不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

媒介契約書の締結前に注意!契約種類の違いとデメリットを知れば最適な選択ができる

媒介契約書の締結前に注意!契約種類の違いとデメリットを知れば最適な選択ができる

不動産売却の仲介を不動産会社へ依頼する際には、売主と不動産会社とのあいだで「媒介契約書」という書類を取り交わします。この媒介契約書には売主と不動産会社の双方の権利・義務が書かれており、問題の発生を抑えながら適切な売却活動が行えるように、大切なルールが凝縮されています。

本記事では、媒介契約書の記載事項や必要書類、3つの媒介契約の相違点やメリット・デメリット、媒介契約の締結前に知っておくべきポイントや注意点などを詳しく解説しています。これから不動産を売却する方が、最適な媒介契約を選ぶために必要な情報が書かれていますので、ぜひ最後までご覧ください。

記事の目次

媒介契約書とは

媒介契約書とは、不動産売却の仲介業務を依頼する際に、売主と不動産会社とで締結する契約書で、売主と不動産会社の権利や義務、責任の所在、報酬などを明確にして、双方が不利益を被らないようにするのが主な役割です。
媒介契約書は任意ではなく、「不動産会社が仲介業務を行う際には、記名押印をした契約書を売主へ交付しなければならない」と、宅地建物取引業法で定められています。なお、契約書の内容については、国土交通省が作成した「標準媒介契約約款」が標準約款として広く浸透しています。

媒介契約書のひな型(標準書式)と記載事項

媒介契約書のひな型(標準書式)の紹介と、記載事項について解説します。

媒介契約書のひな型と書き方

標準媒介契約約款のうち「専任媒介契約書」を例としてご覧ください。

専任媒介契約書(標準媒介契約約款)

専任媒介契約書(標準媒介契約約款)

専任媒介契約書(標準媒介契約約款)

専任媒介契約書(標準媒介契約約款)

媒介契約書の記載事項

一般的に「契約」は、双方の合意があれば内容を自由に決められます。しかし、不動産のプロである不動産会社と一般の方とでは、不動産知識の差があまりに大きいため、悪意ある不動産会社にかかれば媒介契約が公平でなくなる可能性があります。不動産の取引では一般の方には耳慣れない用語やルールが多く、どこにリスクが潜んでいるのか分かりにくいという背景もあります。
そこで、不動産関連の多くの団体は、一般の方が不利益を被ることがないよう、国土交通省が作成した「標準媒介契約約款」を使用することを推奨しています。

標準媒介契約約款の記載事項は、下記のとおりです。

  • 媒介契約型式(専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約)の区分
  • 不動産会社と売主の記名押印、不動産会社の免許番号
  • 成約に向けての義務
  • 媒介にかかる業務
  • 違約金等
  • 有効期間
  • 約定報酬額
  • 約定報酬の受領の時期
  • 別表(扱う不動産の表示と媒介価額)
  • 買い依頼に係る媒介契約の欄(買主の媒介の場合)

なお、記載事項の詳細については、「媒介契約書のチェックポイント」のなかで追って解説します。

媒介契約締結のタイミングと必要書類

不動産売却の流れと媒介契約締結のタイミングや、媒介契約時の必要書類について解説します。

媒介契約を締結するタイミング

媒介契約を含む「契約行為」は、民法上では口頭でも有効であると規定されています。しかし、契約内容が明確に書面化されていなければ、不動産会社と売主の権利や義務があいまいになり、トラブルに発展する恐れがあります。たとえ不動産会社の担当者が親しい知人であっても、媒介契約は必ず書面で取り交わしましょう。

不動産会社への売却相談から売却活動開始までの流れ、その際に必要な書類等は下表のとおりです。

売却の流れ 必要書類
不動産会社へ売却相談 不要
訪問査定

不動産売買契約書・権利証(登記識別情報)・重要事項説明書・登記簿謄本(登記事項証明書)・固定資産税納付通知書・住宅ローン残高証明書(返済予定表)・購入時の物件資料・公図・地積測量図・建物図面・建築確認済証・本人確認書類(運転免許証など・実印・印鑑証明書)※1

加えて、固定資産評価証明書・住宅性能評価書・地盤調査報告書・耐震診断報告書・建築設計図書・リフォームの仕様書・境界確認書などがあればなおよし

訪問査定の報告 同上 ただし、すでに提示したものは除く
媒介契約の締結 同上 ただし、すでに提示したものは除く
売却活動の開始 不要
※1:訪問時にはなくてもよい書類が含まれていますが、正確な査定や高額売却のためにできるだけ早く提示すべき書類です。少なくとも不動産会社から依頼された書類は、訪問当日には必ずそろえておきましょう。

なお、表中の書類は、訪問査定や媒介契約締結に必須ではありません。しかし、住宅の現状を正確に把握して買主へ漏れなく引き継ぐことは、取引後のトラブルを避けるために大変有効です。物件のよさをアピールする意味でも、求められた書類はできる限り提示するよう心がけましょう。ただし、不動産取引でしか見ることのない特殊な書類もあり、すぐには用意できないかもしれません。売却を検討し始めた段階から、少しずつ準備することをおすすめします。

媒介契約時の必要書類(収入印紙は不要)

媒介契約締結時に必要な書類は、下記のように売却物件の「売主本人・物件を特定する書類」と「物件の詳細が分かる書類」に分けられます。不動産会社が広告を出すために、物件の詳細が分かる書類を数多く提示する(貸し出す)必要があるので、依頼する不動産会社の指示に従って書類を準備しましょう。

売主本人・物件に関する書類

  • 不動産売買契約書
  • 権利証(登記識別情報)
  • 固定資産税納付通知書
  • 住宅ローン残高証明書(返済予定表)
  • 本人確認書類(運転免許証など・実印・印鑑証明書)

物件の詳細が分かる書類

  • 購入時の重要事項説明書
  • 登記簿謄本(登記事項証明書)
  • 購入時の物件資料
  • 公図・地積測量図・建物図面
  • 建築確認済証
  • 固定資産評価証明書
  • 住宅性能評価書・地盤調査報告書・耐震診断報告書
  • 建築設計図書
  • リフォームの仕様書
  • 境界確認書

なお、媒介契約の締結では、収入印紙や契約手数料などの費用は一切かかりません。

山積みの書類のイメージ

(画像/PIXTA)

媒介契約書のチェックポイント

媒介契約書には媒介契約の種類や契約期間などさまざまな記載事項があります。それぞれの項目について解説します。

媒介契約の種類

媒介契約には下記の3種類の契約形態があり、どれを選ぶかは売主側で自由に決められます。

  • 専属専任媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 一般媒介契約

専属専任媒介契約および専任媒介契約、一般媒介契約の売主と不動産会社の関係は下図をご参照ください。

3つの媒介の相違点は下表をご参照ください。

媒介契約の種類  専属専任媒介契約 専任媒介契約 一般媒介契約
依頼する不動産会社数 1社だけ 2社以上も可能
媒介契約の有効期限 最長期間3カ月 規定はないものの最長期間3カ月を推奨
媒介契約の更新規定 自動で更新されない
売主と不動産会社の合意が必要で最長3カ月の範囲で更新が可能
契約内容に異議がなければ同じ条件で更新したとみなされる
レインズ(※1)への情報登録 媒介契約締結の翌日から5日以内に登録 媒介契約締結の翌日から7日以内に登録 登録義務はないが登録は可能
業務報告の頻度と手段 1週間に1回以上・文書やメール等の報告義務 2週間に1回以上・文書やメール等の報告義務 報告義務はないが報告することが望ましい
自己発見取引(※2)の可否 不可
特別な費用について 特別に依頼した業務の実費は売主が負担

※1 レインズ(REINS)とは
4つ(東日本、中部、近畿、西日本)の不動産流通機構が運営する不動産情報ネットワークシステムで、利用は会員(不動産会社)だけに限られており、一般の方はアクセスできません。レインズに物件情報を登録すれば、全国の不動産会社が情報を自由に見られるようになります。

※2 自己発見取引とは
自己発見取引とは、不動産会社の力を借りずに売主が自分で買主を見つけて直接取引することです。この場合には仲介者がいないため、仲介手数料の支払いはありません。

自己発見取引で注意したいのは、買主が住宅ローンを利用して購入する場合です。多くの金融機関では、不動産会社が作成した重要事項説明書を提出しないと、ローン審査に通らないのが一般的です。これは、専門的な知識もつ不動産会社が物件調査を行っていないと、物件状況の把握やリスクの調査などができておらず、担保価値を正確に査定できないと金融機関が判断するからです。そのため、自己発見取引をした場合でも、不動産会社に重要事項説明などの契約手続きを依頼する必要が生じてしまいます。

また、不動産会社による重要事項説明がされないことによるリスクもあります。不動産会社が仲介する取引では、重要事項説明の際に法令に関する事項や、取引によって想定されるリスクなどの情報が買主に提供されます。こうした説明がされないまま売却すると、引き渡した後に「家の建て替えができない」「住み始めたら雨漏りがしていた」などさまざまな問題が生じ、買主とトラブルになる可能性があります。不動産に関する専門知識がない一般の方は、不動産会社に仲介を依頼したほうが、安全に取引を進めることができるでしょう。

なお、3つの媒介契約のメリット・デメリットと、それぞれの契約形態が適している方については下表のとおりです。

専属専任媒介契約
<メリット>
  • 不動産会社からの報告頻度が高く、売却活動の詳しい状況が把握できる
  • 窓口の不動産会社1社とだけやり取りすればよく、労力や時間が少なくて済む
  • 契約が成立すれば売主から確実に仲介手数料が入るため、十分な広告宣伝費をかけて優先的に売却してくれる
<デメリット>
  • 売却活動の報告頻度が高いため、面倒に感じることもある
  • 窓口が1社なので、不動産会社の怠慢や、他社を排除して有利に取引を進めようとする行為「囲い込み」に気づきにくい(囲い込みについては以下コラムで紹介します)
  • 自分で買主を見つけても仲介手数料を支払わなければならない
<おすすめする方>
  • 窓口を1社にして手続きを簡素化したい方
  • 活動状況に関して詳しい報告が欲しい方
  • 信頼できる不動産会社や優秀な担当者と出会って、その方に一任したいと願う方
専任媒介契約
<メリット>
  • 不動産会社からの報告頻度が比較的高く、売却活動の詳しい状況が把握できる
  • 窓口の不動産会社1社とだけやり取りすればよく、労力や時間が少なくて済む
  • 一般媒介契約より広告宣伝費をかけて、優先的に売却してくれる
  • 自分で買主を見つけて売買契約手続きができる場合は、仲介手数料の節約になる
<デメリット>
  • 報告義務が2週間に1回であるため、詳しく知りたい場合は売主から質問しなければならない
  • 窓口が1社なので、不動産会社の怠慢や、他社を排除して有利に取引を進めようとする行為「囲い込み」に気づきにくい
<おすすめする方>
  • 窓口を1社にして手続きを簡素化したい方
  • 信頼できる不動産会社や優秀な担当者と出会って、その方に一任したいと願う方
一般媒介契約
<メリット>
  • 売主が望めば売却活動報告は一切不要で、完全に一任するという取り決めもできる
  • 複数の不動産会社からの異なる意見を聞くことができる
  • よい条件の物件であれば、各社が競争し合って高額で早期に売却できることが多い
  • レインズへの登録義務がないため、離婚や返済苦などで売却する際には、周囲に知られないよう広告せずに売却できる
<デメリット>
  • 活動報告の義務がないため、担当者が何をしているのか分からない場合がある
  • 他社で成約することを想定して、担当者が他の専任物件の売却活動を優先する可能性がある
  • 明示型の契約形態の場合、他の不動産会社に仲介を依頼した場合には、その旨を不動産会社に報告しなければならない※
<おすすめする方>
  • 複数の不動産会社とのやり取りが苦痛ではなく、積極的に売却活動に参加したい方
  • 余計な詮索をされたくないので、周囲に知られずに売却したいという事情がある方
  • 高額で確実に売れてしまうような、好条件の人気物件を売却しようとする方
※一般媒介契約には「明示型」と「非明示型」があり、「明示型」は売却を依頼する他の不動産会社を告知する契約形態、「非明示型」は他の不動産会社を告知しない契約形態です。明示型も非明示型も、申し込みが入った場合や売買契約が成立した場合には、売却活動を中止・終了させる必要があるため全社へ通知しなければなりません。

3つの媒介契約に優劣はありませんので、売主が望む売却スタンスや状況に合った媒介契約を選ぶことが大切です。媒介契約が自分に合っていないと感じた場合には、媒介契約の変更を検討する必要がありますが、専属専任媒介契約や専任媒介契約は契約期間が決まっており、期間中は自由に解約や変更ができません(契約の満了をもって更新しないという選択肢はあります)。ルールは媒介契約の契約書に記載されていますので、事前に確認しておきましょう。

【コラム】囲い込みとは?

「囲い込み」とは、売主側の不動産会社が自社の売り上げを最大化するため、物件の正しい情報を公開せず、他社の仲介を排除する行為です。たとえば、レインズを見た他の不動産会社が問い合わせても、「すでに申し込みが入りました」と虚偽の情報を伝える行為などが該当します。
囲い込みが行われると売却チャンスが大きく損なわれ、売却期間が長引くことや売れ残って価格が大幅に下がることがあります。囲い込みを心配される方は、複数の不動産会社に仲介を依頼する一般媒介契約にしておくといいでしょう。

住宅のイメージ

(画像/PIXTA)

契約期間

標準媒介契約約款の規定では、専属専任媒介契約と専任媒介契約の契約期間は3カ月以内としています。一方で、一般媒介契約の契約期間については法令上の制限はありませんが、行政の指導上は3カ月以内を推奨しており、標準媒介契約約款の規定でも「3カ月を超えない範囲で売主と買主が協議の上定める」としています。つまり、3つの媒介契約のどれを選んでも、契約期間は最長3カ月と認識しておくといいでしょう。

また、媒介契約の更新は、双方が合意したうえで売主から不動産会社へ書面で更新の意思表示をするのが原則です。そして、契約期間が満了しても当然に自動更新することはありません。そのため、一般媒介契約を自動更新したい場合には「双方異議なければ自動更新する」旨を特約で定める必要があります。

媒介報酬(仲介手数料)の支払い時期

媒介報酬(仲介手数料)の支払い時期については特に法的な定めはなく、具体的な日時は媒介契約書に記載されています。一般的には契約時に報酬額の50%、決済時(不動産の引き渡し時)に残りの50%を現金で支払うことが多いようです。

不動産会社の義務

不動産会社は、売買契約の成立に向けて積極的に努力する義務を負っています。そして、専属専任媒介契約と専任媒介契約は、媒介契約締結から所定の期日までにレインズへ物件情報を登録し、登録証明書を売主へ交付しなければなりません。一方で、一般媒介契約にはレインズへの登録義務はありませんが、売主の希望で登録してもらうことができます。

また、専属専任媒介契約と専任媒介契約は、書面か電子メールのいずれかの方法で、所定以上の頻度で売主へ売却活動の報告をする義務があります。一般媒介契約に活動の報告義務がありませんが、売主から報告を求めることができます。

なお、レインズに登録した物件が成約した場合、専属専任媒介契約と専任媒介契約は宅建業法により、一般媒介契約はレインズの規約により、成約情報の登録をしなければなりません。レインズは一般の方が閲覧することができない媒体ですが、取引事例は売却査定の精度向上に寄与するため、登録する制度が設けられています。

売主の義務

売主の義務は、媒介契約約款を遵守することです。特に専属専任媒介契約と専任媒介契約では、売主の一方的な事情で期間中に媒介契約の解除ができないなどさまざまなルールがあり、守らないと違約金を請求されるケースがあります。約款の内容はしっかりと確認し、ルール違反に注意しましょう。

違約金

売主が媒介契約約款に違反した場合には、違約金として約定媒介報酬額と同額もしくは実費費用を不動産会社から請求される場合があります。

媒介契約約款の違反やそれに準ずる行為として下記があります。

  • 専属専任媒介契約で禁止されている自己発見取引をした
  • 専属専任媒介契約・専任媒介契約であるにもかかわらず、他の不動産会社に仲介を依頼した
  • 不動産会社から紹介された買主と、不動産会社を通さずに直接取引した
  • 明示型の一般媒介契約で、新たに他の不動産会社に仲介を依頼したにもかかわらず、その報告を怠った
  • 専属専任媒介契約・専任媒介契約の契約期間中に、売主の都合で一方的に媒介契約を破棄した

チェックリストとペン

(画像/PIXTA)

媒介契約書に関してよくある質問と回答

媒介契約について、よくある質問と回答をご紹介します。

どの媒介契約でも仲介手数料の上限額は同じ?

買取とは、不動産会社が買主の立場で不動産を売主から直接購入する取引のことです。つまり、不動産会社は仲介ではないため媒介契約の締結は不要です。

買取による売却なら媒介契約書は結ばない?

買取とは、不動産会社が買主の立場で不動産を売主から直接購入する取引のことです。つまり、不動産会社は仲介ではないため媒介契約の締結は不要です。

売主や買主に媒介契約が不要なケースとは?

不動産会社へ仲介を依頼する際には、必ず媒介契約の締結が必要になります。ただし、不動産会社の買取や知人へ直接売却する場合などは、仲介者がいないため媒介契約は不要です。

考える女性

(画像/PIXTA)

媒介契約を締結するうえでの注意点

媒介契約を締結する前に、売主が知っておくべき注意点が4つあります。

分からないことは何度でも聞こう

不動産の取引では難しい専門用語が使われるため、説明を受けても理解しづらいことがあります。担当者の説明を聞いて分からないことがあった場合には、詳しい説明を再度求めるなど、担当者の一方的なペースで話が進んでいくことがないようにしましょう。査定価格についても同様で、価格を算出した根拠を尋ね、納得したうえで媒介契約を締結することが大切です。

媒介契約の締結前に複数の不動産会社を比較することも大切

不動産会社によって対応の仕方や、査定する価格が大きく異なることがあります。何が正しいのか、その場で判断するのが難しいケースもありますので、必要に応じて複数の不動産会社の話を聞いてから媒介契約を締結するといいでしょう。
その際には、不動産に関する基本的な知識を事前に調べたり、情報サイトで近隣の不動産価格をリサーチしたりしておくと、不動産会社を選ぶ際の判断材料になります。

売主には守らなければならないルールがある

媒介契約の勝手な解約や、広告方法の変更、引き渡し時期の直前の延期、物件の不具合の告知漏れなど、売主の不適切な行動は不動産会社に損害を与える可能性があり、ケースによっては損害賠償を請求されることがあります。これから締結しようとしている媒介契約は、こうしたデリケートな内容であることをあらかじめ知っておくことが大切です。

また、不動産の売却を依頼すると、不動産会社は価格査定や販売資料の作成、役所や現地の調査、不動産ポータルサイトへの広告掲載など、さまざまな労力と費用を使って募集を行います。これらの費用は、売主が特別な依頼をしない限り不動産会社の負担で行われるのが一般的です。媒介契約締結後はこうした事情を考慮して、変更点がある場合はできるだけ早く相談・報告するよう心がけましょう。

「特別依頼に係る費用」の事例と金額を把握する

売主は、売却活動に対する報酬として仲介手数料を支払います。ただし、下記のような特別な売却活動を依頼する際は、仲介手数料とは別に費用を支払う場合があります。

  • 通常以上にコストがかかる広告媒体を利用する
  • 物件の内覧会を頻繁に開催する
  • ホームステージング(部屋の特別な飾り付け)を依頼する
  • 遠方への調査があり実費や出張費用がかかる

売却活動に対するこれらの費用は不動産会社と事前に協議をし、双方が合意したうえで売主が負担するのが一般的です。

人差し指を立てるスーツ姿の女性

(画像/PIXTA)

まとめスーモくん

  • 媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3つがあり、それぞれ特徴やルールが異なる。媒介契約を締結する前に違いを理解しておくことが大切
  • 媒介契約書は、売買取引を円滑に進めるために欠かせないとても重要な契約書。ルールを守らないと、売主もペナルティを負うことがある
  • 媒介契約の約款をしっかり読み返して、不明点がないようにしておくことが大切。契約後は不動産会社がルール通りに募集しているのか、活動報告をもとに確認するようにしよう

文/ライトアップ

●監修 斉藤 勇さん

ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士。 保険や貯蓄、投資、住宅ローンなど、お金にまつわる疑問や悩みごとの相談に応じている。株式やFX、不動産取引では、自身の投資経験と専門知識をもとに情報を発信。
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