住宅ローンを借りるとき、諸費用や手数料はどのくらい必要?

最終更新日 2021年10月26日
住宅ローンを借りるとき、諸費用や手数料はどのくらい必要?

住宅ローンを借りるときには手数料や税金などの諸費用がかかる。どんな費用がいくらぐらいかかるのか、具体的にシミュレーションしてみよう。

諸費用のなかで最も高額なのはローン保証料

住宅ローンの諸費用としてはまず、融資手数料がある。住宅ローンを借りる銀行に対して払うものだが、「保証会社手数料」としているケースも少なくない。後で述べるローン保証を引き受ける会社に対する手数料という名目だ。この保証会社は銀行の関連会社であることが多い。

融資手数料は3万円~5万円のケースが多いが、「融資額の2.16%」としているケースもある。2.16%とはなんだか中途半端な数字だが、税抜き2%に消費税(8%)をかけた数字だ。例えば融資額が3000万円だったとすると、その2.16%は64万8000円となる。手数料が数万円のケースと比べるとかなりの高額だ。

住宅ローンの諸費用のなかでも最も高額なのがローン保証料だ。保証料とはローンの返済がなんらかの理由で滞ってしまった場合に、保証会社に立て替えてもらう(これを代位弁済という)ための費用のこと。保証会社が代位弁済すると銀行からの借入金が完済されるので銀行との契約関係は解消するが、返済が免除されるわけではなく、返す相手が保証会社に変わるのだ。この点は次に述べる団体信用生命保険(以下、団信)とは根本的に異なる。

さて保証料の金額だが、融資額と返済期間によって異なり、返済期間35年の場合は融資額1000万円当たり20万円強が一般的だ。3000万円借りた場合は60万円強かかることになる。なお、ネット銀行などではこの保証料を無料としているケースもある。

住宅ローンを借りた人が万が一死亡したり、高度障害状態になってしまった場合に備えて加入するのが団信だ。ローン保証の場合とは異なり、団信の場合は保険が下りるとローンが完済され、遺族に返済負担は残らない。

この団信は住宅ローンを借りる場合に加入が義務付けられるが、保険料は利息などでまかなわれるケースがほとんどだ。例外は【フラット35】で、これまでは団信への加入が任意で保険料は借りる人が別途支払う仕組みだったが、2017年10月以降に申し込んだ人からは加入が原則となり保険料は金利に上乗せされる。

なお団信には持病があって一般の保険に加入できない人向けのものや、ガンなど特別な疾病保障付きのタイプもあるが、この場合は保険料の上乗せ分が金利や返済額にプラスされるケースが多い。ただし銀行によっては、疾病保障付きでも保険料が無料のところもある。

住宅ローンを借りるときには銀行とローン契約(金銭消費貸借契約)を結ぶが、このときに印紙税がかかる。印紙税とは契約書に貼る印紙代のことで、税額は契約書の記載金額、つまり融資額によって決まる。融資額が1000万円超5000万円以下の場合は2万円、5000万円超1億円以下の場合は6万円などだ。

住宅ローンを借りる場合には物件に銀行や保証会社の抵当権を登記しなければならないので、その費用もかかる。内訳は登録免許税と司法書士への報酬などだ。登録免許税は融資額(債権額)の0.4%だが、住宅の床面積が50m2以上などの要件を満たせば0.1%に軽減される。

保証料がゼロでも手数料が高ければ負担はほぼ同じ

具体的に諸費用がいくらかかるか、シミュレーションしてみよう。都市銀行で3000万円を35年返済で借りた例でみてみると、まず融資手数料(保証会社手数料)は3万2400円だ。これにローン契約の際の印紙税2万円とローン保証料61万円強、登記費用10万円を加えると、合計で約77万円となる。諸費用の大半はローン保証料なのだ。

「ネット銀行などで保証料がゼロというケースがありますが、その場合は手数料が融資額の2%などとなっているケースが少なくありません。一つの費用だけでなく、総額で比較する必要があります」と話すのは、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんだ。

では保証料ゼロのネット銀行ではいくらか0かるのかというと、まず融資手数料は融資額の2.16%なので64万8000円。印紙税と登記費用は同じ金額だとすると、合計で77万円弱となる。都市銀行とほとんど変わらない金額だ。

銀行ローンの主な諸費用比較
都市銀行A 住信SBIネット銀行 ソニー銀行
融資手数料 3万2400円 64万8000円 4万3200円
印紙税(ローン契約) 2万円 2万円 2万円
ローン保証料 61万8000円 0円 0円
登記費用 10万円 10万円 10万円
合計 77万400円 76万8000円 16万3200円

※3000万円を35年返済で借りた場合の例。ローン保証料は一括払い。登記費用は概算

ただし、ネット銀行のなかには手数料が安い銀行もある。例えば手数料が4万3200円のケースでみると、諸費用の合計は16万円台と格安だ。とはいえ肝心の住宅ローンの金利は銀行によって違うので、実際に住宅ローンを選ぶときは諸費用だけでなく金利も含めて検討する必要がある。

ちなみに【フラット35】もローン保証料がかからない。団信の保険料も金利に含まれるのでそれも不要だ。借りるときの諸費用としては融資手数料と印紙税、登記費用だけになる。

【フラット35】で注意が必要なのが、銀行によっては手数料を定額タイプと定率タイプの2種類から選ぶ形にしているケースがあることだ。定額タイプが数万円なのに対し、定率タイプは融資額の2.16%が一般的なので、定率タイプのほうが手数料は高くなる。だが、金利は定率タイプのほうが低いので、住宅ローンの返済額も含めた総額では定率プランのほうが安くなる場合が少なくない。

【フラット35】の主な諸費用と返済額の比較(都市銀行の例)
手数料定額プラン
(金利1.62%)
手数料定率プラン
(金利1.40%)
融資手数料 5万4000円 64万8000円
印紙税(ローン契約) 2万円 2万円
登記費用 10万円 10万円
総返済額 3932万4000円 3796万5000円
合計 3949万8000円 3873万3000円

※3000万円を35年返済で借りた場合の例。登記費用、総返済額は概算
2017年10月以降申し込みの場合。金利は同8月の水準から推定

同様のパターンは銀行の住宅ローンにもある。ローン保証料を一括払いとせず、金利に0.2%程度上乗せして分割払いにできるケースがあるのだ。両者を比較すると、一括払いのほうが当初の負担は大きいが、返済期間が長いほど金利に上乗せした分割払いのほうが負担は大きくなる。

諸費用ローンは金利が高めなので利用は慎重に

このように住宅ローンの諸費用は銀行やローンによって大きく異なるが、いずれにしても数十万円はかかる。そこで銀行が用意してくれているのが、諸費用分も借りられる「諸費用ローン」だ。自己資金が不足気味の人にとっては魅力的なローンだが、利用するかどうかは慎重な判断が必要だと、風呂内さんは話してくれた。

「諸費用ローンは金利が2%~3%程度と、住宅ローンに比べて高めなので利息の負担が重くなります。ただし【フラット35】は融資率(住宅価格に占める融資額の割合)が9割を超えると金利が高くなるので、価格の1割を自己資金で払い、諸費用分は諸費用ローンを利用したほうが支払い総額を抑えられるケースもあります」(風呂内さん、以下同)

このほか、住宅ローンを借りる場合は火災保険への加入を求められる。住宅ローンの返済中に万が一火災にあった場合に備えて、保険金で住宅を再建できるようにするためだ。保険料は住宅の種類や保険期間により異なり、地震保険も含めると年間数万円~10万円前後が一般的。マンションに比べて木造一戸建ては火災のリスクが高いこともあり、保険料も高めだ。

「住宅ローンを借りる銀行から提携先の火災保険を勧められますが、保険会社は自分で選ぶことができます。保険料は保険会社により異なり、マンションの場合は水災を含めなくてもよい場合があるなど自分に合う保険内容にすることで、負担を抑えることも可能です」

住宅ローンは返済額だけでなく、借りるときの諸費用もそれなりの負担になるが、銀行やローンを選ぶことで金額は大きく変わる。住宅ローンを借りるときには金利だけでなく、諸費用についてもしっかり確認しておこう。

 

2019年10月1日より、消費税率は10%に改定されました。消費税率引上げに伴う住宅取得に係る対応についてはこちら

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取材・文:大森 広司
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