東京で働いていたNさんは退職後、高齢の両親や兄弟の近くで暮らそうと東京都江東区のマンションを売却し、生まれ育った北海道にUターンすることを決意。インターネットの査定サイトで出合った不動産会社に購入時と変わらない価格で買い取ってもらい、同時進行で探して購入した北海道の中古マンションに住み替えました。
不動産区分 | マンション |
---|---|
所在地 | 東京都江東区 |
築年数 | 約35年 |
間取り・面積 | 3LDK(約56m2) |
ローン残高 | なし |
査定価格 | 1800万円 |
売り出し価格 | (買い取り) |
成約価格 | 1900万円 |
高齢の両親が気になり、東京のマンションを売却し北海道に帰ることを決意
北海道小樽市で生まれ育ち、就職を機に上京し、長年東京で働いてきたNさん。平成11年(1999年)に、通勤に便利な所にある築16年の中古マンションを1950万円で購入しました。地下鉄の最寄駅から徒歩10分で、オフィスが林立する駅へ乗り換えなしで行けるアクセス。24時間営業のスーパーや総合病院、コンビニエンスストアも徒歩10分以内にあり。生活施設が充実し、かつ車通りが少なく静かで暮らしやすい環境にありました。
「6階建てのマンションで住民と顔なじみになって和やかにあいさつするような規模でした。清掃スタッフが毎日来て掃除をしてくれていたので、築年数が古いわりに共用部は比較的きれいでした」とNさん。
体調を崩して会社を退職してからもしばらく東京に住んでアルバイトをしていましたが2016年4月ごろ、高齢になった両親のこれからが気になっていたこともあり、先々を考えて両親と妹が住む北海道に帰りたいと思い、売却を決めました。
一括査定サイトで連絡があった地元の不動産会社に希望額以上で買い取ってもらう
Nさんは、不動産情報サイトの一括査定を利用して査定を行うと、2社からメールで連絡があり、簡易査定額は2社とも1800万円で同じ。そのうち先に「現地を見たい」と電話があった不動産会社が来訪。
「若い担当者が来てくれましたが、きちんとした対応ができる人だと思いました。持ってきてくれた資料やパンフレットも充実していて、どういう売り方がいいか、不動産売却したときはどうしたらいいのか、わかりやすく説明してくれました」
訪問査定を行った上で1900万円で買い取りたいという話があり、Nさんは買い取ってもらうことを決めました。
「同じマンションで時々、住戸を売りに出している人がいて、チラシで値段を見ながら、どの位で売れるかを考えていました。マンションの掲示板に、時々売りに出している住戸の張り紙が掲示されていましたが、買い手が決まらず価格を下げたり、時間がかかっているのを見ていたので、売れるのかという心配もありましたし、広告を出して買い手を募集するならリフォームをする必要があると思いましたが、買い取りならリフォームを行わず不動産会社にそのまま渡すだけでラク。売れるかどうかもわからないで待つより、確実に売れて、しかも希望していた金額より高く買い取ってくれるなら、何の心配もなく、決めようと思いました」
その不動産会社が自宅から歩いて10分位の近い所にあり、地元をよく知っていて、手続きをする際の行き来がラクというのも決め手になりました。
住み替え先は地元に住む妹が探し、希望価格より安く広い物件が見つかった
Nさんは、故郷の北海道小樽市でマンションを購入することを妹さんに相談。東京に住みながら遠く離れた北海道の物件を探すのは難しいため、地元を良く知る妹さんに1000万円以下の物件を探してもらうことに。妹さんが撮影した写真などを見せてもらいながら検討し、売却が決まる前に希望に合うマンションが見つかり購入を決めました。
購入したマンションは、800万円。東京で所有していたマンションと同じ3LDKで、専有面積は約10m2広くなりました。「やはり東京とは物価が違いますね。対面式キッチンもいいですし、室内もキレイです。交通の便はあまり良くありませんが、窓から海が見える眺望がすばらしく、快適です」と満足そう。
同じマンションの売却状況を見てつかんだ相場観。売却期間・価格ともに大満足
「予想より早く、高く売れて満足しています。価格は高ければ高いほどいいですが、築35年ですし、同じマンションを売り出している方の価格やなかなか売れない様子を見ていたので、1000万円~1500万円くらいと想像していました。それが購入時の価格とあまり変らない1900万円で買い取ってくれて、十分満足しています」とNさん。売却金額も2回に分けて支払われ、1カ月後には残金も受け取ることができました。
Nさんが売却の際に時間がかかったのは、抵当権抹消の手続きでした。抵当権とは、住宅ローンを借りる際、万一ローン返済が滞った場合などに備えて、その不動産をローンの担保とするために設定されるものです。抵当権がついた物件は売却が難しく、住宅ローンを完済したタイミングで抵当権の抹消手続き(登録申請)を行う必要があります。Nさんは住宅ローンを完済していましたが、完済当時に銀行から抵当権抹消手続きを行うよう連絡がきても、仕事が忙しくて手続きをしていなかったため、すぐに売却ができませんでした。「不動産会社に事情を話すと、代わりに手続きをしてくれると申し出てくれました。お金はかかりましたが、プロに頼んでやってもらえて助かりました」と話す。
「これから地方移住やUターンする人も増えていくかもしれませんね。自分は実際会って訪問査定をしてもらったのは1社だけで、決めたことに満足はしていますが、2社くらいに訪問査定をしてもらった方が適切な金額がわかるのではないかと思います」とアドバイスをしてくれました。今の住まいは快適ですが、北海道の冬が寒くて雪が多いのは苦手だそう。「冬は東京、夏は北海道に住むのがベストかもしれません」と笑って話してくれました。
2016年4月 | ・売却を意識し始める |
---|---|
2018年4月 | ・簡易査定を行う ・不動産会社2社から連絡をもらう ・そのうち1社から電話があり、現地査定を行う ・不動産会社に買い取ってもらうことを心に決める ・妹に依頼して、北海道で住み替え先の物件を探し始める |
2018年5月 | ・住み替え先が決定 ・住み替え先と売買契約を結ぶ ・物件の抵当権抹消の手続きを行う |
2018年6月 | ・物件の売買契約を結ぶ ・売買物件を引き渡す ・住み替え先に引っ越す |
2018年7月 | ・売買代金が入金される |
まとめ
- 駅からのアクセスや生活施設の充実度、周辺環境などの条件が良ければ買い手は見つかりやすい
- 不動産会社を選ぶ際は、会社の近さや担当者の仕事ぶり、資料等の充実なども確認しよう
- 不動産会社の買取は、リフォームをする必要がなく手間がかからず確実に売れる
取材・文/佐藤由紀子 イラスト/石山好宏