
住みやすい住宅街に立つ築3年の大規模ファミリー向けマンション。すぐに売れるかと思いきや、売り出しから9カ月もかかった上、希望価格より500万円ダウンでの売却となったOさんの住み替え体験談です。
| 不動産区分 | マンション |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県横浜市 |
| 築年数 | 約3年 |
| 間取り・面積 | 3LDK(約65m2) |
| ローン残高 | 1450万円 |
| 査定価格 | 3880万〜4180万円 |
| 売り出し価格 | 4180万円 |
| 成約価格 | 3680万円 |
転職を機に通勤時間短縮のため都内への住み替えを希望
Oさんが1人暮らしをしていたのは、神奈川県横浜市内にあるファミリータイプの大規模マンション。約65m2、3LDKで、駅からも近く、職場へのアクセスも便利で、とても気に入って住んでいたそうです。
「2016年の竣工後も売れ残っていた住戸があり、当初の販売価格3680万円から3398万円まで値下げされているのを知ったんです。当時は近くの賃貸マンションに住んでいたのですが、これはお買い得だと思って購入したんです」
それから2年が経ち、転職をしたOさん。都内にある会社まで、通勤時間は一時間弱。混み合う沿線のため、毎日大変な思いで行き来していたと言います。
「以前は会社まで近かったので、通勤に時間がかかってしまうことが苦痛で。特に車内が混み合う朝が大変で、都内に引っ越したいなと思うようになりました」
近隣の大手不動産会社に売却を相談。新居探しはネットで検索
まずは売却物件の事業主系列の不動産仲介会社とほかに大手の不動産仲介会社、計3社に売却の相談へ行ってみたOさん。
「相場を知りたくて比較検討できるように、最寄駅前にある大手不動産仲介会社3社を訪問しました。1社は売却物件の事業主系列の会社だったので手数料が10%値引きになるとのことでしたが、査定額がいちばん低かったんですよ。査定額の幅は結構あって、3880万円〜4180万円でした。その中で、一番査定額の高かった会社の担当者が、顧客の中に予算もエリアも条件にぴったりな購入検討者がいるというので、すぐに売れるといいなと思ってお願いすることにしました。同時進行で進めた新居探しは、2回目の物件購入ということもあり、譲れない条件を絞り込みました。新築で、地下鉄沿線という条件は絶対にあったので、その項目を入れてネットで物件検索をかけ、気になる物件をピックアップして見学に行きました」
すぐに売れるという予想が外れ、3カ月後に依頼先を変更
売却を依頼した不動産仲介会社担当者に見込み客がいるということで、2018年9月下旬から4180万円で売り出しを開始。早期の売却成立を期待していたOさんでしたが、予定通りに事は進みませんでした。
「引き合わせていただける予定だった購入検討者は予算もエリアも探されている条件にぴったりだということだったのですが、結果的には成約には至りませんでした。もしかしたら契約を取るための口実だったのかもしれませんね。3カ月間の専属専任媒介契約を結んでしまっていましたので、引き続き購入検討者探しを続けていただきましたが、あまり動きはありませんでした。1カ月がたったころ、少し価格を下げませんかと提案があり、100万円ダウンの4080万円に値下げすることにしました。ちょうどその頃、住み替え先のマンションが決まりかけていて、早く売らないと……と気持ちが少し焦っていたんですよね」
値下げを行った後、内覧希望者が5〜6組いたそうですが、なかなか成約には至りませんでした。チラシを配布するなど、担当者もいろいろ手を尽くしてくれましたが、Oさんは3カ月後の契約更新を行わず、最初に相談に行った別の不動産仲介会社に依頼先を変更することにしました。
「最初に相談に行った際に3980万円の査定額をつけていた会社で、ベテランの担当者ははっきりと物を言う性格。ぶっきらぼうな感じでしたが、こちらからもなんでも言いやすくて、最初に依頼した会社の担当者より相性は良かったかもしれません。仲介手数料を2割引にしてくれるということで、依頼を決めました。売り出し価格は、同じマンション内で売り出されている別の住戸の価格も加味して、3980万円に値下げして売り出すことになりました」
年があけた1月、内覧希望が3組ほど入ったそうですが、3組とも以前の住まいと同じ学区内で住み替え先を探していた子育てファミリーだったそうです。
「お子さんの学校のこともあり、年度末までの入居が可能ならすぐに購入しますという方ばかりでした。でも、私の方の準備ができていなくて。住み替え先はほぼ決めかけていたのですが、その物件の引き渡しは4月中旬。年度末までの引き渡しだと、短い期間でも仮住まいの必要があります。それはしたくなかったんですよ。それでお断りすることになったんです。もったいなかったなぁと思いますね。ファミリー物件では新学期に間に合うタイミングで引き渡せるように、上手にスケジュールを組んで売却活動をしないとダメなんだなと、勉強になりましたね」
担当者からは不動産会社に買い取ってもらうという手もあるという提案があったそうです。しかし、その場合は値下げは必至だと聞き、なるべく価格を下げたくなかったOさんは引き続き、一般購入検討者に売却したい旨を伝えたそうです。
また、住み替え先のマンション販売担当者にもなかなか売却がうまくいかないことを相談したというOさん。
「サブリースや分譲貸しの提案をしてもらいました。分譲貸しの場合、家賃は16万円くらいが相場だと聞きましたが、賃貸経営はなかなか大変そうなので、やっぱり売却したいなと思いました」
■不動産種別による売却に適したシーズン
不動産売買の場合、賃貸物件ほど季節によって需要が左右されるわけではありません。しかし、単身者向けの物件や都心エリアでは季節の影響はほぼないものの、ファミリー向け物件や子育て世帯の多いエリアでは、新学期前のシーズンが節目になるケースが見受けられます。そういった条件に該当する場合は、春や秋の新学期前や人事異動のシーズンなど、引っ越し需要が高まり、売買が活発になる時期を見極めて売り出し開始時期を検討しましょう。
また、築年数や所有期間も売却時期を考える上では重要なポイントとなります。住宅価格は一般的に時間経過によって価値が下落していきます。少しでも高く売りたいなら、築15年までを目安に売却時期を考えた方が良いでしょう。また、所有期間5年以下の不動産は短期所有とみなされ、譲渡所得は所得税が30%、住民税が9%課税されます。所有期間が5年を超えた長期所有の不動産は、所得税が15%、住民税が5%と軽減されます。少しでも不動産価値の下がらないうちに短期所有の区分で売るという方法もありますが、所有から4年が経過している場合は、長期所有の税率になるまで待ってから売却を検討する方が良いかもしれません。なお、課税対象となるのはあくまでも譲渡所得が発生した場合です。売却益が出ない場合は非課税なので、所有期間に関係なく早めに手放す方が良いこともあります。
いずれにせよ、売却のタイミングは豊富な情報と知識をもつ不動産会社の担当者に相談しながら、物件条件や周辺エリアの特性、市場動向などを見極めて決めるのが無難です。
希望価格からは500万円ダウンで売却成立
その後、社宅の退去期限を迎え、住み替え先を探しているという老夫婦が購入意思を示してくれました。
「その方はまだ退去期限まで時間があったようで、もう少し値下がりするのを待たれている感じでした。結局、私の方が売り急いでいたこともあり、価格交渉の駆け引きに負けてしまい300万円値引きして、3680万円での成約となりました」

駅からも近く、住み心地の良い住宅街にある横浜市内の築浅大規模マンションが、これほど売却に苦労した要因をOさんは次のように分析します。
「初めての売却活動は10点中6点くらいの出来でしたね。やっぱり最初の売り出し価格が高すぎたのでしょうか。売り出し開始時期も悪かったんだと思います。ファミリー向け物件の場合は、需要が高まる年度末引き渡しを見越して動きはじめないとダメだったんだなぁと思います。新居探しの方は2回目ということもあり、とても上手に良い物件を購入することができたのですが、売却はなかなか難しかったですね」
都内に購入した新居は、通勤便利な地下鉄沿線で約55m2、2LDKの新築マンション。4898万円だったそうです。
「不動産は時代の流れとともに価値が変わりますし、10年前後を目安にこの物件も売却して住み替えをしようと思っています。次は今回の売却体験で学んだことを活かしたいですね。同じ物件で売り出している住戸の動きや、分譲貸し物件の相場なども常にチェックして、売り出し時期を見誤らないようにしたいと思います」
| 2018年9月下旬 | ・不動産仲介会社3社に売却の相談 ・不動産仲介会社Aと専属専任媒介契約を結ぶ ・4180万円で売り出し開始 |
|---|---|
| 2018年12月下旬 | ・不動産仲介会社を変更 ・3980万円に価格を下げる |
| 2019年2月 | ・購入検討者が現れる |
| 2019年3月 | ・住み替え先の売買契約が成立 |
| 2019年4月 | ・住み替え先に引っ越し |
| 2019年6月 | ・値引き交渉により3680万円に価格を下げる ・売却物件の売買契約が成立、引き渡し |
まとめ
- ファミリー向け物件の売却では、新学期に間に合うタイミングで物件を引き渡せるのがベスト
- 不動産会社に買い取ってもらう場合は、希望価格よりも低くなってしまうケースが多い
- 学期末、年度末など買い手の需要が高まるシーズンから逆算して、売却スケジュールを立てよう
取材・文/馬場敦子 イラスト/村林タカノブ


