不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

「媒介」とは? 「仲介」との違い、3種類の媒介契約、不動産売買の仲介手数料について解説

「仲介」と「媒介」の意味はどう違う?不動産売買の仲介業務や仲介手数料について解説

不動産取引において、「媒介」や「仲介」はよく聞く言葉です。しかし、専門家にとっては基礎知識であることから、依頼者が不動産会社から改めて説明されることは多くありません。
この記事では、媒介と仲介の違いや、不動産売買における媒介契約の種類、仲介手数料について解説しています。スムーズな不動産取引を実現するため、ぜひこれらの基礎知識を理解しておきましょう。

記事の目次

媒介(ばいかい)とは?意味を簡単に解説

媒介とは「2つのものの間にあって、その関係を仲立ちすること」という意味です。不動産取引においては、売主と買主、もしくは貸主と借主の間に立ち、売買契約や賃貸借契約を成立させることを媒介といいます。

契約は本来、当事者だけで成立させる「直接取引」が可能です。媒介を行う第三者の存在は、取引の成立に必須ではありません。
しかし、不動産のように専門知識が必要となる取引の場合、当事者だけでの契約締結は時間的・精神的な負担が大きくなります。契約書ひとつとっても、トラブルが起こらないよう内容を詰め、法的な基準をもとに適切な表現を書き記す必要があります。
そのため、不動産会社に媒介してもらい、契約を結ぶまでサポートを受けることが一般的となっています。

仲介との違い

結論からいうと、媒介と仲介に意味の違いはありません。仲介は「2つの間に入って、取り次いだりまとめたりすること」という意味の言葉で、ほぼ同じ内容です。
意味的に大きな違いはありませんが、状況による使い分けはあります。例えば「交渉を仲介する」「仲介役を担う」という文章の場合、仲介を媒介に差し替えると不自然です。反対に「SNSを媒介した宣伝」「蚊を媒介した感染症」といった文章も、仲介に言い換えると不自然になります。

不動産取引においても文脈による使い分けがあり、一般的か否かは都度異なります。例えば、「仲介業者」「仲介手数料」という言葉はよく聞きますが、「媒介業者」「媒介手数料」という言葉を専門家以外で使う人は少数派です。
逆にいえば、媒介と仲介に細かいニュアンス以上の違いはなく、一般の人が同じ意味で解釈してもほとんど問題ないということです。不動産会社に入社したり、宅建士試験を受けたりしない限り、ニュアンスの違いを細かく把握する必要はそれほどありません。

不動産業界における仲介と媒介の使われ方

不動産業界における仲介と媒介のニュアンスを細かく分ける場合は、法律上の使われ方がポイントになります。
宅地建物取引業法(不動産取引を業として行うときのルール)において、仲介は「金融商品仲介業者」や「金融サービス仲介業者」という単語にのみ使われており、宅地建物取引業そのものを規定する条文では使われていません。一方、媒介は宅地建物取引業を定義する条文で使われています。

第二条  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
一  (省略)
二  宅地建物取引業 宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう。

また、不動産会社に売買の媒介(仲介)を依頼することを、宅地建物取引業法では「媒介契約」と定義しています。一般的な用法としては「仲介契約」でも通じるかもしれませんが、法律的には不正確な表現です。

第三十四条の二 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約(以下この条において「媒介契約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。

仲介は「仲介業者」や「仲介手数料」に代表されるように、広く一般に使われるシーンで用いられる傾向があります。一方、媒介は上述の通り、宅地建物取引業法で頻繁に使われる言葉です。これらのことから、不動産業界において「媒介」は法律用語の側面が、「仲介」は商業用語の側面が強いといえます。また、「媒介契約」は売買のみを指すことから、仲介はより広い範囲を、媒介はその中の一部である売買のみを指す概念であるという考えもあります。

不動産会社が行う仲介業務とは?

不動産会社が売主・買主(もしくは貸主・借主)の依頼を受け、契約の仲立ちを行う業務を「仲介業務」といいます。契約が成立するまでの全般的なサポートや、契約内容の確認、書類の作成が主な業務内容です。
実際の業務内容は、依頼内容(売買か賃貸か)や依頼者の立場(売主・貸主か買主・借主か)によって若干の違いがあります。

不動産売買契約書イメージ

(写真/PIXTA)

不動産賃貸の仲介業務とは?

賃貸の仲介業務では、以下のような業務を行います。

■貸主に対する仲介業務

  • 査定を行い、適正な家賃についてアドバイスをする。
  • 物件の広告宣伝を行い、借主を募る。
  • 借主からの問い合わせに対応する。
  • 内覧希望の借主に対し、現地での対応を行う。
  • 入居審査の参考となるよう、借主の属性や人柄を報告する。

■借主に対する仲介業務

  • 借主の希望に応じて物件を探す。
  • 希望に沿う物件を紹介し、求めに応じて内覧を手配する。
  • オーナーとの間で、契約内容や条件の交渉を行う。

そのほか、共通する業務として契約書の作成や重要事項の説明、金銭の受け渡しや鍵の引き渡しも行います。
賃貸の仲介業務で発生する仲介手数料は、貸主と借主それぞれから受け取る分を合わせて、物件の家賃1カ月分(税別)までです。例えば、家賃5万円の物件なら貸主・借主双方から合わせて5万円まで受け取れます。
貸主・借主の負担割合は原則自由なため、どちらか一方から1カ月分を全額もらうことも可能です。例外として、居住用建物の場合は一方から0.5カ月分までしか受け取れないとされていますが、この上限も依頼者の承諾さえあれば除外できます。

▼関連記事を読む

suumo.jp

不動産売買の仲介業務とは?媒介契約からの流れ

売買の仲介業務では、以下のような業務を行います。

■売主に対する仲介業務

  • 売却価格の査定を行う。
  • 物件の広告宣伝を行い、買主を募る。
  • 買主からの問い合わせに対応する。
  • 買主の内覧希望があれば対応する。

■買主に対する仲介業務

  • 買主の希望に応じて物件を探す。
  • 候補物件を紹介し、内覧を手配する。
  • 価格や引き渡し時期などの交渉を行う。
  • ローンを組む金融機関を紹介する。

上記のほか、賃貸と同じように契約書の作成や重要事項の説明、金銭の受け渡しや鍵の引き渡しが共通業務としてあります。
売買で発生する仲介手数料は、金額によって計算式が異なります。また、売却時に限り、不動産会社と結ぶ媒介契約に種類があることも注意が必要です。これらは後ほど詳しく解説します。

不動産仲介の取引方法

不動産仲介では、売主と買主(もしくは貸主と借主)の間に不動産会社が入ることで取引を進めますが、その入り方によって「片手取引」と「両手取引」に分けられます。
取引方法によって異なるメリット・デメリットがあるので、それぞれの違いを把握しておきましょう。

片手取引

片手取引とは、物件を売る側(または貸す側)と物件を買う側(または借りる側)に対して、それぞれ別の不動産会社が担当することです。
例えば、売主が不動産会社Aに売却活動を依頼していたとします。これに対し、不動産会社Bに物件探しを依頼していた買主が購入を申し込んだ場合、この取引は片手取引です。

片手取引の場合、不動産会社はそれぞれが担当する取引当事者の利益を最大限優先するため、公平な取引になりやすいことがメリットです。また、依頼した不動産会社が抱える顧客以外からも買主・借主を探せる(もしくは他社物件も購入・入居の候補にできる)ため、取引当事者の選択肢が広くなります。

ただし、片手取引だと不動産会社の営業が消極的になる可能性もあります。なぜなら、片手取引になっても、ひとつの取引における仲介手数料の総額は両手取引のときと変わらず、双方の不動産会社で分配しなければいけないためです。つまり、1社あたりの利益が減ってしまうので、不動産会社によっては営業活動を積極的に行わない場合があります。

片手仲介

(画像作成/SUUMO編集部)

両手取引

両手取引とは、物件を売る側(または貸す側)と物件を買う側(または借りる側)を別々の不動産会社が仲介するのではなく、双方をひとつの不動産会社が仲介する取引です。
例えば、売主が不動産会社Aに売却活動を依頼し、その不動産会社Aが自社で買主を見つけて購入手続きを担当した場合、両手取引になります。

両手仲介

(画像作成/SUUMO編集部)

両手取引でも、不動産会社が適正に取引を進めるのであれば、特に問題はありません。先述の通り、取引方法にかかわらず仲介手数料の総額は変わらないので、支払う仲介手数料は同じになります。むしろ、不動産会社は仲介手数料を分割する必要がないため、サービスとして割安で対応してもらえる可能性もあります。また、同一業者が担当する分、交渉が円滑に進みやすいのもメリットです。
しかし、両手取引では利益が相反する売主・買主(貸主・借主)の両方を担当するため、どちらか一方の利益が犠牲になる可能性があります。したがって、片手仲介と比べて不公平な取引になりやすい点がデメリットです。

なお、不動産仲介には両手取引を狙った「囲い込み」という問題があり、注意が必要です。囲い込みとは、売主や貸主から依頼された不動産会社が、その物件情報を隠し、他社を通した買主・借主が出ないようにする手法です。こうすることで意図的に両手取引を作り出し、不動産会社は仲介手数料を独占できます。売主・貸主にとっては取引チャンスを逃してしまうことになるため、広告掲載の状況や取引の進捗は逐一チェックし、囲い込みを防ぐようにしましょう。

不動産売買時の媒介契約は3種類

不動産売却で不動産会社に仲介を依頼する場合、その会社とは「媒介契約」を結ぶことになります。媒介契約には、「専属専任」「専任」「一般」の3パターンがあり、それぞれサポートの内容が変わります。それぞれの特徴を確認し、最も自分に合う契約形態を選びましょう。

1. 専属専任媒介契約

専属専任媒介契約とは、不動産売却の仲介を1社の不動産会社に依頼する契約のことです。また、自分で買主を探して直接取引をすることもできず、契約した1社に全て売却を委ねることになります。不動産会社としては、レインズ(宅地建物取引業者のみが使える、売買や賃貸の物件情報が掲載されるネットワークシステム。非公開の不動産情報サイトのようなもの)への物件登録が義務となり、媒介契約を結んだ翌日から数えて5営業日以内に登録しなければいけません。また、業務の報告義務も発生し、1週間に1回以上は売却活動の進捗について依頼者に知らせる必要があります。

専属専任媒介契約のメリットは、信頼できる不動産会社に依頼すれば、契約がスムーズに進みやすいことです。不動産会社からすると、他社に契約を取られたり、依頼者が直接取引をする恐れがないので、安心して営業活動を行えます。窓口がひとつなので手間がかからず、積極的に買主を探してもらえるため早く売れる可能性があります。

専属専任媒介契約のデメリットは、自分で買主を見つけた場合も直接取引ができず、不動産会社を通す必要がある点です。必ず仲介手数料がかかり、勝手に直接取引をした場合は違約金が発生します。また、他社が介入しない分、囲い込みをされるリスクが上がるため注意が必要です。

契約期間は最長3カ月で、それ以上の期間を定めても、3カ月を超える期間は無効となります。一方、3カ月以内であれば問題ないため、1カ月や2カ月に設定することも可能です。契約期間が終了した場合、同じ条件で再契約しても良いですし、違う媒介契約への変更や、他社との契約に切り替えることもできます。なお、契約期間中の解約については、不動産会社に不備があるケースや、転勤の取りやめで売る必要がなくなったなどやむを得ないケースを除き、違約金を支払う必要があります。

2. 専任媒介契約

専任媒介契約は、専属専任媒介契約と同様、1社にのみ仲介を依頼する契約です。ただし、専属専任媒介契約と違い、自分で買主を見つけられれば直接取引ができます。また、レインズへの登録期限は媒介契約を結んだ翌日から7営業日以内であること、不動産会社から売主への業務報告は2週間に1回以上と、専属専任媒介契約よりルールが緩くなっています。

専任媒介契約のメリットは、専属専任媒介契約と基本的には同じです。窓口がひとつになるため連絡がスムーズですし、不動産会社の積極的な営業活動が期待できるので、早く買主を見つけられる可能性があります。それらに加えて、自分で買主を見つけたときは直接取引ができるので、仲介手数料が不要になります。

専任媒介契約のデメリットは、直接取引が認められる分不動産会社にとっては不利なため、専属専任媒介契約より営業活動への積極性が薄れる可能性があることです。レインズへの登録や業務報告の期間が長いこともあり、全体的な取引のスピード感が落ちる可能性があります。また、囲い込みが起こりやすいことも、専属専任媒介契約と同じです。

契約期間については、3カ月であること、契約期間中に解約すると原則として違約金が発生すること、契約終了後は再契約・契約内容の変更・他社への切り替えが可能であることがポイントで、これらも専属専任媒介契約と変わりません。

基本的なメリットは専属専任媒介契約と同じなので、自分で買主を見つける当てがない限り、あえて専任媒介契約を選ぶ必要はないでしょう。不動産会社も、どちらかといえば専属専任媒介契約のほうがより営業活動に注力できます。逆に、親族や知人に買ってくれそうな人がいる場合、その人との交渉と並行して専任媒介契約を結ぶことで、スムーズに取引できる可能性が高くなります。

3. 一般媒介契約

一般媒介契約とは、不動産会社を1社に限定せず、複数社に仲介を依頼できる契約です。また、自分で買主を見つけて直接取引をすることも可能なので、媒介契約の中では最も自由度の高い形式です。一方、レインズへの登録や業務報告は不動産会社の任意となり、依頼者側がお願いしても実行してくれるとは限りません。

一般媒介契約のメリットは、複数社と契約することで販売窓口を広げられることです。1社だけだと、その不動産会社が持つ顧客ルートからしか買主を探せませんが、複数社に依頼することで広範囲の宣伝が可能になります。また、1社に対する売却への依存度が緩和されるため、不動産会社選びを失敗したときのリスクも低くなります。

一般媒介契約のデメリットは、不動産会社の営業活動が消極的になる可能性が、媒介契約の中で最も高いことです。不動産会社にとっては、他社に契約を結ばれて仲介手数料を得られない可能性があるため、コストをかけた営業活動がしにくくなります。レインズ登録や業務報告が任意であることも相まって、売却しにくい物件だと媒介契約後も放置されるかもしれません。もっとも、人気が高く売りやすい物件の場合、競争原理が働いてむしろ好条件で売れる場合もあります。

契約期間については特に決まりがなく、自由に設定することが可能です。ただし、国土交通省の目安では3カ月以内とされており、実務上も3カ月とするケースが一般的です。また、特約がある場合を除いて、契約期間中でも違約金なしで解約できます。

なお、一般媒介契約は「明示型」と「非明示型」に分類され、明示型は他社との媒介契約の有無やその依頼先を不動産会社に通知します。不動産会社からすれば、自社以外にどこが依頼を受けているか知っておいたほうが営業活動をしやすいため、基本的には明示型がおすすめです。

媒介契約における選び方のポイント

3つの媒介契約には、それぞれ違ったメリット・デメリットがあります。例えば、都市部や人口流入の多い地域なら、一般媒介契約で販売窓口を広げたほうがスムーズに売れる可能性があります。一方、地方の一軒家など需要が低い物件の場合、専任媒介契約や専属専任媒介契約で集中的に取り扱ってもらったほうが早く売れるかもしれません。
買主を見つけられる当てがあるのか、物件の需要はどの程度見込めるかなど、個々の状況に応じて選ぶことが大切です。

不動産売買の際には仲介手数料がかかる

不動産売買で仲介を依頼したときは、仲介手数料が発生します。物件価格によって金額が変わりますが、不動産売買は物件の金額が大きい分、仲介手数料も高額です。計算方法や支払うタイミングを把握して、スムーズに取引できるようにしましょう。

不動産売買の仲介手数料は成功報酬

仲介手数料は、契約が成立して初めて発生する成功報酬です。つまり、売買契約が成立した後に支払います。
不動産の契約が途中で無効や取消しになった場合、仲介手数料を支払う必要はなく、無料で契約終了となります。また、あくまで最終的な取引価格で決まるため、相談や内見対応を何度繰り返しても金額は変わりません。

仲介手数料の上限は法律で決まっている。取引価格400万円以上の場合は?

不動産売買の仲介手数料は、国土交通省が定めた「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」によって決まっており、下記のように取引価格に応じた3段階の計算方法となっています。

  • 200万円まで:対象金額の5%
  • 200万円超400万円まで:対象金額の4%
  • 400万円超:対象金額の3%
    (※全て税別)

取引価格を上記の3段階に分解して計算し、それぞれの合計を合わせます。例えば、取引価格が1,500万円の場合、計算は以下の通りです。

A:200万円までの部分=200万円×5%=10万円
B:200万円超400万円までの部分=200万円×4%=8万円
C:400万円超の部分:1,100万円×3%=33万円

A~Cの合計は51万円となり、これに消費税を加えたものが仲介手数料の上限です。また、段階別に分ける手間を省いた速算式もあります。

  • 不取引価格が200万円以下の場合:取引価格の5%
  • 取引価格が200万円超400万円までの場合:取引価格の4%+2万円
  • 取引価格が400万円超の場合:取引価格の3%+6万円

速算式に1,500万円を当てはめてみると、「1,500万円×3%+6万円=51万円」となり、3段階の計算方法と同じ結果になります。
なお、前述した両手取引では、売主と買主の双方から仲介手数料をもらえるため、不動産会社の利益は単純計算で2倍になります。1,500万円の例なら、「51万円×2=102万円」です。一方、片手取引で2つの不動産会社が関わった場合、仲介手数料はそれぞれの上限額を受け取るのが普通です。しかし、厳密なルールでいうと、「合計額および各不動産会社が受け取る金額は、いずれも1社が関わったときと同じ上限まで」という決まりになります。1,500万円の例でまとめると、次のようになります。

  • 不動産会社Aが51万円、不動産会社Bが0円…OK(各不動産会社が51万円以下、合計額が102万円以下のため)
  • 不動産会社Aが41万円、不動産会社Bが21万円…OK(各不動産会社が51万円以下、合計額が102万円以下のため)
  • 不動産会社Aが51万円、不動産会社Bが51万円…OK(各不動産会社が51万円以下、合計額が102万円以下のため)
  • 不動産会社Aが102万円、不動産会社Bが51万円…NG(不動産会社Aが51万円超、合計額が102万円超のため)
  • 不動産会社Aが102万円、不動産会社Bが0万円…NG(合計額は102万円以下だが、不動産会社Aが51万円超のため)

依頼者側の場合は、片手取引でも両手取引でも、本来の上限を超えた仲介手数料は発生し得ないのが原則と考えましょう。

取引価格400万円以下の仲介手数料

先述の通り、取引価格が200万円以下の場合は5%、200万円超400万円までの場合は4%+2万円という速算式で仲介手数料を計算できます。
しかし、2018(平成30)年1月1日の法改正より、売主が支払う仲介手数料について、取引価格400万円以下の場合は18万円(税別)が上限となりました。

例えば、取引価格が100万円の場合、本来の計算式では「100万円×5%=5万円」が仲介手数料の上限です。しかし、売主から依頼を受けた場合で、物件価格が400万円以下であるときは、18万円が上限となります。
ただし、本来の上限を超えて仲介手数料を受け取れるのは、あくまで現地調査などの費用として要するものに限られます。具体的な金額について事前に売主へ説明し、合意を得ることも必要です。
なお、この規定は売主と媒介契約を結ぶときのみであり、買主との媒介契約では本来の計算式通りになります。

400万円以下の不動産売買で仲介手数料の上限が異なる理由

400万円以下の物件で上限が18万円になるのは、全国に増え続ける空き家の問題があります。空き家の多くは低価格での取引となるため、仲介手数料も極端に低くなる場合があります。さらに、安い空き家は地方に多く、遠方では調査費が高くなるため、不動産会社にとっては「赤字になるので取り扱いたくない物件」でした。

そこで、調査費込みで18万円まで受け取れるようにすることで、400万円以下の物件でも不動産会社が積極的に取り扱えるようにしたのが、法改正の背景です。本来の上限額では取り扱いを避けていた不動産会社も、最低限の利益を確保できるようになったことで、媒介契約を請け負いやすくなっています。

▼関連記事を読む

suumo.jp

仲介手数料は2回に分けて支払うことが多い

仲介手数料は成功報酬ですが、支払うタイミングは半金ずつ2回に分けるのが一般的です。その2回とは、1回目は売買契約締結のとき、2回目は決済・引き渡しのときです。
本来であれば、不動産会社は売買契約の成立時点で全額の仲介手数料を請求できます。そのため、売買契約時に全額請求されても違法ではありません。

しかし、不動産取引では、売買契約から決済引き渡しまでに数週間程度のタイムラグがあります。売買契約自体は成立していても、根本的な目的である不動産取引は完了しているとはいえません。そこで、仲介手数料のタイミングを2回に分けることが、商慣習として定着しています。
ただし、これらのルールはあくまで一般的な考えなので、実際は地域性や不動産会社の考え方によって変わります。具体的な支払いタイミングについては、事前に確認しておくようにしましょう。

なお、自分が買主の立場だった場合、1回目は手付金(売買代金の一部)を、2回目に売買代金の残金を一緒に支払うことになります。支払いが滞らないよう、いつ、いくらの現金が必要かには注意が必要です。

仲介手数料の支払いタイミング

(画像作成/SUUMO編集部)

媒介契約を締結するときの注意点

不動産取引では、不動産会社に言われるがまま媒介契約を締結すると、思わぬトラブルに陥る可能性があります。
不動産会社によるサポートは大切ですが、最終的な決定権は自分自身にあります。媒介契約を締結するときの注意点を押さえて、滞りなく不動産取引を進められるようにしましょう。

媒介契約の種類は慎重に選ぶ

先述の通り、媒介契約には3つの種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。適切な媒介契約を結ぶには、まず物件を理解することが重要です。
立地や築年数、間取りや広さ、設備や管理状況などをしっかりと把握し、地域のニーズと合っているか分析しましょう。地域のニーズについては、近隣の競合物件の傾向や現地の雰囲気、人口動態などが参考になります。
不動産の価値や特徴をしっかりと把握し、売りやすさを考慮して、最もスムーズに売れる媒介契約を選ぶことが大切です。

不動産会社の仲介内容をよく確認する

どの媒介契約であろうと、最終的な売買条件や売れるまでのスピードは、不動産会社の力量次第です。不動産会社から提示された内容をしっかりと確認し、問題がないか注意しましょう。
例えば、地域の市場傾向や販売戦略について具体的な提案・アドバイスがある不動産会社なら、安心して任せられます。逆にいえば、曖昧な考えや都合の良い予測ばかり述べてくる不動産会社には、依頼しないほうが無難です。

特に、レインズへの登録の有無は重要です。レインズは不動産会社が物件探しをするとき必ずチェックするため、他社からの購入希望を確保して販売ルートを増やすためには欠かせません。登録義務のある専任媒介契約や専属専任媒介契約なら安心ですが、一般媒介契約の場合は登録してもらえるよう何度でもお願いしましょう。
不動産会社の仲介内容をよく確認し、信頼できるかどうかを見極めることが、不動産取引では大切です。

締結前に希望条件を細かく伝える

不動産会社に対して、自分がどのように売りたいかも伝えておくと、取引がスムーズに進みます。
引き渡し希望時期や最低売却価格などを伝えておけば、希望に合致する買主を見つけやすくなりますし、的確な交渉も可能です。細かい部分まで条件を詰めておけば、認識のすれ違いでトラブルが起こるという事態も防げます。
優良な不動産会社であれば、たとえ希望条件が実現不可能なものであっても、現実的な次善策や代替案をアドバイスしてくれます。「不動産のことはわからないから」と遠慮せず、自分の希望はしっかり伝えておきましょう。

不動産売却における「仲介」と「買取」はどう違う?

これまで説明してきたように、不動産の売却時には不動産会社に「仲介」を依頼することが多いですが、ほかの方法として「買取」があります。
仲介と買取の違いを知っておくことで、不動産の売り方に選択肢が生まれます。どのような違いがあるのか解説するので、自分の希望に合ったほうを選びましょう。

「買取」とは?

買取とは、不動産会社を買主として、物件を直接購入してもらう方法です。古本屋やリサイクルショップの不動産版と考えるとわかりやすいでしょう。

買取では不動産の専門家が相手なので、個人に売るときと比べて、スムーズでトラブルになりにくい利点があります。査定後は即契約可能であり、数日~数週間程度で売却が終わることも珍しくありません。また、仲介ではないため仲介手数料が発生しない点もメリットです。中には訳あり物件専門の買取業者も存在し、築古や自殺があった物件、建築基準法違反の物件、災害被害に遭った物件など、何らかの問題を抱えた物件でも売れる可能性があります。

ただし、購入する不動産会社は、その後自分たちで購入者を探すことになるため、それまでの維持管理コストやリフォーム費用などを差し引いて査定します。具体的な査定額はケース・バイ・ケースですが、仲介で売ったときの相場と比べて7~8割程度まで落ちると思っておきましょう。
売却までのスピードで有利な一方、価格の面では不利になるのが、買取の特徴です。

▼関連記事を読む

suumo.jp

「仲介」と「買取」のどちらを選ぶか迷ったときは

それぞれにメリット・デメリットがあるので、物件の特性や自分の条件に合わせて選ぶのがベストです。不動産会社によっては、最初は仲介で依頼して、一定期間売れなかった場合は買取に変更できるところもあります。
時間的な余裕があり、好条件で買主が見つかりそうな物件は、仲介で高く売れるようにすることがおすすめです。一方、何か事情があって早く現金化したい場合や、問題を抱えて売却が難しい場合は、買取でスムーズに売ったほうが良い場合があります。条件が悪いと何年経っても売れないことがあるので、買取で確実に売ったほうが時間的には得をします。
いずれにせよ、まずは複数の不動産会社に査定してもらい、査定額や売却条件を比べることがおすすめです。不動産会社によって強みが違うため、査定額が数百万円単位で変わることもありえます。

まとめ

不動産売買において、媒介は基本的な取引方法です。この記事で解説した内容を一通り押さえれば、不動産会社と話したときも戸惑うことなく取引を進められます。 不動産取引には大きな金額が動きます。どのように売却するにしても、仲介や買取を依頼する不動産会社との信頼関係が大切です。売却希望時期や物件の特性・状況に応じて、最適な取引を選びましょう。

売却査定する
中古マンションを探す
中古一戸建てを探す
賃貸物件を探す
土地を探す
新築一戸建てを探す
新築マンションを探す
リフォーム会社を探す
注文住宅の会社を探す
カウンターで相談する
ハウスメーカーを探す
工務店を探す
引越し査定する
●取材協力・監修 不動産コンサルタント 岡本郁雄(おかもと いくお)さん ファイナンシャルプランナーCFP®、中小企業診断士、宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター。1989年にリクルート入社、不動産コンサルティング会社などを経て2004年に独立。不動産領域のコンサルタントとして、マーケティングやコンサルティング、住まいの選び方などに関する講演や執筆、メディア出演など幅広く活躍中。神戸大学工学部卒。
ページトップへ戻る