不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

実例から学ぶ「リセールバリュー」。"半投半住"のタワマン住まいで老後資産を形成/大阪府大阪市Aさん

大阪府大阪市港区Aさん(60代)/子供の独立を機にタワマン内で住み替え。将来を見据えた不動産取得で着実に資産形成

大阪府大阪市港区のマンションに住むAさん。実は、現在の住まいと売却した住まいは、同じマンションの別住戸だといいます。家族4人で暮らすために新築で購入した住戸は約114m2と広く、子どもたちが社会人になり独立するタイミングで、夫婦2人で暮らすのにちょうど良いコンパクトな住まいに移ろうと考えました。その時々の家族の状況に合わせて住まいを変えていくのがAさん流。今回は約半年で決着をつけようと売却活動を進めたそうです。

不動産区分 マンション
所在地 大阪府大阪市港区
築年数 約13年
間取り・面積 3LDK(約114m2)
ローン残高 4616万円
査定価格 7600万円
売り出し価格 7600万円
成約価格 6700万円

半年後の子どもたちの独立を見据え、ファミリータイプの広いマンションの売却を決意

Aさんが売却したマンションは、大阪市港区の物件です。もともと同じ市内に一戸建てを賃貸して暮らしていましたが、購入した方が資産になると考え、いつかは購入しようと思っていたそう。そんなとき、子どもが通う中学校の学区内で駅前の再開発があり、タワーマンションができました。一番近い駅だと徒歩1分、少し足をのばして5分ほど歩けば別の駅も使えるので、複数路線が使える立地。将来子どもが大学に通うのに便利です。また、将来老後の住まいを検討する際に売却するにも、再開発された駅前立地にあるタワーマンションなら資産性が高くて有利だろうと考え、新築で購入したそうです。Aさんの住戸は、約114m2・3LDKのファミリータイプで、見晴らしの良い35階にありました。ゲストルームやライブラリ―、シアタールームなど、共用施設も充実した物件です。駅までは屋根のある通路で行けるので、雨天でも濡れず移動できて便利に暮らせます。

「実は、売却後の今も同じマンションの別の住戸に住んでいます。35階の部屋を売却する2年ほど前に、同じマンションの11階・約66m2の住戸のチラシが入って、将来夫婦だけになったときにちょうどいいサイズだなと思って購入しました。このマンションの住み心地の良さはわかっていますし、老後に住宅ローンを組むのは大変ですが、共働きの今なら住宅ローンを組めることがわかったのでチャンスだと思って。35階の方の住宅ローンは私の名義で組んでいましたので、11階の方の住宅ローンは妻の名義で組みました。11階の住戸は、35階を引き払うまで空き家にしていたわけではなく、実際に子どもが使っていました」

2018年10月、子どもたちの独立が半年後の春に見えたタイミングで、Aさんは35階の住戸の売却を決断しました。

「まだそんなに築年数がたっていないので、このマンションの売却事例は多くありませんでした。そのため、競合は少なそうだなと思い、半年もあれば売却できるだろうと楽観していましたね」

「この物件の売却に慣れている会社に依頼しよう」と仲介会社は一社に決め打ち

売却のパートナーとなる不動産仲介会社は、初めから決めていたというAさん。マンションの売却では、まずはそのマンションの住人にチラシを配ることが多いものです。時々入るチラシで目にする不動産仲介会社は、いつも同じだなと感じていたので、迷うことなくこの仲介会社に依頼しようと思ったといいます。

「もともと大手で販売力がありそうだと思っていました。何より、中古のチラシでこの会社以外を目にしたことがなかったので、この物件の売却実績が多くて安心だなと思ったのです。実際に、2年前に購入した11階の住戸の仲介もこちらの会社でしたし。すぐ近くに店舗があって、このマンションの住人が相談しやすかったから、情報収集もこまめにできていたんじゃないかなと思います」

ちょうど、売却しようと思ったときに別の住戸のオープンハウスがあり、見学がてら相談に行ってみたAさん。自分たちが11階住戸を購入した経緯と35階住戸の売却の希望を伝え、11階住戸を購入した際の担当者につないでもらえることになりました。

「11階購入当時の担当者は、すでに出世されていて(笑)。担当となる部下の方を連れて、挨拶に来てくれました。そこで、子どもが独立する4月に合わせて売却と引っ越しをしたいこと、ローンの残債を賄える額で売却したいことを伝えました」

査定額は7600万円。新築購入時の価格が5700万円だったので、Aさんは「ずいぶん強気な値付けだな」と思ったそうです。でも、地価が上昇していることは知っていたし、中古の売却には価格交渉がつきものだと思ったので、売り出し価格は一旦査定額のまま進めて様子を見ることにしました。

売却のリミットを最優先に、価格を下げて法人への売却に狙いを絞った

売却活動は、まずはマンション内にチラシを配り、不動産会社のWEBサイトに情報を掲載してもらいました。担当者からは、2週間に1度、電話で問い合わせ数などの状況報告があったといいます。

「10月から活動をスタートしましたが、問い合わせが2件、実際に内見があったのは1件という結果でした。内見があったのは12月です。このときは、まだスタートしたばかりという感覚でしたし、先方からも特に価格交渉はありませんでしたので、私としては単純にご縁がないという感覚でした」

ただ、年末に向け、専任媒介契約の更新の話があった際に、担当者より「価格が高すぎるのか、反響がイマイチ。今の感じだと4月までの売却が難しいかもしれない」という話がありました。その上で、個人を対象とした売却ではなく、投資会社に買い取ってもらってはという提案がありました。売却価格は今より下がるものの、4月のリミットには確実に間に合うので、Aさんの意向に沿うとの話でした。

「このとき、すでに投資会社からの見積もりが用意されていて、6700万円での提示がありました。もともと7000万円くらいで売却できればいいなと思っていたので、金額は少し下がります。でも、リフォームやクリーニングなしの現況引き渡しだし、何より、もともと新築で購入したときより1000万円もプラスなので、良い話かなと判断しました」

2019年の年明けに、買取の提案に承諾の返事をしたAさん。その後、さまざまな手続きを経て、希望通り4月に売買契約を結び、物件を引き渡しました。

■リセールバリュー

リセールバリューとは、再販価値のことです。不動産の場合は、新築時の価格を100とした割合による再販時の価格維持率を示し、資産価値のバロメーターとなります。「都心」「最寄駅の駅力が高い」「駅から近い立地」といった人気のある条件を備えた物件は、買い手がつきやすく売却時に高値で売りやすいことから、リセールバリューが高い、ということになります。一般的には、リセールバリューは経年により自然に下落していき、一定の年月がたって土地の価値だけになると下げ止まります。ただし、新駅の誕生や再開発などで街の魅力が上がった場合や、中古の相場が上がった市況においては、購入から時を経ても売却時の価格を維持できていたり、売却時よりも高値で売却できたりすることもあります。一見、住宅の購入時に将来の売却について考えるのは時期尚早と感じるかもしれません。でも、ライフスタイルの変化に合わせて家をスムーズに買い替えたり、生涯の総住居費を抑えるためには、大切な観点となります。

不動産の取得は資産形成。常に先を見据えてタイミングを計る

今回の売却活動は、売却期限を優先して半年で終了。Aさんは、最初の値付けは少し高かったかなと笑いながらも、全体的にはスムーズだったと振り返ります。

「査定こそ高すぎではと思ったものの、全体的には私たちの意向に沿うよう提案をしていただいて、不動産仲介会社は良くやってくれたと感謝していますし、売却活動は満足いくものでした」

Aさんは、家族の形に合わせて住まいを選ぶことに柔軟です。また、不動産購入は資産を形成することなので、売却する際に損しないことを考えて選ぶものだと思う、と語ります。

「今回の売却で得たお金で、35階住戸の住宅ローンを完済しただけでなく、11階住戸の住宅ローンも完済できたのは将来への安心材料です」

便利な立地にあるこのマンションでの暮らしは、買い物や通院に便利。老後の生活環境としてはとても充実していると感じています。「あとは自然が欲しいくらいかな」というAさん。実は、将来相続する予定の実家が九州の田舎の方にあり、現在は年に数回長期滞在して、自然が身近にある暮らしを満喫しているそう。
住まいに対する柔軟な姿勢で、その時々に必要な住まいを上手に選んでいるAさん。充実した暮らしがうかがえました。

2016年7月 ・同じマンションの11階の住戸を購入
2016年10月 ・子どもが11階住戸に引っ越し
2018年10月 ・不動産仲介会社と専任媒介契約を結ぶ
・7600万円で売り出し
2018年12月 ・最初の内見希望者が現れる
・専任媒介契約の更新の話の際法人による買取提案がなされる
(提示額は6700万円)
2019年1月 ・買取提案に応じる返事
2019年4月

・6700万円で売買契約締結
・物件を引き渡し11階に引っ越し。

・売却活動終了

まとめ

  • 購入物件は、売却時のことを考えて資産形成できる条件を備えたものを選ぶ
  • 売却の不動産仲介会社は、その物件の実績が多い会社を選ぶ
  • 売却期間を重視するなら、個人への売却だけでなく、法人による買取を選ぶのも手

取材・文/竹入はるな イラスト/キットデザイン

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