不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

空き家を更地にしたら、固定資産税は6倍に?更地にするメリット・デメリット

空き家を更地にしたら、固定資産税は6倍に?更地にするメリット・デメリット

社会問題となっている空き家。政府・自治体が対策を講じていますが、増加傾向は収まらず、平成30年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家総数は846万戸に上ります。そのうち、いわゆる居住用の戸建て住宅は317万戸で前回調査から約29万戸の増加となっています。空き家問題は、周辺の住環境への影響が大きいだけではなく、所有者にとっては税金負担も重く、特に固定資産税は所有している間、毎年課税されるものです。税金の仕組みを理解し、節税の意識を持つことが大事です。

記事の目次

固定資産税は、建物があるか、更地かで異なる

固定資産は、土地、家屋の他、構築物、機械・装置などの償却資産もありますが、ここでは土地・家屋にかかる固定資産税について説明していきます。

固定資産税は、毎年1月1日時点の土地、家屋所有者として、各自治体の固定資産課税台帳に登録されている人に課税されるもので、所有している限り納税の義務があります。

固定資産税額は、下記のように算出されます。

土地:課税標準額(※1)× 税率1.4%(※2)
家屋:課税台帳に登録されている価格 × 税率1.4%(※2)

(※1)課税標準額は、通常課税台帳に登録されている価格と同じ。ただし、土地について税負担の調整措置が適用される場合は、課税標準額は評価額よりも低くなる
(※2)標準税率は1.4%だが、自治体により異なることがある

固定資産税は地方税に区分されるため、納税通知書は各自治体から送られ、年4回に分けて納付することになっています。納税通知書が送られてくる時期は自治体によってズレがありますが、おおむね4月、5月に送付する自治体が多いようです。納付方法は6月、9月、12月、2月など指定された各期の納付期限までに納めますが、年払いにすることもできます。

土地・家屋の評価は3年に一度、評価替えが行われ、その評価に基づき固定資産税が決定します。

「2021年度は評価替えの年にあたりますが、基準は2020年1月1日の公示地価です。しかし周知のとおり、2020年1月は、まだ新型コロナウイルス感染症拡大前です。7月の基準地価を見ると、三大都市圏や地方圏の一部では地価はまだ上昇していますが、全国的には下落に転じています。つまり、実勢価格は下がっているのに、評価額の上昇で、固定資産税評価が上がってしまう可能性があるのです。この状況を踏まえ、2021年度の固定資産税は1年限りの特例として2020年度の税額で据え置く負担軽減措置が取られましたが、住宅地は2020年度で終了されました」と、田中卓也税理士事務所・田中卓也氏は言います。

また、建物の経年によっては、経年減価補正率が適用され、評価額に乗じて税額が算定されます。建物の構造(木造か非木造か)によっても異なり、一定の経年(木造で20年以上、非木造で45年以上)からは、0.20が下限です。

固定資産税の基本をまずは理解したうえで、自分が所有する土地・建物の固定資産税がいくらなのか、空き家のままにしておくと、固定資産税はどうなるか知ることが大事です。

建物がある場合は、住宅用地の軽減措置特例

空き家が増加する要因の一つに、相続があります。祖父母・両親の家を相続したものの、すでに自分の住まいを所有している場合や、遠隔地に住んでいるなどの場合、その住宅は誰も住まない空き家となってしまいます。しかし、相続して所有者となれば、固定資産税は毎年払わなければなりません。

固定資産税は、毎年1月1日時点の土地、家屋所有者として、固定資産課税台帳に登録されている人に課税され、さらに、市街化区域に指定されている土地であれば、都市計画税もかかってきます。

固定資産税額と都市計画税は、下記のようになります。

<固定資産税>
土地:課税標準額× 標準税率1.4%(※)
家屋:課税台帳に登録されている価格 × 標準税率1.4%(※)
<都市計画税>
土地:課税標準額×0.3%(上限)

(※)標準税率は1.4%だが、自治体により異なることがある(以下同様)

ただし、固定資産税、都市計画税ともに軽減措置があり、住宅用地であれば、「住宅用地の軽減措置特例」が適用され、税額が軽減されます。これは、居住者がいない空き家でも適用されます。この記事では関連しませんが、新築住宅を取得した場合は、さらに税額の軽減があります。

「住宅用地の軽減措置特例」適用後の税額の算出方法
●敷地面積200m2まで
固定資産税:課税標準額×1/6×1.4%(※)
都市計画税:課税標準額×1/3×0.3%(上限)

●敷地面積200m2以上(200m2を超える部分に対して)
固定資産税:課税標準額×1/3×1.4%(※)
都市計画税:課税標準額×2/3×0.3%(上限)

つまり、空き家であっても、住宅が残っていれば、固定資産税、都市計画税は、本来の税額から大幅に減額されることになっています。

●敷地面積200m2まで
固定資産税:1/6に減額
都市計画税:1/3に減額

●敷地面積200m2以上(200m2を超える部分に対して)
固定資産税:1/3に減額
都市計画税:1/3に減額

「特定空き家」に指定されると軽減措置は適用されない

空き家であっても住宅が建っていれば、税の軽減が受けられますが、管理が不十分で放置されているような空き家は、「特定空き家」に指定され、住宅用地の軽減措置の特例の対象外となってしまいます。

特定空き家とは、2015年に施行された「空家等対策特別措置法」に基づき、自治体が調査し、国土交通省がガイドラインとして示している一定の条件に該当した場合に指定されます。

●指定される要件
・倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

自治体によって特定空き家に指定されると、助言や指導が入り、改善されない場合は、勧告が出され、固定資産税の「住宅用地の軽減措置特例」の対象から除外されることになります。更地状態と同じとみなされると、税率は本則で課税されます。

さらに、勧告に従わない場合は、命令が出され違反すると最大50万円以下の罰金が科せられます。

このように、一口に空き家といっても、管理の状態によっては、税の軽減が一切受けられないどころか、罰金まで科せられることがありますので、十分な対策、管理を行うことが重要です。

更地にすると、軽減措置がなくなり、本則で課税される

建物の老朽化が激しい、売却を予定しているなどの理由で、建物を解体し、更地にするケースもあります。この場合は、建物にかかる固定資産税はなくなりますが、土地に対する軽減措置は一切なくなり、本則である、課税標準額×標準税率1.4%(自治体により異なることがある)で計算されることになります。

建物が老朽化している場合、前述の「特定空き家」に指定される可能性も高く、リフォームや建て替えをするにも多額の費用が発生します。固定資産税が高くなるからといって、そのまま放置しておくのは危険が伴いますので、所有者の責任において建物をどうするかは、十分考えることが大事です。「長い目でみれば、放置しておくより、建て替えして有効活用、あるいは更地にしてスッキリするほうがいいのでは?」と、田中氏はアドバイスします。

また、売却を予定しているのであれば、建物の劣化にもよりますが、建物をそのままにして中古住宅として売り出すより、更地のほうが買主を見つけやすい傾向にあります。売却の見込みが立つまでは更地にせず、引き渡し前に解体し、更地引き渡しとすれば、固定資産税を抑えることもできるでしょう。

解体工事のイメージ

更地にするメリットとデメリットとは?税金、コストは?

メリット・売却しやすくなる、空き家の維持管理が必要なくなる

所有している空き家を売却する予定がある場合、更地にすることが選択肢のひとつになります。建築から築年数が経っていなければ、そのまま中古住宅として売り出すことも可能ですが、相続によって受け継いだ住宅は、築年数が相当経っているケースがほとんどでしょう。

売却にあたって、不動産会社の査定などで、そのままで売却可能かどうか判断するのも一つの方法ですが、買主側の視点で考えれば、土地を購入して、新たに好みの住宅を建てたいというニーズは理解できるでしょう。また、多くの場合、「古家あり」で土地を売り出すより、更地のほうが高く売却できる可能性もあります。

さらに、築年数が古い場合、耐震基準に満たないことも考えられ、耐震改修工事のコストをかけてまで建物を残すのかどうかという判断にもなるでしょう。

空き家のまま所有していても、水道・ガス・電気などの契約を残していれば、最低限の基本料金がかかります。万一に備えて、火災保険への加入も必要です。空き家が遠方にある場合や、多忙でなかなか建物の管理が難しい場合、管理を不動産会社や管理会社に依頼するとなれば、その管理コストもかかってきます。こうした維持管理にかかるコストを省くには、建物を解体し、更地にするという選択になるでしょう。

デメリット・固定資産税がアップする、更地にするコストがかかる

固定資産税は住宅用地であれば、空き家であっても管理をしっかり行っていれば、住宅用地の軽減措置特例によって、減額されるメリットがあります。更地にすると、一切の軽減措置が受けられず、本則の税率で課税されます。

仮に、敷地面積が180m2で、土地の課税評価額3000万円、建物(木造・築35年)の課税評価額が1000万円だった場合の固定資産税は、

土地:3000万円×1/6×1.4%=7万円
建物:1000万円×0.2×1.4%=2万8000円(※木造建築の経年減価補正率は築27年以上で0.2)
合計:9万8000円

となります。

これが
更地になった場合は、建物がなくなり、土地のみとなります。

土地:3000万円×1.4%=42万円

建物のあるなしだけで、これだけ税額に差がでてきます。更地にした翌年には、高額な固定資産税がかかってきますので、それまでに売却の見込みがあるなど、計画的に行うことが重要です。

更地にするメリット・デメリット

また、更地にするには当然、建物を解体しなければなりません。解体にかかるコストは、木造なのか鉄筋コンクリート造りなのかなど、建物の構造によって大きく異なります。また、建物の面積、階数などによっても変わってきますが、大きな庭石がある、池がある、といった特殊な要因でもコスト高になります。解体費用は坪あたりいくら、とする業者も多く、仮に坪5万円として、30坪の木造家屋を解体すると、費用は150万円となります。解体する際には、複数の解体業者に見積もりを取って判断することも大切です。

解体費用については、自治体から補助金がでることもあります。自治体によって補助内容、金額が異なりますが、例えば東京都品川区では、不燃化特区内にある一定条件の木造家屋の解体に対して、2万7000円/m2の補助金が出ます(上限1350万円)。ブロック塀の撤去費用についてのみ補助金が出るという自治体もあります。多くの自治体が導入している制度ですので、詳しくは当該自治体に問い合わせるといいでしょう。

空き家を所有する場合の税金・コストは?

相続で取得したなら「相続税」と「登録免許税」

そもそも実家などを相続で取得した場合、その後、空き家になったとしても、まずは相続税と登録免許税がかかってきます。

●相続税
相続税は、不動産単独で課税されるのではなく、金融資産などすべての相続財産の総額に対して課税されます。不動産の場合は相続税評価額で算定され、評価方法は「路線価方式」か、路線価が付されていない地域では、固定資産税評価額をもとにした「倍率方式」によって評価します。土地の所在地によって評価方法は決められていますが、どちらであっても、取引相場の価格よりは抑えられています。

相続した住居に住んでいた人が相続する場合などは、「小規模宅地の特例」が適用されることがあり、土地部分の相続税評価額を80%減額することができます。この場合、配偶者であれば特に要件はありませんが、それ以外の場合には以下のように、かなりこまかな要件が付されます。

◎被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた親族が、相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその建物に居住し、かつ、その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること
あるいは、
◎相続者が同居外の親族である場合は、以下の5条件すべてを満たす必要がある。
(1)その相続者に配偶者・同居親族がないこと
(2)相続開始までの3年間に自己または配偶者が所有する持ち家に住んでいないこと
(3)3親等以内の親族または相続者と特別の関係にある法人の名義の家に住んでいないこと
(4)相続する物件を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと
(5)その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること

したがって、配偶者以外の取得では、いったん空き家となると、小規模宅地の特例は適用されません。

実際の相続税は、
1. 遺産総額を計算する(不動産、金融資産など課税財産のすべて)
2. 遺産総額から、借入金や葬儀費用を引く
3. 基礎控除額を引く(3000万円+600 万円×法定相続人の数)
4. 相続人が実際に取得した財産価額をもとに相続税額を求める(課税価格により税率が異なる)
5. 相続税額から各控除額を引く
という流れで算出し、相続税額が決まります。

相続税の基礎控除額の改正が行われるまでは、実際に相続税がかかってくる割合は、相続が発生した世帯のうちの4%程度といわれていましたが基礎控除額の引き下げにより、対象者は増えています。

●登録免許税
相続した不動産の所有権を変更する相続登記も必要になり、その際にかかるのが、「登録免許税」です。登録免許税の税率は、売買や贈与の場合、土地、建物ともに固定資産税評価額の2.0%ですが、建物については、令和6年3月31日まで0.3%に軽減されています。相続による取得・登記は、土地、建物ともに、最初から0.4%に軽減されています。

相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内に行うことになっていますが、相続登記については、「相続開始から何カ月後までに」というような期限は定められていません(※)が、名義変更をしていないと、売却することができませんので、遺産分割協議後、相続税の支払い以前に、相続登記は忘れずに行っておくようにしましょう。

※相続登記は、これまで期限は決まっていませんでしたが、2023年度には法改正によって、相続から3年以内に登記申請が義務化される方向になっています

所有していて売却するなら「譲渡所得税」

相続して取得した空き家や、自己所有で空き家になっている物件を売却する際にかかるのが、「譲渡所得税」です。

譲渡所得税は、売却額が取得額より多ければ、その差額が課税所得となり、売却した翌年に確定申告をして、所得税と住民税を納税します。税率は所有している期間によって変わり、譲渡した年の1月1日時点の所有期間が5年以下、5年超で大きく異なります。

●短期譲渡所得(5年以下の所有の場合)
・譲渡所得税:課税所得×30.63%
住民税:課税所得×9%
合計:39.63%

●長期譲渡所得(5年超の所有の場合)
譲渡所得税:課税所得×15.315%
住民税:課税所得×5%
合計:20.315%

よくあるパターンとして、相続財産が不動産と金融資産で、相続人で分割する際、不動産を売却しなければ、公平な相続にならないといったケースです。そうした場合は、いったん代表相続人が不動産を相続し、売却したのち、金融資産と合わせて相続分割することになります。前述の相続登記にかかる登録免許税のほか、売却時にかかる譲渡所得税の費用負担は相続人すべてで負うのが一般的ですが、ある程度、まとまった金額が必要になりますので、その点は注意が必要です。

また、一定の条件を満たすと、相続で取得した空き家を譲渡した際には、「空き家の3000万円特別控除」が適用されます。昭和56年5月31日以前の建物であること、耐震基準に満たない家屋は引き渡しの日までに取り壊すか、耐震リフォームをすること、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること、など、細かな要件があります。

さらに、特例の適用を受けるには、所得税の確定申告書とともに「被相続人居住用家屋等確認書」を、納税地を管轄する税務署に提出する必要があります。被相続人居住用家屋等確認書は、当該不動産の所在する自治体に申請して取得します。この特例に該当するのであれば、大きな節税となりますので、十分に理解しておくようにしましょう。

「空き家の3000万円特別控除を受けるには、相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用、又は居住の用に供されていたことがないことなどの要件もあるので『相続発生後、活用せず、換金化する』といったことをあらかじめプランニングしておくことも重要です」(前出・田中氏)

固定資産税を滞納するとどうなる?

延滞金が発生する

空き家を所有している限り、毎年、固定資産税の支払いが続きます。自治体によりますが、毎年4月ごろに納税通知書が届きます。納税は4期に分かれており、期限までに納付しなければなりません。年額をまとめて払うこともできます。その場合は、最初の納期限までに支払うことになります。

名義変更と同時に、銀行口座から振り替えの手続きをしていれば、振込を忘れることもありませんが、振込を忘れてしまったり、収入が大幅に減少し、納税できずやむを得ず滞納してしまった場合にも、延滞金が発生します。

延滞金は、下記のとおりです。
◎納期限の翌日から1カ月を経過する日までの期間については、特例基準割合+年1%(年7.3%が上限) ◎納期限の翌日から1カ月を経過した日から納付の日までの期間については、特例基準割合+年7.3%

特例基準割合とは、国内銀行の貸出約定平均金利の年平均+1%で算出されます。延滞金は納付期限の翌日から発生しますので、もし、払い忘れをしたとしても、1日でも早く納税するようにしましょう。

督促状が届き、勧告がされる

納付期限が過ぎても納税の確認がとれないと、納付期限から20日程度で、土地・建物所在地の市町村役場から「督促状」が届きます。この督促状にも手数料がかかり、1通につき100円の督促手数料も支払わなければなりません。

まだ、この段階で納付すれば、それほど高額な延滞金にはなりませんが、督促状を無視、あるいはやむを得ず納税しなかった場合、次には勧告され、書類が内容証明郵便で届き、書類には最終的な納付期限が記載されています。

この納付期限までに納税しないと、差し押さえの手続きに入ることを通告されます。

差し押さえられ、競売に

差し押さえの手続きに移行すると、所有者の財産調査が行われます。給与所得、金融資産、保険、自動車、不動産など一切合切調べられ、債務回収の準備が進められます。

固定資産税額にもよりますが、多額で長期に滞納していれば、相応の延滞金も発生しています。差し押さえは、延滞している税額を給与や年金、金融資産から差し押さえられるわけですが、そうした資産がない、現預金がないという場合には、所有している土地・建物が差し押さえの対象となり、競売(公売)にかけられることになります。

あくまでも延滞している税額の回収ですから、競売で得られた売却額すべてが差し押さえられるわけではありませんが、通常の取引相場より、かなり低い金額で競売にかけられてしまいます。さらに売却が進まなければ、その間も延滞金は発生していますので、相当な金額にふくれ上がってしまいます。

空き家とはいえ、所有している限り、固定資産税の納税義務があります。万一、経済的な理由で納税が困難になった場合は、放置せず、すぐに役場で分納、延納、支払いの猶予などの相談をするようにしましょう。事情によっては、固定資産税の減免、軽減が受けられる可能性もあります。

「新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方については、納税を猶予する制度が設けられています。固定資産税は地方税ですので、各自治体に問い合わせてみましょう」(前出・田中氏)

なお、共有名義などで複数人が所有しているケースでは、連帯納税義務者となり、それぞれに納税義務が発生します。共有者のだれかが延滞した場合、連帯義務を負います。ひとりがまとめて支払った場合には、延滞した人に対して、請求することができます。

「新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方については納税を猶予する制度が設けられています。以下は東京都の場合の納税猶予制度の概要とその手続き方法ですが、冒頭で述べたように固定資産税は地方税ですので、各地方自治体に問い合わせてみましょう」(前出・田中氏)

空き家の売却や活用方法を考える

空き家を中古住宅として売却、更地にして売却

固定資産税の負担をなくすには売却することです。売却する際の選択肢は、「中古住宅として売却する」「古家付き土地として売却する」「更地にして売却する」の3つです。

空き家と聞くと、建物が劣化していつ朽ちてもおかしくない家を思い描きがちですが、建築してそれほど年数が経過していなければ、一般の中古住宅として売却するのが、一番手間がかかりません。通常は、不動産会社に査定してもらい、納得できれば仲介のための媒介契約を結び、買主を探してもらうことになります。不動産会社によっては、買取契約が可能なケースもあります。買取価格は、通常の売却価格より低くなりますが、すぐに手放したいのであれば、検討してみてもいいでしょう。

中古住宅として売りに出すとしても、外壁塗装や内装リフォーム、最低限の設備の入れ替えなどをすることによって、買主が見つかりやすくなることもあるでしょう。リフォーム費用はかかりますが、手を加えることで売却しやすくなる、建物の価値を高めるという考え方もあります。

建築後20年、25年経過し、小規模なリフォームや修繕では収まらないという場合は、古家付き土地として売りに出します。この場合は建物に価値はなく、土地のみの価格となります。買主は古家を解体し、建て替えをするか、大規模修繕やリノベーションなどをするかの判断になるでしょう。売主側としては解体にかかるコストを負担しなくてもすみますが、その分、売却価格を下げるなどの交渉があるかもしれません。

ここまでの2つの方法であれば、販売期間中も建物が残っていますので、固定資産税の軽減を受けられ、税の負担は少なくてすみます。

建物の劣化、損傷が激しい場合は、見た目の印象も悪くなります。古家を残して販売するよりも更地にしたほうが、買主は見つかりやすくなります。解体費用はかかりますが、無駄に販売期間を長期化させるよりも、早く手放したほうが、維持管理コストを抑えることができるでしょう。

気を付けたいのは、建築当時と現在の用途地域が変更になっている場合です。かなり古い場合、現在の建築基準と適合しないケースもあり、家を解体したあと再建築できない、できたとしても減築(既存の建物の延べ床面積が減少する)になってしまうことです。また、接道状況が変更になっている場合も、再建築できないこともあるので、更地にする場合は、その後の利用にあたって不都合がないか不動産会社などと、よく相談することです。

空き家のイメージ

賃貸、シェアハウス、民泊などにして収益を得る

自分では住まないが、建物・土地に一定の価値があり、または愛着があり、売却せずに所有したい、立地や建物の特異性によって集客が見込めるから、収益物件として活用したいというケースもあります。

空き家の活用イメージ

●賃貸物件として貸し出す
一番イメージしやすいのは、修繕、リフォームをして、賃貸にするという方法でしょう。建物の規模によりますが、賃貸に出せるまでに修繕、リフォームするには、相当な資金が必要になり、場合によっては、改めてリフォームローンを借りることも検討したほうがいかもしれません。修繕・リフォームすることで、建物の評価が変われば、その分、固定資産税は高くなりますが、それ以上に賃貸収入が見込めるのであれば、有効に利用するのもいいでしょう。

ただし、一戸建ての場合、賃借人は比較的長く住み続けることが多いようですが、いったん退去されると、次の借り手が見つからなければ、賃料収入は途絶え、維持管理コスト、税金負担、ローンを借りていれば、ローンの返済が残ります。こうしたリスクも理解しておくことが大切です。

●シェアハウスとして衣替えする
1人、1家族への賃貸は、長期で借りてくれれば安定収入となりますが、空室リスクを抑えるのであれば、シェアハウスのように、複数人と契約できるタイプであれば、空室リスクを抑えることができます。一戸建ての場合、貸アパートやマンションのように、個々の部屋で完結するつくりにするのではなく、LDKを共有スペースとし、トイレ・洗面などは複数にするにとどめ、個室のみが個人の専有スペースとして使えるようにするものです。

もともと家族で生活していた家であれば、大改造しなくとも、シェアハウスに衣替えすることも可能でしょう。ただし、管理・運営については、入居者規約をどうするのか、入居者間でトラブルがあった場合どうするのかなど、専門的な知識が必要になりますので、専門家のアドバイスを受けたり、業務委託をするなど、事業経営と同じような感覚が必要になってきます。

空き家活用のイメージ

●民泊、ゲストハウスとして活用する
地方の空き家であれば、その特性を活かし、民泊やゲストハウスとして活用することもできます。もちろん、それ相応のリフォームなどが必要になりますが、古民家のような佇まいであれば、それだけで魅力があります。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、在宅勤務になり仕事の大半がリモートワーク、という勤務形態が増えています。こうした状況のなかで、通勤に便利なところに住む必要がなくなり、地方移住や二カ所居住を検討する人も増えています。

以前のように、気軽に旅行に行けるようになるまでには、まだ時間がかかりそうで、旅行に行けないのであれば、いっそ、自然が近くにある場所に住み替えようという動きも出始めています。

実際、これまでは民泊やゲストハウスとして旅行者を受け入れていた個人経営者もワークスペースとして部屋を提供したり、移住の受け入れを始めているケースも出てきています。もちろん、状況が好転すれば、従来通り、宿泊業に戻る予定があるのであれば、一時的な活用という形でもいいでしょう。

旅行者や移住希望者が多いような地域であれば、空き家のままにしておくのではなく、アイデア次第で活用することで、維持管理費や固定資産税の捻出は可能になるでしょう。ただし、自分の住まいと遠距離にある場合は、管理を委託する必要もあり、管理コストは別途かかってくることになります。

更地にして土地の有効活用を図る

立地によるところが大きいですが、空き家を解体し、新たな事業を展開するのも、1つの方法でしょう。賃貸需要が高い立地であれば、アパート。マンション経営。商業地に近ければコインパーキング。最近、住宅地でも見かけるようになった貸倉庫、トランクルームなども、空き地利用のひとつでしょう。

事業形態はさまざまで、アパート・マンション経営を自ら行うこともありますが、大抵の場合は、管理委託を不動産会社などに依頼することになるでしょう。どんな事業を行うかで必要な資金も異なります。コインパーキングや貸倉庫などであれば一時的な活用とし、次の事業へも転換しやすくなるでしょう。

土地の有効活用となると、居住用として適用されている税の仕組みは、事業としての税になりますので、不動産会社や建築会社、税理士など専門家を交えて検討することが最も重要でしょう。

まとめ

  • 社会問題化している「空き家」は、税金の問題だけではなく、周辺環境に大きな影響を与えている
  • 土地・建物を所有している人の責任、義務として、納税はもちろんのこと、しっかりとした管理が求められる
  • 空き家として放置することなく、維持管理、売却、土地・建物の有効利用などを行っていくようにしよう
●取材協力
田中卓也税理士事務所・田中卓也さん

取材・文/伊藤加奈子 イラスト/タバタ画房

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