
40代になり、がん団信なしの住宅ローンでマンションを所有することに不安を感じたAさん。40代のうちに売却し、新しいマンションに買い替えて、がん団信付きの住宅ローンに借り換えようと売却を決めました。
| 不動産区分 | マンション |
|---|---|
| 所在地 | 東京都中央区 |
| 築年数 | 約20年 |
| 間取り・面積 | 1K(25m2) |
| ローン残高 | 1900万円 |
| 査定価格 | 3000万円 |
| 売り出し価格 | 不明 |
| 成約価格 | 3000万円 |
昔購入した投資目的のマンション。買い替えてがん団信付きの住宅ローンにしたい
投資用として、東京都中央区に25m2・1Kのマンションを所有していたAさんは、40代に入った2016年ごろ、売却を意識しはじめるようになりました。
「マンションのローンは、がんと診断されたときに住宅ローンの残高がゼロになるがん団信(団体信用生命保険のこと。略称:団信)ではありませんでした。50歳を過ぎると住宅ローンの審査が厳しくなる傾向があると聞き、がん団信付きの住宅ローンに借り換えるなら、40代のうちに売却するべきだと思いました」
物件は、70戸ほどが入居するマンションで、徒歩圏内に駅が3つあり、いずれも10分以内。2340万円で購入し、2320万円の住宅ローンを組み、残債が1900万円ありました。
Aさんがこの時期に売却を決めたもうひとつの理由は、マンションを購入してから5年が経過したタイミングだったこと。
「5年を機に引き渡し後に支払う譲渡税率が低くなるので、それから売ろうと待っていました。売り出しを後ろ倒しにすると、築年数が経過してしまうデメリットはありますが、節税効果をとりたいと思っていたのです」
■「がん団信とは」
がん団信とは、がん(悪性新生物)と診断されたときに、住宅ローン残高がゼロになるものです。がん団信のメリットは、がんで働けなくなった際に、月々の住宅ローンを支払う必要がなくなることです。原則として、がん団信は、住宅ローンを組む際に付帯して契約します。途中で付帯することや保障内容を見直すなどができないため、住宅ローンを組む前によく検討しましょう。
信頼している知合いに紹介された不動産仲介会社が、3000万円の査定価格を提示
元々このマンションは、同郷の知人が紹介してくれた物件で、その人には不動産投資や売却についても相談にのってもらいました。その知人が紹介してくれた不動産仲介会社が訪問査定すると、3000万円の査定価格が出ました。
2018年11月に専属専任媒介契約を結び、販売活動を開始しました。
「大手ではありませんが、35年の実績がある不動産仲介会社でした。販売活動のやりとりは、不動産会社の担当者ではなく、その知り合いとしました。とにかく売却して、がん団信付き住宅ローンに借り換えたいことを伝えました」
2340万円で購入したマンションを、3000万円で売却できた
不動産仲介会社は、チラシ配布はせず、不動産情報サイトに登録し、取引のある固定客にアプローチをする方法で販売活動を行いました。
「知人紹介された不動産仲介会社を、完全に信頼していたので、当初の販売価格もおぼえていないほどです。『1人目の内見希望者で決まりました』と連絡があり、2019年1月に3000万円で売買契約を結び、3カ月の売却活動を終えました」
3000万円で売れたうち、不動産仲介会社に支払う仲介手数料、司法書士に所有権移転登記(土地や建物の所有権が移ったときに所有権を明確にするための登記)の費用を支払い、2900万円が手元に残りました。翌年6月に固定資産税32万円を支払ってすべての手続きを終えました。

がん団信のついていない物件は、40代のうちに売りたかったので安心した
がん団信なしの住宅ローンがなくなり、安心したというAさん。その後、新しいマンションを購入し、がん団信付きの住宅ローンを組みました。不動産会社の方針を信頼し、すべてお任せで売却活動をしたAさん。あえていろいろな情報を自分では調べなかったといいます。
「疑い出したら切りがありませんから。それより、完全にお任せして、わずらわされることなく、売却を終えるほうがいいと思いました。価格、期間ともに満足。売却を決断して本当に良かったです」と納得の表情でした。
| 2016年ころ | ・売却を意識し始める |
|---|---|
| 2018年11月 | ・訪問査定を依頼し、3000万円の査定価格が出る ・不動産会社と専属専任媒介契約を結ぶ ・販売活動の開始 |
| 2018年12月 | ・購入者が現れる |
| 2019年1月 | ・売買契約を結ぶ ・物件の引き渡し |
まとめ
- 取得して5年経過してから売却すると譲渡税が値下げされる
- がん団信付きの住宅ローンなら、がんと診断されると支払いが免除される
- 所有者の年齢が高くなると、金融機関の年齢制限内でも住宅ローンの審査が厳しくなる傾向がある
取材・文/内田優子 イラスト/杉崎アチャさん


