
かつて自宅を売却した経験から、不動産投資に興味を持つようになったというHさん。東京都中央区にあった当時築15年の1LDKを購入し、賃貸住宅として運用していましたが、不動産価格が高くなっていると感じ、売却することにしました。
| 不動産区分 | マンション |
|---|---|
| 所在地 | 東京都中央区 |
| 築年数 | 23年 |
| 間取り・面積 | 1LDK(45m2) |
| ローン残高 | なし |
| 査定価格 | 4980万円 |
| 売り出し価格 | 5080万円 |
| 成約価格 | 4900万円 |
築古になったが不動産市場が活況なので、今が売り時だと考えた
昔から将来のために株などの金融投資をしていたHさん。一方で不動産投資はあまり考えていなかったそうです。ところが社会人になったばかりの1990年ごろに、自宅用として購入した東京都目黒区のマンションが手狭になり、2000年ごろに手放したところ「10年くらい住んだのに1000万円ほど利益がでたんです」。以来、不動産投資へも興味が沸いたそうです。
その後目黒区から台東区へ移り住み、結婚を機に台東区のマンションを売却したところ、こちらも利益がでたのだとか。この時に「不動産投資は立地条件さえ間違えなければ損はしない」と確信したそうです。
そこでいろいろ調べて、2014年に東京都中央区の1LDKマンションを購入しました。この時点で築15年の賃貸住宅として運用されていた物件です。「入居者がいる状態で購入しました。東京駅まで歩いて30分かからないくらいの都心ですが、下町風情も残っているエリアにありました。最寄りの地下鉄の駅からは徒歩3分で、どこへ出るにも便利な立地ですし、45㎡の1LDKは1人でも、若い夫婦2人でも使えるから運用しやすいだろうと選びました」
購入価格2480万円は予算内でしたので、ローンは組まず現金で支払いました。しばらくは賃貸住宅のオーナーとして運用していましたが、常に不動産相場は気にしていたそうです。
そして購入から5年たった2019年ごろには、不動産価格が高騰しているというニュースを目にするようになりました。「ちょうど2020年3月末に入居者が退去することになったので、だったら売却しようかなと思ったんです」
広く売り出したいので、一般媒介で売却することに
こうして入居者が退去した2020年4月に、まずは近隣の不動産会社3社に査定をしてもらうことにしました。近隣といっても物件が東京都中央区にありますから、いずれも大手不動産仲介会社です。
査定額は下が4250万円、上は4980万円。いずれにせよ、購入時価格より上の金額です。「思っていた以上に高かったです。やはり実際に査定してもらわないとわかりませんね」。そこで最も高い査定額を提示した1社にもう1社を加え、2020年4月に計2社と一般媒介契約を結んで売却活動を開始しました。
「売り出し価格は市況をみて強気に、査定額より上の5080万円にしました。また一般媒介契約を選んだ理由は、市況が良い間に広く購入者希望者を集めれば早く高く売れるのではないかと考えたからです」
さらに、もし売却価格に納得できない場合は、改めて入居者を募って賃貸住宅として運用することも検討していました。「賃貸住宅としても立地や間取りには自信があったので、入居者はすぐ見つかると思っていました。築古になった分、当初より家賃は下がりましたが、それでもまだ持っていても損はしない家賃収入がありましたから」
売却か、賃貸住宅としてこのまま運用するか。両方をてんびんにかけながら売却活動が始まりました。
売り出して1カ月後に購入希望者が現れ、無事売却に成功
売り出してすぐに、問い合わせがいくつか入ったそうです。折しも新型コロナウイルスのニュースも世間をにぎわせていましたが「特に売却に影響した感じはなかったですね」。
問い合わせの中には価格交渉の話もありましたが、その中の1件から「4900万円なら購入したい」という話が来ました。相手は主に投資用物件を買い取り、別の購入希望者に販売していた不動産会社です。「もともと強気で5080万円の値を付けただけですし、査定額を考えれば4900万円は妥当かなと思いました。少なくとも最も低かった査定額の4250万円よりは上ですから」
そこで4900万円を提示したその不動産会社と2022年5月に売買契約を結びます。売却活動はわずか1カ月。「正直言って思っていたより高く、早く売れました。やはり時期が良かったのかも知れません」
投資用として約8年前に購入した1LDKマンションを、購入時価格の約2倍で売却することに成功したHさん。「不動産投資はやはり立地や間取りが大切と、改めて感じました」
今は不動産価格が高騰しているので、投資はしないつもり
購入時価格の約2倍で売却できたHさんですが、それを元手に再び不動産投資をするのでしょうか? 「いえ、今は不動産の価格が高くて、購入して利益を出すのは難しいと思っているので、しばらくは手をださないつもりです」

売却益は、結婚を機に購入した自宅マンションの繰上げ返済や、子どもの教育費に充てるそう。さらに「そろそろ老後のことも考えておきたいですね。ですから金融商品か何かは決めていませんが、これからも資産運用はしたいので、その資金としても使うつもりです」
| 2020年4月 | ・マンションの売却価格査定 ・不動産会社2社と一般媒介契約を結ぶ ・5080万円で売り出し |
|---|---|
| 2020年5月 | ・購入希望者が現れる ・4900万円で売買契約を結ぶ |
| 2020年7月 | ・物件を引き渡す |
まとめ
- 不動産は立地や市況が良ければ、思いのほか高く売れることがある
- 売却を検討したら自分で調べるだけでなく、まずは査定をしてもらい、物件の価値をはかろう
取材・文/籠島康弘 イラスト/松尾達


