不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

築25年の郊外の一戸建てを、地元の不動産会社に託して約1カ月で難なく売却/神奈川県相模原市Sさん(50代)

神奈川県相模原市Sさん(50代)/築25年の郊外の一戸建てを、地元の不動産会社に託して約1カ月で難なく売却

神奈川県相模原市の一戸建て(築25年・4LDK)に暮らしていたSさん一家は、子どもの通学のしやすさなどを考えて横浜市に住み替えることに。長年付き合いのあった地元の不動産仲介会社と媒介契約し、約1カ月で売却を決めました。

不動産区分 一戸建て
所在地 神奈川県相模原市
築年数 約25年
間取り・面積 4LD(延べ床面積…約100m2、敷地面積…約130m2
ローン残高 なし
査定価格 2300万円
売り出し価格 2350万円
成約価格 2300万円

子どもの通学の利便性と、義父の介護を支えるため住み替えを決意

妻と2人の子どもと暮らすSさん(50代男性)は、2016年夏ごろに、相模原市の一戸建てを手放すことを考え始めました。背景には2つの事情がありました。

「翌春に子どもが進学を控えていたのですが、相模原から学校へはほど遠く、かつ今の住まいは最寄駅から徒歩約30分の場所にありました。さらに義母が義父の介護をはじめていたのですが、見ていて大変そうなので『私たちが近くに住んでサポートできたら』と妻と話をしていて。子どもが通学しやすく、妻の実家にも近い横浜市に住み替えることにしたのです」

10年過ごした住まいは築25年の2階建て。1階にLDKと和室、2階に3つの個室がありました。きれいに区画整理された地域で目と鼻の先に保育園があり、接道は車の出し入れがしやすい6m幅。
駅から離れているものの、一帯は車社会なので郊外型の大型商業施設やドラッグストアなどが点在し、山川や広い公園が近いのも特長でした。

自然の豊かな場所にある一戸建てイメージ

実家で懇意にしてきた地元で長年の実績がある不動産会社に依頼

もともとSさんの実家では不動産を複数所有していて、相模原市の住まいは父親から相続したもの。環境のよさが気に入り、賃貸化せずに自分たちが入居したという経緯がありました。
そのため一括査定をしたり個別に不動産会社に当たったりはせず、真っ先に昔から実家で付き合いのあった不動産会社(A社)と連絡を取ったといいます。

「管理会社として実家で15年ほどお世話になっていたので、もしA社に依頼しないと『何でお願いしなかったの?』と母親に責められるでしょう。お金より義理の気持ちが大きかったのですが、ただ、それだけではありません。A社は長年、地元に根差した不動産会社なので実績が豊富でこの辺りの相場に詳しいですし、手堅いだろうと思ったのです」

連絡を受けたA社は早速、Sさん宅を訪れて査定します。

「事前に不動産情報サイトで近隣の同じような物件の価格を調べていたのですが、それによると、だいたい2000万~2500万円の間。ここからかけ離れていたら考え直したかもしれませんが、A社の査定価格は2300万円でした。
複数の不動産会社に声をかければ、それだけ窓口が増えて、煩わしくもなるでしょう。
見積もりが相場と合致し、古くから信頼のある不動産会社であれば、お願いするのに十分だと思ったのです」

売却活動はすべて任せようと思ったSさんは、2016年9月、A社と専属専任媒介契約を結びます。

販売活動をはじめて1カ月で3組の内見者を迎え、スムーズに売買契約

価格は値引き交渉されることを見越して査定より50万円高く設定。2350万円で売り出します。

A社ではチラシを作成し、自社だけでなく提携する不動産会社でも配布。不動産情報サイトに物件情報を掲載するなどして販売活動をしました。
1週間ほど経ったころにA社から「内見希望者がいる」と電話が入ります。

「やはり営業力があってのことでしょう。『お願いしてよかった。ありがたいな』と思いました。
内見の日に取り立てて用意したものはありませんが、家を整理整頓して印象がよくなるよう心がけました」

内見は約1カ月間で計3組、日をずらして土日に迎えました。

「そのうち1組が、共働きのご夫婦だったのですが、保育園が近くにあることや、広めの4LDKであることをとても気に入っていて。その日のうちにA社から連絡がきて、購入していただけることになりました」

予想通り50万円の値下げ依頼がありましたがSさんは快く応じ、2016年12月に2300万円で売買契約を交わします。

条件に合う新居が見つかり、売却もスムーズにいって心から満足

売却まで少なくても3カ月はかかると思っていたSさんは、思いのほか順調にいったことをこう振り返ります。

「A社からは最初、『子育てに好ましい環境だから需要はあるはず』と聞いていたので、そこまで心配はしていませんでした。でも、『もし売れなければ値段を見直していきましょう』とも話していて、最悪は2000万円まで下げることになると思っていました。だから売れて本当によかったです。
買主は私たちと同じ子育て中で、話も通じるところがありました。私たちの家に関心をもっていただき、そうした交流も踏まえて購入に至ったことに感謝です。
結局50万円は値下げすることになりましたが、それ以外でお願いされたことはありませんし、お得だと思ってもらうためには必要だったのだと納得しています」

Sさんは2016年10月に横浜市で住み替え先となる中古一戸建てを購入。2017年1月にリフォームしたのち、3月に引っ越し。同月に相模原市の物件の引き渡しをします。

「自己資金では足りなかったため、10年固定金利の住宅ローンを利用しました。新居は妻の念願だった対面キッチンがあって家族とコミュニケーションが取りやすく、日当たりも良好。駅からも近くて満足しています」

人とのつながりを感じながら売却活動を進めたSさん。理想の住み替え先も手に入れ、その表情は喜びに満ちていました。

■査定価格と売り出し価格について

査定価格とは、売却を検討する売主に対して不動産仲介会社が示す「売却できそうな価格」のこと。周辺の売買実績や広さ・築年数などを勘案して出されますが、各社で独自のノウハウや経験値があるため、値段に差が出ることも。いずれにしても査定価格を参考にして、売主が売り出し価格を定めます。このとき、値引き交渉を見越して少し高めに設定されるケースが多いですが、エリアの特性や不動産市況で状況は変わるため、「いつまでに売却したいか」「下限価格はいくらまでか」など不動産仲介会社に希望を伝え、よく相談して決めましょう。

2016年8月 ・一戸建ての売却を考えはじめる
2016年9月 ・訪問査定をする
・不動産仲介会社と専属専任媒介契約を結ぶ
2016年10月 ・購入者が現れる
・住み替え先の一戸建てを購入
2016年12月 ・買主と売買契約を結ぶ
2017年1月 ・住み替え先のリフォーム工事
2017年3月 ・住み替え先に引っ越し
・売却したマンションを買主に引き渡す

まとめ

  • 信頼できる不動産仲介会社にお願いすることが、満足度の高い売却につながる
  • 不動産仲介会社を訪ねる前に、近隣の似たような物件の価格を確認して、相場観を養っておこう
  • 売り出し価格は値引き交渉が入ることを加味して設定しよう
売却査定する

取材・文/星野 真希子 イラスト/松尾達

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