不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

何気なく始めたマンション売却が成功、憧れの自然を感じられる暮らしを手に入れるまで/東京都足立区Cさん

東京都足立区Cさん(60代)/築10年の都内のマンションを売却し、憧れの自然を感じられる暮らしを手に入れた

定年間近となり、何気なく「自宅を売却したら、前々から憧れていた自然の豊かな場所で暮らせるかな」と一括査定サービスを利用したCさん。その内の1社と契約し、3カ月間と期間を決めて、足立区の自宅マンションの売却活動を開始したところ、期限直前で購入希望者が現れ、無事契約できました。

不動産区分 マンション
所在地 東京都足立区
築年数 約10年
間取り・面積 3LDK(92m2
ローン残高 1800万円
査定価格 4280万円
売り出し価格 4480万円
成約価格 4480万円

定年後はより自然に近い場所でのんびり暮らしたいと思っていたので、一括査定を利用してみることに

夫と2人で東京都足立区のマンションで暮らしていたCさん。「広い敷地に何棟かのマンションができると聞き、2008年にその中のマンションの住戸を新築で購入しました。しかし東向きだったせいか、冬は寒かったので、2014年に同じ敷地内の別のマンションの住戸に移り住みました」

新しい住戸は南向きの3LDK。最初に購入したマンションと竣工時期が同じでしたから、その時点で築6年の中古マンションを購入したことになります。92m2の3LDKは2人暮らしには広く、使っていなかった部屋もあったそう。「子どもはいませんし、2人とも日中は仕事へ出掛けていましたから、部屋はどこもかなりキレイに使っていました」

駅からは徒歩15分と少し離れていましたがマンションと駅の間にはシャトルバスもあり、同じ敷地内にはスーパーや病院もあったので生活には全く困らなかったと言います。「私たちが最初に来たときはまだ3棟しかありませんでしたが、その後いくつもマンションが建ち、ちょっとした新しい街ができたような感じでした。外へ出ればにぎやかで、住み心地も良かったため別に住み替える必要はなかったのですが……」

もともと定年退職したらもっと自然豊かな場所でのんびり暮らしてみたいね、なんて話をしていたという2人。実際そのために貯金も始めていたそうです。といっても2人がまだ働いている間は、ここで暮らすつもりでいました。ちなみに年下の夫より先に定年を迎えるのはCさんです。

ところがCさんの定年退職まであと約1年という2018年ごろ、チラシなどで同じマンションで売却したという話をよく目にするようになったそう。「そのチラシを見ると、結構いい値段で売れているなあと思ったので『ウチもこれくらいで売れたら、すぐにでも田舎で暮らせるかな!?』なんて軽い気持ちで、インターネットの一括査定サービスを利用してみました」

このように最初は、あまり売る気はなく、軽い気持ちで売却を考えていたそうです。

査定額に200万円上乗せした金額で3カ月間だけ売却活動することに

一括査定サービスを利用してみると3社から連絡があり、その中で最初に来てくれた不動産仲介会社に現地査定してもらうことにしました。査定額は4280万円。Cさんにとっては思いのほか査定額が良かったそうです。「その時点で住んでいたマンションのローン残債は約1800万円。これならローン残債だけでなく、次の家の資金にもなると思いました」

本来高く売りたいのであれば、別の不動産仲介会社にも査定をしてもらうのが定石ですが、何しろこの時点では積極的に売るつもりがなかったCさん。別の会社からも現地査定に伺いたいという連絡をもらったのに「あまり売る気がないのに、わざわざ来てもらうのが申し訳なくて」とお断りしたそうです。

一方で、最初の不動産仲介会社に対しては、最も早く来たにもかかわらず資料をたくさん用意して訪れてくれたことに好感をもったそう。「その資料を見ると同じマンションの売買実績が多く、参考になりました」。その実績を見た上で「もし査定額プラス200万円の4480万円で買い手がついたら、この家を売ろうと2人で決めました」

また広く購入希望者を募る一般媒介ではなく、その最初の不動産会社と専属専任媒介契約を結ぶことに。さらに最初の契約期間である3カ月間で売れなかったら、売却活動をキッパリやめることにしました。

こうして「4480万円で3カ月間のみ売却活動をして、売れなかったら住み替えの貯金がある程度貯まるまで、ここで暮らそう」というCさん夫妻の売却活動が始まりました。

無事購入者が現れて売却。念願の自然を感じられる暮らしをスタート

しかし売り出してみてすぐに「あまり反応は良くない」と感じたそうです。「3カ月間で内見希望者は3組だけでした」。3組のうち、最初に訪れた家族の反応は良かったのですが、その後連絡がありませんでした。ほかの二組には93m2はちょっと広すぎると断られました。

このころ、同じマンションの他の住戸もいくつか販売されていました。その中で、査定額プラス200万円のCさんの住戸はやや割高感があったのでしょう。不動産仲介会社も幾度か「値下げしませんか?」と提案してきたそうですが、何しろ「売れなかったら住み続ける」と決めていた2人ですから、その提案を度々断ることに。すると不動産会社からの連絡も次第に減っていったそうです。

「今でも前のマンションは気に入っているくらいですから、値下げしてまで手放したいとは思いませんでした」とCさん。

ところが音沙汰のなかった最初の家族から、再び連絡がありました。後はトントン拍子で話は運び、専属専任媒介契約の期限わずか1週間前に売買契約が成立。「別のマンションと迷っていたらしいのですが、こちらのほうが住戸からエレベーターに近いことや、立体駐車場なので使いやすいこと、部屋がきれいだったことなどから選んでくれたようです」

期限ぎりぎりで売却が成立

一方でCさん夫妻は、慌てて新居を探すことに。最初は賃貸住宅住まいも覚悟したのですが、たまたま目にした電車内の広告から千葉県印西市の完成済みの新築マンションを見に行き、即決。頭金はそれまでの貯金を充てました。Cさん夫婦の引っ越しと、購入者への引き渡しはほぼ同じだったそうです。

「見つけた新居は、駅の周りに大きな商業施設がたくさんある一方で、少し歩けば田んぼや森、大きな公園もあるような場所。窓から森が見えて、都会と自然がほどよいバランスだと思います」

こうして何気なく始めた売却活動は無事成功し、Cさん夫妻は念願の自然を身近に感じられる暮らしを手に入れることができました。

■住宅ローン減税とは

住宅ローン減税とは、住宅ローンを借り入れて住宅を取得する場合に、年末調整もしくは確定申告によって、年末(12月31日時点)の住宅ローン残高の一定の割合(控除率)が一定期間控除されるという制度です。控除期間は、新築住宅など建物価格に消費税が課税される物件に関しては13年間、既存住宅は10年となっています。
控除額の上限は、住宅の省エネ性能によって変動し、省エネ性能が高いほど優遇される仕組みになっています。

売れなければそのまま住み続けるつもりだったので、不安はなかった

Cさんは売却後に定年退職を迎えましたが、その後再雇用となり、現在はコロナ禍ということもあって在宅勤務をしているそう。夫はまだ定年前ですが、勤務先までは電車一本で行けるそうです。
新居はCさん夫妻が思い描いていた、都会と自然のバランスがちょうどいい場所。「道端で野菜が売られていたり、農地をレンタルしているところもあります。夫が定年退職したら、借りてみようかと話しています」 ふとした思いつきから急に売却&新居購入となったCさん。
新居はローンを組みましたが、住宅ローン減税の期間が終了したら売却で得た利益で一括返済する予定だそう。「思いつきで始めた割には、うまくいきました」ととても満足しています。

2018年7月 ・一括査定サービスを利用する
・不動産仲介会社と専属専任媒介契約を結ぶ
2018年8月 ・内覧希望者が3組現れる
2018年9月 ・最初の内覧希望者と売買契約成立
2018年10月 ・新居の売買契約
2018年11月 ・物件の引き渡し
・新居への引っ越し

まとめ

  • 同じマンションの売買実績のチラシなどを見て売り時だと感じたら、まずは行動してみよう
  • 高く売りたいと思うなら、なるべく多くの不動産仲介会社に査定してもらうといい
  • 今の家を売って新しい家に移り住みたい場合、売却活動と同時に新しい家探しを始めるとスムーズ

 

イラスト/キットデザイン

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●構成・取材・文/籠島康弘
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