不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

内見者は多いものの、なかなか売れないマンション。不動産仲介会社を替えたらすぐに購入希望者が現れ、売却成功!/神奈川県横浜市保土ケ谷区Hさん(60代)

神奈川県横浜市保土ケ谷区Hさん(60代)/内見者は多いものの、なかなか売れないマンション。不動産仲介会社を替えたらすぐに購入希望者が現れ、売却成功!

離婚後、それまで住んでいたマンションを売却することになったHさん。売り出しから数カ月たっても成約に結びつかなかったため、思い切って不動産仲介会社を変更。2社目の担当者が提案するオープンハウスを実施したところ、あっという間に売却することができました。

不動産区分 マンション
所在地 神奈川県横浜市保土ケ谷区
築年数 築18年
間取り・面積 3LDK(専有面積約66m2
ローン残高 800万円
査定価格 3500万円
売り出し価格 3700万円
成約価格 3330万円

妻との離婚が決まり、住んでいたマンションを売却することに

2017年の離婚を機に、それまで住んでいた横浜市のマンションを売却することになったHさん。すでに自身も元妻も引っ越しを済ませ、空き家状態での売却活動となりました。

売却するマンションは築18年の3LDK約66m2。7階建ての最上階、南向きで日当たりの良い部屋です。全ての住戸に地下のトランクルームが割り当てられているのも便利だったといいます。
マンションの北側は一戸建てが立ち並び、南側はマンションの立つ住宅街。最寄駅まで徒歩16分程度、バス便もあります。

「私は横須賀線で都内の会社に通勤していましたが、アクセスが良く便利でした。マンションの近くには公園があり、とても住みやすい環境だったと思います」

二重の住宅費を回避するため早く売りたいと希望

売却にあたり、Hさんはまずネットで検索し、近隣の不動産市況をチェック。その後、最寄駅の駅前にある不動産仲介会社に足を運びました。

「離婚という事情もあり、売却することは決めていたので、ネットでの一括査定はせず、近所の大手不動産仲介会社に直接相談しました。その後、その会社から訪問査定を受け、ついた査定額は3500万円でした。1年前に同じマンションの4階住戸が3300万円ぐらいで売りに出されていました。わが家の方が階数が上なので、3500万円は妥当な額だなと思いました」

大手不動産会社のため特に不安を感じなかったというHさんは、専属専任媒介契約で仲介業務を委託し、担当者にできるだけ早く売りたいと伝えました。
すでに引っ越しを済ませ、賃貸マンションでの生活を始めていたため、2重の住宅費がかかるからです。

「マンションの管理費と積立金で3万5000円、毎月のローン返済が約6万円。毎月約10万円ずつかかり続けます。それ以外に今住んでいる賃貸マンションの家賃がかかるので、かなり厳しい状況です。少しでも早く売りたいという気持ちは強かったですね」

売り出し価格は不動産仲介会社と相談し、査定額に200万円上乗せした3700万円に設定しました。
「今は他物件の売り出しがないのでこの価格でも売れる可能性はある、というお話だったので、少し強気の価格にしました」

不動産仲介会社を変更しオープンハウスを実施。すぐに買い手が現れる

不動産仲介会社は自社のネット会員向けサイトに物件を掲載したそうです。
掲載後は週に1、2組の内見希望者が常にあり、Hさんは毎回同席して案内をしました。

「不動産仲介会社の方では鍵を預からないので、できるかぎり日程調整して内見に同席してほしいとのことでした。見学者からよく質問されたのは、近隣の学校や地域の治安の情報。ファミリー向けの間取りだったのと、どちらかというと教育熱心な方が多いエリアだからでしょう」

毎週、週末になると順調に内見者が訪れましたが、2カ月たっても成約には結びつきません。

「広さの割に価格が高かったからかもしれない」と考えたHさん。
不動産仲介会社の担当者と相談し、売り出し価格を3600万円、3500万円、3480万円と数カ月かけて徐々に下げていきました。
売却を急ぐ気持ちと反して売れない状況が続いたため、Hさんはほかの不動産仲介業者の意見を聞いてみようと思い立ちました。
そこで、2件目の不動産仲介会社を訪ね、「御社だったらどうしますか」と聞いてみました。
すると、「現在依頼されている仲介会社の場合、内見者は多いけれども、売却活動に工夫がない。大手なので企業のネットワークだけに頼っているように感じる」というのです。
さらに、鍵を預かって賃貸に住む人をターゲットにオープンハウスを実施したい、と提案されました。住環境がいいので、このエリアに賃貸で住んでいる人でマンションを買いたいと思っている人はいるだろうという意見でした。

2社目の担当者のきっぱりとした言い方や、1社目ではなかった提案を聞いて、Hさんは2社目の方がより工夫と熱意があるように感じたと言います。
そこで1社目との契約を終了し、2社目と専属専任媒介契約を結びました。

「1社目の担当者には、他社で試してみたいと報告しました。すると、もし売れなければまた来てくださいと、あっさり言われました」

2社目の不動産仲介会社では3480万円で売り出しを開始。予定通りオープンハウスを行いました。
すると、実施後すぐに「前向きに考えている人がいます」という連絡が入りました。
売り出し前に、Hさんは担当者から価格交渉の余地はあるかと聞かれたので、100万円程度の引き下げなら応じてもいいと返事をしていました。
購入希望者から3280万円でという希望があったため、間をとって3330万円で売却することが決まりました。

■オープンハウス(オープンルーム)とは

マンションや一戸建ての住宅を販売するとき、実際の居室を見学できるよう開放することです。
モデルルームやモデルハウスを持たない中古物件でも、開放日の開催時間に見に行けば、実際の居室を予約なしで自由に見ることができます。
買い手は、不動産会社のちらしやネットで見るだけよりも安心して購入できるのがメリット。一戸建ての場合はオープンハウス、マンションの場合はオープンルームということが多いようです。

不動産仲介会社を替え、戦略を変更したことが売却の決め手に

売却活動を振り返り、「査定時の価格には届かなかったけれど、そこから大きく下がらず売れたので良かったと思っています。売却活動期間中もマンションの維持費が毎月かかっていたので、売却が決まったときはとても安心しました」と言います。

「不動産仲介会社の担当者からは、そのエリアの不動産価格のピーク時より価格が下がってきているという話を聞いていました。しかし、3800万円で購入したマンションに18年間住んで、その価格で売れたのだから、決して損ではなかったと思います。
ひとつ選択肢があったとすれば、住みながら売却することもできたかもしれないこと。そうすれば二重の住宅費がかからずにすんでいました。でも住みながらの内見は日程調整や掃除などが大変だし、一長一短ですね」

結果的に2社目に契約した不動産仲介業者が提案したオープンハウスがきっかけで売却が決まったHさん。不動産仲介会社との出会いが売却の成否を左右する好例だったと言えそうです。

「購入された方は同じマンションの1階に住んでいた方。このエリアやマンションに愛着を持っておられ、オープンハウスを知って見学し、即座に購入されたわけですから、この方法に切り替えて正解でした」と満足そうに話してくれました。

買主は同じマンションの住人

2017年12月 ・離婚が決まり、マンションの売却を考え始める
2018年3月 ・マンションの訪問査定
・不動産会社と専属専任媒介契約を結ぶ
・3700万円で売り出し
2018年5月 ・売却価格を3600万円に変更
・3500万円、3480万円と、徐々に価格を下げる
2018年7月 ・不動産会社を変更。専属専任媒介契約を結ぶ
・3480万円で売り出し
2018年9月 ・購入検討者が現れる。価格交渉を実施
2018年10月 ・3330万円で売買契約を結ぶ
・引き渡し

まとめ

  • 売り出しても反響がなかったり成約に結びつかなかったりする場合は、不動産仲介会社を変更してもよい
  • 価格交渉でいくらまで減額可能か不動産仲介会社に伝えておくと交渉がスムーズに
  • 引っ越しを済ませてから売却活動を実施すると、売却成立まで二重の住宅費がかかることに注意しよう

イラスト/いぢちひろゆき

●構成・取材・文/浅野真由美
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