不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

離婚を前に、借り手がつかない築28年のマンションを建築会社に売却/神奈川県横浜市Eさん(60代)

神奈川県横浜市Eさん(60代)/離婚を前に、借り手がつかない築28年のマンションを建築会社に売却

 

新婚時に暮らし、その後賃貸に出していた横浜市のマンションが古くなり、借り手が現れず困っていたEさん。折しも離婚の話が出ていたので売却を決意し、売却で得たお金は離婚後の財産分与や新生活のスタートに役立てました。

不動産区分 マンション
所在地 神奈川県横浜市
築年数 約28年
間取り・面積 3LDK(50m2
ローン残高 なし
査定価格 1600万円
売り出し価格 1600万円
成約価格 1600万円

賃貸に出していたマンションの管理費が負担。売却して離婚時の支払いに

1989年に購入したマンションに10年間夫婦で住んだのち、賃貸として運用していたEさん。2017年4月に築年数が28年目になり、借り手がなかなか見つかりませんでした。そんなとき、不動産会社から届いたハガキを見て、売却に興味をもつようになりました。

「家賃は10万円で貸していましたが、借り手がいないのに、月3万円の管理費を払うのはいやだなと。そのころ、夫婦関係が悪くなり、離婚を話し合っていました。離婚の際、財産分与するにしても現金化しておいた方がよいのではと思ったんです」

マンションは、最寄駅から徒歩15分の50m2・3LDKです。3300万円で購入し、ローンの残債はありませんでした。
「売るなら、はやりのリノベーションをした方が高く売れるのかなと思ったのですが、賃貸人の退去時に壁・床・天井の壁紙を張り替えていたので、まずは不動産会社に相談することにしました」

■離婚時の財産分与で家を分ける場合

購入した家を離婚した際に分けることを財産分与といいます。財産分与は折半が基本で、不動産を売却して現金化し分与する方法があります。財産分与をする際は、「土地や建物の名義」「住宅ローンの契約内容と残債」「財産分与に該当する期間」「不動産の価格」「特有財産の有無と割合」を確認してください。「土地や建物の名義」は、法務局で取得できる不動産の登記事項証明書を見て確認します。「住宅ローンの契約内容と残債」は、住宅ローン契約書類一式に記載されています。「財産分与に該当する期間」は、基本的には、結婚した日から別居した日です(離婚した日までとする場合も)。「不動産の価格」は、時価で計算します。いくつかの不動産会社に査定をしてもらい、時価を把握しておきましょう。「特有財産」とは、婚姻前に片方が所有していた財産や夫婦の協力とは無関係に取得した財産のこと。それらは、支払った側の特有財産となります。財産分与せずに夫婦のいずれかが住み続ける場合は、後にもめないように、例えば妻が住む場合なら妻に一定の収入があれば妻名義で住宅ローンを借りたうえで、名義を妻に書き換えておきましょう。もしくは、夫と賃貸借契約を結び、妻が残りのローンを家賃として払う方法もあります。

連絡があった不動産仲介会社に査定を依頼。査定額1600万円に納得して契約

ハガキをくれた大手不動産会社との縁を感じ、電話をして訪問査定を依頼したところ、1600万円の査定額でした。条件の似た物件の売買事例を見せてもらい、そのくらいが相場だと感じたEさんは、2017年5月に不動産仲介会社と専属専任媒介契約を結びました。

訪問査定時にリノベーションについて相談してみると、「きれいな状態なので、今の状態で大丈夫ですよ」と不動産仲介会社の担当者に言われました。窓サッシは、管理組合で交換済みで、水まわりも更新したばかりだったので、そのまま売ってみることにしました。

リノベーション目的の建築会社と値引きなしの1600万円で売買契約

査定通りの1600万円で販売活動をスタートし、不動産情報サイトや広告媒体で宣伝しました。広告活動と並行して、不動産仲介会社の担当者が、リノベーションを得意とする建築会社に営業に行ったところ、「ぜひすぐに買いたい」と連絡がありました。

「最初に、大体値下げの交渉があると不動産仲介会社の担当者に聞いていたのですが、今回はなかったです。そのころ、マンション全体のサッシを二重窓にすると管理組合から連絡があったので、そのことを伝えたところ、値引きなしの1600万円で2017年5月に売却が決まりました」

売り出しから1カ月以内のスピード売却でした。

迷っていたが、リノベーションせずに売りに出して良かった

契約や入金もスムーズに進み、訪問査定から引き渡しまでわずかひと月足らずの売却活動でした。

「あっという間でした。あまりにも予想より早かったので、時間をかけたらもっと高く売れたのではと思い、売却が決まったときはちょっともやもやしましたよ。リノベーションを自分でやるのはコストがかかりすぎるなと思っていたので、手を加えずに売ってみたのは、正解でした」

「夫婦で暮らした家を処分するのは、ちょっと複雑な気持ちもあった」と話すEさんですが、その後、妻と離婚。売却代金の半分は妻に渡し、Eさんも新しい生活をスタートしています。

2017年4月 ・売却を検討しはじめる
・訪問査定で1600万円の査定が出る
2017年5月 ・不動産会社と専属選任媒介契約を結ぶ
・購入検討の業者が現れる
・1600万円で売買契約を結ぶ
・物件を引き渡し

まとめ

  • マンションの借り手がなかなか現れないときは、売却を検討するチャンス
  • 老朽化で家賃が下がったり、管理費が負担になる前に売却する
  • コストのかかるリノベーションを自分でする前に不動産会社と相談を
売却査定する

取材・文/内田優子 イラスト/カワモトトモカ

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