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8400万円で買った都心のマンション。2年後、需要の高さを強みに9998万円で売却/東京都千代田区Mさん(40代)

東京都千代田区Mさん(40代)/8400万円で買った都心のマンション。2年後、需要の高さを強みに9998万円で売却

利便性のいい都心のマンションを購入し、夫と2人で住んでいたMさんは、コロナがはやり出したのを機に地元へのUターンを決意。需要を確信して2社と一般媒介契約を結び、購入価格より約1600万円高く売却することに成功しました。

不動産区分 マンション
所在地 東京都千代田区
築年数 築2年
間取り・面積 2LDK(約57m2
ローン残高 1950万円
査定価格 1億800万円
売り出し価格 1億800万円
成約価格 9998万円

都心に新築マンションを買うも、コロナを機に地元へUターンを決める

Mさん(40代)は、都心で働く会社員。同じく都内に勤める夫と賃貸マンションに住んでいましたが、「そろそろ持ち家が欲しい」と、2018年に家を購入します。

物件は、東京都千代田区にある2LDK・57m2の新築マンション。徒歩約3~7分圏に3つの駅があり、東京メトロ銀座線や都営新宿線など4つの路線が利用できる、便利な場所にありました。当時は都心での暮らしに利便性を感じていたため、これが一番の決め手になったと言います。

8400万円の購入価格を夫と折半し、2人の共有名義に。約3分の2を自己資金で賄い、残りの2400万円は10年ローンを組みました。

しかし長く住むつもりでいたMさんですが、2020年の春にコロナがはやり始めたことで、地方都市への移住を決意します。

「実は夫と私は同郷で、『いつかは帰りたいね』と以前から話していました。
そのため購入したマンションは、時期こそ定めていなかったものの、ゆくゆくは手放すつもりでいたのです。そんななかのコロナ禍。
都心だと人混みがある分、感染リスクが高まりますし、会社には長く勤めたので後ろ髪を引かれることもありません。夫とも『これはチャンスかも』と意見が一致し、地元で転職先を見つけてマンションを手放し、Uターンすることにしました」

自らリサーチして4社の不動産仲介会社を選定し、2社と一般媒介契約

まず転職に向けて動き出し、2020年8月に故郷で仕事を見つけたMさん。マンションが売れるかが分からないまま住み替えることに不安があったため、次に売却活動に乗り出します。
ここでMさんが取った行動は、ネットで調べた情報から複数の不動産仲介会社を選び、直接、連絡を取ることでした。

「各社の公式サイトで『近隣エリアで似た物件の仲介実績があるか』を見たり、不動産の口コミサイトで『提案内容がしっかりしているか』をチェックしたりして、最終的に大手3社とマンション専門の不動産仲介会社1社を選定。
それぞれに声をかけ、比較検討することにしました」

早速、査定を依頼したところ、A社が1億800万円、B社・C社・D社が1億1000万円という結果でした。

「営業担当の話を総合すると『首都圏のマンションの相場が上昇していること』『私たちが所有するような築浅で、ある程度の広さのあるノーマルな間取りのマンションは一帯で希少であること』から、思ったより早期に、購入価格より高く売れることが見えてきました」

2020年9月、Mさんは、営業担当に積極性があり説得力が感じられたA社・B社と「一般媒介契約」を結びます。

「『一般媒介契約』にしたのは各社とやり取りするなかで、『私たちのマンションであれば流動性があり、売るのに困ることはない』と確信したから。であれば『専属専任媒介契約』『専任媒介契約』で1社に絞るよりも、複数の会社に託した方が、可能性が広がると思ったのです」

Mさんは地元で住み替え先を探し、同月のうちに引っ越します。

■一般媒介契約のメリットとデメリット

ひとつの不動産会社に仲介を依頼する「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」に対して、同時に複数の不動産会社に仲介を依頼できるのが「一般媒介契約」です。最大のメリットは、各社を競合させて、よりよい条件での売却を期待できる点。しかし不動産会社にとっては、他社に先に買主を見つけられると、仲介手数料を得られないばかりか、営業活動の労力まで無駄になることに。そのリスクを避けて、力を入れない可能性があるため、駅近で築浅など、よほど競争原理の働く人気の物件でない限り、慎重になる必要があるでしょう。

9800万円に値下げした途端2組が現れ、9998万円にアップして売却

販売価格は、購入時の8400万円を切らなければいいと思っていたMさんですが、値引き交渉が入ることを想定し、査定と同様の1億800万円に設定。A社・B社は同じ値段で販売をスタートします。

「両社とも自社サイトと不動産ポータルサイトに物件情報を掲載するほか、『同じエリアで住み替えを考える人は意外と多い』と、周辺のマンションにポスティング。そのときB社では、イメージアップのためにCGで家具が入った状態の部屋の画像を作り、チラシやウェブサイトに載せてくれました。
また、どちらも見込み客がいて、声をかけている様子でもありました」

Mさんの契約は「一般媒介」でしたが、A社とB社からは定期的に営業活動報告書を受け取ることができたと言います。
しかし1億円の大台がハードルとなったのか、何件か問い合わせがあっただけで、内見を希望する人は出ません。

「新居は賃貸マンションにしたので、大がかりな資金計画は必要ありません。『これが普通だろう、無理せず待とう』と比較的、余裕を持っていました」

2カ月が経過しても事態は変わりませんでした。
2020年11月、MさんはA社に提案され、9800万円に値下げします。
すると1週間もしないうちに、A社・B社から1組ずつ、有力な候補が現れました。

「B社側に『A社からも手があがっている』と伝えると『9800万円より高くていいので買わせて欲しい』とのこと。そこで9998万円を提示したところ、OKの返事をいただきました。
しかし、それをA社に話すと、『こちらもその価格で構わない』と。
そこで、先に購入の意思を示していた、A社の買主候補に売却することを決めたのです」

2020年12月、Mさんは買主と売買契約を交わします。

予想以上の価格で売れて大満足。移住先の地方都市での暮らしも上々

ほぼ同時期に2組の購入希望者が現れたことで、両者を競合させるかたちで予想より高値で売却できたMさん。
買主にはほかに条件をつけられることなく無事、2021年2月に物件を引き渡しました。

「『一般媒介契約』はチャレンジでしたが、需要が見込める物件であれば有効だなと。思いがけないことでしたが、一旦、値下げした価格を約200万円戻して売却できたのは幸運でした。購入価格よりも約1600万円高く売れたことになりますね。
ただ、逆に言うと『売れない物件を買ってしまうと、不動産とは後々、リスクになるものだ』とも実感。
ともあれ今回に関しては、満足度は100%です」

自宅マンションを購入時の価格よりも高く売却できて満足しているイメージ

住み替え先の賃貸マンションは、前回と同じ2LDK・約60m2。最寄り駅までは徒歩約7分で街に出やすく、それでいて自然も感じられ、都市と緑の両方を楽しめる、地方都市ならではの魅力を満喫していると言います。

「交通機関ひとつ取っても、東京の中心地に比べたら混んでいませんし、あらゆる場所にゆとりがあります。地元に帰ってきて、心からよかったと思いますね」

人生の節目において、冷静な判断でものごとを進めたMさん。これからもご自身らしい暮らしを送っていくことでしょう。

2020年4月 ・コロナ禍により地元へのUターンを決意
・マンションの売却を考え始める
2020年8月 ・故郷で就職先が見つかる
・4社の不動産仲介会社(A社・B社・C社・D社)で簡易査定をする
・A社・B社で訪問査定をする
2020年9月 ・A社・B社と一般媒介契約を結ぶ
・物件を1億800万円で売り出す
・地元で住み替え先を決める
・住み替え先に引っ越す
2020年11月 ・物件を9800万円に値下げする
・購入者が現れる
・買主と9998万円で売買契約を交わす
2021年2月 ・マンションを買主に引き渡す

まとめ

  • 不動産仲介会社を選ぶときは、近隣エリアで似た条件の物件の仲介実績が豊富にあるかをチェックする。
  • 需要が見込める物件であれば、一般媒介契約で複数の会社に託した方が、より高く売れる可能性がある。
  • 販売価格は後々、値下げすることを想定して高めに設定するのが得策。
  • 一般媒介契約で同時期に複数の買主候補が現れたときは、競合させて高値で売却できる場合がある。

取材・文/星野 真希子 イラスト/石山好宏

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