不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

埼玉県戸田市Hさん(50代)/代々受け継いだ1000坪の土地。父の代理で売却活動を行い5億4000万円で売却

埼玉県戸田市Hさん(50代)/代々受け継いだ1000坪の土地。父の代理で売却活動を行い5億4000万円で売却

親の資産を管理することになったHさん。家族で経営する賃貸マンションなどを含む1000坪(3300m2)の土地の維持が難しいため売却を決断しました。買取にしぼって、土地を一括で購入してくれる不動産会社を探していたところ、知人から紹介されたデベロッパーが5億4000万円の買取額を提示。対応もスピーディで円滑にやりとりが進み、3000万円の解体費込みで売買契約を結びました。

不動産区分 土地(一戸建てやマンションや店舗含む)
所在地 埼玉県戸田市
築年数
間取り・面積 土地:3300m2
ローン残高 なし
査定価格 4億5000万円
売り出し価格 なし
成約価格 5億4000万円

父が体調不良になり、3300m2の広い敷地や建物の維持管理が負担に

埼玉県戸田市に、代々受け継いだ土地で、賃貸マンションや店舗の家族経営をしてきたHさん一族でしたが、2016年ごろから父親が体調不良になりました。

「もともとは、1万坪近くあったと聞いていますが、売却時には、1000坪(3300m2)の敷地に、実家(330m2・4LDK)や賃貸マンション、店舗がありました。父親名義ですが、毎年支払う800万円の固定資産税や賃貸マンションのクレーム対応が負担になっているのは、私も知っていました。相続対策も必要でした。そこで、体調が優れない父の代理人になり、資産整理を行うことにしたんです」

土地は、最寄り駅から徒歩12分で、池袋や新宿まではJR埼京線で約20分ほどのアクセスが良い立地で、文教地区内にありました。売却を検討したのは、地価が上昇したタイミングで、Hさんは高水準で売却できる可能性があると考えました。

■文教地区とは

文教地区とは、都市計画法で定められた特別用途地区のことで、教育施設や研究施設、図書館などの文化的施設などが集まっている場所を各市区町村が指定した区域です。文教地区に指定されると、規制が厳しくなるため、パチンコ店や風俗営業などが建てられません。良い環境のイメージから人気エリアになることが多く、資産価値が維持される傾向にあります。

委任状を作成して父の代理で売却活動開始。買取してくれる業者を探す

父から委任状をもらい、正式に代理人となり、売却活動を開始したHさんは、税理士や知り合いの不動産関係者に相談しました。

「インターネットでは本当に詳しい情報は手に入りませんし、仕事をしながら本で勉強するのも限界があります。専門家に話を聞くのがいちばんだと思いました。相談したところ、『5億円にはなるのでは』と言われ、2018年11月から不動産会社探しをはじめました」

以前から、近隣の不動産仲介会社より電話や訪問で営業されていましたが、土地の一部だけの購入を打診されたり、提示される金額が低かったりと不満がありました。そこで、Hさんは、買取で土地を一括で購入してくれる大手の不動産会社にしぼって探そうと決めていました。

suumo.jp

知人に紹介されたデベロッパーに、5億4000万円で買い取ってもらう

Hさんが売却活動を開始したことが周囲に伝わり、友人の知人が勤めるデベロッパー(大型マンションの開発などをする事業者)を紹介してもらうことになりました。

訪問査定に訪れた担当者が提示したのは、4億5000万円の買取額でした。その後、上司が現地を訪れ、3000万円の解体費用込みで2019年10月、5億4000万円での買取が決まりました。

「その後、敷地の測量やボーリング調査を行いました。ボーリング調査で遺跡などが出土すると、埋蔵文化財包蔵地になり、工事が遅れたり、建物の建築が難しくなるため心配しましたが、問題なくほっとしました」

無事、売買契約を結んだあと、解体後の2020年1月に引き渡しをしました。

土地を5億円超で売却したイメージ

土地の資料や近隣の情報を共有し、信頼関係をつくることが大事

満足できる金額で売却できたポイントを「隠し事をせずに話したこと」と語るHさん。

「家に保管していた古い測量図などをすべて渡し、近隣との関係なども正直に伝えました。お互いの信頼関係が大事ですから。解体後は大型マンションを建てる予定だと聞きました。そのためのシミュレーションの動画もとてもわかりやすかったです。遠慮せずに、何でも質問しましたが、回答が早く、ひとつひとつ納得して進めることができました」

解体後、敷地に建ったマンションには、両親が入居し、新しい生活を始めています。代々受け継いできた資産をうまく活用することができ、当初、土地を手放すことに抵抗があった父親も、今は満足してくれているそうです。

2016年ごろ ・父親が体調不良になり、売却を検討する
・父の代理になり、売却活動を行う
2018年11月 ・買取先を探す
2019年10月 ・デベロッパーを紹介してもらう
・訪問査定で4億5000万円を提示される
・5億4000万円で買取が決まる
・ボーリング調査が行われる
・売買契約を結ぶ
2020年1月 ・解体後、引き渡し

まとめ

  • 委任状を作成すれば、家族名義の不動産を代理で売却することができる
  • 文教地区は、学校や図書館などの文化的施設などが集まっている場所で環境が良い
  • 土地が広い場合は、不動産仲介会社だけでなく、デベロッパー(土地を購入した上で、大型マンションなどの開発を行う事業者)に買い取ってもらう選択肢もある

取材・文/内田優子 イラスト/村林タカノブ

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