不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

普通借地権のマンションを相続、不動産会社のアドバイスを受けながら売却/千葉県千葉市美浜区Yさん(60代)

千葉県千葉市美浜区Yさん(60代)/妻の死去に伴い、普通借地権のマンションを相続登記してから売却

現在、千葉県千葉市に住むYさん。妻の死去に伴い、一部妻名義だった分の相続登記を経て、子育て期に家族で暮らしていたファミリータイプのマンションを売却しました。売却活動を長々と続けるのは性に合わないと、買取を中心に据えて短期決戦に。わずか1カ月で契約まで進めたといいます。その売却活動の進め方についてお話を伺いました。

不動産区分 マンション(普通借地権)
所在地 千葉県千葉市美浜区
築年数 27年
間取り・面積 3LDK(約83m2
ローン残高 なし
査定価格 2300万~2550万円
売り出し価格 2550万円
成約価格 2550万円

別居中の妻が急死。名義の変更など各種手続きを経て住まいを整理

Yさんが売却したのは、27年前に結婚を機に購入した当時新築のマンション。千葉市美浜区にある、築27年、約83m2・3LDKの物件です。職住近接の大規模再開発の街で、初期のころに売り出されたマンションを購入しました。このエリアのマンションは、普通借地権物件であることがほとんどで、Yさんの物件も普通借地権物件です。竣工当時はちょうどバブルが崩壊した直後で、土地の仕入れから分譲まで数年かけて長期計画でつくるマンションなどはまだまだ価格が高かった時代。所有権物件よりも販売価格が低く設定される借地権物件は人気があったといいます。

「あのころは、マンション購入時の一般抽選倍率が50倍なんてザラでしたよ。ただ、職住近接者のための優先住戸というのがあり、職場が徒歩圏の私はこの優先住戸に応募できたので、すんなり決まりました。購入価格は5150万円でした」

Yさんが購入したマンションは、総戸数110戸ですが、多棟構成で角住戸が多いつくり。棟は少し間が空きつつロの字型に配置されているので、中庭まで光と風がよく入ります。Yさんの住戸も、4階の南東向きの角部屋で開放的で明るい部屋です。開発により整備された街並みは、道幅が広く、緑も多い、住みやすい街で、子育て世帯に人気があるといいます。

緑の多いマンションのイメージ

Yさんは、子どもが進学のため1人暮らしをするまで、このマンションで家族と過ごしました。子どもの独立後、Yさん自身は親から相続した千葉市内の一戸建てで1人暮らしを始め、家族で住んでいたマンションには妻だけが残りました。

「2021年6月に妻が突然亡くなりまして。マンションを処分することにしたのです。住宅ローンは完済していたのですが、まだ抵当権解除の手続きをしていなかったり、マンションの名義のうち、7%だけあった妻の持ち分を相続登記したりと、司法書士の方を交えていろいろな手続きを済ませるのに3カ月くらいかかりました」

■相続登記とは

相続登記とは、不動産を相続した際に登記簿の所有者名義を変更する手続きのことです。現在、相続登記には期限も罰則もなく、任意の手続きとなっていますが、不動産売買の際には所有権移転登記済みであることが不可欠なため、スムーズな売却のためにも早めの手続きがオススメです。なお、2024年4月以降に相続登記はされます。
また、相続登記にかかるお金としては、登録免許税が必要です。相続する土地や建物の固定資産税評価額×0.4%で計算されます。手続きを司法書士に依頼する場合は、手続きの規模によりますが、6万~10万円程度の司法書士報酬がかかるのが一般的です。

たくさん届く不動産仲介会社からのDM。片っ端から会って感触を確かめる

9月にようやく手続きが完了し、名義がYさんのみになったことで、マンションの売却活動がスタート。不動産売買自体が初めての経験なので、手続きをしながらSUUMOのサイトで近隣の情報をチェックし、相場観や物件の動きなどをインプットしたといいます。

「プロ相手に財産の話をするので、まったく知識がないままで相談するのは不利なんじゃないかと思って、短期集中で情報収集しました」

そうしているうちに、いろいろな不動産仲介会社からDMが届くようになったといいます。

「不動産仲介会社は法務局で頻繁に登記簿をチェックしているようで、相続登記した私のところにたくさんDMが来ました。そのため、不動産仲介会社探しはこのDMの会社に片っ端から会ってみて検討することにしました」

今回の売却は、なるべく早く決着をつけたいというのがYさんの意向です。だらだらと売却活動を続けるのは性に合わないというのが大きいのですが、現実的な問題もありました。借地権物件のため、毎月「管理費」「修繕費」のほかに、「地代」がかかります。マンションを保有しているだけで、これら月々の出費を6万円弱も支払い続けなくてはならないので、早期決着を目指していました。

「早く売却するために、買取をメインに考えていました。ずいぶん古いマンションで、今まで一度もリフォームしていなかったので、室内はあまりいい状態とはいえず、次に住む人はリフォームが必須だと思ったのです。全面リフォームが必須なら、私がちょっと手を入れても仕方ないと思ったので、現況引き渡しを条件としました。一般的な仲介での売却より少し安くなるかもしれませんが、リフォームを手掛けている不動産会社にそのままの状態で買ってもらって、全面リフォーム希望のお客さんに売るか、リフォームしてから再販してもらうような形が早く決着できて一番良いのではないかと思っていました」

結局10月初めに5社に現地査定してもらい、工務店機能をもつ不動産会社との買取の相談と並行して、念のため大手不動産仲介会社3社と一般媒介契約を結びました。

情報をWEBでオープンにしてから1週間で、買取で決着

2021年10月、SUUMOのWEBサイトに2550万円で一般向けに情報を公開しました。同時に、買取相談も進めています。買取の方は2社と相談を進め、指値での交渉スタートとなります。

「最終的に買取で契約した会社からは、最初は2300万円で提示がありました。まあ、最終的な落としどころとしては2300万円くらいになるのかなと思っていたのですが、まだ最初だし、たくさんの会社から声をかけてもらっている最中なので、少し交渉してみようと思っていました。そこで、自分としては2500万円くらいを考えていることや2550万円で情報公開している仲介の引き合いもあることを伝えてみました」

買取会社が競合している場合は、アップの価格交渉がかなうことがあります。結局、2550万円で工務店機能をもつ不動産会社と合意できたといいます。

「実は、買取とタッチの差で、仲介の方でも内見希望者が現れたのです。でも、すでに合意の意思を伝えた後だったので、こちらはお断りして、すぐにWEBサイトの情報を取り下げました。金額的には、仲介の広告と同じ価格で売却できたので、結果的に仲介より手元に残った金額は多くなりました。もし仲介だったら、仲介手数料が数十万円かかりますが、買取だったので、経費は契約書に貼る印紙代1万円程度しかかからなかったからです」

売買契約締結は10月13日。初めて不動産会社が現地査定に訪れてから、わずか10日ほどでYさんの売却活動は終了しました。

27年間の住居費として考えれば、売却価格、活動期間共に満足

今回の短期集中で終えた売却活動を振り返り、とても満足しているというYさん。仲介はサブ的なアプローチだったため、不動産仲介会社との付き合いはパートナーというよりも、情報源であり、交渉相手でした。

「もしかしたら、あと2~3カ月時間をかけてゆっくり交渉すれば、金額的にもう少し交渉できたのかもしれません。でも、結果を引き延ばすのが性に合わないので、これで良かったのかなと思っています。早くスッキリしたかったし、お金の面で考えてみても損はしていないと思うのです。
買ったときの金額が5150万円ですから、売却が2550万円では2600万円も下がっていまが、仮に家賃10万円で27年間の住居費がかかったとしたら3240万円必要だったわけです。固定資産税など別にかかるものはありますが、27年間の住居費が2600万円だったと思えば、家の広さと年数、得られる暮らしの質、実際の賃料相場を考えたら、プラスと考えていいんじゃないかと」

11月に物件の引き渡しを済ませた元わが家は、なんとなく気にかけて見ているとリフォームも終わって再販活動がスタートしている様子。若いファミリーにも手が届く価格設定で、これから買う人にも喜んでもらえるといいなと、Yさんは楽しくウォッチしているそうです。

2021年6月 ・妻の死去に伴いマンションの売却を意識
2021年9月 ・抵当権の解除や相続登記など諸手続き完了
2021年10月 ・5社から現地査定を受け、3社と一般媒介契約、2社と買取の交渉をスタート
・2550万円で売り出し
・2550万円で不動産会社と直接買取の契約を結ぶ
・内見希望者が現れるがお断り
2021年11月 ・物件引き渡し、売却活動完了

まとめ

  • 共有持分のマンションの名義人が亡くなり単独で所有する場合は、相続登記をする
  • 超短期での決着を狙うなら、買取を視野に入れる
  • 買取の価格交渉は指値。交渉によってはアップも見込める
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取材・文/竹入はるな イラスト/斎藤ひろこ

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