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親子ローンとは? メリット・デメリットと親が亡くなった場合の支払い、親子リレーローンと親子ペアローンの違いについて解説

親子ローンとは、ひとつの住宅を購入するため親と子が協力して組むローンを指します。共働き世帯の増加や不動産価格の上昇などを背景に、家事育児や経済的負担の軽減ができる同居への関心が高まっていることもあって、近年あらためて注目されている融資です。

親子ローンは「親子ペアローン」と「親子リレーローン」の2種類があり、ローンの本数や団信の扱いなどに違いがあります。どちらも親子で返済していくことに変わりありませんが、それぞれメリット・デメリットが異なるため、特徴を理解したうえで自分たちに合った融資を選択しましょう。

この記事では、1級FP技能士で住宅ローンアドバイザーの有田美津子さんの監修のもと、親子ペアローン・親子リレーローンの特徴や注意点などを解説します。

記事の目次

親子ローンとは?

親子ローンとは、親と子が協力してひとつの住宅を取得するために組む住宅ローンで「親子ペアローン」と「親子リレーローン」に大別されます。いずれも親子が協力して返済していくことは共通していますが、以下のような違いがあります。

■親子ペアローンと親子リレーローンの違い
  親子ペアローン 親子リレーローン
ローンの本数 2本 1本
返済方法 親・子がそれぞれ同時に返済 親が返済→子が返済
契約形態 親と子が共に主債務者、互いを連帯保証人にするケースが一般的 返済当初は親が主債務者、子が連帯債務者になるケースが一般的
団体信用生命保険 親・子それぞれ加入 子のみ加入が一般的(親が加入できる商品も一部あり)
住宅ローン控除 親・子それぞれ控除を受けられる(いくつかの条件を満たす必要あり)  親・子それぞれ控除を受けられる(いくつかの条件を満たす必要あり) 
諸費用 2本分 1本分
同居要件 多くの金融機関で同居必須 多くは同居必須だが【フラット35】などは同居不要

親子ペアローン

親子ペアローンは、親と子それぞれが債務者となるためローンは2本です。親と子が同時に返済していく形で、双方が互いの連帯保証人となります。双方が借り入れ限度額まで融資を受けられるため、親子リレーローンより高額な借り入れができる可能性があります。

それぞれが年齢や収入などに応じて融資額や返済期間を設定できるため、柔軟性も親子リレーローンより高いといえます。

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親子リレーローン

親子リレーローンは、1本のローンを親子で引き継いで返済していくタイプの融資です。親が主債務者、子が連帯債務者となり、当初は親が返済していき、親の高齢化やリタイアなどのタイミングで子にバトンをつなぐのが一般的な流れです。

親子ペアローンは債務者の返済力によって融資の可否や融資額が変わってくるため、親の年齢や収入によっては融資を受けられなかったり、希望額が借り入れられなかったりすることもあります。一方、親子リレーローンの完済時年齢の基準は親ではなく子になるため、親が高齢でも借り入れやすいという特徴があります。

必ずしも「同居」が条件ではない

親子ペアローンと親子リレーローンの多くは、親子が同居している、もしくは同居を予定していることが要件のひとつになっています。契約後に別居した場合、契約違反になる可能性があるため注意が必要です。ただし、数は少ないものの【フラット35】など親と子の同居が条件ではない親子ローンも見られます。

親子ローンのメリット

親子ローンは、親や子が単独で住宅ローンを組む場合と比べて多くの融資を受けやすく、物件の選択肢も広がりやすくなります。親子ローンに共通するメリット、そして親子ペアローン、親子リレーローン、それぞれのメリットは次のとおりです。

共通するメリット

  • 借入限度額が増える
  • 月々の返済額を抑えられる

親子ペアローンと親子リレーローンに共通しているメリットは、借入限度額を増やせる点です。親と子の収入を合算することで、単独では購入できない価格帯の物件が購入できる可能性があります。また、親子ペアローンで債務を分けたり、親子リレーローンで返済期間を延ばすことで、月々の返済額を抑えることもできます。

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親子ペアローンのメリット

  • 親と子が住宅ローン控除を受けられる(いくつかの条件を満たす必要あり)
  • 親と子が団信に加入できる

親子ペアローンは親と子が別のローン契約を結び、それぞれが主債務者となるため、両者が住宅ローン控除を受けられ、なおかつ団体信用生命保険(団信)に加入できます。住宅ローン控除の対象となる住宅ローンの借り入れ額には上限があるため、親子がそれぞれ借入額に応じて控除を受けられれば2人合わせた控除の総額が大きくなる可能性があります。また、どちらか一方に万一のことがあった場合でも該当者の債務は団信によって完済されるため、もう一方に返済義務が移行することはありません。

親子ペアローン

(画像/PIXTA)

親子リレーローンのメリット

  • 諸費用が1本分
  • 親が高齢でも借り入れられる
  • 返済期間を長く取れる
  • 親と子が住宅ローン控除を受けられる(いくつかの条件を満たす必要あり)

親子リレーローンは契約を1本にまとめられるため、諸費用は単独で住宅ローンを組む場合と同程度に抑えられます。親子ペアローンのように2本分の手数料が必要ないため、初期費用を軽減できる点がメリットです。契約や審査の手続きも1本分で済むため、事務手続きの負担が少ないのも特徴です。

加えて、親が高齢でも借り入れることができ、返済期間を長く取れる点も親子ペアローンにはないメリットです。多くの金融機関は住宅ローンの完済年齢を80歳程度に設定していますが、親子リレーローンは返済を引き継ぐ子の年齢を基準に返済期間を設定できます。また、親子リレーローンも親子共に借入時に決めた債務割合(ローンの割合)の持ち分に応じた住宅ローン控除を受けられます。

親子リレーローン

(画像/PIXTA)

親子ローンのデメリット

借入額を増やし、物件の選択肢も広げてくれる可能性のある親子ローンですが、親子ペアローンと親子リレーローンは全くの別物で、契約の本数や団信の扱いなどの違いが思わぬリスクを生む可能性があります。それぞれのメリットだけでなくデメリットも正しく理解し、返済期間や借入額を含めて検討することが大切です。

親子ペアローンのデメリット

  • 諸費用が2本分かかる
  • 一方の返済が難しくなっても協力して返済することはできない
  • 収入や健康状態、年齢によって親がローンを組めない可能性が高い

親子ペアローンのデメリットはまず、契約時の諸費用が2本分かかる点です。諸費用額は金融機関や商品によって異なりますが、一般的には以下のとおりです。

■住宅ローンを借りるときの諸費用

  • 融資手数料:3〜5万円程度、あるいは融資額の2.2%
  • 保証料:融資額の2%程度(金利上乗せ型も)

住宅ローンを借りるとき、諸費用や手数料はどのくらい必要?

また、親子リレーローンであれば、親が高齢になったり退職したりしたタイミングで子に返済が引き継がれますが、親子ペアローンでは各々が主債務者となるため、一方の返済が難しくなっても協力して返済することはできません。

加えて、親は収入面や健康面、年齢的に審査の難易度が高くなりやすく、親子リレーローンと比べると希望の借入額に届かない、あるいはそもそもローン自体が組めない可能性もあります。融資が否決されなかったとしても、親はリタイアを境に収入が減りやすいため、持ち分割合や返済期間をよく検討する必要があります。

親子リレーローンのデメリット

  • 親が団信に加入できないことが多い
  • 子の返済能力次第でローンが組めない可能性がある

親子リレーローンでは、子のみが団信に加入するケースがほとんどです。この場合、親が返済途中で亡くなってしまうと、子が想定以上の債務を引き継がなければなりません。一方親子ペアローンでは、親子がそれぞれ主債務者となり、団信に加入するのが一般的であるため、親が亡くなっても親の債務が子に引き継がれることはありません。ただし、親が団信に加入できる親子リレーローンも一部あります。

また、親子リレーローンは子がローンを引き継ぐことを前提に審査されるため、子の返済能力が重視される傾向にあります。子の収入や属性次第では、親子リレーローンが組めないこともあります。

■親子リレーローン・親子ペアローンのメリット・デメリット
  メリット デメリット
親子ペアローン
  • 親と子が住宅ローン控除を受けられる(いくつかの条件を満たす必要あり)
  • 単独ローンより高額な借り入れができる
  • 親と子が団信に加入できる
  • 債務の減りが早い
  • 諸費用が2本分かかる
  • 一方の返済が難しくなっても協力して返済することはできない
  • 収入や健康状態、年齢によって親がローン組めない可能性がある
親子リレーローン
  • 諸費用が1本分
  • 親が高齢でも借り入れられる
  • 返済期間を長く取れる
  • 単独ローンよりも高額な借り入れができる
  • 親と子が住宅ローン控除を受けられる(いくつかの条件を満たす必要あり)
  • 親が団信に加入できないことが多い
  • 子の返済能力次第でローンが組めない可能性がある

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親子ローンを組むときの注意点

親子ローンを利用して住宅を購入するということは、親子で住宅を共有することを意味します。収入や年齢、住まい方の変化、相続など、長期的に影響する要素を見据えて返済方法や住宅の種類を選ぶことが大切です。ここでは、親子ローンを検討する際にとくに注意したいポイントを解説します。

「共有名義」ならではの制約がある

親子ローンを組む場合、不動産は親と子の共有名義となります。共有名義の不動産の売却や増改築をするには、すべての名義人の同意が必要です。例えば、親が介護費用の捻出のため家を売りたいと考えても、子の同意がなければ家を売ることはできません。

共有名義とするメリットも多数ありますが、親子に限らず意思決定のスピードや自由度が低くなるケースも多いため、あらかじめこうした制約を理解しておく必要があります。

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相続時にトラブルになる可能性がある

親の自宅が子との共有であることが原因で、相続時にトラブルになる可能性もあります。親が亡くなれば家を含む資産は相続人に相続されるため、家の持ち分の一部が兄弟姉妹に渡る可能性も否めません。共に住む親子間では大きな問題がなかったとしても、世帯が異なる兄弟姉妹の共有となれば、活用や売却の意思決定はさらに難しくなる可能性があります。

兄弟姉妹の共有を避けるには、家以外に相続できる資産を確保しておいたり、親子ローンではなく贈与という形で住宅資金を提供するなどの方法が考えられます。親の持ち分を相続する際、相続税の控除額を超える場合は相続税がかかりますが、一定の要件を満たした直系尊属からの住宅資金の贈与であれば、一定額まで非課税です。

国税庁「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」

親子ローン相続

(画像/PIXTA)

ライフプランの変化に対応するのが難しい

親子ローンの多くは親子の同居を前提としており、契約後の別居が認められないことも少なくありません。例えば、子の結婚や親の介護、親の離婚などによってライフスタイルが変化し、親子が別々に暮らしたいという状況になっても契約上それが認められない、あるいは別居しても返済を続けなければならないケースもあります。

売却してローンを完済すれば問題ありませんが、ローン残債を上回る金額で売れるとは限りません。とくに二世帯住宅は特異な物件のため、条件によっては買主がなかなか見つからない可能性もあります。

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将来設計をしておく

親子ローンは返済期間が長期にわたるため、家族のライフステージの変化を見据えておくことが大切です。例えば、親の年齢が上がるにつれて生活スタイルが変わることもあります。また、将来的には二世帯で暮らしていた家が広すぎてしまうなど、住まい方を見直す場面が訪れることもあるかもしれません。

二世帯住宅は、同居型だけではありません。完全分離型であれば、使わなくなったスペースを賃貸として活用するなど、柔軟な選択肢も検討できます。ただし、子が住宅ローンを引き継いで返済している場合、住宅ローンを完済するか投資用のローンに借り換えないと賃貸に出せません。また、別居の子どもと将来もめないために、相続に関しては早い段階で家族間で話し合っておくのが賢明です。住まいに関する意向や将来の住み替えの可能性について共有しておくことで、後々のトラブルを防ぎやすくなります。

まとめ

親子ローンは、親子が協力してマイホーム取得を実現できる有効な手段です。親子ペアローンと親子リレーローンでは仕組みが大きく異なるため、家庭のライフステージや将来の住まい方を踏まえて、どちらが適しているかを慎重に検討することが大切です。金融機関によって条件が異なる部分も多いため、事前にしっかり確認して自分たちに合った親子ローンを選びましょう。

●監修/有田美津子さん
住まいのお金相談室 代表。CFP®、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー、相続診断士など。銀行での住宅ローン相談、大手住宅販売会社、損害保険会社勤務を経て独立。子育て世代の住宅購入とシニア世代の住み替え相談を行う。ライフプランに沿った資金計画から物件の引き渡しまで一貫してサポートする住まいのお金専門のファイナンシャル・プランナー。共著・監修に『トクする住宅ローンはこう借りる』(自由国民社)
●取材・文/亀梨奈美(real wave)
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