不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

マンションの修繕問題で将来が不安に。一戸建てに住み替えるも住宅ローンを借りられず/大阪府大阪市中央区Aさん(40代)

大阪府大阪市中央区Aさん(40代)/マンションの修繕問題で将来が不安に。一戸建てに住み替えるも住宅ローンを借りられず

築13年のマンションに暮らすAさん。管理組合の理事長になったのをきっかけに将来性がないと判断し、買い先行で一戸建てに住み替えましたが、住宅ローンが借りられない物件を選んでしまいました。

不動産区分 マンション
所在地 大阪府大阪市中央区
築年数 約13年
間取り・面積 1LDK(38m2) 
ローン残高 なし
査定価格 2300万~2500万円
売り出し価格 2380万円
成約価格 2300万円

管理組合の理事長になってわかったさまざまな問題。マンションの将来が不安に

大阪市中央区のマンション(38m2・1LDK)に一人暮らしをしていたAさんは、2019年に管理組合の理事長になりました。当時築12年を迎えたマンションは、大規模修繕のタイミングでした。

「部屋は狭いけど一人暮らしには十分で気に入っていました。でも理事長になってみて、立体駐車場の空きが多いなどさまざまな問題が深刻だとわかりました」

今こんな状態では、20年、30年後の管理やマンションの価値はどうなってしまうのだろうと不安に感じたAさんは、売却をして住み替えたいと思うようになりました。

査定を依頼したものの、迷いが生じて一年じっくり考えることに

2019年10月から、不動産仲介会社を探すことにしたAさんは、5社で一括査定を行い、2300万~2500万円の査定価格が出ました。2500万円の査定価格を出した会社は積極的でしたが、営業担当者と相性が合わず、結局、知り合いの不動産仲介会社に訪問査定をお願いしました。2480万円の査定価格が出たのですが、ここで、Aさんに迷いが生じました。

「次もマンションに暮らすのか、一戸建てが良いのか。自分がどういう暮らしをしたいのか、一年かけてじっくり考えたいと思ったんです。一年後、売却を決めた理由は、マンション管理はやはり大変だと痛感したから。理事長として管理会社とのやりとり、反対住民への説明を経験し、1人で自由に一戸建てに暮らしてみたい気持ちが高まりました」

不動産仲介会社のアドバイスで、2380万円で売り出す

売却を決意したAさんは、以前訪問査定をお願いした不動産仲介会社と専属専任媒介契約を結び、販売活動を開始しました。当初の売り出し価格は、2380万円でした。

「最上階の部屋だったので、私は2480万円で売り出したかったんです。担当者に相談すると、同じマンションの同程度の物件が2380万円で売り出し中なので、2480万円だと厳しいとの返答でした。迷ったのですが、2380万円で売り出すことにしました」

販売活動と並行して探していた住み替え先は、2020年10月に決定。購入価格は2000万円でした。

マンションについては、不動産仲介会社が自社サイトや不動産情報サイトに広告を行ったところ、すぐに問い合わせがありました。2人目の内見者と2020年12月に売買契約を結びました。値引き交渉の結果、売却価格は、2300万円でした。

■住宅ローンと土地面積・延床面積とは

住宅ローンを組む条件は金融機関ごとに異なりますが、不動産の担保能力がないとローンを貸し付けられないため、土地面積や延床面積については金融機関がそれぞれ独自の基準を設けています。例えば、フラット35は一戸建て住宅の場合70m2以上、マンションなど共同住宅の場合30m2以上が要件となります。フラット35は、建築基準法などにより定められた面積の下限を守っているなら、敷地の面積に制限はありません。
いっぽう住宅ローン控除などの税制優遇については、延床面積40m2未満の場合は適用対象外となります。住宅ローンを利用して購入する場合、土地面積や延床面積には注意が必要です。

すぐに現れた購入希望者、もっと高く売れたのではと後悔

「売却した物件にローンの残債はありませんでしたが、買い先行のため融資を受ける必要がありました。しかし、気に入って購入した一戸建ては、26m2の土地に立つ34m2・1DK。面積が小さすぎて住宅ローンを断られてしまったんです。住宅ローンには面積制限があって延床面積70m2以上必要でした。購入前に知りたかったです」

困ったAさんは、不動産会社の紹介で1800万円の融資を受けることになりました。

「高い金利でしたがやむを得ませんでした。住み替え先のリフォーム代を入れるとマンションが2300万円で売れても赤字です。購入希望者がこんなに早く現れたのだから、希望していた2480万円で売り出せば良かったなと後悔しました」

売却前から行っていて良かったのは、売るときのことを考えて、自分好みにリフォームするのを控えていたこと。できるだけ建築当初のままの方が万人受けすると考えたからでした。

引越してから1年がたち、初めての戸建て暮らしにも慣れました。部屋の間取りやインテリアを変えるなど自分好みにリフォームして暮らしています。

「一戸建ては電灯が壊れても1人で対応しないといけません。マンションとは違った良さ、大変さがありますが、自分で何でも決められるので気楽です」とAさん。自由な暮らしを楽しんでいます。

2019年10月 ・売却を意識し始める
・簡易査定を行う
2020年10月 ・不動産会社と専属専任媒介契約を結ぶ
・2380万円で売り出す
・住み替え先を探し始める
・住み替え先が決定
・住み替え先の売買契約を結ぶ
2020年11月 ・購入検討者が現れる
2020年12月 ・売買契約を結ぶ
2021年1月 ・物件を引き渡す
・住み替え先に引越し

まとめ

  • 面積30m2未満の物件は、住宅ローンが使えず、評価も下がる
  • 売り出し価格に迷ったら、高値から売り出して反響を見てから下げよう
  • 個性的なデザインなど一般的でない改修をしない方が、売却時に一般受けする

取材・文/内田優子 イラスト/キットデザイン

ページトップへ戻る