不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

神奈川県横浜市Tさん(60代)/単身赴任生活から3年。息子の独立を機に、夫婦で暮らせる住み替えを決断

神奈川県横浜市Tさん(60代)/単身赴任生活から3年。息子の独立を機に、夫婦で暮らせる住み替えを決断

息子が独立したことで、平日は自宅と単身赴任先でそれぞれ1人暮らし状態になってしまったTさん夫妻。またそろって暮らせるよう横浜市の自宅(築13年、3LDK)を売却。つなぎ融資を利用して新居を購入し、住み替えを行いました。

不動産区分 一戸建て
所在地 神奈川県横浜市
築年数 約13年
間取り・面積 3LDK(延床面積…約110m2、敷地面積…約130m2
ローン残高 2300万円
査定価格 5800万円
売り出し価格 5800万円
成約価格 5500万円

夫婦一緒に過ごせるようにと自宅を売却し、転職した会社近くに新居を購入

Tさんがそれまで家族3人で暮らしていた横浜市内のマンションから程近い場所に、一戸建て住宅を建てたのは2004年のことでした。

「当時は勤めていた会社が横浜市内にあり、通勤がとても便利だったので、それまで住んでいたマンションを売却して、すぐ近くに一戸建てを建てたんです。妻と息子と3人で暮らしていたのですが、2014年に埼玉県の北部にある会社に転職することになって。その年の後半からは単身赴任生活が始まりました。週末だけ妻と息子が暮らす横浜の自宅に帰る生活を続けていたのですが、電車でも車でも2時間ほどかかり、行き来がとても大変だったんですよね。2016年には息子が独立し、平日は妻が1人暮らしの状態になってしまいました。広い一戸建てで1人の生活は寂しいだろうし、心配で。今の会社は後5年、65歳まで働けますし、健康面や経済面など総合的に考えても、埼玉の方で新しく住まいを構えて夫婦2人で一緒に暮らせる方がいいなと思って、横浜の自宅を売りに出すことにしたんです」

13年前の土地購入の際にお世話になった不動産会社で売却査定を依頼

2017年3月、住み替えに向けて、自宅の売却と同時に新居探しもスタートしたというTさん。

「ローンの残債が2300万円ほどありましたし、まずはどれくらいで売れるかを知らないと新居購入の予算も決まりませんので、査定をお願いすることにしました。エリア事情に詳しく、情報量が豊富な会社に査定をお願いする方がいいと思ったので、13年前に土地を購入した不動産会社に連絡を入れました」

とても暮らしやすい閑静な横浜市内の住宅街にあり、敷地面積は約130m2、建坪は約110m2の3LDK、2階建て。土地価格3800万円、建物価格1700万円に外構工事費などを合わせて合計6000万円弱で建てた築13年の住まいです。

「設計は大手住宅メーカーに依頼して建てました。前職時代は海外赴任も多く、13年間のうち数年は家族そろって海外で暮らしていたため、その間は賃貸に出したりしていたんです。とても住みやすい場所にあり、その時もすぐに借り手が見つかったので、今回もスムーズに売却できるのではないかという予感はありましたね。査定額は5800万円ということでした。ちょっと高めの設定かなと思ったのですが、最寄りでは一番大手の会社でしたし、沿線の情報に長けた信頼できる会社だったので、そのまま媒介契約を結び、売却活動をはじめてもらいました」

先に住み替え先が決まったため、売却物件の価格を300万円値下げすることに

近隣エリアへのポスティングチラシや不動産仲介会社の会員向けメールマガジンでの情報公開などで、販売活動を進めていましたが、問い合わせは思ったよりも少なく、なかなか買い手は見つかりませんでした。

住み替え先の方は、売却を依頼している不動産会社から埼玉の支店を紹介してもらい、同時進行で進めていたのですが、こちらもなかなか良い物件に出会えなかったそうです。

「住み替え先も一戸建てと決めていました。マンションは管理費が毎月かかるし、メンテナンスが自由にできないので、あまり好きじゃなくて。注文住宅は土地探しや家づくりに時間がかかってしまうので、建売住宅を中心に検討していました。埼玉の土地勘がまったくなかったので、職場に近いエリアを2〜3ピックアップしていただいて、たくさん見に行ったのですが、なかなか良いなと思う物件に出会うことができなくて。自分でも会社近くの不動産会社へ行き、オススメエリアを教えてもらってインターネットで検索して探していました。そしたら、40区画くらいの大規模開発エリアを見つけたんです。ちょうど第2期販売がはじまったところで、残り区画もまだまだあって、10区画くらいの中から一番良い区画を選ぶことができました」

自宅の売却活動をはじめたのが2017年3月。そこから1カ月ほどで住み替え先の一戸建てが決まりました。

「売却よりも先に住み替え先の契約が進み、手付金を支払う必要があって、このまま売れなかったらどうしようかと、少し焦りましたね。なので、売却価格を5800万円から5500万円に下げたんです」

300万円の値下げをしたところ、すぐに購入者が見つかりました。

「内覧は10組くらいあったかな。内覧の連絡が入るたびに約2時間かけて横浜の自宅に戻り、立ち会っていました。金曜日の夜、仕事が終わってから帰り、日曜日の夜に埼玉に戻るんですけど、住み替え先探しと同時進行でしたし、やることがたくさん! 仕事も忙しくてとても大変でしたね。善かれと思って、不動産会社の担当者は強気の価格設定で売り出してくれたのですが、価格を下げたらすぐに購入者が決まり、特に値引き交渉もなくすんなり売れたので、結果論ですが最初から5500万円で売り出しておけば良かったなと思いましたね」

売却ができなければ新居購入の支払いができないため、住み替え先はとても良い物件が見つかってうれしかったものの、当時は複雑な心境だったとTさんは振り返ります。

売却益で残債2300万円を完済し、新たに300万円のローンを組んで新居を購入

「住み替え先は、会社まで車で15分ほど。土地面積130m2、延床面積およそ100m2の4LDK、2階建ての建売住宅です。3500万円で購入しました。5500万円で売却できたので、残債の2300万円を支払い、残りを購入資金に充てました。新たに組んだローンは300万円くらい。不動産会社の方ですべての手続きをやっていただいたので手間はかかりませんでしたが、新たに組んだ融資手続きで手数料が5〜6万円ほどかかりましたね。でも、住宅ローン減税が適用されたので、確定申告の所得税減税では数千円ほど還付されました。住み替え先の物件は売買契約を結んだ直後に100万〜200万円くらい値下げして販売されているのを知りましたが、早い時期に購入したことで良い区画を選べたので満足していますよ。駅からは徒歩10分ほどで、スーパーは歩いて2〜3分のところにあり、立地がとても気に入っています。通勤も便利ですし、なにより妻とまた一緒に、落ち着いて暮らせるようになったのが良かったですね」

売却検討から4カ月で売却と住み替えが完了したTさん。満足度は7〜8点だと話してくれました。

「今の家を購入して4年ほどが経ちました。後5年で退職を迎えます。その先はどうしようか、まだわかりませんが、また売却して住み替えをするかもしれません。海外赴任が多かったので、住むエリアにこだわりはあまりなく、引っ越しにも抵抗がないんです。その年齢、その時のライフスタイルに合った便利な場所で暮らしていけたら良いなと思っています。医療施設が充実しているとか、買い物がしやすいとか、生活しやすいエリアならどこでも良いなと思うので、また5年先に考えたいと思っています」

2017年3月 ・売却査定を依頼すると同時に、住み替え先の物件見学を始める
・不動産仲介会社と専属専任媒介を結ぶ
2017年4月 ・住み替え先が決まり、購入契約を結ぶ
・売り出し価格5800万円から300万円値下げ
・購入検討者が現れる
2017年5月末 ・売買契約を結ぶ
2020年6月末 ・売却物件の引き渡しと同時に、住み替え先である一戸建ても完成し引っ越し

まとめ

  • 不動産会社を選ぶ際は、沿線エリアの情報に詳しいかもチェックポイントに
  • 売却と住み替え先の購入を同時に行う場合はタイミングが大切
  • ・適正な売り出し価格の見極めが売却期間を左右する
売却査定する

取材・文/馬場敦子 イラスト/カワモトトモカ

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