不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

収入減で住宅ローンの支払いが不安に。マンションを売却して公営住宅に住み替え/千葉県市川市Aさん(50代)

千葉県市川市Aさん(50代)/収入減で住宅ローンの支払いが不安に。マンションを売却して公営住宅に住み替え

会社から減給を通達されたAさん。市川市のマンション(築20年・3LDK)の住宅ローンの支払いに不安を感じていたころ、応募した公営賃貸住宅に当選。公営賃貸住宅の入居期限まで周囲に知られないように売却活動し、満足できる住み替えができました。

不動産区分 マンション
所在地 千葉県市川市
築年数 約20年
間取り・面積 3LDK(70m2
ローン残高 1020万円
査定価格 3700万円
売り出し価格 3780万円
成約価格 3600万円

収入が減る不安と公営住宅の当選で売却へと気持ちが動いた

千葉県・市川市で家族でマンション暮らしをしていたAさんですが、2018年4月、これから残りの住宅ローンを支払い続けることが不安になる出来事がありました。

「業績が悪化した会社から給料は下がるが、嘱託で働いてくれないかと言われたんです。新築時に25年ローンを組み、5300万円で購入したマンションは、当時まだ1000万円以上の住宅ローンが残っていました。これからの家計に不安を感じていたとき、公営賃貸住宅の募集を見つけ、すぐに応募しました」

だめで元々と期待はしていませんでしたが、5月に当選の知らせがあり、Aさんはマンションを売却し、公営賃貸住宅に住み替えることを決めました。

「新築時に購入したマンションも20年目になり、価値が下がるからと住み替えのために引っ越す人も増えていました。公営賃貸住宅は都内ですが、一度は東京に住んでみたいと思っていたし、子どもたちも成人し、学区の問題もありません。何より、収入面での不安が解消されます。住み替えることに迷いはありませんでした」

売却を決めたマンションは、最寄駅から徒歩6分の70m2・3LDKで、7階建て最上階の角住戸です。子育てするために選んだ場所だったので、公園や小中学校までは徒歩5分以内で行けます。子どもが小さな家族には需要があると思い、不動産会社を探し始めました。

査定根拠が書かれた資料が決め手となり、不動産会社と契約

6月に一括査定を依頼したところ、紹介された4社のうち2社からすぐに電話がかかってきました。そのうちの1社が、翌日に見積もりを書いた提案書を持参し訪問。3700万円の査定価格でした。

「4000万円ならいいなと思っていたのですが、その後ほかの会社が出した査定価格も同じくらいでした。最初の一社は、『最上階で角部屋ならぜひ売らせてください!』と所長・副所長・担当者の3人で来訪してくれ、熱意が違いましたね。大手でしたし、いちばん信頼できると思いました」

とくにAさんが魅力に感じたのは、不動産会社が持参した販売計画がまとめられた書類でした。カラー印刷の美しくわかりやすい書類には、まわりのマンションの価格や成約予想価格などがグラフ付きで掲載されていました。

「成約価格は、市場価格×105%が大体の上限だと書いてありました。うちの場合、市場価格が3449万円なので、成約予想価格は3620万円前後だと知りました。査定価格は、採点方式で、駅から徒歩6分なこと、最上階角部屋であることを加算し、3700万円の査定価格になったと示されていたんです。詳細な資料に驚き、ここしかない!と即決しました」

2018年6月、住み替え先の賃貸借契約を済ますと同時に、不動産会社と専任媒介契約を結び、販売活動を開始しました。

周囲に知られたくないので、売却活動は物件販売情報サイトの掲示のみで行う

販売活動を開始する前に、Aさんは不動産会社の担当者に二つの条件を出しました。一つは、近所の人に売却活動をしていることを知られたくないのでチラシ配布はやめてほしい、二つ目は、公営賃貸住宅の入居期限である9月までに売却を終えたいことです。

不動産会社の担当者は、チラシのポスティングはせず、自社の物件販売情報サイトへの掲載のみで販売活動を展開。販売価格は妻と相談し、3780万円にしました。2週間で5組の内見者があり、平日は妻が立ち会い、物件の良さをアピール。スーパーが近く、温水洗浄便座や食洗器を交換したばかりで、エアコンは置いていくこともできると伝えました。バルコニーからの眺望が良く、アミューズメントパークから打ち上がる花火が見えることは、子どものいる家族に好評でした。ほどなく、3600万円なら即決したいという家族が現れたのです。

「妻とは3680万円位までなら値下げにも応じようと事前に話し合っていました。そのころ、遠方に1人で住んでいた父親が病気になり、看病のため疲れがピークで。長引かせたくなかったのもあり、3600万円での売却を決めました」

2018年7月に売買契約を済まし、8月に住み替え先に引っ越し、同月にマンションを引き渡しました。

■周囲に知られたくない場合の売却活動

周囲に売却を知られたくない場合は、その旨を最初に不動産仲介会社に相談しましょう。多くの人の目に触れるチラシのポスティングや不動産情報サイトに掲載せずに売却活動する方法を話し合います。不動産仲介会社の顧客リストから買主を探すことも可能です。ただし、人目に触れない分、売却まで時間がかかってしまう可能性があります。不動産仲介会社に買取を依頼すれば、宣伝や広告の必要がなく、周囲に情報を知られることはほぼありません。ただし、買取は、仲介に比べて価格は低めというデメリットがあります。写真や場所などの物件情報をどこまで出す気持ちがあるかを不動産仲介会社に伝えて、自分に合った売却活動をしましょう。

物件に詳しい不動産会社にお任せし、父親の看病や住み替え先の入居準備ができた

会社からの減給の知らせで急に始まった売却活動でしたが、価格も期間も満足でき、不動産会社の担当者に感謝しているといいます。

「会社としての対応も良く、担当者とも馬が合い、率直にいろいろな相談ができました。安心して住み替えの準備や父の看病ができ、ありがたかったです。賃貸暮らしは自分にとっては前より気楽でとても快適です。必要になれば、すぐに引っ越せますし、これから子どもが自立したあとに、この場所に縛られることもありません」

公営賃貸住宅当選という幸運を逃さず売却活動を成功させたAさん。新しい土地での暮らしを語る表情は、晴れやかでした。

2018年4月 ・公団住宅に応募
・売却を意識し始める
2018年5月 ・公営賃貸住宅に当選し、住み替え先が決定
2018年6月 ・一括査定・訪問査定を受ける
・不動産会社と契約
・3780万円で売り出す
・住み替え先の賃貸借契約を結ぶ
2018年7月 ・3600万円で売買契約
2018年8月 ・住み替え先に引っ越し
・物件を引き渡し

まとめ

  • 査定を複数社に依頼することで、熱意をもって売却活動を進めてくれる不動産会社を選ぶ
  • 販売計画資料に書かれた査定額の根拠を不動産会社の担当者にしっかり確認する
  • 売却活動をできるだけ周囲に知られたくない場合、チラシ配布はやめる
売却査定する

取材・文/内田優子 イラスト/カワモトトモカ

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