不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

大阪府大阪市北区Yさん(60代)/両親から相続したマンションを売却して、新築マンションに住み替え

大阪府大阪市北区Yさん(60代)/新居の新築マンション引き渡しまでの数カ月で、両親から相続したマンションを売却

両親と住んでいた大阪市内のマンションを相続したYさん。老朽化が進んでいたためマンションを手放すことを決意し、まず、次の住まいにと同じ市内の1LDKの新築マンションを購入しました。引き渡しが翌年だったため、引き続き住みながら売却活動をスタートしました。

不動産区分 マンション
所在地 大阪府大阪市北区
築年数 約19年
間取り・面積 3LDK(85m2
ローン残高 なし
査定価格 4100万円
売り出し価格 4500万円
成約価格 4140万円

コンパクトな新築マンションを購入し、両親と暮らした築19年のマンションを売却

以前は大阪市内のマンションに両親と3人で暮らしていたYさん。数年前に母親が亡くなり、次いで2017年に父親が他界。1人暮らしになったことを機に新しいマンションへの買い替えを決意しました。
相続したマンションは3LDK・85m2のファミリータイプ。新築時に両親とYさんが共同名義で4300万円で購入したものです。

「梅田までのアクセスが良く、商店街も近くにある便利なマンションでしたが、築19年たち設備などが古くなっていたこと、一人では広すぎて掃除やメンテナンスが大変なことなどから、新しいコンパクトなマンションに住みたいと思うようになりました。賃貸に出そうかとも考えましたが、借り手とのトラブルや、修理の必要性などを考慮すると、やはりすっきり売却することを選択しました」

そのころ、同じ区内に新築マンションが売り出され、Yさんは1LDKの部屋を一目ぼれで購入。引き渡しが2019年7月だったため、引き続き住みながら売却活動をスタートしました。

3社の不動産仲介会社と相談、両親と縁のある会社に依頼

まず知り合いの不動産仲介会社に売却の相談をしてみましたが、会話をするなかでどこか合わないと感じたため、会社を変更することにしました。
次に連絡したのは以前、新築マンションの物件見学をしたことのある地元の不動産仲介会社です。
「以前の担当者がとても親切な人だったんです。すでにその方はいなくて若い担当者にかわったのですが、その人から査定当日まで何の連絡もなく、会話にも全く誠意が感じられませんでした」

誠意に首をかしげるような不動産仲介会社と付き合うのはメリットがないと考えたYさん。
次に連絡したのは以前、両親が神戸に所有していた不動産を売却する際に依頼した大手不動産会社でした。
「ちょうどそのころ、ポストにその不動産仲介会社のチラシが入っていたのです。とてもスムーズに売却できたと両親から聞いたことを思い出し、電話して査定に来てもらいました」

今回の査定額は4100万円。
実はYさんは2017年に父親が亡くなった直後に、ネットで一括査定をしてみたことがあります。
「大手から中小の不動産会社まで5社から連絡があり、3700万円台から4000万円弱という査定額でした。
そのときにおおむねの査定額の目安をつかんでいましたが、今回は当時より評価が上がっていました。」

査定額に納得したYさんは、両親のお墨付きだった信頼感もあり、同社と専属専任媒介契約を結びました。

内見者、ネット共に反響が少なく、徐々に売り出し価格を引き下げる

不動産会社から「まず高めの設定で売り出し、様子を見ながら価格を下げましょう」という提案があり、まず4500万円で売り出しを開始。
「通勤至便、●●小学校校区、ファミリー層向き」という文言を載せたチラシを配布したり、物件ポータルサイトに広告を載せて周知をはかりました。

「4500万円はちょっと無理かなと思っていましたが、できれば4000万円は手元に欲しかった。できれば、オリンピック開催前に売りたいとも考えていました」と当時を振り返ります。

しかし、査定額より500万円近く高い設定だったため、予想はしていたもののしばらく反響はありませんでした。
「不動産会社からは頻繁に連絡をいただきました。なかなか内見希望者が現れず、ホームページへのアクセス数も少ないので、少し売り出し価格を下げたほうがいいとアドバイスがありました。もちろん高めだったことは織り込み済みで、予想の範囲でした」

そこで、売り出し開始から3カ月後、200万円下げて4300万円に価格変更しました。
その後、数組の見学者はありましたが、やはり購入検討に至らず、少し不安になってきたといいます。
自身が住み続けながらの売却なので、引き渡し時期が翌年という難しさにも直面しました。

「次のマンションが完成していなかったため、現に住んでいる状態を見学してもらうのですが、家具や生活用品などがたくさんあり、どうしても生活感が出てしまいます。また、購入者への引き渡しがマンション完成までできないのも不利でした。一旦、賃貸に住んで中をきれいにし、いつでも引き渡せる状態にして売ったほうがいいかもしれないと思いましたが、短い間に2度も引っ越しするのは考えただけでもしんどかったですね」と当時を振り返ります。

最終的に、不動産仲介会社を通じて複数の不動産業者に見学に来てもらい、最も高く価格をつけた会社に売却する、という形に。5社から購入希望があり、そのうちの1社と翌2018年の3月に4140万円で売却契約が成立しました。
「不動産仲介会社の方から見れば、今は生活感にあふれていても、立地がいいのでリフォームすれば高く売れると判断したのだと思います。結果的に査定額以上で、新築時の購入額とそれほど変わらない額だったので、とても安心しました」

■居住中の内見

現在住んでいる家を売却する場合、居住中に内見を行うことになります。居住中の住まいはどうしても生活感が出てしまうので、内見前に掃除や片付けをする必要があります。また、購入検討者との日程調整も必要です。
ただ、居住中の内見の場合でも売主が立ち会わず不動産仲介会社に任せることは可能ですし、希望すれば立ち会うこともできます。
立ち会うと購入希望者の見方が分かり、その後の価格交渉のヒントになります。また、自ら購入検討者に住み心地をアピールできるというメリットもあります。

信頼できる不動産仲介会社との出会いで、短期間かつ希望額以上の売却がかなう

売却活動全体を振り返って、Sさんは「80点ぐらい」といいます。
「マイナス20点は、やはり査定時に誠意のない会社とのやりとりがストレスだったことです。
自分に合った不動産仲介会社を探すのは大変でしたが、信頼できる会社と出合えて良かったと思っています。結果的に買い取ってもらったのが不動産会社だったので、掃除やリフォームなどの後始末もなく、そのまま引き渡せたので楽でした」
住みながらの売却活動、翌年の引き渡し、というマイナス要素はありましたが、希望額の4000万円以上で売却できたYさん。
「もし4000万円以下でしか買い手がつかなければ、一旦新築マンションに引っ越して、気長に売却活動を続けていたかもしれません。でも、売り出しスタートから4カ月という短期間で、しかも希望以上の価格で売れたので、満足しています」と笑顔で答えてくれました。

2017年12月 ・マンションの売却価格査定
・大手不動産仲介会社と専属専任媒介契約を結ぶ
・4500万円で売り出し
2018年2月 ・売却価格を4300万円に変更
2018年3月 ・不動産会社5社が購入を検討
・4140万円で売買契約を結ぶ

まとめ

  • 不動産仲介会社が合わないと感じたら変更し、信頼できる会社を見つけることが大事。
  • 住みながら売却活動をする場合でも短期間・希望額での売却は可能。
  • 売り出し後の反響が少なければ、売り出し価格を見直すことも必要。

取材・文/浅野真由美 イラスト/めんたまんた

ページトップへ戻る