不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

東京都目黒区Wさん(40代)/快適なマンション暮らしも、子ども部屋が必要になり手狭に。二世帯住宅に住み替える

東京都目黒区Wさん(40代)/子ども部屋が必要になってマンションを売却し、義母と二世帯で暮らせる一戸建てに住み替え

東京都目黒区のマンションが手狭になったWさんは、義母と同居できる一戸建てに住み替えることに。6980万円で購入したマンションを8500万円で売却することに成功。売却と住み替え先の土地の購入を同じ不動産会社にしたので、やりとりはとてもスムーズでした。

不動産区分 マンション
所在地 東京都目黒区
築年数 約5年
間取り・面積 3LDK(70m2
ローン残高 4000万円
査定価格 8000~9000万円
売り出し価格 8840万円
成約価格 8500万円

子ども部屋があり、義母と同居できる一戸建てに住み替えたい

東京都目黒区のマンションに家族で暮らしていたWさん。築5年(当時)・70m2・3LDKのマンションは最寄駅から徒歩11分。閑静な住宅街で近くにスーパーや小中学校のある住みやすい場所でしたが、子どもが大きくなるにつれ手狭になってきました。マンションは、新築時に6980万円で購入し、夫と共有名義で合わせて6000万円の住宅ローンを組みました。残債は、4000万円。共有名義なのは、それぞれが住宅ローンを組むことで2人とも住宅ローン控除を受けられるメリットがあるからです。

■ペアローンとは

ペアローンとは、一つの物件に対して夫妻がそれぞれに住宅ローンを申し込む方法のことです。夫、妻がお互いに連帯保証人になり、住宅ローンの債務者として住宅ローンの契約をします。メリットは、単独で借りるより、借り入れ額を増やせることです。また、ペアローンは、住宅ローンを利用して住宅を取得した人が、一定期間、住宅ローン残高に応じて所得税や住民税を節税できる「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」を夫、妻それぞれに受けることができます。ただし、離婚した場合、持ち家を処分するには、「売るか」、「どちらかが住んで返済し続けるか」のいずれかになり、別れた配偶者が返済を滞納すると、連帯保証人の方が返済を負担する義務があります。

「3LDKではあったものの、リビングに隣接した部屋との間に仕切りがなく、子ども部屋にするのは難しいと思いました。私たちが住んでいたのは1階でしたが、2階も子どもがいる家庭で足音がうるさいこともありました。いずれ義母と同居する予定でしたし、我慢をしてマンションで暮らすよりも売却して一戸建てを購入することにしたんです」

住み替え先は注文住宅を建てることに。引き渡し時期を条件に加える

2020年の秋から売却を意識しはじめましたが、動き出したのは、2021年の春。インターネットで、不動産仲介会社探しを開始。簡易査定を行い、連絡のあった3社に訪問査定を依頼しました。

「査定価格は、いずれも8000~9000万円でした。それなら、大手不動産会社が安心だと思い、全国に支店のある不動産仲介会社と専属専任媒介契約を結びました。担当者もいちばんしっかりしていましたし、既にマンションをほしいと言っている顧客がいるからと、手数料を割り引いてくれました」

住み替え先は注文住宅を建てることになり、そのための土地も決まりました。「売ってから、住み替え先の売買契約をしたい」と考えたWさん。引き渡しは、注文住宅が完成する2022年夏以降になることを条件にしました。

値引き分と1000万円の利益を見込んで売り出し価格を決める

2021年5月から8840万円の売り出し価格で売却活動を開始。インターネットの不動産情報サイトに掲載し、1週間に1度担当者から閲覧数などの報告を受けました。不動産仲介会社に、写真をカメラマンに撮ってもらえるサービスがあり、見栄えする広告になりました。

「すぐに反響があり、内見をしたのは5組です。掃除や片付けが大変なので、内見はできるだけ同じ日にしてもらいました。不動産仲介会社には、内見前にお風呂や洗面所、キッチンなどの水回りを清掃するサービスがあり、とても助かりました。内見者は、新築の時に購入できずに仕方なく近隣に住んでいた人が多かったです」

不動産売却時のハウスクリーニング

販売活動を開始してから3カ月後、購入者が現れ、値引き交渉の末、8500万円での売却が決まりました。

「1000万円位の利益が出ればいいなと考え、8000万円を最低ラインにしていたので、妥協できる範囲でした。購入希望者は皆値引き交渉をしてきたので、担当者と相談して、利益分と値引き分を見込んで、高めに売り出し価格を決めておいてよかったです」

2021年9月上旬に売買契約を結び、下旬に住み替え先の売買契約をしてから、2022年夏に引き渡しをして、売却活動を終えました。

売却と購入を同じ不動産会社にしたので、やりとりがスムーズだった

売却後、同じマンションの同じ間取りが9000万円で売られていることを知り、「もっと高く売れたのでは」という思いもありますが、売却活動中困ったことはなく、やりとりが楽でスムーズだったというWさん。税金の手続きなども不動産仲介会社から紹介された税理士に相談することができました。

「売却と住み替えの土地の購入を同じ不動産会社に依頼したので相談がしやすく、打ち合わせも両方兼ねられるので良かったです」

Wさんが一戸建てに住むのははじめて。リビングやキッチンは2つあり、義母や子どものための部屋もつくりました。マンションから一戸建てへ環境は変わりましたが、2世帯の暮らしは思った以上に快適だそうです。

2020年10月 ・売却を意識し始める
・住み替え先を探し始める
2021年春ころ ・簡易査定を依頼する
・訪問査定を依頼する
・8000~9000万円の査定価格が出る
2021年5月 ・不動産会社と専属専任媒介契約を結ぶ
・8840万円で販売活動の開始
2021年8月 ・購入者が現れる
2021年9月 ・8500万円で売買契約を結ぶ
・住み替え先の売買契約を結ぶ
2022年7月 ・注文住宅が完成する
・物件の引き渡し

まとめ

  • 共有名義でそれぞれが住宅ローンを借りることで、控除を受けられる
  • 内見は同じ日にしてもらうと掃除や片付けの手間が軽減する
  • 売却と住み替え先探しを同じ不動産会社にすると窓口が一本化して便利

イラスト/沼田光太郎

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●構成・取材・文/内田優子
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