
Aさんは、神奈川県海老名市にある賃貸に出していた一戸建てが老朽化したため売却を決意しました。チラシや近所の不動産会社などから情報を積極的に集め、2000万円というラインを決めた結果、1年後に希望額で売却することができました。
| 不動産区分 | 古家付き土地 |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県海老名市 |
| 築年数 | 約31年 |
| 間取り・面積 | 土地面積…150m2 |
| ローン残高 | なし |
| 査定価格 | 2000万円 |
| 売り出し価格 | 2100万円 |
| 成約価格 | 2000万円 |
賃貸に出していた持ち家が老朽化。災害による被害を考え売却を決意
神奈川県海老名市で夫と2人で暮らすAさん(60代)。1984年に建売住宅を購入し20年間住んでいましたが、気に入った設計の注文住宅を建てたことから、その後は建売住宅を賃貸に出していました。 売却を決心したのは2016年ごろ。それまで住んでいた借り手が退去した後に点検すると、お風呂などの設備だけでなく、柱など家の構造自体の老朽化が激しいことがわかったからです。
「売却した家は、最寄り駅から徒歩8分の静かでいいところでした。南道路で日当たりが良く、開放的で住むのには理想的な場所だと思います。購入額は3400万円と結構高額だった割に、建築資材の質が悪かったようで、最後はボロボロな状態に。途中、シロアリ駆除するなど、メンテナンスも一生懸命しましたが、次第に傷みが激しくなってきました。もし災害などで家が壊れたら命にかかわります。このまま賃貸に出し続けるわけにはいかないので、解体して売ろうと考えました」
希望の査定額を出した会社と専属専任媒介契約。売り出し価格は査定より100万円高く設定
Aさんはまずパソコンを開き、インターネットに「家を売りたい」と入力。不動産会社のホームページなどを検索し、一括査定を依頼したところ6社から返事がきました。

「売却希望額2000万円以上という条件で検索しましたが、大手不動産会社はどこも査定額が低く、1700万円などという会社もあってがっかりしました。6社の中で1件の地元不動産会社さんだけが2000万円で売れるというお返事で、訪問査定もしていただき、迷わずそこに専属専任媒介契約で仲介を依頼することに決めました」
査定額は2000万円でしたが、Aさんは不動産仲介会社と相談し、100万円上乗せした2100万円で売り出すことにしました。 「ローンは済んでいるし、夫婦共働きなので生活にゆとりはあるほうです。毎年、固定資産税はかかりますが、特に家計に負担がかかるほどではありません。急いで売る必要がないので、売却期限は設けず、少しでも高く売ることを優先しました」
当初、Aさんは古い建物を解体してから売り出そうと考えていました。しかし、不動産仲介会社から「解体費用を上乗せするより、そのままで売った方が売れやすいでしょう」とアドバイスを受け、古家付きの状態で売り出すことにしました。
内見者の様子や相場感を考慮し、価格を100万円下げる
売り出し開始後は不動産仲介会社から月1回程度、内見者数などの報告があり、内見者の様子などを詳しく伝えてくれました。
「担当の方はとてもいい方でした。不動産売買もやはり人と人との関係が大事。こちらのために努力したいと思ってもらえるように仲良くした方がいいですよね。何度もお会いするうちにお互いの家族の話までするようになり、私も親戚のおばちゃんみたいに、お土産のお菓子を渡したりしました」とAさんは笑って話します。
ただ、内見者は多いけれど、契約に結びつかない状況がしばらく続きました。
そこで、売り出しから3カ月たった時点で価格を100万円下げて2000万円に変更しました。
「担当の方から内見者の感触を聞いて、やはり価格を下げることを決めました。のどかで住み良い場所ですが、首都圏の中では田舎です。周辺には田んぼが広がり、少し離れると市街化調整区域。買い手側は解体費用もかかるし、相場と比べても2000万円が最高額だろう、という判断でした」
とはいえ、2000万円はAさんが想定する限度内。それ以下に下げる気持ちは全くなかったと言います。
「以前、この家を賃貸に出したときに、『住みたい』『借りたい』という人がたくさんいました。その経験から下げなくても売れるという自信が私の中にありました」
結局、価格を下げて3カ月後に2000万円で売却が決まりました。
「購入されたのは40代の方で、職場へのアクセスがいいということで決めていただきました。もちろん、静かで日当たりのいい住環境も、とても気に入っておられました。不動産仲介会社に呼ばれて現地でその方にお会いしましたが、とても真面目そうな方で、私もその方が暮らしやすくなるよう、周辺のいろいろな情報をお伝えしました」
■エリア相場
Aさんは以前、賃貸に出した時の相場観で希望通り売却できたようです。しかし、一般的には、過去の相場観に縛られてうまくいかないケースも多くあります。エリア相場は時代によって変化するので、仲介会社の情報や不動産のチラシ、インターネットなどで現在、周辺の不動産がどのぐらいの価格で売買されているかを知っておきましょう。不動産を購入した時点の価格にとらわれすぎず、今の需要に合った値付けをすることが大切です。
不動産会社の対応で、「築古」「遠方」「コロナ禍」というマイナス条件でも不安感はなし
「売却に関しては100点満点です」というAさん。
売却が成功した決め手は、2000万円というラインをしっかり決めたことだと言います。
「もし1900万円だったら、この満足感はなかったと思います。このラインを守るため、担当者さんは積極的に見込み客に声かけするなど、よく動いてくれました」
もう一つの成功の秘訣は「自分自信で相場を知ること」と言います。
「私自身、不動産広告をしっかりチェックしたり、他の不動産屋さんや知人に相場を聞いたりと、積極的に情報収集をしました」
売却期間を振り返り、「いろんな方とかかわり、とっても楽しかったですね」と満面の笑顔を見せてくれました。
| 2016年 | ・賃貸に出していた一戸建ての売却価格査定 |
|---|---|
| 2017年 | ・地元の不動産会社と専属専任媒介契約を結ぶ ・2100万円で売り出し ・売却価格を2000万円に変更 |
| 2018年 | ・売買契約を結ぶ |
まとめ
- 老朽化した物件でも、解体のコストをかけず、その分の売却価格を抑えて売り出すのも手。
- 相場を知り、売却価格の最低ラインを設定することが大事。
- 売り出し後、反響がなければ、内見者の感触など不動産会社の報告を考慮し、価格を見直すことも必要。
取材・文/浅野真由美 イラスト/いぢちひろゆき


