/PIXTA)

取材/文 前川ミチコ

●調査概要

<調査目的>不動産売却検討者&実施者の意識と行動の把握
<調査対象>下記条件を満たすマクロミルモニター
【スクリーニング調査】
首都圏(東京都/千葉県/埼玉県/神奈川県) 在住の20-69歳男女
【本調査】
過去1年以内に居住用不動産の売却を主体的に検討し、以下いずれかの行動をした方
情報収集、仲介会社へ問い合わせ、訪問査定、媒介・代理契約、売却完了または停止
<調査方法> インターネットリサーチ
<調査時期・回答数>
スクリーニング調査:2021年12月18日(土)~2021年12月22日(水) 有効回答数:20,000人
本調査:2021年12月21日(火)~2021年12月22日(水) 有効回答数:1,239人
<ウェイトバック集計について>
【スクリーニング調査】
首都圏×年代ごとの構成比を、令和2年度国勢調査結果の実人口と一致させた。

  首都圈
20代 30代 40代 50代 60代 合計(人)
実サンプル数 4,000 4,000 4,000 4,000 4,000 20,000
WB後サンプル数 4,034,079 4,465,020 5,630,791 5,016,722 3,935,770 23,082,382

【本調査】
首都圏、年代ごとの人口構成比(令和2年度国勢調査結果を使用)に、スクリーニング調査での売却検討&実施者の出現率を掛け合わせて、市場実態に近い年代構成で回収した。

■有効回答サンプル数 (人)
過去1年検討者 20代 213
30代 280
40代 242
50代 196
60代 290
合計 1,239
●解説/笠松美香

2018年より「SUUMO」副編集長に着任。「SUUMOジャーナル」をはじめとする情報コンテンツを担当。またスーモ リサーチセンター研究員も兼務。住まいに関するカスタマー動向、物件の最新トレンド全般や住まいに関わる制度や住宅ローンほか、住宅購入や賃貸を借りるためのノウハウ等について幅広くメディア出演や講演などを行う。

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