不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

1人暮らししていた千葉県松戸市の一戸建て。再婚を機に売却/千葉県松戸市Iさん(40代)

千葉県松戸市Iさん(40代)/1人暮らししていた千葉県松戸市の一戸建て。再婚を機に売却

現在都内在住のIさんが以前住んでいたのは、千葉県松戸市にある築11年の一戸建て(3LDK)。最初の結婚の時に購入した建売住宅です。離婚後も1人で住んでいましたが、再婚が決まり売却することになりました。

不動産区分 一戸建て
所在地 千葉県松戸市
築年数 約11年
間取り・面積 3LDK+2S(延床面積…95m2、土地面積…約72m2
ローン残高 1450万円
査定価格 1300万円~1490万円
売り出し価格 1550万円
成約価格 1550万円

再婚が決まり、妻の賃貸更新までの売却完了を目指す

Iさんが11年間住んでいたのは、千葉県松戸市の一戸建て。土地の広さは72m2、延床面積は95m2の3階建てで、間取りは3LDK+2Sの建売住宅です。最初の結婚を機に、実家に顔が出しやすいということで購入しました。最寄駅は常磐線沿線。千代田線に乗り入れているので、都心への通勤にも便利です。家は駅から徒歩15分程度で、昔ながらの住宅街にあります。Iさんは、離婚後も2人でこの家に住んでいました。

売却を思い立ったのは、2020年末に再婚することになったからです。妻は賃貸住まいだったので、2021年5月の更新時期までに売却を完了させ、3人で暮らすための住まい(賃貸マンション)を都内で探すことになったそうです。

「売却した家は、前の妻が不在の期間も長く、まだ使っていない部屋もありました。築11年にしてはかなりキレイな状態でしたね。ただ、学区の小学校までが徒歩30分程度と遠い上、自転車通学は不可の地域だったので、小さい子どもがいるファミリーには選ばれにくいかもしれないと思っていました。また、家は3階建てですが、階段が少し急で、洗濯をする場所と干す場所が1階と3階で距離があるので、高齢の世帯にも選ばれにくいかもしれないなとも思いました。どんな人が買ってくれるのか、売却活動前はイメージが湧きませんでした」

ともあれ、リミットにした賃貸の更新までは約半年。Iさんはすぐに動き始めました。

離婚時に一度一括査定を利用。1年2カ月を経て、感じが良かった会社に連絡

実は、今回の売却活動の前にも、一度売却を検討したことがあるIさん。離婚が成立した2019年秋ごろ、WEBの一括査定を利用したことがあるといいます。メールで5社とやりとりし、3社の訪問査定を受けました。その時の査定額は1300万円~1490万円でした。住宅ローンの残債のほうが少し多くオーバーローンになってしまうと尻込みしたそうです。

「売却を検討するのと同時に、賃貸の引っ越し先も探してみたのですが、どうもピンとくる物件がなくて。それであれば、オーバーローンで足を出してまで売却を進めなくても、しばらくそのまま住んでいようかなと思って、売却活動は一旦ストップとなりました」

今回、本腰を入れて売却活動をするにあたり、1年以上前に一括査定でやりとりした会社に連絡して仲介を依頼しました。WEBサイトの広告画面などを見ながら、どのように売却活動をサポートしてくれるのか説明してもらったので、売却活動のイメージがしやすく、一番印象に残っていた会社です。

売却活動は、不動産仲介会社のWEBサイトやSUUMOなどの不動産情報サイトに情報を掲載して進めます。Iさんは、不動産仲介会社の担当から「このエリアで物件探しをする人は、1500万円以下で検索することが多いです。1400万円台で売り出したらすぐ売れる自信があります」とアドバイスがあったそうです。でも、住宅ローンの残債は約1450万円。手数料も含めたら、それでは若干であってもオーバーローンになってしまうし、中古物件の売買では値引き交渉もよくあると思っていたIさんは、売り出し価格を1550万円に決めました。

「まずはオーバーローンを回避することを第一に置きました。妻の賃貸更新という期限もあったので、しばらく活動してみて、もし反響がイマイチであれば、値下げも視野に入れようと思っていました」

オーバーローンを避けるように売却計画を練るイメージ

家は、不動産仲介会社の人からもかなりキレイな状態と評価されていたので、ハウスクリーニングなどは入れず、売却活動をスタートしました。

物件のスペックを再確認し、軽自動車駐車スペースありに変更したら反響が増加

売却活動がスタートし、反響はポツポツあったといいます。不動産仲介会社からは、毎週メールでWEBサイトの閲覧数や詳細までチェックした人の数、問い合わせの有無など細やかに報告がありました。残念ながら成約には至りませんでしたが、最初に内見まで希望してくれた人は活動開始から1カ月以内に現れました。

その後、少し反響が伸び悩んだとき、不動産仲介会社の担当から「今、家のスペックを駐車場なしで告知していますけど、もしかして軽自動車なら駐車できるんじゃないですか」とアドバイスがありました。計測し、実際に試してみたところ、確かに軽自動車なら駐車可能だとわかったのです。WEB広告の内容を「軽自動車が入る駐車場あり」と変えたところ、閲覧数はグッと増えました。

「2021年2月になり、また内見の希望がありました。今回は、自分と同じような年代のシングル男性でした。この方が購入してくれた方なのですが、内見から成約までは2カ月ほどかかりました。男性が相談していた不動産会社の担当から、中古物件の購入前にはいろいろと確認したほうが良いとアドバイスがあったようです。住宅ローンの事前審査はすんなりと通ったようですが、住宅診断や外装クリーニングの見積もりなど、購入して大丈夫な家なのか、綿密に確認を取っていたようですよ」

2021年4月、検討に時間はかかりましたが、値引き交渉もなく、売り出し価格のまま1550万円で成約したといいます。

「最終的には買主の方に気に入っていただけたのか、カーテンや家具など、もしいらないものがあればそのまま置いて行っていいですよ、と言われました。リフォームやクリーニングを入れることもなく、ほぼそのまま住まれるみたいですよ」

■オーバーローンとは

住宅のオーバーローンとは、住宅の価格や価値よりも、ローンの借入金額や残債が多いことをいいます。売却の場合は、経年や社会情勢の変化で土地や中古物件の価値が下がり、売却益よりローンの残債が多くなるケースです。住宅ローンを長期間で組んでいて、早いタイミングで売却をする場合、ローンの返済よりも物件の価値の下落スピードのほうが速いためにオーバーローンになることはままあります。売却時にオーバーローンで注意すべきことは、住宅ローンの残債よりも家の価値のほうが低いと、普通の売却ができないということです。残債を現金で支払える場合は心配ありませんが、もし残高を一括で返済できなければ、金融機関は抵当権を解除しないので、買い手がつきにくい状況になりますから、気をつけましょう。

信頼できる不動産仲介会社の大切さを実感

Iさんにとっては、一度は見送った売却でしたが、今回売却する事情ができて本腰を入れた活動となりました。一度査定を受けていたことで相場観もでき、冷静にローンの残債や手数料を考えた値付けできたようです。

「もともと楽観的に構えていましたが、約半年での売却は、スムーズだったと思います。結局売り出し価格のまま売却できたし、住宅ローンの残債と手数料分を精算しても、20万円程度ですがプラスになりました。点数をつけるなら、満点です」

Iさんを担当した不動産仲介会社の担当者は、すぐに値下げを提案せずに、スペックの見直しを提案してくれました。Iさんの気持ちをくんだ目的達成へのアプローチを考えてくれて、とても信頼できたと言います。 現在都内の賃貸マンションで新婚生活を送るIさん。依頼先選びは大事だと実感した、と晴れやかな笑顔で売却の感想を語ってくれました。

2019年9月 ・売却のための仲介会社を探し始める
・簡易査定(現地査定は3社)の結果を見て売却を一旦ストップ
2020年11月 ・売却活動を再開
・不動産会社と専任媒介契約を結ぶ
・1550万円で売り出し
2020年12月 ・最初の内見希望者が現れる
2021年2月 ・購入検討者が現れ、内見の対応
2021年4月 ・1550万円で売買契約を結ぶ
・物件を引き渡し、売却活動終了

まとめ

  • オーバーローンにならないか、手数料も含めて売り出し価格を考える
  • 住宅のスペックは、駐車場など自分が使っていなかった使い方も検証して魅力を伝える
  • 納得できる売却活動の進め方を提案してくれる不動産仲介会社を選ぶ
売却査定する

取材・文/竹入はるな イラスト/いぢちひろゆき

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