不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

千葉県市川市Yさん(40代)/ご近所トラブルからのマンション売却。買主のローン審査が通らず契約白紙にも見舞われる

千葉県市川市Yさん(40代)/近隣トラブルを機にマンションを売却。ローン審査が通らず売買不成立も経験

千葉県市川市の築42年のマンションに住むYさんは、近隣トラブルがきっかけで売却を決意。5年前の購入価格と同額で売り出すものの、購入希望者のローン審査が通らず契約は白紙に。その後100万円の値下げを経て、ようやく売却を実現させました。

不動産区分 マンション
所在地 千葉県市川市
築年数 42年
間取り・面積 3LDK(約56m2
ローン残高 1230万円
査定価格 1180万円〜1580万円
売り出し価格 1580万円
成約価格 1480万円

ベランダにスズメのフンが大量に。住民トラブルを引き金に売却を考えた

2013年に1580万円で購入した中古マンションで暮らしていたYさん。立地は駅から徒歩15分、都心までのアクセスも良好。近くにスーパーや学校、病院があり、ファミリー層が多く住む全60戸ほどのマンションでした。

平穏な生活にトラブルが降りかかったのは、2018年春のこと。Yさん宅のベランダに朝晩スズメがたくさんやってくるようになったのです。「常に10羽くらいが止まっていて、ベランダがフンまみれ。どうやら上階の住人が餌をやっていたようなんです。早朝、決まってベランダの窓を開ける音がしていたので。でも、管理会社に相談したら、そういうことは住民同志で解決してくれ、とのこと。理事会も、餌をあげている証拠がないからと動いてくれませんでした」

すると、今度は下の階の住民から直接クレームが。「スズメのフンを掃除するのに、わざわざ雨の日を狙って水で流したんです。そうしたら『汚い水が落ちてくる』と。踏んだり蹴ったりですよ」とYさんは憤ります。

折しも翌年、持ち回りで理事長になることになっていたYさん。「理事会に顔を出してみたところ、僕と同世代の理事長が、シニアの住人たちにあれやこれや責められていて。来年自分もこの立場になるのかと思うと、ここで貴重な時間を使いたくないな、と思いました」。理事会への不満も募ったことから、理事長を引き受ける前にマンション売却を決意したといいます。

売却を決意したYさんはスズメの糞害を解決すべく、ベランダに忌避剤を撒くなどして対策を徹底。その甲斐あって被害はほぼなくなり、上下階の住民とも関係は悪化しませんでした。

最も高い査定額をつけてくれた会社と仲介契約。購入価格と同額で売却開始

まずは不動産情報サイトの一括査定を利用してみたYさん。問い合わせがあった数社のうち、3社に訪問査定を依頼しました。査定額は1180万円から1580万円と、かなりの差がありました。「同じタイミングで、マンション内に売りに出している部屋があったのです。どうやら夜逃げしたとかいううわさがあって、そこが980万円で売っていたんですよ。さすがに安すぎますが、査定額が低かったところはそこにひっぱられていたのかもしれません」。

結果として、最も高い1580万円をつけてくれた会社と専属専任契約を結びます。「担当者は僕と年が近く、考え方も似ている人で、足しげく来てくれたのもよかった点です」
売り出し価格は1580万円でスタートしました。

購入希望者がローン審査に通らず断念

売り出してすぐ、数組が内覧に訪れました。さっそく買いたいと申し出た方もいましたが、住宅ローン審査が通らず、契約は流れてしまったといいます。

自宅マンションの売却先がなかなかきまらないイメージ

その後も7組ほど内覧はあったものの、反響は芳しくありません。「内覧されるのはいいけれど、プライベートな空間を見られるわけだから、なかなか買い手がつかないのはしんどかったですね。ちゃんとローンが通る方に、早く買ってほしい気持ちでした」とYさんは振り返ります。

2カ月ほど経って、担当者から「100万円下げてみませんか」と提案が。「1580万円で買った物件を同額で売れたらラッキーでしたが、5年住んだ家賃が100万円だと考えれば安いもの。そう思い、1480万円で了承しました」

すると、近くに家族が住んでいるという方から購入したいという申し出があり、今度は無事に契約が完了。売り出してから約5カ月後のことでした。

■専属専任媒介とは

媒介契約には「一般媒介契約」、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があります。そのうち専属専任媒介契約は、媒介契約を結べるのは1社のみ。指定流通機構(レインズ)への登録は媒介契約締結日翌日から5営業日以内、売主への業務報告義務は1週間に1回以上、と定められています。また、売主自身が物件の買主を見つけた場合、専属専任媒介契約を結んだ不動産会社を介さずに売却することはできず、仲介手数料を支払う必要があります。そういった点から、高い広告費をかけるなど、より積極的な営業活動・売却交渉を行ってくれることが期待できます。ただし、1社のみの契約ゆえ会社の営業力に左右されること、囲い込みが発生する可能性があることも考えられます。

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100万円値下げして売却成立。住み替え先も担当者のお世話に

売却後は、賃貸マンションに移り住んだYさん。「実は仲介会社の担当者の奥さんが、賃貸物件を扱う不動産会社の店長をしているということで、紹介してもらったんです。売却と同時進行で新居探しの打ち合わせもできて、とても助かりました」。

売却活動を振り返ると、満足度は90点だといいます。「最初の購入希望者のローンが組めなかったのは想定外でしたが、結果的にきちんとした方に買ってもらえてよかった。購入時から価値がほとんど下がっていなかったことにも安堵しました」

その後Yさんは、賃貸住まいを経て、現在は結婚して一戸建てに住んでいるそう。「あのマンションのようなトラブルもなく、ご近所との関係も良好です」と笑うYさんでした。

2018年4月 ・ベランダの鳥の糞害に悩み、マンション売却を決意
・売却価格査定
・不動産仲介会社と専属専任媒介契約を結ぶ
2018年6月 ・買いたいという申し出があるも、ローン審査が通らず契約不成立
2018年7月 ・100万円下げて再度売り出し
2018年8月 ・購入者が現れる
2018年9月 ・1480万円で売買契約を結ぶ
2018年10月 ・物件引き渡し

まとめ

  • 近隣トラブルは解決してから売却しよう
  • 同じマンション内の売り出し情報もチェック
  • 購入希望者がいても、ローン審査に通らず契約に至らない可能性も

取材・文/塚田真理子 イラスト/村林タカノブ

●構成・取材・文/塚田真理子
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