
国土交通省の「マンションを取り巻く現状について」によると、東京都心はもちろん、首都圏や各地方の都市で次々とタワーマンションが誕生しています。
この記事では、タワーマンションのメリット・デメリット、将来売却を視野に入れている人に役立つポイントを解説します。
記事の目次
購入後に後悔している人もいる?
街が見渡せるタワーマンションでの暮らしに大満足な人がいる一方で、入居してから「失敗した」「自分には合わなかった」などの後悔から、売却を考える人がいるのも事実。タワーマンションは人気がありますが、購入した全員が満足しているわけではありません。まずは、購入後に気づくことも多い、タワーマンションの後悔ポイントを見ていきましょう。

タワーマンションの意外なデメリットとは?
管理費や修繕積立金が高い
マンションでは、管理費や修繕積立金といった維持していくための費用が毎月かかります。タワーマンションの場合、一般的なマンションよりも、これらの金額が高いのが特徴です。またマンション全般に言えることですが、これら費用は、分譲当初から、築年数が増えていくにしたがって、緩やかにUPさせていく計画を立てています。
入居当初は気にならなくても、子どもの教育費がかかる時期や、共働きを辞めて年収が減るなど家計の状況に変化があると、想定したよりも維持費が負担に感じる場合があります。
●管理費
「平成30年度マンション総合調査」(国土交通省)を見ると、1住戸当たりの管理費の月額平均は、マンション全体では1万6213円なのに対して、タワーマンションと呼ばれている20階建て以上の場合は2万5069円となっています。ただし、共用施設やエレベーターなどの共用部の維持費や、コンシェルジュサービスにかかるコストや人件費などが管理費からまかなわれるため、共用施設やサービスが豪華なタワーマンションほど管理費が高くなる傾向にあります。全国平均では約2万5000円ですが、都心部などでは毎月4万~5万円の管理費がかかる物件も珍しくありません。また一般的に、各住戸が負担する管理費はマンションごとに1平米当たりいくらと設定しており、同じマンションでも部屋が広くなるほどその金額は高くなります。また管理費とは別に、駐車場を使用する場合は、使用者が管理組合に駐車場使用料を支払い、管理費や修繕積立金に充当することで、駐車場の維持・修繕等に使っていくことになります
| マンションの規模 | 1住戸当たりの管理費平均/月 |
|---|---|
| 全体 | 1万6213円 |
| 3階建て以下 | 1万4965円 |
| 4~5階建て | 1万6892円 |
| 6~10階建て | 1万5307円 |
| 11~19階建て | 1万6155円 |
| 20階建て以上 | 2万5069円 |
●修繕積立金
共用部分の大規模修繕の費用として積み立てていく修繕積立金の平均はマンション全体では1万1875円なのに対して、タワーマンションは1万3699円。管理費ほどの開きはありませんが、タワーマンションのほうが少し高めとなっています。さらに、タワーマンションに限らず、修繕積立金は将来的に値上げされるケースがほとんど。完成当初から高めの金額が設定されていた場合を除いて、2回目、3回目の大規模修繕後に値上げされるのが一般的。また、タワーマンションの大規模修繕は、超高層のために工事費が割高になるため、値上げ幅は一般のマンションに比べて大きくなる可能性があります。
| マンションの規模 | 1住戸当たりの修繕積立金平均/月 |
|---|---|
| 全体 | 1万1875円 |
| 3階建て以下 | 1万340円 |
| 4~5階建て | 1万3631円 |
| 6~10階建て | 1万2078円 |
| 11~19階建て | 1万872円 |
| 20階建て以上 | 1万3699円 |
騒音トラブルが起きやすい。内廊下ににおいがこもることも
タワーマンションは、構造の違いのため一般のマンションよりも隣の住戸の音が聞こえやすくなるケースがあります。一般のマンションは隣との境にある壁は「湿式壁」といわれる鉄筋コンクリート構造が一般的。施工不良がなければ、コンクリートは質量が重く隙間がないため、音が伝わりにくく遮音性能が高くなっています。しかし、タワーマンションは建物全体の軽量化のため、石膏ボードなどに吸音材や耐火材を合わせたボードを組み立てる「乾式壁」で、コンクリートよりも音が透過しやすく、隣からの音が騒音トラブルの原因になることも。気になる場合は隣との戸境壁側に家具を置くなど、音の聞こえ方を軽減する工夫が必要です。
また、一般のマンションでは共用廊下が建物の外側に設けられた開放廊下のケースも多いですが、タワーマンションの場合は建物の中に共用廊下がある内廊下タイプ。空調設備の状況にもよりますが、においや湿気が廊下にこもる場合があります。
高層階はベランダに洗濯物を干せないことが
高層階からの落下物は、たとえ小さなものであってもとても危険です。そのため、高層階では洗濯物や布団を干すことを禁止しているタワーマンションが多くあります。安全面のほか、マンションの美観面から布団や洗濯物をベランダで干すことを禁止している物件も。ベランダが使えない場合は、洗濯乾燥機や浴室乾燥機が必須です。
平日の朝、エレベーターが混雑する
最近のタワーマンションは住戸数とエレベーターの台数をよく計算したうえで設置したり、高層階・中層階専用のエレベーターを設けたりして、混雑緩和を図っています。しかし、中古物件の場合などは、平日朝の通勤・通学時間帯にエレベーターが混雑し、なかなか乗れないということが。せっかくの駅近物件なのに、わが家の玄関からマンションを出るまでに時間がかかってしまって、高層階を買ったことを後悔する人も。
共用施設は使わない人にはメリットがない
ラウンジやライブラリー、トレーニングジムなどの共用施設は、棟内にあれば便利ですし、外部のフィットネスクラブに加入する費用なども節約できます。でも、このような共用施設の利用に興味がない人、だんだん使わなくなってしまった人にとってはコストを負担するだけで、むしろデメリットな存在かも。また、なかには利用者が多すぎて予約がなかなかとれず、結局は使わないという場合もメリットは小さくなります。

携帯電話やポケットWi-Fiがつながりにくい場合がある
携帯電話の基地局からの電波は、基本的には下方向に向かって出ているため、近くにある基地局の電波は高層階には届きにくくなるほか、電波を送る基地局とマンションまでの間にあるモノの材質や種類によっても電波の届きやすさが違ってきます。基地局が遠い場合は、携帯電話側からの弱い電波が届きにくくなります。基地局からの電波を使っているポケットWi-Fiも同様です。
携帯各社では最寄りの基地局の電波を上向きにしたり、電波環境や環境によっては窓際まで届いている電波を増幅させる装置などのレンタルで対応している場合があります。
インターネット回線が遅延することが
マンションでは、インターネットの回線を建物単位で契約するケースが多く、戸数や使用状況によっては回線が遅延することがあります。コロナ禍のため、自宅でオンライン動画サービスを利用する人が増えている今、映像が粗くなったり、ゲーム画面が止まったりすることがありストレスに。
外に出るのがおっくうになりがち
住戸の玄関を出てエレベーターを待ち、エントランスを抜けてやっと外へ。特に高層階の場合、外へ出るのが面倒になりがち。食事も買い物も宅配が利用しやすくなっている今は、外に出る機会が減って、運動不足になる恐れもあります。
子どもの落下事故にヒヤヒヤ
高層階では子どもが落下しないか不安でベランダの窓を開けられない、一緒にベランダに出るのも怖いと感じるケースがあります。低年齢の子どもでは、高い場所を怖がる感覚がまだ身に付いていない場合もあります。ちょっとした台に登れるようになる年ごろなら、ベランダに踏み台になるようなモノを置かないよう注意が必要です。
災害時にエレベーターが使えない。停電で不便に
大地震や火災が発生した際、避難する際には安全確保のためにエレベーターは使えなくなります(ただし、救助活動用には、高さ31m以上の建築物に設置が義務づけられている非常用エレベーターが停電時でも予備電源で作動します)。
また、停電になってしまうと、エレベーターが復旧するまでは不便な生活になります。給水ポンプが止まり、水も使用できなくなります。水害の際にも物件によっては停電になってしまいますから、高層階まで階段を上り下りしなくてもいいように、水や食糧のストックをしておくことが大切です。
地震の際には上階ほど揺れが大きい
タワーマンションは、一般のマンションに比べ、免震構造や、制震工法(制振工法ともいう)など、耐震性能の高い特殊な工法を採用しているケースも多く、また、その性能の検査もさまざまな段階で行われています。しかし、地震の際に建物が揺れるのは一般のマンションと同様で、高層階ほど揺れは大きくなり、長時間続きます。家具や家電は固定して転倒を防ぐことが必要です。
また、揺れに敏感な人の場合、常に揺れているような感覚になり、高層階での暮らしがストレスになる場合があります。
タワーマンションはなぜ人気なの?メリットを再確認
完成前から注目を集める高いステータス
さまざまなデメリットもあるタワーマンションですが、それでも人気が高いのは、デメリットを超える魅力やメリットが多くあるからでしょう。
そのひとつがステータスの高さ。
街が劇的に変わる再開発エリアに建てられることが多いのがタワーマンション。ニュースで取り上げられたり、駅や街に大きな広告が出るなど、再開発のランドマークとして多くの人の注目を集めます。つまり、そのエリアでは誰もが知っている「あのマンション」ということに。また、タワーマンションが単独で建てられる場合も、豪華な設備や外観が早くから話題になったりもします。
完成後も、豪華なエントランスや高層階にあるラウンジからの眺望など、大規模なタワーマンションだからこそ得られるステータスがあります。
自分自身が暮らしを楽しめることはもちろん、ランドマーク性やステータス感は将来の売却時に大きなアドバンテージになるといえます。
充実したセキュリティで安心
オートロックで守られたエントランスや、玄関を施錠しておけば外部から住戸に侵入しにくい点など、もともとマンションはセキュリティの高さがメリットです。
大規模なタワーマンションとなると、セキュリティはさらに充実。1住戸当たりのコストを大きくかけなくても、防犯カメラや24時間のオンラインセキュリティシステム、訪問者が訪問先のフロアにしか行けないエレベーターの認証システムなど、厳重なセキュリティが導入しやすくなります。ICチップ付きのカードやスマホを使ったスマートキー、顔認証システムを導入するマンションも登場しています。
日当たりや眺望が期待できる
タワーマンションは全体の敷地が広くとられているため、隣接する建物との間に距離があり、高層階だけでなく低層階、北向き住戸でも日当たりや採光、通風が期待できます。また、立地や階数によって違いはありますが眺望の良い物件も多くあります。

共用施設やサービスが充実
住戸数が多いタワーマンションほど共用施設やサービスも充実。豪華で広いエントランスや高層階のラウンジ、ゲストルーム、コワーキングスペースとしても使えるライブラリーやスタディールーム、トレーニングジムなど物件によって魅力的な共用施設がいろいろ。そのほか、コンシェルジュが訪問者の受付や案内、クリーニングや宅配便の取り次ぎ、ケータリングサービスの手配など、さまざまなサービスを提供する物件も。
共用施設やサービスは、使用しない人にとっては大きなメリットにはならないかもしれませんが、売却時には物件の魅力としてアピールできます。
周辺の生活環境が入居当初から整っている
タワーマンションは再開発エリアに誕生するケースも多く、その場合、飲食店やクリニック、各種ショップなどが入ったテナントビルやオフィスビルなども新設されており、入居時から生活環境が整っています。駅直結で天候に左右されずに通勤・通学がしやすい物件もあります。

子育てに適した住環境が得られる
セキュリティが高く外部からの不審者が入りにくいタワーマンションは、小さな子どもがいる世帯や、子どもだけで留守番をする機会が多い世帯にとって安心な環境です。また、一般のマンションにも当てはまることですが、住戸内に段差がないバリアフリーの住まいは、転倒などの思わぬ事故を避けやすいといえます。
資産性の高さが売却時のメリットに
利便性の高い都心部や、都心から離れていても駅の近くなど利便性の高い立地に多いタワーマンションは、資産価値が落ちにくいといえます。購入したときの価格から、大きく下がらない価格で売却できれば、住宅ローンの残りも完済しやすく住み替えがスムーズ。また、転勤などで一時的に転居が必要になった場合など、貸しやすい点もメリットです。
タワーマンションから住み替えるならどのタイミング?
大規模修繕の後は売りやすい?
住んでいるタワーマンションを売却して住み替える場合、売りやすい時期やコツのようなものはあるのでしょうか。
例えば大規模修繕が終わって、外壁やバルコニーがきれいになったり、共用スペースや設備が整備されてからのほうが、売りやすかったりするのでしょうか。不動産コンサルタントの長嶋修さんに話を聞きました。
「大規模修繕は12~15年に1度。1回目の大規模修繕は防水処理などの地味な修繕がメインなので、見た目はあまり変わりません。しかし、築30年超えなどの場合、大規模修繕で廊下やエントランスのデザインが劇的に変化することがあります。その場合は、大規模修繕後のほうが売却しやすくなるでしょう」(長嶋さん、以下同)
大規模修繕工事が始まると工事車両やスタッフの出入りがあって落ち着かないほか、バルコニーや窓が飛散防止のメッシュシートで覆われて室内が暗くなります。このタイミングで内覧をしてもらっても、せっかくの眺望や日当たりをアピールできません。売却活動が大規模修繕の時期と重ならないようにするのもポイントです。
築浅のうちに売却したほうがいい?
マンションは新築や築浅のほうが売りやすい、というわけでもないようです。 「10~20年前は、新築や築浅の中古物件が求められました。しかし今は、新築マンションの供給数が少なく、ピークの2001年には首都圏で9万戸近かった発売戸数が、2020年には2.7万戸台となっており、価格も高騰気味です。競争となる新築物件の数が少ないため、消費者も新築や築浅にこだわらなくなってきています。古い物件でも、メンテナンスがきちんとされていて、新築と比べた割安感が少しでもあれば、十分メリットとなります」
今は、「築浅での売却」だけを理由に売り急ぐ必要はなさそうです。
売却するのに適した月はある?
「よく、年明けが有利とか、8月は売れないという話を耳にしますが、正直関係ありません。1物件に対して購入希望者が多ければ売りやすくなりますが、1年のうちの何月が売り時かというのは考える必要はないでしょう。物件探しをする人が多い月は、売る人も多く、逆に閑散期といわれる8月は買う人も少ないですが、売り物件も少なくなるからです。また、長期的に見て、今売るのがいいのか、半年後、または1年後がいいのか、市況は誰にもわかりません」
ライフスタイルがタワーマンションに合わなくなる時期は?
子どもが成長してマンションが手狭になったり、家族が増えたりなど、ライフスタイルや家族構成が変わることでタワーマンション以外の住居で暮らしたくなる時期がくることも。その日に備えて、売却で現在のローン残債は完済できそうか、住み替えのための自己資金はどれくらいあるかなど、チェックしておくのがおすすめです。
また、自分自身が高齢になったとき、災害時の高層階での生活を不安に感じるなら、将来的な住み替えを視野に入れておくのもいいでしょう。その場合、高齢になってからよりも、売却活動や物件探し、引越しをパワフルにできる年代のうちに住み替えてしまうのもいいでしょう。

5年以内の売却は要注意?知っておきたい税金の話
●所有期間5年以下か5年超かで税率が異なる譲渡所得税
タワーマンションに限らず、家を売って利益が出た場合(譲渡所得を得た場合)は、譲渡所得税が課税されます。 譲渡所得の計算式は以下のとおりです。
譲渡所得の計算式
譲渡所得=収入金額(譲渡価額)-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
この譲渡所得には譲渡所得税(所得税・住民税)がかかり、譲渡所得に税率をかけて計算されます。譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間によって異なります。基本的には所有期間が長いほうが税率が低く、税額が軽くなるのです。所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得となり、所得税・住民税を合わせた税率は以下のように軽減されます。 なお、所有期間の数え方については「売却した年の1月1日時点」で判定されます。
短期譲渡所得(所有期間5年以下)
譲渡所得×39.63%
(※39.63%→所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)
長期譲渡所得(所有期間5年超)
譲渡所得×20.315%
(※20.315%→所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)
また、所有期間が10年を超えると譲渡所得のうち6000万円以下の部分について「マイホームの軽減税率の特例」が受けられます。
●自分が住んでいた住宅を売却した場合は「3000万円の特別控除」がある
その他の特例に「3000万円の特別控除」があります。
「3000万円の特別控除」は譲渡益から3000万円(譲渡益が3000万円以下の場合はその金額)が控除される制度。自宅(居住用財産)を売却した場合にのみ受けられる制度で、所有期間にかかわらず適用されます。譲渡益が3000万円を超える場合は超える金額に対しては、短期譲渡、長期譲渡の税率が適用されます。
3000万円の特別控除の特例を利用した場合の税額計算式
税額=(収入金額(譲渡価額)-(取得費+譲渡費用)-3000万円)×税率
「マイホームの軽減税率の特例」や「3000万円の特別控除」は、住宅ローン控除が併用できないなどの注意点があります。どの控除を利用するのが得なのか、よく考えたうえで選びましょう。
●不動産を売って損が出た場合は「譲渡損失の損益通算と繰越控除」が使える
また、不動産を売って損(譲渡損失)が出た場合に使える控除もあります。損をした場合は譲渡所得は当然かかりませんが、それだけでなく売却した年のその他所得と相殺して所得税や住民税を減らすことができます。これを「損益通算」といいます。
さらに、譲渡損失が売った年の所得より大きく、その年だけでは相殺できない場合は、翌年以降の所得からも繰り越して差し引ける「譲渡損失の繰越控除」を利用できる場合があります。この特例は売った年の翌年から最長3年間の所得まで繰り越して控除できるので、売った年と合わせて最長4年間の所得税等や住民税が軽減できます。
タワーマンションを早く、高く売るコツは?
いくらで売れそう?複数の仲介会社に査定をしてもらう
売却をする際には、まず、不動産仲介会社に今の住まいがいくらで売れそうか、という査定をしてもらいます。その際、依頼は1社ではなく複数社に。仲介会社によって査定額は違いますが、おおよその相場観はつかめます。このとき注意したいのは、仲介会社が提示する金額で売れるとは限らないということ。ですから、高い金額で査定してくれた仲介会社だから、という理由で売却依頼をするのは意味がありません。
「今は自分で相場を調べることもできます。SUUMOなどの物件検索サイトを見れば、周辺の物件がm2単価いくらくらいで売り出されているかがわかります」(長嶋さん)
実際にいくらで売れたかという成約価格を知るには、不動産の購入者を対象としてアンケートを調査に基づく情報を公開している国土交通省の『不動産取引価格情報検索』や、不動産仲介会社以外の一般の人も閲覧できる不動産流通機構の『レインズマーケットインフォメーション』が参考になります。
自分の家の周辺で、どんな物件がいくらで売り出し、成約されているか確認してみましょう。
同じタワーマンションで売り出し中の住戸もチェック
大規模なタワーマンションは住戸数が多いため、同時期に複数住戸が売り出されていることが多くあります。他の住戸の売り出し価格を確認して、わが家をいくらで売り出すかという作戦を立てるのも大切。
では、できるだけ早く売りたい場合は、他の住戸よりも少し低めの価格にする、という作戦は有効でしょうか? 「一般論としては、中古マンションの売り出し価格と成約価格には7~10%程度の開きがあります。ところが、2021年6月には新規売り出し価格と成約価格がほとんど同じになりました。これは売り出されている戸数が少なく、在庫不足のため売り手市場になっていることが背景です。ですから、今は、同じマンションや周辺のライバルになりそうなマンションで、自分の物件と似たようなものが出ている場合でも、他の物件の売り出し価格から下げずに売却したほうがいいでしょう」
住まいの魅力をアピールする努力が必要
売却する住まいから退去していても、まだ居住中でも、購入希望者があらわれれば家の中を見てもらう「内覧」が行われます。その際、良い印象を持ってもらうことが、早く、そして少しでも高く売るためには必要です。掃除をしたり、片付けたりという地道な努力は欠かせません。
「実は、その地道な努力がほとんどの中古物件ではされていないのが実情。少し掃除をするくらいで、生活をそのまま見せてしまっている物件が多いのです。例えば、アメリカでは居住中の物件でもモデルルーム並みにデコレーションをして物件をより魅力的に見せます。この手法を指すホームステージングという言葉もあるほど。必要のない荷物はトランクルームに預けたり処分したり、なかには家具や絵をレンタルするケースも。壁に絵が飾られているだけでも、売却のための大きな差別化になります」
早く、高く売却するためには、モデルルーム並みにとまではいかなくても、住まいをキレイに、明るく、魅力的に見せるための努力は必要です。
●水まわりは専門の清掃会社に掃除をしてもらう
「キッチンや浴室、洗面台、トイレなどの水まわりが汚れていると、せっかく内覧に来た人が『この家は嫌だ』という気持ちになってしまいます。掃除のプロに徹底的にきれいにしてもらっておくといいでしょう」
●明るいイメージをつくる
部屋に入った瞬間に部屋が明るいと好印象です。 「古くなった電球は新しいものに交換をしておくこと。また、内覧の際にはすべての部屋の照明をつけておくこともおすすめです」
●においに注意して換気をしておく
家には、その家特有のにおいがつきがち。しかし、住んでいる人は慣れてしまっていて気づいていないもの。 「購入希望者の案内の前には、必ず換気をしておくことが大切です」

契約前のインスペクションは拒まないこと
購入希望者から「契約前にインスペクションをしたい」とリクエストされることがあります。インスペクション(ホームインスペクション)とは、住宅の劣化具合や欠陥の有無などを専門家が主に目視で検査すること。購入希望者が専門家に依頼して行うケースがほとんどですが、売主が売り出し前にインスペクションをしておくこともできます。
「購入希望者全てがインスペクションを望むわけではありませんから、売主が行ってインスペクション済み物件として売り出す必要はないと思います。契約前のインスペクションは拒みません、という姿勢でいればいいでしょう」
売却する、と決めたら住み替え先や資金計画を検討
今の住まいの売却を決めたなら、売却後の住まいを購入するのか、賃貸で暮らすのかによって、売却のダンドリや資金計画も違ってきます。まずは、不動産仲介会社に相談するのがスムーズです。査定を依頼する際に、売却や住み替えにどのようなサポートをしてくれるかを確認しておくといいでしょう。
まとめ
- タワーマンションには維持費が高いなどのデメリットがある
- 資産価値が落ちにくいなどデメリットを上回るメリットも多く売却しやすい
- 中古マンションの在庫が少ない今は、売り手市場
- 売却するためには査定や物件サイトの検索で価格相場をつかむこと
- 住まいの魅力を上手にアピールすることがスムーズな売却につながる
イラスト/石山好宏


